素浪人ばなし(いただきの巻

見れぬなら、読んでみよう「素浪人シリーズ」のあらすじ。
月影の巻一 / 花山の巻 / 天下の巻 / いただきの巻 
みなさまの記憶に頼るという、管理人お得意のパターンで行く予定です。
こんな話があった、このへんだけ覚えてる、ここ違うかも、何でも結構です、
多少の間違い、不安は物ともせず、掲示板に書き込んでくださいませ。
ちょっとだけご注意:引用文の場合は、著作権の関係から、全文書かないでね。部分引用はOK。
みなさまご自身の言葉で語る場合は、何でもOKです。
Merci beaucoup!
手作りキャスト表については、相談屋さま(企画・制作)始め、キンちゃんさま(大部屋さんご担当)、長沢威さま(キラ星女優さんご担当)、
右京大作さま(出演者のその後の活躍ご担当)、大地丙太郎監督(花園ひろみさんご担当)、どらおさま(栗塚旭方面から。ノンクレジットがお得意)
A師匠さま(大部屋さんご担当)の皆さまのご努力により、制作されております。 
お名前の後の(NC)は、ノンクレジットで出演者として紹介されてない俳優さんです。


オープニング


ブーンと、畑のあぜ道を早回しで走ってくる勘兵衛。キキーッとブレーキをかけて止まる。目の前に牛。「コレ アブナカンベ」とタイプ文字。
酒に囲まれて飲んでいるゴキゲンの勘兵衛。「コレ ヨカンベ」  マージャンで上がる勘兵衛。「コレ コレガ ツキダ カンベエ 月田勘兵衛」
外人さんに道を教えている仙太。握手する。「コレ サンキュー」 相撲で褒美をもらう仙太。「コレ アリガトウ」
美人に囲まれる仙太「コレ コレガ アリガトウサン 有賀透三」
怒っているお紺「コレ!オコンナヨ お紺ちゃん」 怖そうに出てくる貧乏神「コレ ビンボウガミ 貧乏神」ニコッと笑う貧乏神。
「以上は、この番組のコマーシャルでした。では本番をどうぞ・・・」という文字画面。
飛行機から、下の山の木々が映る。「いただき勘兵衛旅を行く」のタイトル。主題歌「はみだし野郎の唄」が始まる。
その山道をはればれ歩いている勘兵衛。「月田勘兵衛 近衛十四郎」
追いかけるお紺。「お紺 江夏夕子」  そのお紺が行った後、貧乏神が道ばたのお地蔵様の陰から出てくる。「貧乏神 吉田義夫」
再び貧乏神がお地蔵様に隠れると、仙太が歩いてくる。「有賀透三 目黒祐樹」
3人が橋や渓流、屋敷前、海辺を行く。
コメントいきなり猛ダッシュしてくる近衛さんを見たときには「な、なんちゅうことをさせるねん!」と驚愕しました。いくらコマ落としで撮影している
からと言っても、あれだけ砂ぼこりを立てて走ってくるからには相当の運動量のはずです。まあ、それだけ体調が好くなったゾということ
なのでしょうか。なんだか近衛さん自身が復調をアピールされてるようで嬉しくなりました。
(キンちゃんさま)

番宣

当時の番宣では、必ず第一話冒頭の居酒屋での、勘兵衛と無頼旗本との喧嘩の場面を流し、「近衛十四郎主演のアクション時代劇」ということを頻りに謳っていました。(三四郎さま)


「神も仏もあったとさ」(第1話)

<キャスト> 桑山正一=秋山図書(カタブツの有賀透三を殿に推薦してしまった家来)
佐山俊二=三太夫(勘兵衛を殿と呼ぶ切腹好きのジイ) 永井柳太郎=平助(娘を売った代金としてニセの二十五両をつかまされたとっつあん)
五味竜太郎=伝造(妓夫太郎【ぎゅうたろう】と間違えられた、十手持ちの一本松の伝造)
浜伸二=常次郎(勘兵衛たちに深入りしないように忠告した黒澤屋の子分) 池田幸路=君春(透三が膝枕していた小唄の師匠)
永野達雄=助五郎(ダルマ屋『黒澤屋』のおやじ) 伝法三千雄=(『その辺の酒をジャンジャン飲んじゃっておくんなさいよ』勘兵衛が暴れた居酒屋の亭主)
有島淳平=(勘兵衛に相部屋をお願いした、よく寝酒の無くなる旅籠『みの屋』の番頭) 小島恵子=(透さまに8両の貸しがある女)
岡嶋艶子=(勘兵衛、仙太、お紺の三人が始めて一緒になった茶店のばあさん) 大月正太郎=(透三さまを随分あちこち探してしまった侍)
大城泰=(『世の中にはつえー侍がいるもんだな』勘兵衛の強さに感心した野次馬) 島田秀雄=(勘兵衛がはみだした由来を語った勘兵衛ファン)
太田優子=(『おらよ、気分さ壊してよ』仙太の不調の始まりとなった旅の女) 楠三千代=(『透さまに何があったの?』有賀家に押しかけてきた女)
林三恵=(『わちきは金ではござんせん』有賀家に押しかけてきた女) 前川良三=(『はみだし勘兵衛、おれっちが付いているんだい』勘兵衛のファン)
白川浩三郎=(『この老いぼれ、まだ言いやがるか』じいさんに傷を負わせた黒澤屋の子分)
山形勲=土井正篤(どい・まさあつ 勘兵衛に隠密巡察使、いや禁酒を命じた大目付)
東孝(NC)冒頭の喧嘩で大城泰の後ろ  熊谷武(NC)勘兵衛が鼻くそをホジホジするのを咎めた上役
野村鬼笑(NC)=その上役の隣(奥の3人の中央)  那須伸太朗?(NC)勘兵衛の奥(左側に4人並んだうち) 
小田真士???(NC)
その奥(左側に4人並んだうち)  笹木俊志(NC)勘兵衛の向いで4人並んだ一番手前

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=平山善樹
録音=田中峯生 照明=佐々木政一 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=佐賀彰 記録=平井宇津江
衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=岡本静雄 擬斗=土井淳之祐
演技事務=川高敏夫 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映

居酒屋で数人のごろつき侍相手に喧嘩している勘兵衛。町人達には、”はみだし勘兵衛”として慕われているが、元は天下の直参・大番組頭、
筋道の立たないことはがんとして受け付けず、上役と折り合おうとせず、”はみだして”しまったのだ。
その勘兵衛に大目付の土井から呼び出しがかかる。諸国を巡り、自らの判断で世の中にはびこる悪をこらし弱気を助ける隠密巡察使の拝命
をうけるか、あるいは誰もが嫌がる甲府勤番をするか、と言われ、いやいや巡察使の話を受ける。しかも、旅中は禁酒を命ぜられる。
翌朝、30両の路銀番を勤める町娘・お紺が同行し、旅は始まるのだが、旅始めの酒十何本の酒代を文句も言わずにさっさと払うお紺に、
「大目付よりよっぽどましだ」と喜ぶ。それもそのはず、お紺は勘兵衛の禁酒については言いつかっていなかったのだ。
はやばや勘兵衛が禁酒の命令を破ったと言う知らせに、大目付は酒の監視役として、腕はたつし酒は飲まない堅物の与力・有賀透三を出立させる。
しかし、出立の日にはたくさんの女がやって来て、”堅物”ではないことが判明したため、さらに、その監視役の正体不明・貧乏神が3人を追うことに。
お紺と、勘兵衛には気取られないよう変装した透三改め旅烏の仙太は、違った目的で勘兵衛の監視を始めたわけだが、互いの正体がつかめず
さぐり合い、なんとか勘兵衛から相手を引き離そうと反目し始める。さらに、勘兵衛が酒を飲み過ぎ、お紺が勘定面から仙太が健康面から止める
のも聞かないと、貧乏神が出てきて、勘兵衛は震え上がって物陰に隠れる。小さいときに同じような坊さんにさらわれひどい目にあった経験が
忘れられないでいるのだ。
そんな3人が歩く街道を、とっつあんがクワを持って走り過ぎる。そしてその先では、チンピラが数人、このとっつあんを痛めつけていた。とっつあん
は病人で借金が重なり、どうしようもなくなって25両で娘をダルマ屋・黒澤屋へ売ったが、その帰り、受けとった金を開けると、中味は偽金、
引き返してきたのだった。
勘兵衛はとっつあんのために黒澤屋へ出向くが、黒澤屋は身に覚えがないと、あくまでもしらを切る。その時、奥で悲鳴が。仙太が裏へ回ると
鍵のかかった土蔵の中には娘が何人も押し込められている。勘兵衛も、表から裏へ。どうやら、黒澤屋は、街道でも娘をさらっていたようだ。・・・
「旦那、どうやら片づきましたね」「おまえなかなかやるじゃないか」勘兵衛は、お紺が預かった財布を、とっつあんに渡す、二度と娘を売らないで
いいようにと。
「旦那、気前よく金をやっちまったけど、これからの長い道中、困るんじゃないですかい」「お?俺が長い道中するっておまえどうして知ってるんだい」
「そんな気がしたもんですから」話をはぐらかすように、あわてて助けられた娘達を帰す仙太。その様子をみていた貧乏神がしたためる「勘兵衛
見どころなきにしもあらず 仙太まずますの線なり」
見どころ:やはり「いただき勘兵衛」の見どころの1つは、このちゃんと目黒さんの殺陣。勘兵衛は、兵庫、大吉、太平よりやや”はみだし”風の
殺陣に見える。それに比べて、仙太のほうは、”お侍”の殺陣で、型が決まる。当時このちゃんは59歳・・・未だ動いて斬る殺陣を魅せられるとは
すごい!・・・。このちゃん、目黒さん、江夏さんのいきはさすが、初回からぴったり。
コメント:当日の朝日新聞には「浮浪の剣豪とやくざ役になる近衛十四郎と目黒祐樹は実の親子。クランクインで『独身なのでそのご面倒も・・』
と目黒は冗談まじりに挨拶。とたんに『それは見ないよ』という十四郎の大声があがり、一同大笑い。」とある。(以上 じゅうよっつ)
いやあ、ノッてましたねえ。いきなり乱闘シーンというのは「月影」第二シーズン第一話「みんなが待っていた」と同じで、これまた嬉しくなりました。
タイトルが出るや否や居酒屋の中で大暴れ、それも西部劇でよくある酒場の乱闘を思わせる演出で、もしかしてスタッフの頭の片隅には「月影」のことがあったのかも。「勘兵衛」のキーワードは、どうやら「はみだし」らしいですね。兵庫が素浪人豪快派だとするなら、大吉は素浪人ハチャメチャ派といったところでしょうか。となると、勘兵衛はさしずめ、素浪人アウトロー派、でなきゃあ、無頼派でどんなもんでせうか?とにかくあのヘアスタイルがすべてを象徴しています。外国のサッカー選手を思わせるようなあのマゲは斬新のひとことです。勘兵衛は自らを「はみ出し」と位置づけることによって、デカダンを気取り自分の属していた体制に反旗をひるがえしたのでしょう。鼻くそをホジホジするのを咎めた上役を扇子で「バシャッ」と張り倒した瞬間から、彼は体制側から我々の方へ移動してきたのです。
理屈っぽいことを書きましたが、とにかく近衛さんが生き生きとしていて、ファンとしては喜ばしい限りです。演技にも「張り」がもどってましたもんね。
アゴをがくがくさせて酒を飲む演技も健在でした。もちろん殺陣も素晴らしかったし、涙がでるほど嬉しくなりました。
目黒祐樹も、意外といってはなんですが、芝居がうまいんですね。よく考えたら「風小僧」の少年時代を演じていたんだからキャリアは長いか。
以前「大吉」が松方弘樹主演でリメイクされたときに、田原俊彦が半次を演じましたが、トシちゃんファンには悪いですが腹立たしくなるほど下手糞でした。演技以前の問題で、まず役柄を掴んでない、というか、渡世人が理解できてないのね。そこへいくと目黒さんは、演技も及第点だけど、何といっても「ようす」がいいんです。歩き方にしても少し軽薄っぽくて、ちゃんと旅がらすの足の運びです(実際は与力という設定ですが)。
たとえば、江夏夕子さんと並んで歩きかけると、互いに反目し合っているから、サッと片足で砂を引っ掛ける。そのアクションが実に小気味よいのです。
「いなせ」と言ったらホメすぎかな?
(キンちゃんさま)
仙太の殺陣について:仙太はまず、手拭いを振り回して戦い、その後、刀を抜くが、そのアイディアは、このちゃんのものだそう。(「剣聖 近衛十四郎」での目黒さんトークショーより)


「末期の酒は旨いとさ」 (第2話)

<キャスト> 戸上城太郎=古江武太夫(無念流の達人の先生) 千葉敏郎=溝部(『間違いありますまい』勘兵衛を斬ろうとした紫頭巾をかぶった侍)
雲井三郎=畠中兵ヱ(はたなかひょうえ 目まで腐っていた悪徳勘定奉行) 堀正夫=稲葉屋(『なんたることを』勘定奉行と気脈を通じていた悪徳商人)
国一太郎=木谷(与五郎に刀を頼まれた侍) 野崎善彦=呉作(酒があるのに『ちょっとナニしました分で』と出さない居酒屋のおやじ)
八代郷子=(仙太に与五郎を連れて行けとお願いした居酒屋の赤い着物の女) 柴田和子=(『わたしはおゆき』仙太の膝の上に座った居酒屋の娘)
熊谷武=(『あの、ございませんので』勘兵衛が最初に入った居酒屋のおやじ) 南原宏治=酒泉与五郎(『慚愧のいたりじゃ』酔いどれ刺客)
島田秀雄(NC)海産物問屋の、しょっぴかれながら「何かの間違いでございます」 木谷邦臣(NC)=役人の後ろから2番目
那須伸太朗?(NC)「何があったんだい?」→口をつぐんだ易者風 野村鬼笑(NC)「ご公儀の耳に入るのを恐れて」手前右(足掻いている)
池田謙治(NC)勘定奉行の屋敷冒頭で官兵衛に最初に斬りかかり3番目に斬られた 木谷邦臣(NC)「どこまで腸の腐った奴だ」与五郎の左後ろ

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=中島哲二 編集=島村智之 整音=山根定男 計測=長谷川武次 記録=竹田ひろ子
衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=河野節子 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=古市真也 擬斗=土井淳之祐
演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=倉田準二 制作=NET・東映

勘兵衛を巡って今日も喧嘩道中の仙太とお紺、旦那と別れてこの旅を水に流そうと契約を交わすが、双方約束を破り、やがて再び、別々に
勘兵衛の前に姿を現し、裏切ったと互いを責め始める。
酒と金の監視役がいて、その上貧乏神にまで出てこられ、思うように酒が飲めない勘兵衛は、仙太がお紺を追い出したがっているのを利用して、
仙太に
酒をおごらせることに成功、さっそく小料理屋へ。しかし、仙太が主張する3本ではとうてい満足できない勘兵衛、そばで飲んでいた
酒泉与五郎という侍に誘われ、喜んで同席しまた飲み始める。が、この与五郎、「どうせ末期の酒なんだい」とむちゃくちゃな呑み方をして
黒田節を歌って踊って、眠ってしまう。
翌朝、二人が連れて帰った旅篭で目をさました与五郎、昨日の失態に「慚愧のいたりじゃ」と恐縮、「末期の酒とかいっていたが何かあったのかい」
と聞くと「まさに慚愧のいたりじゃ、慚愧、慚愧、慚愧のいたりじゃ」と、わけも話さず無礼を詫びて出ていく。「どうもおかしいねえあの慚愧のいたりは」
「うん」
与五郎に続き、旅篭を出た勘兵衛は、誰かに雇われたらしい古江という刺客と突然刀を交わすことになる。「斬らねば俺が斬られるところだった」
勘兵衛が襲われたのは2度目だった。初めは昨日、宿場前の街道で、突然覆面の侍達に襲われた。それを聞いた与五郎は、自分に関わりが
あるかもと、口外は無用と約束させ、ワケを話し出す。
与五郎は、稲美家の江戸詰め家臣、病気の城代家老に代わり実権を握った殿と血縁関係の勘定奉行が、御用商人を排除し、息のかかった悪徳商人
と結託、私腹を肥やしたため、公儀に知られる前に、悪徳商人、腹心ともどもを斬り、病死ということにしようとの重役の考えで、その暗殺の
役目を、言いつかったのだった。しかし、与五郎は仕官の際の師範代との試合に”どういうワケか”勝ってしまっただけで、腕には自信がない、
既にこの動きを察知して逆に暗殺者をまちうけていた勘定奉行の手下は、任務に自信がなく酔っ払っていた与五郎ではなく、勘兵衛を暗殺者
と間違えたのだった。
「しかし末期酒というのはいくらでも飲めるもんじゃのう、あの世へ言ったらもう飲めんと思うからじゃないかのう」と飄々と
語る与五郎に、勘兵衛は共に行こうと、お供えの御神酒を渡し「末期の酒」をかわす。(しかし、勘兵衛のとっくりには酒がなかった!)
・・・「おい、あんた」「はいはい」勘兵衛は勘定奉行と悪徳商人が逃げ込んだ部屋へ与五郎を促し、与五郎は無事、二人を斬る。「やったな」「やった・・
・・おぬしにはお礼の言葉もござらん。おぬし、これは、あの、病死ですぞ」「ああ分かっとる。おぬしも酒で病死せんようにな、ははは」「それを
言われるとつらい、慚愧、慚愧、慚愧のいたりじゃ」と頭を掻く与五郎。
仙太の仲直り宣言にも関わらず、相変わらず気を許さないお紺。そこには、笠をかぶったお地蔵様が・・・と勘兵衛が笠を除けると中味は貧乏神。
仙太に助けを求めることもできず、目をつぶってそばを通り過ぎる勘兵衛、それを見て、仲良く吹き出す二人は、ハッと気づき、そっぽを向く。
「このたびの一件、落着。勘兵衛、お紺、仙太、ともども厳戒の要あり」
見どころ:始めの覆面の侍達が緑の畑の中から姿を現すシーンは、シリアスなだけで終わらせず、きれいで小動物のようでかわいい。
南原宏治さんのとぼけた侍・酒泉役がいい味!かくれ潜んでいる侍役の国一太郎さんに、「頼む」と刀を渡して顔を洗い、また刀を受け取り
去っていくシーンなど、調子よく進むコメディーがいい!戸上さん、千葉さん(ちょっと面白い)、雲井さんと、役者が揃っているのに、ほとんど
出番なく斬られてしまうのはもったい気もするが、シリアスなのにきれいなシーン、アップテンポで楽しいシーン、脇を固める凄い役者、どれもが
このシリーズを盛り上げようとしている。このちゃんの殺陣の切れも抜群!
コメント:勘兵衛の仙太とお紺のうちのあだ名が、”酒樽”になる。理由は”酒を求めてごろごろ街道を転がって行く”から。(以上 じゅうよっつ)
今日の「勘兵衛」さん、面白かったです。演出が(倉田準二監督)丁寧でとてもよかったです。ちょっとぶっとんでる感はありましたが・・・笑。
(前金の半分に「小判が半分」とは参りました)殺陣も奇麗に撮れていました。さすがですね〜(織波さま)
(↑の織波さまへのレスで)ホントですね。真ん中から真っ二つにぶった切ってるんですもん。一瞬「??」となっちゃいましたよ(笑。
こんなすっ飛んだ設定が、このドラマの真骨頂なんでしょうね(トプ・ガバチョさま)



「花も実もない奴だとさ」 (第3話)

<キャスト> 須賀不二夫=藤村(代官、藤村源左衛門) 坂口徹=伊作(元は旅籠で働いていた代官の手代の牢破り男)
村上冬樹=呉兵ヱ(小山村の村長(むらおさ)キリシタン) 畠山麦=鹿八(しかはち。 お花を呼びに来た、裏切りキリシタン)
中田喜子=おくみ(勘兵衛の袖を破いた居酒屋の娘) 楠本健二=馬崎(おくみを連れて行こうとした、代官所の手付け)
有川正治=(『おう馬崎ではないか』高桑道場の無頼の徒) 日高久=(酒を出すより口を出す方が好きな居酒屋のおやじ)
新海なつ=(『おくみさんを代官の傍女に出さなければ...』村長の伍兵ヱの女房でキリシタン婆さんの、おさと)
唐沢民賢=(勘兵衛に酒を一本余計に持ってきてくれた旅籠『利根屋』の番頭) 松田利夫=(『大変でございます。 牢を破られました』代官所の役人)
富永佳代子=(『馬崎って代官所の手付だよ』子供が馬に跳ねられたのを目撃した女) 稲村理恵=(『子供はどうするんですか?』のキリシタン女)
広瀬登美子??  春藤真澄=(『お花ちゃん、あんたにお客さんだよ』旅籠『利根屋』の女中)
磯野洋子=お花(勘兵衛に、祈っているところを見られた旅籠『利根屋』の女中)
不明 女03−1=(『むらおささまのおうちだよ』仙太に村の者の居場所を教えた女の子)
藤山良(NC)有川正治登場時の左後ろ 大城泰?(NC)=馬に撥ねられた子供をかかえて走る
小峰隆司(NC)撥ねやがったんですよ。馬で。 東孝(NC)あたしたちみんなが代官の言いなりになるという事じゃありませんか→お花の右後ろ
加藤匡志?(NC)おらァあなた様のために骨折っただ→馬崎の左後ろ・・・島田秀雄、右後ろ

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=松村正温 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=木村誠司
録音=墨関治 照明=椹木儀一 美術=塚本隆治 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=篠敦子
衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=河野節子 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=久郷久雄 擬斗=土井淳之祐
演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映

大目付、土井正篤の禁酒の命令を思い出すも「酒飲みに酒を飲むなといったって始まるか!」と振りきり入った居酒屋で、勘兵衛は、代官の
手付け・馬崎が無理矢理連れて行こうとしている店の娘・おくみを助ける。なにか仔細がありそうだが、おくみは話さない。(なにかと口を出そうと
する主には「酒!」と催促、ようやく酒にありつこうかと言うときに、坊さんの”じゃん”の音で飲めず。しかし、これは別の坊さんだった。)
泊まった旅篭で、晩酌を止められ、寝酒さえ、貧乏神に隠れて布団の中で飲んだ勘兵衛は、その夜、女中のお花が十字を切って祈っている
のを見てしまい、「俺にはどうってことないよ、しかしこんな真夜中に何をお祈りしてたんだ。見かけは悪いがな、ひょっとすると役に立つかもしれんゾ」
と声をかける。お花は、以前はここで働き1年半前、代官に望まれ手代として召し抱えになった伊作が、3月ほど姿を見せないのを心配していた。
翌日、勘兵衛は、子供が代官所の馬崎の馬にはねられたことを知り、伊作のこともあり、代官所へ向かう。(途中貧乏神が行く手を阻む。
道草を喰うなという意味らしい。「ほっといてくれ、所詮はこの世のはみだし勘兵衛だ、大勢に影響はねえよ」と勘兵衛。)

応対に出た代官・藤村源左衛門は、馬崎のはねた子供には治療費を考え、伊作もあと一月半で江戸おもての使いから帰ってくるだろう、と訪ねた勘兵衛に
一応は誠実さを示した。
しかし、この代官、とんだ食わせ物だった。間もなく、お花の元に、緊急の呼び出しがあり、お花はあわてて在所の小山村に戻る。何かあると、
勘兵衛は仙太を小山村に向かわせ、それを「あんな男に、とんでもない」と、用件も聞かずにその後をお紺が追う。
お花の村は、かくれキリシタンの村。昨日馬崎に無理矢理連れて行こうとされていた、同村のおくみを代官に差し出さなければ、代官は、この村
がキリシタン村であることをばらし、村人全員を処刑すると脅してきたのだった。村人全員が集まり、代官のしもべにはならないと決心、村おさを先頭に、
代官所へ向かう。
その頃
突然、勘兵衛の泊まる旅篭で、牢から逃げた伊作を捜して、役人達のあら探しが始まる。代官の、「伊作は江戸に使いに」という話はウソ
だったのだ。お花に会うため旅篭の物置に隠れていた伊作に、勘兵衛は訳を聞く。伊作は、手代として誠心誠意働いていたが、代官と馬崎、馬崎
の使う道場の無頼漢がやりたい放題やっているのにたまりかね、3月前に意見し、牢に放り込まれたのだった。この春おくみに目をつけた代官は、
おくみが首を縦に振らないので、馬崎に言いつけ、小山村の弱みを握ろうとしていたという。
お紺から小山村が総出で代官所に向かったと聞き、勘兵衛らも、代官所へ向かう。・・・
「飲んべえ旦那、強い」感心するお紺の横で、「自分も」といわんばかりに手拭いをぱんぱんと鳴らす仙太にお紺は知らんぷり。「人を見る目が
ねえや」
おかしな関係の3人は再び旅を続ける。「おいおめえ、いつまでそんなにくっついている気なんだよ」「いちいちうるさいわね」「おい、よさねえかよ」
「勘兵衛酒癖やまず 仙太女癖わるし されどまずますなり」
見どころ:お花の心配事を聞くときのこのちゃんの優しいお顔。悪人に対する怖いお顔とは大違い。その怖いお顔の殺陣も言うことなしっ!
コメント:仙太も結構強いと、お紺が気づく。貧乏神が、仙太の後ろからきた代官の手下に手裏剣を投げる。
旅の場所:代官所は「石山代官所」ここから2里のところに小山村がある。


「狂った花が咲いたとさ」 (第4話)

<キャスト> 菊容子=おさわ(『とおりゃんせ』仙太が口説いた白菊の乙女で殺された名主の娘)
佐藤京一=依田伊十郎(虚無僧寺に巣食っている男で、貧乏神にやられた虚無僧)
石川進=源太(酒嫌いの薬で酒が嫌いになった口説きベタの男の中の男一匹) 柳川清=伍平(勘兵衛が酒嫌いの薬を飲まされる舞台となった居酒屋のおやじ)
北見唯一=文兵ヱ(ぶんべえ。 居酒屋にいた八州様にお願いに上がった近在の衆) 表淳夫=(勘兵衛に虚無僧寺にいる連中のことを話した旅籠の番頭)
大江洸=(茶店の梅干ばあさん) 中山昭二=田崎治右ヱ門(八州様)
前川良三?(NC)名主の殺害現場で「とおーりゃんせーとおーりゃんせ」→おさわの左のハチマキ

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=平山善樹
録音=田中峯生 照明=佐々木政一 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=佐賀彰 記録=平井宇津江
衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=岡本静雄 擬斗=土井淳之祐
演技事務=川高敏夫 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映

仙太とお紺は、源太という酒飲みのチンピラを酒嫌いにした薬を、勘兵衛に飲ませて失敗。勘兵衛のような酒樽には効かないらしい(やっと
酒にありつこうかというときに貧乏神出現)。2人とも勘兵衛の酒を心配しているのに相変わらず喧嘩が絶えない仙太とお紺を置き、勘兵衛は、
勘兵衛をみてすっかり元の酒飲みに戻った源太の隠れ家で、2人して大いに飲み出す。
その頃、勘兵衛を探していた仙太は、名主が殺されたと言う声を聞く。ところが町の人は、名主を見ても同情しないどころか助かったとホッとした
様子。町の人は、名主から法外な金をとられていて八州回りの田崎に直訴していたのだった。やって来た名主の娘・おさわは、乱れた髪に花を持ち
”とおりゃんせ”を歌いふらふらと通り過ぎる。父親が亡くなったのも分からないようだ。
やがて取り調べに来た田崎は、死体のそばに落ちていたタバコ入れを拾い、下手人のものに違いないと、捜査を始める。
そのタバコ入れは、源太のものだった。大徳利の酒がなくなって買いに出た源太は、田崎に捕まり番所へ。仙太がそっと番所の様子をうかがうと
源太は田崎から「町の人は皆、おまえに感謝するだろう」とか「男の中の男だ」とおだてられ、調子に乗ってやってもいない人殺しを認めている。
翌朝、町は、名主殺しの源太が逃げたと大騒ぎになっている。逃がしたのは仙太、勘兵衛は仙太と一緒に、源太の隠れ家に向かう。町の人には
すこぶる評判のいい田崎だが、源太は、田崎がおさわを手込めにして、以来おさわは気がふれてしまったという秘密を知っていた。「こいつは
八州回りが一枚かんでいるような気がしますね」「それにもう一枚」勘兵衛のにらむ先で、こちらの気配をうかがっていた虚無僧が去っていく。
3人が、事の解明のために名主の家へ行くと、名主が殺された場所におさわがいる。3人に気づいてあわてて”とおりゃんせ”を歌い出すが、
「おさわさん、もう芝居は止めな。その目は狂っちゃいねえ」仙太の思った通り、おさわは、田崎がふたたび手を出してくるのを恐れて、名主である
父親と相談し気がふれたふりをしていたのだった。田崎は、名主に金を出せと脅し、金を搾り取って懐に入れていた。そのすべてを書いた訴状を
持って、直訴することを決意していた矢先、露見することを恐れた田崎が虚無僧を使って名主を殺し、田崎の弱みを握る源太をその犯人に仕立てて
一石二鳥を計ったのだった。
そこに、背後に虚無僧を控えさせた田崎がくる、お紺を人質につれて。お紺に刀が振り下ろされようとした時、どこからか、手裏剣が。・・・
無事、田崎も虚無僧も片づいたというのに、勘兵衛は落ち着かない。「旦那、そんなにあわててどうしたの?」「あれだよ、あれがおるんだ」
「ははあ、初っぱなに一人やっつけたのはあの貧乏神ですかい。」「あのお坊さんが?イカすじゃない!あたしの命の恩人だわ」「バカおめえを
助けるくれえのことはな、俺だってできるんだ。それを酒も飲まないのに、です、出すぎおって。けしからんなあ、全く」とそそくさと歩き出す勘兵衛。
その後を歩く2人。「勘兵衛今回健斗す 仙太も右に同じ 珍しき事なり」
見どころ:屋外の殺陣は、このちゃんの袴が風に吹かれ颯爽として気持ちいい。あんな、砂場で足が取られないのは、やはり腰で斬っておられる
からだろう。惚れ惚れ!目黒さんの若々しい殺陣も、ちゃあんと刀の重みが出て、このちゃんを受け継がれているのが嬉しい!
コメント:徳川時代、隠密(巡検使)は正規の者とそれを監視する者、必ず二名で行動しました。『いただき〜』でいえば近衛が正規の者で、祐樹がその監視役。しかし、正規が大酒呑みの「酒樽」で、その監視役が名うての女たらし。だから、二人を監視する人物として吉田義夫扮する乞食坊主の貧乏神(公儀の忍者)がいるのですが、この設定が振るっていて非常に面白い。これに付随して、兵庫は猫が嫌いで大吉はビックリするとシャックリが飛び出し、それに引き換え太平は取り立てて苦手がなかったためドタバタがアッサリだったと来れば、勘兵衛の坊主恐怖症はそれにインパクトを与えるお約束ごと。
また、ゲストも何気に豪華で、明日(第5話)は小池朝雄が出ます、しかも扮装が勘兵衛の苦手な坊主(笑)仙太とお紺が勘兵衛に対して言うセリフに、「酒をやめろ」というのがやたら多いのも、重度の糖尿病を取り合えず克服して再起した近衛に対する、製作者すべての思いを代弁しているのでしょうね。
近衛が見せる本格的な立回りも、このドラマが最後。なので、腰を据えてじっくりと鑑賞したいと思います。(三四郎さま)
(↑の三四郎さまのコメントをうけて)アノ演出はホントに、なにか周囲のあたたかい想いをヒシヒシ感じます。そしてある種の捨て身のギャグも兼ねているのだと(深刻にならず笑って欲しい、というか・笑)見ていると近衛さんの体調の心配もしちゃいますが、つい「…演技の上でぐらいは飲ませてあげてえええええ!!!!><」とTVを前にクッションをバンバンやったりしながら笑ってしまいますw(紅やさま)


「小判の夢が散ったとさ」 (第5話)

<キャスト> 田中浩=矢吹欽心(松平家に恨みこそあれ義理はない、かどあかし浪人) 永田光男=宮原頼母(犬畜生にも劣る家老)
阿波地大輔=五十嵐(勘兵衛の前任者を斬った裏切り者を成敗した浪人)
加賀爪芳和=松吉(鳩を探す、大人になったら大人物になるであろう旅籠『すゞや』の若君) 飯田覚三=与吉(旅籠『すゞや』の番頭)
伊藤るり子=早苗(一万両の荷車を引いていた娘) 志賀勝=(旅籠の廊下で仙太たちを見張っていた奉公人)
笹木俊志=(人質の勘兵衛に酒まで催促されカッときた浪人) 矢奈木邦二郎=(人質になっていた、農家のじいさん)
小池朝雄=山部文之進(新手の貧乏神)
大城泰(NC)冒頭5人の浪人が鉄砲隊の方を振り返った時の右端  
藤山良(NC)=同じく
右から2人目+後刻、勘兵衛が母屋に入る際、背を向けて座っていた(阿波地大輔の向かい)浪人(2役!)
大江光(NC)茶店の婆さん 木谷邦臣(NC)納屋の見張り2人のうち、握り飯を受け取らなかった浪人

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=平山善樹
録音=高井唯夫 照明=林春海 美術=寺島孝男 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=佐賀彰 記録=篠敦子
衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=水巻春江 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=内沢豊 擬斗=土井淳之祐
演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映


鉄砲の音に来た道を引き返した仙太は、武家娘と思われる町娘姿の早苗が重い荷車に困っているのを助ける。
「引くのです!」と命令口調かと思うと涙をためて「困っているのです、助けてください」と、事は緊迫した様子。着いたところは三石宿の宿・すゞや、
そこで早苗は菊之間に行き、既に勘兵衛のために菊之間を借りていたお紺に、懐剣をだして「若君はどこです、要求のものを持ってきました、
若君を返して」と詰め寄る。
これは訳ありと、仙太は勘兵衛に相談。ところがこの日、勘兵衛には、”破滅寸前の心境”に陥るような”身の毛もよだつ事件”が起こっていた。
行く先で、侍や浪人、老女、人足という訳のわからない6人の死体を見たことは、たいしたことではなかった。が、いつもの貧乏神に加え、同じ丸笠を
かぶり同じ服装に”ジャン”を持った、新手の僧侶が現れたのだ。旅篭にいても”いつ2人の貧乏神の攻撃を受けるか分からない”と、落ち着かず、
仙太の話も上の空。
勘兵衛は、旅篭の息子・松吉に頼み、隠れた蔵に酒を買ってきてもらうが、すぐに貧乏神(旧)が現れ大徳利を落としてしまう。「クソ坊主、恨み
骨髄だな」と泣きそうな顔の勘兵衛のもとに、早苗から事情を聞いた仙太がやってくる。早苗の仕える松平家の若君が先日、1歳のお宮参りの際
さらわれ、この菊之間に身代金・1万両を持ってこいとの要求があったのだが、途中、犯人一味と思われる浪人が襲って来て、1万両の運搬と
警護にあたっていた侍らが殺され、早苗を救った鉄砲隊はそのまま犯人を追いかけたため、一人助かった早苗が、身代金をここまで運んだの
だった。

その時、誰かが連れて行ってしまった松吉の鳩が、手紙を持って帰って来た。菊之間宛のその手紙には「明六つ、三石ヶ原に来い」とある。
翌日、三石ヶ原に来たのは、悪行が目に余り松平家を追い出された矢吹ら、昨日早苗らは、この仲間を裏切り金を独り占めしようとした侍らに
襲われたのだった。しかし、家老・宮原が用意したという千両箱の中味はすべて石だった。怒った矢吹らは若君を斬ろうとするが、勘兵衛が、
自ら人質となり、もう一度取引を始める。
勘兵衛を人質に残し、仙太と早苗が戻った旅篭には、家老の宮原がおり、早苗の無事な姿に驚く。それもそのはず、家老は、病弱な殿のあとを
自分が継ごうと、金に困っていた矢吹らをだまし、若君を誘拐させ、三石ヶ原で、若君、早苗ら、矢吹らをも、すべて消す計画だったのだ。昨日から
勘兵衛を悩ましていた新手の貧乏神、実は松平家の忠臣・山部文之進が様子を探っていたのだが、家老の用意した金が偽物であることを知り、
家老の腹心を捕らえ、すでにこの悪巧みを明かしていた。
文之進と仙太、早苗は、お紺の知らせで、誘拐犯一味と思われる旅篭の下男をつけて一味の隠れ家へ向かう。一方、勘兵衛も、内側から
浪人達を、
孤立した一人、二人と、片づけていく。・・・
無事、悪人退治が終わった文之進は「貴殿にはお世話になった、なんといって礼を言ったらよいか」と勘兵衛に近づく。「寄るな、寄るなって、近寄るな
って言ってるのに、ホントにもう」と勘兵衛は逃げていく。「そうは行かん、待たれい、待たれい」
「若君誘拐事件落着す。勘兵衛、仙太共に殊勝なる働きなれど、多少軽挙盲動のきらいなきにしもあらず。反省を要す」
見どころ:子供と話す時のやさしい笑顔、貧乏神が去ってホッとしたときの表情、徳利が割れて泣きそうな顔、喜怒哀楽のこのちゃんの表情がいい。
コメント:松吉役の加賀爪芳和さんは、兵庫第1シリーズ7話「赤鞘だけが知っていた」(関口兄弟のやつ)の市郎役の加賀爪清和さんの弟さんなんでしょうねぇ?年のころは近そうなので、放送日の差の8年がそのまま年の差になる感じでしょうか。(A師匠さま)
旅の場所:三石宿(松平家)


「錆びた十手が泣いたとさ」 (第6話)

<キャスト> 原健策=与平(手裏剣の飛んでくる居酒屋のとっつあん) 谷口完=渡海屋(町一番の廻船問屋の旦那)
金井由美=おれん(流し目で仙太を悩殺した渡海屋の囲い女) 野口貴史=定吉(居酒屋のとっつあんに助けを求めた、殺された男)
宍戸大全=犬神才蔵(口笛で仲間を操る忍びのお頭) 宮城幸生=番頭(旦那様に背いて逃げ出そうとしたやつを始末した渡海屋の番頭)
森源太郎=(銀造親分にとことんまでやってもらいたい渡海屋の使用人) 元長摂=(茶店の姉ちゃん)
佐藤好将(銀造が荷改めに行く時、扉から様子を伺う左の忍び)    待田京介=銀造(やる気のない岡っ引きの親分)
男06−1=(貧乏神の吹き荒れた旅籠で震えながら酒を勘兵衛についだ泊り客)
東孝(NC)「きっと俺達も殺される!なぁ、頼む!助けてくれ!」の森源太郎(クレジット有)の左  木谷邦臣(NC)同じく森源太郎の右
淡路康(NC)同じく銀造の右  不明 男=渡海屋から脱走を試みた使用人3人が海に投げられた直後の残りの使用人(5人)中の左 
森源太郎(NC)=同じく使用人中の左から2番目(上にも記載あり) 
福本清三(NC)
同じく使用人中の真ん中
平河正雄か?(NC)=同じく使用人中の右から2番目(福本清三の後ろ) 白川浩三郎?(NC)=同じく使用人中の一番右

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=松村正温 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=宇野増太郎 美術=中島哲二 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=宮川俊夫 記録=満尾敦子
衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=福井司 擬斗=土井淳之祐
演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=倉田準二 制作=NET・東映


その宿場で、貧乏神は忍びの者に追われていた。
仙太が町一番の回船問屋・渡海屋の囲い女・おれんにくらくらっと来ても、勘兵衛が酒を飲む居酒屋も、目もくれずに、猛スピードで手裏剣を避け
駆け抜ける。旅篭で勘兵衛が仙太に晩酌の駆け引きをしているときも、あわてふためいて入った先が勘兵衛の部屋とは知らなかったようだ(勘兵衛
はあまりのショックに、これも驚いて震え差し出す隣客の酒を飲み「おい、何となくおちつかん町だな」)。
翌日、町には、宙づりになった貧乏神が。喜ぶ仙太と勘兵衛を脅し、お紺は、貧乏神をおろし、岡っ引きの銀造ものとへ預ける。
しかし、「この町にはこの町のやりかたがある」と迷惑げに貧乏神を受け入れ、これ以上勘兵衛らが関わり合いになることを拒む銀造、居酒屋
のおやじも何かを恐れて語ろうとしない。どうやら、皆が恐れているのは、町の権力者・渡海屋の、しかも、忍びの制裁のようだ。
「旦那、ひとつゆっくり留守番でもしてておくんなさい」仙太は、渡海屋に探りを入れるため、おれんに近づく。(貧乏神の心配もなく仙太もお紺も
いなくなって、「千載一遇の機会だ」と勘兵衛は飲み始める。)しかし、囲いもののおれんとて例外ではなかった。おれんが「一緒に逃げ出そうか、
あたし飛べるかしら」と仙太に心を許し始めたとき、手裏剣が飛び、おれんはこときれる。おれんを抱きかかえ、浜辺を歩く仙太と、勘兵衛も突然
忍びに襲われ、港では、居酒屋のおやじを頼って来た渡海屋の船頭・定吉の死体が引き上げられる。
「銀造を男にしたかったら言うんだ」居酒屋の亭主は、定吉と仲間が抜け荷買いをしている渡海屋を辞めようとしていたところ、渡海屋に気づかれ
殺されたことを話す。
「あんたも頑固者だが、 俺はそれを上回るはみだしもんだ」と忍びを30人も雇う一文の得にもならない渡海屋退治
をやろうとする勘兵衛の言葉に、銀造はようやく自分の意気地なしを捨てる覚悟をする。
外にはすでに、勘兵衛らと銀造の様子を見張っていた忍びの者が。「どうやらお迎えが来たようですぜ」勘兵衛が刀を抜くより早く、次々、忍者は
倒れていく。その向こうに姿を現したのは、元気になった貧乏神。勘兵衛らは渡海屋の抜け荷買いの取り調べに向かった銀造の元へ向かう。・・・
旅だつ3人を追いかけ居酒屋の亭主が届けたのは、手裏剣を受けながらも、無事渡海屋を捕まえた銀造からの御禮の酒だった。「お!」「酒・・」
「お酒・・」さっそく手を出そうとする勘兵衛の前に貧乏神の杖がにゅっ。しかし今回だけは貧乏神はニッコリ「御禮」と書いた紙を見せながら何度も
お辞儀をしながら遠のいていく。「貧乏神はなんで忍びの者に狙われたんでしょうねえ」「銀造が言ってたじゃないか、渡海屋が忍びを使ったのは
公儀の隠密を防ぐ手だてでもあったんだそうだ」「するってえと、貧乏神は公儀の隠密かあ」「そんなことはどうだっていいや」と徳利を眺める勘兵衛
にお紺が「駄目!」海辺に放置された渡海屋の被害者のどくろを仙太が投げると、貧乏神にあたり気絶してしまった。(気絶のため最後の言葉無し)
見どころ:勘兵衛と仙太が、湯から上がって隣接した部屋にそろぞれ入り、雨戸を開け(目黒さんは、開けたとたんこのちゃんの開けた
雨戸がスライドしてきてまたそれを除ける)手すりに手拭いをかけ、布団の上にどっかと腰を下ろすシーン、おれんに近づく仙太の邪魔をして
「一生嫁のもらい手がなくなるからな」と言われ「お嫁になって行くもんですか」とお紺がやり返すシーン、現実かお芝居か、よく分からないところ
が微笑ましくなる。
コメント:貧乏神の正体に加え、仙太の正体もなんとなく分かってくる。「おいおまえ、その太刀捌きはどこの道場で習ってきた?」勘兵衛は
仙太の太刀捌きがやくざのものでないことを見抜く。(が、勘兵衛にはおそらくそんなことはどうでもいいんだ)


「鬼も涙の夜だとさ」 (第7話)

<キャスト> 六本木誠=坂部定信(さかべ・さだのぶ 手ごたえのある相手に出会いたい坂部家の不出来の長男)
田中弘史=有馬(独断で忍びの者どもに勘兵衛を襲わせた次郎左ヱ門の家来) 東三千=雪乃(『勘兵衛おじさま!』次郎左ヱ門の娘)
滝譲二=(『今夜が終わりますればしばらくはお見合わせ下さいますよう』辻斬りの供侍の荒瀬)
松島和子=(勘兵衛の止めるのも聞かず障子を開けてしまった料亭『常盤』の女将) 市川裕二=(勘兵衛のために店じまいが遅れてしまった居酒屋のおやじ)
水島道太郎=柴垣次郎左ヱ門(しがき・じろうざえもん 勘兵衛とは十二年ぶりに再開した国家老)
不明 女07−1次郎左が着座後に来た料亭の女将の後ろの女中  不明 男07−1=留守中に訪ねた勘兵衛が帰る時現れた次郎左の後ろ
不明 男07−2=辻斬りに斬られた町民 木谷邦臣(NC)仙太『能書きは冥土で言いな』斬りあいが始まって勘兵衛の上半身アツプの次の黒頭巾

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=安達重穂 録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=宇佐見亮 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=牛田二三子 衣装=上野徳三郎 美粧=河田福司 結髪=水巻春江 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=太田雅章 擬斗=土井淳之祐 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映

ある城下町にやってきた勘兵衛、妙に落ち着かない。貧乏神が見張っているわけでもないのに、居酒屋にも入らずにこの町は通過して
次の町へ行こうと言う。先に居酒屋で待っていた仙太も「どっか悪いの?下痢してるとか?」と不審そう。
そこに、若い女性が勘兵衛らの前で立ち止まる。これはてっきり自分の番とばかりに仙太がこの美人に近づこうとすると、
女性は「勘兵衛おじさま」といって、勘兵衛に近づいてきた。
女性は、柴垣雪乃、勘兵衛が12年前に江戸でわかれた剣友で、今はここの家老・柴垣次郎左ヱ門の娘だった。

12年ぶりの再開に喜ぶ勘兵衛と次郎左だが、なぜか次郎左は勘兵衛がどうして浪人になったのかにこだわる。再会中も部下から
呼び出しがかかったりで、落ち着かない。
酒樽(=勘兵衛)のおもりから解放されたお紺と、甘い物を求めて町へ出た仙太は、店という店が早々に閉まっている陰気くささに、
何かあると感じる。ふと殺気を感じた仙太がお紺を連れて隠れると、身分の高そうな5人組の覆面侍が現れ、歩いてきた町人を突然斬った。
侍たちが立ち去ったあとには、呆然と立っている雪乃がいた。仙太は雪乃を送っていくが、雪乃は一人にしてくれと懇願する。
次郎左は、勘兵衛が公儀隠密ではないかと密かに調べさせていたが、彼の部下が、次郎左に無断で、その夜、勘兵衛らを消そうと、
忍びの者を旅籠に送る。
次郎左が仕える坂部家は、長男・定信が不出来なため、次男が世継ぎに決まっていた。それを快く思わない定信は、父と弟への復習
の為に、毎晩、辻斬りをしていたのだ。お家大事の次郎左は、勘兵衛がこのことに気づかずに町を去ってくれればと願っていたのだが、
今となっては遅い。
勘兵衛らは昨日の辻斬りと雪乃の不可解な行動に何かあると調べはじめる。辻斬りは、毎晩のように、すでに罪のない27人が殺されていた。
夕べの忍びは、どうやら辻斬りの事を知った勘兵衛らを快く思わない者たちのしわざだ。
そこに貧乏神からの投げ文。城の跡取り問題を知った勘兵衛は、次郎左の家へ向かう。
次郎左は、勘兵衛を庭へ誘う。既にお互いの心を読みとっている二人。「どうじゃ」「修羅場には向かん庭だな」
勘兵衛は、次郎左に家老としてお家を守ろうとする以前に、人間として辻斬りを許せるのか、と問い、出ていく。
その夜、白装束の次郎左にはもう迷いはなかった。次郎左は娘がいままで、元許嫁の定信の目をさまさせようと、自らに斬られ役を任じて
夜な夜な辻斬りのでそうなところを歩いていたのを知っていた。だが、「これからは生きろ」と雪乃にわびる。
その頃、勘兵衛と仙太は、辻斬りを退治する。最後の一人定信は、お家の大事になることなど考えず、自らの身分を明かし助かろうとする。
勘兵衛らは、定信と名乗る男を次郎左の家へ連れて行く。
自分を定信だと証言してくれと頼む定信だが、次郎左は、「定信殿は今宵病にてご逝去された」と冷たく言い放ち、
定信の名を語る不届きものとして斬る。
やがて次郎左は、ぐらりと座り込む。その腹からは血がにじんでいた。「次郎左!」駆け寄る勘兵衛。
「勘兵衛、坂部15万石の家は・・」「分かった安心してゆけ」「勘兵衛頼んだぞ」
部屋に一人、覚悟して座る雪乃。「雪乃さん、次郎左は見事に果てた」「勘兵衛おじさま、ありがとうございました」と泣き伏せる。
「泣くがいい。思い切り泣くんだ。そして何もかも洗い流すんだ」
「今度の一件勘兵衛分を越すも国家老親娘の処置補いて余りあり」

見どころ:太平でもあったが、水島道太郎さんとこのちゃんのやる友情浪花節物語、いつも泣かせる。
辻斬りを斬っていく場面は、目黒さんの殺陣がこのちゃんにうまい具合に引っ張られてて、いい。
後半に辻斬りを待ち伏せして『能書きは冥土でいいな』の仙太の台詞の後にこのちゃんと二人スラッと刀を抜くのですが、そのタイミングがドンピシャで構えに至るまでまったく同じ動きで!さすが親子だと感心し驚きました。格好のいいことったらない!3回リピートしてしまいました。(のりりんさま 2007年12月31日)
旅の場所:坂部15万石の御城下


「諸行無常の風だとさ」 (第8話)

<キャスト> 川辺久造=梶村左ヱ門(かじむら・さえもん 四人組押込みの頭の侍)
藤尾純=猪田の盛助(今度から表に張り紙でもして欲しかった投宿人改めの野暮な親分) 武周暢=常造(宿改めでお紺を一人旅と疑った十手持ちの親分)
西田良=猫松(四人組押込みの一味で、酔ったフリのお紺に絡んだ片腕のごろつき) 森章二=木崎(『家の中には誰もおらんぞ』四人組押込み浪人)
丘路千=(『誰が謀りやがった』四人組押込み浪人) 千代田進一=(お紺に押込み強盗の話をした野次馬大工)
有島淳平=(『お客様方、宿改めでございます』旅籠『吉田屋』の番頭) 
星野美恵子=(『お客さん、お風呂が沸きましたからどうぞ』旅籠『若松屋』の女中) 
池田弘美=(回想シーンでの仙太の初恋の女の子) 坂本香=(回想シーンでの少年時代の仙太、いや有賀透三)
有吉ひとみ=おけい(仙太を布団の中に引っ張り込んだ娘)
藤山良(NC)=投宿人改めに来た盛助の後ろの子分(左) 不明 男08−1=投宿人改めに来た盛助の後ろの子分(右)
森源太郎?(NC)=梶村にとっくりを投げつけられた居酒屋の親父 不明 女08−1=仙太が酒をかっくらった旅籠で料理と酒を運んできた女中
小田真士?(NC)=茶店の親父 不明 男08−2=宿改めに来た常造の子分

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=松村正温 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=安達重穂 
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=宇佐見亮 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=牛田二三子 
衣装
=上野徳三郎 美粧=河田福司 結髪=水巻春江 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=太田雅章 擬斗=土井淳之祐 
演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映

仙太が一目惚れした一人旅の娘は、当初、まったく素っ気なかった。だが、その晩、宿改めが入ったとき、ちょうど旦那の晩酌のお代わりを運ぶ
途中の仙太を、有無を言わさず自分の布団に引き込む。どうやら、訳ありのようだが、何も話したがらない。
翌日、おけいという名前だけは教えてくれた娘は、仙太が遠い昔、花かんざしを差した初恋の女の子と同じように、首にほくろがあり、仙太は
ますますおけいにのめりこんで行く。ぼおっと居酒屋をのぞきこむわ、晩酌と喜んでいた勘兵衛の酒はのみほし「旦那、随分と顔がふえたね」
「いくつに見えるんだ!?」と目を回すわ、勘兵衛の酒をいさめようとでてきた貧乏神にはあきれられ、挙げ句に勘兵衛に「おめえな、酒なんか
飲んじゃ、体に良くねえんだぞ」と説教される始末。
二日酔いの翌日、仙太は、おけいが一人の侍から身を隠したところを目撃、どうやら、江戸でその侍に仕えていたおけいは、主人の侍にいいよられ、
逃げ出したらしいことが分かるが、勘兵衛にも仙太にも、それだけで殿様がここまで追いかけてくるとは考えにくい。
その晩も、宿改めが入る。心配になった仙太はおけいを探そうと外にでる。とそこに、怪しい男が隠れている気配。勘兵衛が「でてこい」というと、
いきなり斬りかかって逃げていった。男達は、仙太が覗いていた居酒屋で酒を飲んでいた連中のようだった。
どうも、おかしい、勘兵衛の心配どおり、その晩振舞酒に酔って寝てしまった岡っ引きの目をよそに、呉服問屋が皆殺しの上金を奪われる。
先日の宿場でも、宿改めの晩、大店に押し込みが入ったのだ。あの男達が怪しい、しかも仙太は、居酒屋で飲んでいた男達の中におけいを追って
いるあの侍がいたことに気づく。
仙太が押し込みと侍の関係に気づいたことを知り、おけいは、奉公先の恥を話してはいけないと口をつぐんでいたことを話し出す。おけいが
仕えていたのは梶村左ヱ門、江戸にいるときから乱行が続き、評定所にまで取り上げられたため、おけいに妻にするから一緒に旅に逃げようと
言い寄り、おけいに毒を渡して自分の奥方を殺すように命じたのだった。怖くなったおけいは屋敷を逃げ出した。左ヱ門と仲間は、金を持ち逃げ
したと称しておけいを岡っ引きに探させ、その礼と称して酒を振る舞い酔わせ、その隙に大店に押し込むという手口を使っていた。
そして次の大きな宿場で、お紺は、左ヱ門らがまたも押し込みを計画していることを聞きだす。その晩、押し込みに入った男達は、その店が
もぬけのからであることを不審がり、左ヱ門は引き上げを指示する。しかし、そこには勘兵衛らが待ち伏せしたいた。・・・
「分かったんだよ、本心惚れた人には手を出せないって事が。あの人は大事に胸の中にしまっておくさ」おけいに花を渡し、仙太は別れを告げる。
「おい兄さん、今日は晴れ晴れとした気持ちでしみじみ酒を飲み交わそうな」「酒だ?どうしても飲みたけりゃ、2〜3本なら飲ませてやるよ」元に
戻った仙太は笑いながら歩き出す。「お、おい。なんと不思議な奴だな」勘兵衛とお紺も続く。
「勘兵衛健在 仙太初恋を知る すがすがしき事なり」
見どころ:重くて鋭い殺陣も健在。現実のお話し?と思われるようなセリフが、ちょっと興味津々だったりして。
仙太が酒を飲んでいるのを勘兵衛が「おめえのおやじも兄貴も酒で命を落としたって(第一話でそう言って仙太が勘兵衛の酒を止めた)」と
いさめると「そんなこと誰が言ったんですか。おやじも兄貴もぴんぴんしてる、勝手に殺すな」
仙太がおけいに惚れているのをみて「気持ち悪い、サイテーね」とツンツンするお紺に「そう言わずそっとしといてやれ、それともやいてるのか」
と言われ思わず「やだ、バカ」と笑って勘兵衛をぱしぱし叩く。
旅の場所:
宇奈木宿→鳥飼宿→坂田宿→きのもと宿→小山田宿


「医は任術も仇だとさ」 (第9話)

<キャスト> 上野山功一=上田重太夫(毒まんじゅうを奪いに来て、勘兵衛に捕まった口ひげ侍)
浜田雄史=江原三蔵(『えーい、とっとと行け』おさよと話していた勘兵衛を追い立てた面長侍)
河津清三郎=榊原妥女(まんじゅう『おかわり』家老) 笹吾朗=呉作(『へい、街道の橋から落ちたらしいんで』お紺を運んで来てくれた男)
鳴尾よね子=仲居(勘定は後払いで結構と言ってくれた旅籠の女中) 邦保=茂作
藤川弘=門田了庵か?    松田春子=(まんじゅうと地酒が自慢の茶店のばあさん)
京町一代=(仙太におさよの名前を教えた土産物屋『京屋』のばあさん) 水原麻記=おさよ(毒まんじゅう作りの名人で医者の娘)
西康一(NC)=(『決まりですからお渡し出来ません』融通がきかない問屋場の男) 
野村鬼笑(NC)=土産物屋の次の場面で左から現れ番頭風 東孝(NC)=同場面で荷車(?)に縄をかけている
男09−2=(『へい、届いております』お紺宛ての二十両を確認した問屋場の使用人) 男09−3=(医者でおさよの寝たきりの父親、門田了庵)
相談屋さまコメント:邦保さんが見つかりません. 話の流れ的に『融通がきかない男』が邦保さんでなければならないのですが,とても邦さんとは
思えません. あと,おさよの父は多分まんじゅう絡みで藤川弘さん(花山大吉最終回でお咲にまんじゅうをご馳走したお爺さん)だと思うのですが,
顔がよく見えないので保留にしました.
A師匠さまコメント:クレジットから考えて、門田了庵が藤川弘さんだと、私も思います。只、断定するまでには至りません。私も、邦保さんを見つけられませんでした。茂作という名前なので農民っぽいですが、とすれば、お紺を運んできた4人の残り3人のどれか、かもしれませんが、2人は顔が判別不能で1人は顔が映ってない・・・

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=鈴木重平 
録音=高井唯夫 照明=椹木儀一 美術=塚本隆治 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=平井宇津江 
衣装
=上野徳三郎 美粧=河田福司 結髪=浜崎喜美江 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=久郷久雄 擬斗=土井淳之祐 
演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=倉田準二 制作=NET・東映

まんじゅうの美味しい茶店を苦々しく通り過ぎた勘兵衛は、お紺が見つからないため江戸から来ている金も受け出せず、昨日から酒が飲めない。
(それもそのはず、 お紺はその頃、通行禁止の張り紙の張ってある橋を「まん中行くわよ」と渡って落っこち、川原で気絶していた。)後払い
OKを確認して、やっと旅篭で地酒の一杯を待ちかまえていた矢先、貧乏神が現れ、部屋から部屋へ逃げ回り、隠れた部屋は、上原家家老ら
の部屋の隣。隣から「いよいよ大願成就」とか「例のものは今夜手に入るとして、使うのは明日をおいてございません」と言う声が。隣から姿を
見せて以来、勘兵衛はその家来につけられる気配を感じる。
仙太は、街道で出会った娘・おさよの家を訪ね、”江戸で買ったかんざし(実はつい先ほど入手)を持って3年前に恋した娘を訪ねたら、娘は
胸を患い他界、その娘におさよが似ている”と作り話をして、おさよの気を引くことに成功、おさよもその気になって、こまごまと仙太の世話を
始めたところに、けが人が運ばれてくる。それは勘兵衛に付き添われた「大事な大事な金づる」のお紺だった。
治療にかかるおさよを待ってうろうろしているうち、仙太は地下室を見つけ、まんじゅうを見つけてほおばる。しかし、直後にひどい下痢が始まり
やがて高熱、始めは「芝居、芝居」と笑っていた勘兵衛も「芝居にしては真にせまりすぎとるな」おさよは仙太が地下室のまんじゅうを食べたとしり、
薬を飲ませる。
実は、まんじゅうには、この地方で2〜3年おきに流行り半分が死ぬという流行病のばい菌が入っていたのだった。おさよは父と二人その治療薬の
開発に取り組んでいたのだが、父親が過労で倒れたあと、とうとう一人で薬をつくりあげ、ばい菌を入れたまんじゅうを自分で食べて薬の効果を
ためそうと考えていたのだ。そしておさよの研究を全面的に応援し3日に上げずここに来ているのが、先ほど勘兵衛の口を金で閉じさせようと
した家老だというのだ。
しかし、どうやら事の真相は違っていた。勘兵衛をつけてこの家にもぐり込み、仙太の治療の一部始終を影で見ていたいた家老の家来は、
おさよの父に毒まんじゅうを要求し脅していた。ことの成就のために邪魔な勘兵衛らを斬りに家老らがやってくる。
「来たな。おい毒まんじゅうを何に使うつもりだ」そこへ密かに探索していた貧乏神から投げ文が。「上原家嫡子 松千代君 家督相続のため明日江戸入り」
松千代に家督を継がれては困る家老は、毒饅頭で病死を装い松千代を亡き者にしようとたくらんでいたのだ。「お前達のような卑劣なさむらいは
生かしちゃおかん、斬れるものなら斬って見ろ」・・・
お紺も仙太もすっかり元気になり旅支度。「おさよさん、これからは花も実もある人生を送るこったな、旅の空から祈ってるぜ」仙太がここに
残ると思っていたおさよは、仙太ににじり寄る。「だって一目惚れしたって!想い出のかんざしだって!あのことはウソだったの!?」「思いも
かけない急な用ができちまってね、ね、旦那、そうだよね?」「いやあおれは知らんぞ」おさよは仙太を厠へ閉じこめる。「雪隠詰めだ」「はあ、
臭い仲」「仙太さんあたしは一生離れませんからね」「助けて〜」勘兵衛とお紺は仙太をおいて旅立つ。
「此の度の一件 仙太の怪我の功名なり」お供えのまんじゅうを食べようとして放り出す貧乏神。
見どころ:お紺や仙太が回復したときのこのちゃんの笑顔が優しい。お紺が橋から落っこちるシーン、手作りの撮り方が懐かしい感じ。
家老役の河津清三郎さんは、その昔「浪人街(松竹)」の赤牛役で荒巻源内役のこのちゃんと対決したお方。当時は暴れん坊の跳ねるような
殺陣シーンだったが、あれからほぼ20年後のお二人の殺陣シーン、見たかったなあ!
コメント:梅之助さんの「遠山の金さん」にも出られていた、昭和の佐々木希(←私が勝手に言ってる)こと水原麻紀さんだ〜!(喜)(A師匠さま)
旅の場所:
上原家の領地


「埋蔵金は夢だとさ」 (第10話)

<キャスト> 
水上竜子=お島(お紺と取っ組み合いの喧嘩をした女スリ)
三角八郎=清七(ひいお爺さんの代からの臆病な十手持ち、的場の清七)
高桐真=佐野民部(『そのものの申すことも分る、泊めてやれ』勘兵衛に情けを掛けた公儀巡察使)
守田学哉=村越(『しかし、かような』勘兵衛を旅籠に泊めたくなかった代官) 山村弘=弥吉(牢の中で源次に四千両になる守り札を渡した男)
重久剛=番頭(『本日はお泊りいただけませんので』勘兵衛の泊まりを断わった旅籠『みの屋』の番頭)
鈴木康弘=岡村(『素浪人、無礼なことを申すな』旅籠で勘兵衛に刀を抜きかけた侍)
野村鬼笑=(仙太に清七親分の家を教えた居酒屋のおやじ) 林三恵=(毒入り酒を運んでしまった旅籠『みの屋』の女中)
富永佳代子=(『お待ちどおさまでした』源次が仙太、お紺に身の上話をした場所となった料理屋の姉さん)
工藤堅太郎=源次(財布をすられた敵討ち渡世人
浪花五郎
(NC)=ごへい(源次の父) 木谷邦臣(NC)=ごへいを斬った男 
大城泰か?(NC)=開いた千両箱のこ盤を巡察使らが手に取るシーンの源次のうしろ 
福本清三(NC)=墓地に勘兵衛らが現れ「旦那!」「貴様たちは・・」の代官の右

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=安達重穂 録音=墨関治 照明=松井薫 美術=宇佐見亮 
編集=島村智之 整音=山根定男 計測=宮川俊夫 記録=牛田二三子 衣装=上野徳三郎 美粧=河田福司 結髪=河野節子 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=古市真也 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清
現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映

発端は女スリが源次からすった財布だった。
中身は戒名の入った紙だけだったから、女スリはそれを投げ捨てた。それがお紺のもとに落ちたことから二人は取っ組み合いのけんかになった。
仙太までがこのけんかの関わりになってしまうが、女スリが立ち去った後、二人は財布をすられたことに気づく。
それより前、仙太は、街道はずれの林の、5人が斬られた現場で、気の弱い十手持ちの親分と会っていた。この親分にことの次第を話すが、
親分はそれよりも、「林の中では何もなかったんだ、金輪際口にするな」と先ほどの殺しについて仙太が関わることを固く禁じる。
源次に財布を返せと逆に脅された女スリの引き合わせで、無事財布を取り戻したお紺と仙太は、源次の話を聞くことになる。
源次の父親は、1年前、御用金を運ぶ途中で強盗に襲われ殺され、以来、源次は強盗を追っていた。が、なかなかはかどらず、
あきらめかけた矢先、ケンカで入ったお牢で、世話をしていた同室の病人が、いまわの際に、1年前の御用金強奪をやったことを明かす。
源次は埋蔵金の在処を記した守り袋をもらい、3日後に仲間と落ち合うことになっている場所を教えてもらう。
敵討ちと引き替えに、代官らに埋蔵金の隠し場所を教える取引をし、今日、源次は敵討ちを果たした。それが、仙太が見た5人だった。
その後、約束を果たしに代官らが泊まる旅籠に行く途中、源次は隠し場所の紙を入れた大事な財布をすられたのだった。
実は、頭に来たお紺が放り投げた財布は勘兵衛が一旦拾ったが、貧乏神を見て放り捨てて逃げたために、財布は貧乏神が持っていた。
財布は無事、貧乏神から源次の元へ。仙太には、「財布の中身を巡って疑惑あり」の添え書きも。
ところが、代官に財布を渡せば、源次の用は終わったはずなのに、ここで待っておれといわれる。
しかも、この件について他に誰にも知られて無いか、厳しく問いただされる。いやな予感だ。
一方仙太は、貧乏神のメッセージについて考えていた。十手持ちの先ほどの言葉の意味をただそうと、親分を訪ねるが、そこには首をつった親分が。
しかも、状況から自殺ではない。そのとき、外では、女のどざえもんがあがったという声。例のスリだった。
2万両強奪の件に関わった者は、何者かにことごとく消されているようだ。
一方旅籠で、勘兵衛に酒をせかされたお紺は、しようがなく別の部屋の前に置いてあったお酒を持って来るが、それは、毒入りだった。
この酒は、代官らに早く膳をさげるようにと催促されたために、女中が源次の部屋に入らず、前に置いていった、つまり、源次に出される物だった。
勘兵衛らが怪しむ中、代官と同行の巡察使は、源次を取り調べると行って部屋に連れて行く。
仙太からの関係者抹殺の情報と、戒名の書かれた金の隠し場所・・・。
勘兵衛に言われお紺が、巡察使らの部屋の様子を探ると、もう既にそこには巡察使も代官も源次の姿もなかった。
源次は、墓を掘らされていた。もちろん、例の戒名の墓だ。2万両が見つかる。代官らが用済みになった源次を斬ろうとした時、勘兵衛らが来る。
「お前達は腹の底から悪党だな。人間を虫けら扱いして、けだものにも劣る奴らだ。世の中にはな、おまえたちのようなやつをあの世へ送る役目の
者も、ちゃんといるんだぃ」・・・
源次の礼の言葉を聞くのもそこそこに、勘兵衛は早く発とうと、お紺をせかす。
「この連中やお前達のために口をぬらす程度しか飲んでおらんのだ、長居が出来るか」
「勘兵衛酒癖全く治らず 大目付殿の叱責も馬耳東風なり 仙太まずまず健斗せり」
見どころ:拾った財布が、スリからお紺へ、お紺から勘兵衛へ、ポンポンと渡っていくところが漫画っぽい。
コメント:勘兵衛にとっては、酒も飲まずに団子を食べる仙太の様な男は、”見下げ果てた奴”らしい。(以上 じゅうよっつ)
時専チャンネルの『いただき勘兵衛旅を行く』も、早十話まで放映。痩せてはいるものの、見るに耐えなかった大吉の終盤とは見違えるほど頬に肉が付いて顔色も良くなり、大変な節制をした様子が伺え、「よくぞここまで・・・」という感慨があります。
しかし、番宣の謳い文句とは裏腹に、近衛は若干足元が覚束ず背中も丸まっており、やはり「体は辛そう」という印象を受けるのも事実。だから、激しい立回りをするのはかなりの苦痛だったハズで、それは刀を振るうスピードが遅くなっていることから裏付けられるのですが、剣技の確かさ美しさは相変わらず。近衛の殺陣を熟知している土井淳之祐、彼が付ける技闘と相俟って衰えが逆に味となり、第二話の戸上城太郎との一騎打ちなどリアルささえ感じさせられるのは「流石、剣のスター」というべきでしょう。
勘兵衛、仙太、お紺、貧乏神のカラミのバカバカしさがドラマに溶け込んで違和感を感じないのも、過去のシリーズで培ったプロデューサー、脚本家、監督の技量。
残りの十四話が非常に楽しみです。(三四郎さま)
鈴木康広さん
:相変わらずの悪代官の手代役で出演している、肥えて戸上ばりに人相の悪い鈴木康弘、以前は金哉という名前だったハズなのですが、どのような心境から改名したのでしょうねえ?(三四郎さま)
旅の場所
:いろは宿


「天も許さぬ奴だとさ」 (第11話)

<キャスト> 荒木雅子=しの(斬られた又一郎の母親) 江幡高志=岡造(酒をねだって勘兵衛たちにわけを話した、笹崎の飼い犬)
楠本健一(楠本健二の間違いのようthanks右京大作さま=笹崎(『よし、引き上げろ』編笠をかぶった侍、松木藩目付役、笹崎主水) 
原聖四郎
=松木屋(『いま一度お取調べを』牢に入れられた材木問屋) 大月正太郎=九鬼又一郎(斬られた侍) 
熊谷武=居酒屋亭主(しぶしぶ一本だけ飲ませてくれた居酒屋のおやじ)
那須伸太朗=(死んだ九鬼に代わって藩の財政を担当することになった侍、斎木)
丸平峰子=(『遅くなってごめんだ』声も掛けずに勝手に部屋に入ってくる、旅籠『二本木屋』の女中)
伊玖野暎子=(『大事な用事を忘れてたわ』急に口が重たくなった野次馬女) 和田昌也=(お紺から勘兵衛への伝言を頼まれた、自身番に詰めている男)
神田隆=矢田修理亮(やだ・しゅうり(のすけ) 『藩の財政というものはな、すべて融通じゃぞ』潤うのが好きな松木藩国家老)
不明 男11−01(NC)又一郎を斬った後、書き付けを奪い笹崎に差し出した藩士 
藤川弘(NC)
=「必ず松木藩のお方にお伝えいたします」番所の男

東孝(NC)急に口が重たくなった野次馬女を挟んでお紺と反対側にいる女連れのハチマキ男 
浪花五郎(NC)=仙太に材木問屋の事を訊かれて口ごもった居酒屋の親父  
川辺俊行(NC)仙太が居酒屋の親父に材木問屋の事を訊いている時、手前で呑んでいる3人連れの顔が見えている左側の男
前川良三か?(NC)
同顔が見えている右側の男
不明 男11−10(NC)
同後頭部が見えている男(仙太「俺の第六感がそう感じるんだよ」顔が見える)
野村鬼笑(NC)灘屋吉兵衛 世羅豊か?(NC)灘屋吉兵衛がしょっぴかれて「お前さあ〜ん」勘兵衛の後ろで覗き込む男
山田(小山田)良樹(NC)勘兵衛が九鬼家に入った後出てきた藩士(笹崎の左) 波多野博か?(NC)同じく笹崎の右
不明 男11−03(NC)=牢番  不明 男11−04(NC)越前屋安右衛門(松木屋が牢番に嘆願した後「お願い※▲#■%」)
不明 女11−01(NC)お紺に「お客様がお呼びです」料亭の女中 
笹木俊志、森源太郎、有島淳平(いずれもNC)
矢田に、とりつぶしになった3つの店をくれてやると言われた町人(左から) 
不明 男11−05(NC)
矢田の屋敷の入口で勘兵衛に「なんだ、お前は!」
不明 男11−06(NC)勘兵衛「生き証人を全て消すつもりだったな?」矢田の右 不明 男11−07(NC)その右
不明 男11−08(NC)勘兵衛「何の目当てだったのだ?」勘兵衛の右 不明 男11−09(NC)矢田「斬れっ!斬りすてい!」次のアップ



<スタッフ> 脚本=松村正温 音楽=秋元薫 演奏M.C.S 撮影=森常次 録音=墨関治 照明=椹木儀一 美術=宇佐見亮 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=篠敦子 衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=上杉尚祺 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


勘兵衛は、峠の谷間で、一人の侍が、数人の侍に襲われ斬られる現場を目撃する。
殺された侍の着物には、”松木藩・九鬼又一郎”との縫い込み。「藩に届けるか、家の者に知らせるか、どうもやっかいな事情が有りそうだな」
ことの次第を番所に届けた勘兵衛に、松木藩の目付役・笹崎らが尋ねるが、笹崎は、加害者の顔を見ていないかと、なぜかしつこい。
笹崎の態度を不審に思った勘兵衛は、松木藩へ。
一方、お紺は、江戸から勘兵衛宛てにきた、いそぎの手紙と金を持って、勘兵衛を探していた。
どうしても勘兵衛が見つからないため、しびれをきらしたお紺は、手紙を開封。「松木藩の内偵にあたるべし」とある。
お紺も、そしてお紺が勘兵衛を必死に探す態度に何かあるとにらんで、夜中にお紺の部屋に忍び込んで手紙を盗み見た仙太も、松木藩へ。
松木藩では、御用商人が幾人も捕まって、店が取りつぶしになっている。町の者は、仙太と勘兵衛が、松木藩の話をしているのが、居心地悪そうだ。
岡造というあやしい男が2人のそばに寄ってきて、松木藩の内情を話し出す。
松木藩では、勘定奉行が御用商人と結託して私腹を肥やしたことがばれ、勘定奉行は詰め腹を切らされ、御用商人は捕らえられ
店を取りつぶしされているという。勘兵衛がその勘定奉行の名は?と問うと、九鬼又左衛門だという。
ことの次第を知るため、勘兵衛が九鬼家を訪ねると、九鬼又左衛門の一子、又一郎の亡骸を渡しに来た、目付役の笹崎が、入れ替わりに出ていく。
勘兵衛は、一人残された又左衛門の妻に、夫が詰め腹を切らされた理由を尋ねると、「詰め腹ではございません」ときっぱり答える。
勘定奉行・九鬼又左衛門は、帳面と実際の金額に1000両の差があるのを見つけ、金策に奔走するが、御用商人らが、その金の穴埋めをしてくれた。
「それくらいのことは誰でもやっている、変な噂が流れる方がおかしい」のだが、御用商人はおとがめを受け、引っ捕らえられ、店は取りつぶし、
それを申し訳なく思った又左衛門は、理解ある人に訴えるため、遺書を書いて切腹した。
息子の又一郎は、その遺書を、江戸家老に見せると言ってうちを出たところを殺されたのだった。
「なるほど、それで、生き証人を消そうというわけか」
お紺は、松木藩を探ろうと、目付の笹崎とその手下・岡のいる料亭に、新内流しに化けて入り込むが、あとをつけられ、勘兵衛の仲間であることがばれる。
翌日、松木藩家老・矢田は、次期勘定奉行と、御用商人に、自分の息のかかった者を指名する。
貧乏神の情報で、そこに勘兵衛が乗り込むが、既に、相手は逃げた後。
勘兵衛らを公儀の者と怪しみ、家老・矢田は、笹崎に、捕らえた商人たちを使って勘兵衛らをおびき寄せ、始末をつけるよう命じる。
夜、編み笠をかぶった笹崎が、夫の切腹の真実を知る妻を消そうと、九鬼家にやって来る。「その編み笠姿、峠でも見たぞ」と応じる勘兵衛。
「月田さま、この男が又一郎を?私も?」「そうです。生き証人を消すためです。先を急ぎますのでこれで」
その足で松木藩奉行所へ行く勘兵衛だが、牢は既にもぬけのから。捕らえられていた商人たちは、殺されたあとだった。
勘兵衛は、矢田家へ向かう。「何者だ」「月田勘兵衛だ。きさまは、前の勘定奉行・九鬼又左衛門の一件の生き証人をすべて消すつもりだったな。」
仙太があらわれ、九鬼のたくらみを明かす。
「斬り捨てるのはたやすいが、仮にも一国の家老、自分の始末は自分でつけろ」「斬り捨てぃ」・・・追いつめられた家老は、自決するふりをして
勘兵衛に襲いかかり、最期を遂げる。
居酒屋。勘兵衛らが、通りを眺めている。「藩の追っ手が来ないところを見ると、松木藩もご安泰のようだな」
又左衛門の妻が、尼僧姿で通るのにはっとする勘兵衛。「なまじ声をかけない方がいいんだ」と心の中で言う。
「勘兵衛、某藩二千五百名の藩士ならびにその家族が路頭に迷うべきところを救う。神妙なり。仙太、ここ暫く女癖の悪さ止む。奇妙なり。」
見どころ:又一郎の母親と話す勘兵衛が、物静かで侍らしくっていい!殺陣も多い。
旅の場所
:松木藩御城下


「非業無残の果てだとさ」 (第12話)
           
<キャスト> 山岡徹也寺尾但馬守(実際は中江民部。 『殿、若さといい好みといいピッタリでございますな』のならず家老)
中村孝雄中江民部(実際は寺尾但馬守。 呆れて口もきけない大名) クレジットと異なり劇中は山岡=中江、中村=寺尾だった
有川正治=沖山(『さて、一杯飲んで探すか』のならす者侍)                  thanks 中村半次郎さま、右京大作さま
近江輝子=老女(『そなたはこれから湯に入るのじゃ』お紺に夜とぎの仕度をさせようとした老女)
川浪公次郎=古沢(『出来れば今夜、上玉のおこぼれにあずかりたい』のならず者侍) 島田秀雄=(勘兵衛の付け馬にもなる居酒屋のおやじ)
坂本高章=(仙太たちを隠れ家まで案内してくれた、人質になった彦作の息子) 遠山金次郎=(お紺が足を蹴ったならず者侍)
海老江寛=彦作(人質になった心の蔵の悪いとっつあん) 酒井靖乃=お光(人質になった彦作の娘)
松方弘樹=宮部一馬(呆れて口もきけない大名に物騒な用のある侍)
藤山良(NC)勘兵衛が呑んでる居酒屋に入って来た5人の藩士のうち、沖山(有川正治)の正面に座った男
不明 男12−01(NC)同じく古沢(川浪公次郎)の正面に座った男 東孝(NC)沖山「出てこなければ、鉄砲玉を打ち込むぞ!」右の鉄砲隊
不明 男12−02(NC)同沖山の右 福本清三(NC)=沖山「出てこい!宮部!」沖山の左
不明 男12−03(NC)沖山「よし、次の者、打ち方用意」一番左 不明 男12−04、12−05(NC)次の打ち方2名
不明 男12−06(NC)寺尾但馬守(中村孝雄)「なんたることを…」蝋燭の左 野村鬼笑(NC)玄庵(医者))
藤沢徹夫(NC)見張り2人のうち、仙太に目をまわされた 藤長照夫(NC)もう1人の見張り
不明 男12−07(NC)貧乏神に首を絞められた藩士 宮城幸生(NC)=古沢「おのれっ!」勘兵衛が藩士を斬る→襖を開けた宮部に斬られた藩士
壬生新太郎(NC)刀を取った但馬守の左

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏M.C.S 撮影=森常次 録音=墨関治 照明=椹木儀一 美術=宇佐見亮 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=篠敦子 衣装=上野徳三郎 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=上杉尚祺 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


虚無僧姿の男が、寺尾但馬守の本陣前の家に入った。中は娘と小さな息子、病気の彦作の3人。
「明朝までこの家を貸してもらう、今夜一晩、不幸とあきらめてもらいたい」と、鋭い目つきで有無を言わさないが、
「言うことをきいてくれれば危害は加えない、俺には要らぬ金だ」と、娘に財布ごと金を渡す。
窓から落とされた「助けて」と書いた紙を拾い、ただごとではない雰囲気を察した仙太は、知り合いを装って、彦作の家に入る。
しかし、この男、仙太とは互角の腕前、しかも、火薬と短筒を持っていて、下手に手出しが出来ない。
そして、お紺も、別の理由で彦作の家に入ってくる。
お紺は、勘兵衛の待つ居酒屋へ向かう途中、寺尾家の家臣に捕まり、危うく殿の今夜の夜とぎをさせられそうになって逃げていた。
そして、偶然明かりのついていた彦作の家に、無理矢理入り込んできたのだ。
仙太は、この立てこもり男が先ほどから本陣を気にしている様子と、お紺のとんでもない殿様の話を聞いて、
どうやら、この男が、殿様の命をねらっていると察しが付いた。「殺す、何としても」男は本陣を、睨みながら言う。
そこに、お紺を探して家捜しを始めた寺尾家家臣が入ってくる。そして、男の顔を見て、「宮部一馬」と驚く。
寺尾家家臣は、一馬を逆臣と呼び、即座に本陣へ戻り、鉄砲隊を構えて一馬を捕らえようとする。
仙太は、一馬が火薬を持っており、鉄砲隊が撃てば、彦作親子が巻き添えになることを心配するが、
「黙れ、但馬守を斬るまでは死ねん」と一馬は断る。「黙らねえ、罪のない人間を巻き添えにしてもかまわないと言うのか」仙太は食い下がる。
鉄砲隊が撃つ。彦作らが悲鳴を上げる。外からは、出てこないと一斉射撃を開始すると言う声。
「打つな」と叫び、決意して出ていこうとする仙太を、「もういい、俺が出る」と一馬が止めた。一馬は、鉄砲隊の前に出て、そのまま捕まる。
勘兵衛は、この一部始終を、酒代を取り立てる居酒屋の亭主を連れて、家の外から目撃していた。
一馬は、よほどの事情があってことを企てたに違いない、だが、俺たちのために、捕まった。どんなに、心残りだっただろう。
「今度は俺が助ける番だ、そうしなければ俺の気がすまねぇ」仙太は、無事一馬を助け出し、追っ手から逃れるためひとまず、納屋に隠れる。
勘兵衛、お紺も、後から来る。一馬は、但馬守殺害を決意した事情を話し出す。
一馬は、寺尾家の江戸詰め家臣だった2月前突然切腹を命じられた。納得のいかない一馬の探った真実はこうだった。
結婚をひかえた一馬の妹は、遠出帰りの殿の目にとまり、なぐさみものにされ、自害した。
殿に諫言した一馬の父は、殿の激怒を買い、切腹を命じられる。しかも、その切腹は、竹光、介錯もなくだ。但馬守は、これを酒の肴にした。
寺尾家には、もはや心ある家臣は残っていない、領民は但馬守のために苦しめられている、一馬は但馬守と家臣を斬ろうと決意したのだ。
「これから本陣に斬り込む、おぬしの厚意は決して忘れん」と、話を終えた一馬は、一礼して出ていく。
仙太が一馬の後を追っていこうとする。「待て」「見殺しにする気かい」「あの男が助太刀を受け入れるとでも思っているのか」
「しかし、一馬さん、蜂の巣にされるのがおちだ、とてもほおっておけネェよ」
「誰がほおっておけと言った。助太刀は受けぬと言っただけだよ。」勘兵衛が立ち上がる。「旦那」「ああ、行くか」
勘兵衛と仙太、お紺は、既に一馬が火薬で突破を計った本陣へ向かう。・・・
無事、一馬は但馬守と家老を倒した。「おぬしたちのお陰だ」と二人に頭を下げ、「これで心おきなく旅立てる」と、仙太と握手して隣室へ。
一馬の閉じた襖を見つめる二人。「旦那」「久しぶりに骨のある侍に会った。一人静かに死なせてやれ。」三人は、静かに本陣を去る。
貧乏神のメモ「寺尾但馬守の一件、勘兵衛、仙太の処置、上乗なり。宮部一馬の冥福を祈るのみ。」
見どころ:何たって、親子3人競演!力強い松方さんの殺陣、華麗な目黒さん、余裕の立ち回りのこのちゃん。
それぞれに特徴あるのに、やはり親子、似てる。松方さんの、立ち回りの表情、左手で突きをする場面、なんか嬉しくなってしまいます。
三人が見つめ合う場面もほれぼれ!親子競演、もっと見たかったなぁ!松方さん・目黒さんの殺陣を見る機会は、これからももっと欲しい。
ちなみに、当時の朝日新聞には、「・・・いつになく近衛の剣がさえない。井沢監督に『今日はさっぱりですなあ』といわれ、『いや、息子たちに
お株を奪われて出る幕がありませんわ』と苦笑い。『親父も年だからなあ』『助っ人がいる剣豪って話にならないよ』と息子の松方弘樹と目黒祐樹
にからかわれていた」とある。(以上 じゅうよっつ)
今日の「いただき勘兵衛」の回、なかなか面白かったです。なんだか松方さんの動きが近衛さんに似ていてあらこんなにうまかったかしらとちょっと驚きました。三人揃うと本当に親兄弟だなあと思います。ちょっと近衛さん演技が少し固く見えたので、もしかしたら照れていたのでしょうか?(笑) (織波さま)
念願の一家四人勢揃いを観ましたが、松方弘樹演じる復讐に燃える虚無僧姿の浪人の悲壮感がたまらない感じでしたね。本当に入魂の演技と言う感じで、格好良かった…。で、彼が着ていた着物が白いもので、襟と袖が少し黒っぽいものだったので、ちょっと「あれ?」と思いました。というのも、実はアメリカのTVアニメでそこそこ人気のあった作品で、日本でもカートゥーンで放送していた『SAMURAI JACK』の主人公にそっくりなんですよねー(笑。
松方さんの殺陣のシーンがサムライジャックと重なって見えました(^^)
ちなみにこのアニメの製作スタッフに日本人はいないようで、ちょっと中国やインドっぽい城が描かれていたりで、髷もピンと立ったものです。でも、作りが大変良くて、ワテのようにいい年こいたオッサンにも充分楽しめました。この絵を描いた人は、多分松方弘樹の侍像を参考にしてるんでしょう。
ちなみに、『ラストサムライ』(2003)でアメリカ人に強いインパクトを残した渡辺謙かも、とも思いましたが、ジャックは2001年ですから、どうもそれは薄そうです。ストーリーは未来世界をさ迷い歩く浪人剣士と言う設定ですが、最近の中性的なヒーローが描かれる日本の時代劇アニメよりずっと「サムライ」らしかったです。 (トプ・ガバチョさま)
彦作の息子が案内した隠れ家と、第5話で松吉(加賀爪芳和)が勘兵衛に酒と肴を持ってきた小屋が同じ場所?
宮部が最後「これで心置きなく旅立てる」と言ったのは、これから旅に出るのかと思ったら、勘兵衛「一人静かに死なしてやれ」と来た。なに〜っ!切腹!?
他の結末(めでたし、めでたし)にはならないんですかね〜?(A師匠さま)
旅の場所:15000石の大名・寺尾但馬守の陣屋が8里先にある町


「血気が一気に消えたとさ」 (第13話)

<キャスト>
 吉岡ゆり=菊乃(病の祖父に付き添っている娘) 坂口徹=坂口源之進(『お家を毒する奸物ども、覚悟せい』三人組若侍の一人)
小柳圭子=おかね(旅籠『福田屋』の女中) 出水憲司=脇村(『お前達、これは一体?』斬られた重役達の供侍)
佐々木孝丸=岡崎彦右ヱ門、半左ヱ門(2役 病気療養中の御老体。 斬られた半左ヱ門は弟)
五十嵐義弘=(事破れて切腹しようとした三人組若侍の一人、三輪) 美樹博=(『このままでは死んでも死にきれん』三人組若侍の一人、吉村)
由井恵三=(『まて』小座敷で飲んでいた塚田刑部の家来) 森敏光=(『へい』とか『はい』とか言いながら頭を下げるだけだった居酒屋のおやじ)
小林昭二=塚田刑部(『まて、その方何者だ』小座敷で飲んでいた坂部家大番頭)

藤川弘か?(NC)
坂口らに斬られた重臣(右) 浪花五郎(NC)同左奥 和田昌也か?(NC)同左手前
藤山良か?(NC)坂口「吉村、おぬしは表を頼む」おかね(女中)に押されて引き上げた使用人(?)
不明 男13−01(NC)塚田「この上、血を見ぬ為でございます」塚田の左 不明 男13−02(NC)同右
不明 男13−03(NC)塚田「かような暴挙を企てるとは」塚田の右
不明 男13−04(NC)塚田「これはご老体のお言葉とも思えませぬ」塚田の左
淡路康?(NC)勘兵衛「若侍達に代わって、俺が斬ってやる」塚田の左 不明 男13−05(NC)同右

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=平山善樹 録音=墨関治 照明=藤井光春 美術=塚本隆治 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=宮川俊夫 記録=長岡君枝 衣装=上野徳三郎 美粧=河田福司 結髪=浜崎喜美江 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=古市真也 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=倉田準二 制作=NET・東映

「実はな、心配かけちゃいかんと思って黙っていたんだが、この2〜3日足の筋が痛んでな」
仙太から、貧乏神もお紺も引き受けるからと誘われ、勘兵衛は、急にびっこを引きながら湯治場へ向かう。もちろん仙太の目的は、湯治場で
療養中の祖父につきそう武家娘・菊乃、勘兵衛は、湯に浸かりながら酒を飲むことだ。
しかし、その楽しみはすぐにパーに。勘兵衛を心配して来たお紺に、貧乏神から逃げ回るところを見られ、「お見事な逃げ足でございますねえ」
お紺は、プンプン腹を立てて出ていこうとしたところで、若い侍3人が湯治場の旅篭へ忍び込むのを目撃する。侍は、その一部屋に入り、「お家を
毒する奸物ども、覚悟せい」と、そこにいた身分のある侍達を次々斬り、たちまち大騒ぎに。「あいつの亭主になる奴の面がみてえな」とずたずたに
壊された仙太の笠をネタにお紺を噂していた勘兵衛と仙太も、騒ぎに気づく。3人の侍は、警備の侍らに大番頭・塚田を呼ぶように要求する。
お紺が貧乏神から受け取り勘兵衛に渡したメモには、「厠」の字に手が触れ、その横には菊の絵が。事の一部始終を見ていたお紺は、菊乃が
厠の戸を押さえつけていた事を思い出す。菊乃はとっさのことに、療養中の菊乃の祖父・岡崎彦右ヱ門を厠に閉じこめていたのだ。
彦右ヱ門によると、3人の侍の狙いはこの彦右ヱ門だったのだが、斬られたのは、見舞いに来ていたうり二つの弟・半左ヱ門だった。しかも、
彦右ヱ門は10年も前に家老職を退き、今は政に全く影響を及ぼさない地位、斬られた他の3人も、財政建て直しに失敗した責任をどうとるか、
相談に来ていたもので、奸賊と呼ばれ斬られる覚えはないのだ。
3人の若侍の話はそれとは違い、若侍達は、斬ったのは、殿をないがしろにし、お家の財政を破綻させて私腹を肥やした奴らだと主張するが、
「証拠はあるのか」と聞くと、「証拠は塚田殿がにぎっている」と、ただただ、大番頭の塚田を信じ切っている様子だ。そこに、塚田が来る。
しかし、塚田は若侍らが信じていたような人物ではなかった。必ず殿にお伝えする、と、若者を”国士”と持ち上げ、暗に切腹を勧めるが、
若侍らは、目的が達成されるまで、と、それを断ったため、若侍達を警備の侍らに襲わせる。そこに、まだ生きている彦右ヱ門が姿を現し、
若侍達は事やぶれたことを知り、塚田は、自らのたくらみが露見する事を恐れ、若侍達を撃たせてしまう。
塚田は、暗殺計画はもとより、重役が私腹を肥やしていたことも知らないと言い張るが、彦右ヱ門と勘兵衛の詰問に、次第に窮地に追い込まれる。
「ありもせぬ中傷で殺害させ、家老の座に座ろうとし、用済みの若ざむらいを国士と持ち上げ切腹をさせようとして拒まれ、同じ家中のものに
殺し合いまでさせたこいつこそ、獅子身中の虫だ。若侍達が斬るべきはあんただったんだ。俺はあんたのような奴は断じて許さん!」・・・
勘兵衛は、彦右ヱ門から若侍達のために通夜の酒でもと誘われ、ほくほくの体で、お紺に酒の支度をするよう言いつける。「どーだろ、あたしを
女中扱いして」「ちょうど役どころだぜ。俺には饅頭持って来な」「お黙り!」とイーだをするお紺。
「この度の一件、勘兵衛の裁き見事。又、仙太の働き殊勝と言うべきなり。されど・・」「あー言うまい言うまい」と湯に浸かりくつろぐ貧乏神。
見どころ:着流しの歩く姿、立ち姿、袴と違ってまたきれい!
コメント:前回の予告には、仙太が厠から彦右ヱ門を連れ出すシーンがあったが、本編にはなかった。


「霧が晴れたら春だとさ」 (第14話)

<キャスト> 美川陽一郎=池谷監物(家老、じい) 戸部夕子=お愛の方(『なに、殿が風邪気味じゃと』殿のお国御前)
四方正美=お君(吉松さまを探している娘) 中村錦司=慈雲(じうん 『務めさせて頂きます』のニセ坊主)
国一太郎=木崎(『おぬし、どこへ行く』勘兵衛に行き先を訪ねたり、貧乏神を捕らえた役人) 
真木祥次郎=了覚(竹千代君を預かっている了泉寺の和尚さん) 木谷邦臣=(殿の御着衣を発見したり、お愛の方と計り竹千代暗殺を企む侍)
熊谷武=(大きな柿の木のある屋敷を知らなかった居酒屋のおやじ) 赤松志乃武=(『お君、もう寺に戻るのはいやじゃ』の吉松さま、実は竹千代)
倉岡伸太朗=稲見但馬守(百姓に化けるのが下手な殿様)
東孝(NC)木崎「その件については、既に届け出が出てる」木崎の右
淡路康?(NC)木崎「お世話?ふ〜ん、なるほど?」木崎の左
不明 男14−01(NC)同右
不明 男14−02(NC)了覚「それは遠路はるばるご苦労でござった」了覚の右
不明 男14−03(NC)了覚「こちらは、本山龍雲寺より参られた慈雲殿でございます」慈雲の右、黄緑色の法衣
森源太郎(NC)不明 男14−03が斬られ倒れた直後、勘兵衛の背後から右へ現れた

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=安達重穂 録音=高井唯夫 照明=佐々木政一 美術=塚本隆治 
編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=篠敦子 衣装=工藤昭 美粧=杉本勢一 結髪=浜崎喜美江 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=尾田耕太郎 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映

仙太とお紺は、お君という娘が見失った吉松捜しを手伝ったことから、事件に関わることになった。
お紺は、途中、小屋に6人の死体を発見、役人に届けるが、既に届けは出ていると、稲見但馬守本陣の警備に忙しい様子。ほどなく見つかった
吉松は、稲見家の菩提寺・了泉寺の子というが、言葉遣いは身分の高い武家の子のようだ。おまけに、お紺の見つけた死体が跡形もなく消え、
怪しい奴と貧乏神が捕まり、本陣へ連行される。お紺と仙太が救出に入ると、既に貧乏神の姿はなく、「稲見家に謎あり 仏事に関わるもの
なら、厳重探索の要あり」と書き置きがあった。
仙太は了泉寺へ、お紺は、酒が飲めずにいらいらしている勘兵衛を「2本だけですよ!」と居酒屋へ残して、死体の探索に走る。
了泉寺では、明日の稲見家の法要を前に、本山の高僧・慈雲が、病気の住職のかわりとして到着した。稲見家は、お国御前のお愛の方の子
・松千代が病弱なため、愛妾の子・竹千代を跡継ぎと決め、明日の法要で先祖にそれを報告する事になっていた。その慈雲をお愛の方の使者訪ねる。
仙太がこれらを居酒屋で勘兵衛に報告していると、身なりは百姓だが、身分の高い侍口調の男が入ってきて、大きな柿の木のある家を探せ
と勘兵衛らに命じる。勘兵衛はすぐに、男が稲見但馬守であると見抜き、勘兵衛の、自分を恐れない太さに惚れた但馬守は、事情を話し出す。
但馬守は、自分の子の竹千代が跡継ぎと決まったのに姿を消してしまった愛妾・綾乃を探していた。綾乃が行方不明になって10日後、竹千代
の毒味役が悶死、部下の者は皆、気性の激しいお愛の方に気兼ねして、但馬の守には綾乃の行方を教えない。このままでは、自分の代で家が
途絶えてしまうと、万一のことを心配して吉松こと竹千代を寺に移し、自ら本陣を抜け出し調査にのりだしたのだった。
そこにお紺が戻り、死体のあった小屋に、りっぱな数珠が落ちていた事を告げる。「問題は明日の法要だな、明日の法要で何が起こるか」
翌日、法要が始まる。木魚を叩くと、昨日慈雲を訪ねた侍が刀を抜き、慈雲が但馬守に小刀で襲いかかる。が、一瞬早く、竹千代の武芸指南役
として同席していた
勘兵衛のクルミが小刀を落とす。
慈雲は、本山から来た坊主の一行を殺し、身代わりとなって寺に乗り込んでいたのだ。
そして、その慈雲を雇ったのは、綾乃を殺し、今、但馬守と竹千代までも殺し、病死と偽って、自分の子供を世継ぎにしようとたくらんだお愛の方
だった。・・・
「勘兵衛!」「悪い夢は早く忘れることだ。ご壮健で」但馬守に別れを告げる。「勘兵衛稲見家の危機を救う。仙太お紺の働きも殊勝なり」
勘兵衛は晴れ晴れと背伸びをして旅立つ。
見どころ:13話が終わって、四人のキャラクターが定着してきた感じ。もともと、第一話から落ち着いてたけど、からみがさらに自然に。
特にお紺ちゃんこと江夏さんの表情と、江夏さんに話すこのちゃんが自然でいい。(江夏さんと目黒さんは言うまでもないでしょ。)飄々とした
貧乏神も乗ってる。
「おい、待てゃ。おい、待てってゃ(thanks相談屋さま)」と居酒屋を前にお紺に去られた勘兵衛が居酒屋の提灯に悲しげに寄りかかる姿や一件落着後の伸びが、お茶目!武芸指南役としてひざまずく姿は、惚れ惚れ。少ないが、このちゃんと目黒さんの殺陣も乗ってる!
旅の場所:稲見家本陣のある宿場


「捕らぬ狸の夢だとさ」 (第15話)


<キャスト> 成瀬昌彦=堀田源内(北山代官所のしまらねえ代官) 加藤春哉=芋助(いもすけ 近々大金が入る予定の、おてるのズッコケ亭主)
酒井哲=熊五郎(芋助のことを心配している親方) 丘路千=尼野(金が入ったら商売人でもなろうと思っている、仙太に喧嘩を吹っかけた三人組浪人の一人)
阿波地大輔=伊谷(『待て、身なりは旅人たがそいつは武士だ』仙太に喧嘩を吹っかけた三人組浪人の一人)
国田栄弥=(『急げ』御用金警護の侍) 田中弘史=(仙太にわざとぶつかり刀を向けた三人組浪人の一人)
森章二=(お銀と七年ぶりにひょっこり出会った子分、清吉) 三田雅美=(おてるの娘、お千)
岡本健=三太(『あのね、お姉ちゃんたらね』おてるの長男、三太、通称さんちゃん   
岡本崇
=松吉(『おっかちゃん腹へったよ』おてるの末息子、松吉、ただ、お紺はさんちゃんと呼ぶ   
国景子=お銀(代官の妾) 有崎由見子=おてる(芋助の女房で、近頃はろくな客の来ない居酒屋の女将)
子供の名前,とくに三太の件ですが,おてるは大きい子が『あのね,お姉ちゃんたらな』と騒いだ後『三太,静かにするんだよ』と注意していた
ので,大きい子を三太,小さい子を松吉としました. ただお紺は小さい子がおねしょした時,お紺は『三ちゃんここにいるのよ』と言っていました. 
不明 男15−1(NC)=立札を見て間道に入った男 不明 女15−1立札を見て間道に入った
不明 男15−2(NC)=代官に尾行を命じられた役人 
藤山良(NC)
お銀「お前が江戸から連れて来た殺し屋達にも、よく注意するんだよ」次の場面で居酒屋から出てきた客(左) 
那須伸太朗か?(NC)=同右  淡路康か?(NC)尼野「おとなしく刀を捨てたらどうだ?」お千に刀を向けた男

<スタッフ> 脚本=松村正温 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=森常次 録音=墨関治 照明=松井薫 美術=塚本隆治 
編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測= 山元豊 記録=牛田二三子 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=河野節子 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=太田雅章 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 
進行主任
=藤野清 現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映

勘兵衛とお紺のいる居酒屋の前を、あわただしく役人らが走り去り、仙太が、この先のすじかい橋で、江戸へ送る御用金3000両が強奪された
と、知らせに来る。すじかい橋といえば通行止めになっていた場所だし、それに3000両もの御用金とは多すぎる。
強奪の話を聞いた居酒屋の女将・おてるは、「近々金がはいる」と豪語し行方をくらました亭主が急に心配になったと、3人の子供を置いて捜しに
でるという。こちらも、なんだか深刻な様子。お紺は、いやいや子守りと店番をするハメに。
代官は、勘兵衛が御用金の使途目的について訪ねると急に顔色を変え、「話して聞かせる必要はない」と語気を荒げ、おまけに旅篭まで、
見張りをつける。さらに翌日には、代官とは関係なさそうな遊び人風の男や、ガラの悪い浪人達が勘兵衛らの前にあらわれ、何かあると、
調査に乗り出す。
代官は、妾・お銀宅で「奪われた金が返ってこなければ、出世どころか命取りになる」とぼやく。3000両が御用金ではなかった様子に勘兵衛は
代官を諭す
。「残されたたったひとつの機会を与えてやるからよく聞け。奪われた3000両は、御用の金ではなく、私用のために江戸へ
送った金だな。幕閣の誰かに取り入るための贈り物とも考えられる。・・私欲のために百姓・町人を苦しみに追い込み、大勢の部下を死に至らしめた。
その罪は許せんぞ。」仙太が何かささやくと、「貴公が隠密巡察使?!」と、代官はへなへなと座り込む。「その罪を認めるなら、残された最後の
手段を選べ」と言って勘兵衛は立ち去る。
一方、男達は、湯治場に10日ほど前から逗留しており、そのうちのひとり・遊び人風の男は、代官に隠れるようにお銀のうちに出入りしていた。
お銀は、代官の送る金が盗んでも公にできない賄金と知って、昔の子分や殺し屋の浪人達とともに、強奪を計画したのだが、
その金の分配を
巡って仲間割れ、お銀の家の床下に隠したこも包みは、浪人達によって石にすり替わっていた。そうと知ったお銀は、怒って湯治場へ向かう。
「旦那、幕は上がりましたぜ」「ああ行くか」お銀の姿を見送り、三人も湯治場へ。・・・
お照は、自分の留守中に子供の顔を見てすぐに姿を消したという、亭主の元へ会いに行き、夫婦喧嘩で引っ込みが着かなくなって帰れない
だけだった亭主と無事会えたのもつかの間、亭主が浪人達の強奪の話しを聞いてしまったため、殺されかけたところを、勘兵衛らが無事救出。
「お侍さん、お坊さんには弱いけど、本当は強いんだね」店で貧乏神を怖がったのを見られたお千に言われる。
金は無事、搾り取られた百姓町人へもどった。「それにしてもあの代官、腹切り損なって医者のやっかいになるなんてのは、あきれかえったもんだ
女には騙されるわ、しまらねえやろうだぜ」「あら、あんただってしょっちゅう騙されてるくせに」「バカ、俺はいっぺんだって騙されたことねえんだ」
「じゃあ、騙してばっかり?へええ」「このやろ、ああ言やこう言う」口げんかの絶えない仙太とお紺の側でひたすら酒を飲む勘兵衛。
「勘兵衛荒療治を行う、天下の名医なり。仙太お紺、良くこれを助く。善哉」
見どころ:珍しく、隠密巡察使としての身分が明かされる回。背中を向けて諭す時の、勘兵衛の背中がカッコいい。阿波地さんとこのちゃんの
からみは、よく息があって安心して見ていられるので好き。
有崎由見子さん:居酒屋のおさかみさん役のちょっと特徴ある顔の方、有崎由美子さん、たしか有名な落語家、柳家金梧楼のむすめさんでしたね。同時期の高橋英樹のぶらり新べい道場破り ではレギュラーだった記憶が。 (ろくりんさま)
旅の場所:北山代官所領地


「無法は通さぬ道だとさ」 (第16話)

<キャスト> 中村英子=お京(仙太の財布に顔を立てさせた川瀬一家の女親分)
藤岡重慶=小掛四十郎(こがけ・しじゅうろう 大番組頭で赤鞘組の頭領) 永井秀明=中井将監(なかい・しょうげん 赤鞘組に頭を痛めている池永家の江戸家老)
浜伸二=園部(勘兵衛に『どけ素浪人』、お紺を『ピチピチしておるぞ』と称した赤鞘組の侍) 徳田実=松吉(仙太に酒、いや団子をおごった、川瀬一家の野ざらしの松吉)
土橋勇=(『おやえといえば四十郎殿、ほれこの間の』、またお紺に張り手を喰らった赤鞘組の侍、しげぞう)
古閑達則=(『だからこそ、俺は許せねえんだ』半五郎さんの仇を取りたい川瀬一家の子分、源次) 矢奈木邦二郎=(『娘を返せ』五兵ヱとっつあん)
那須伸太朗=(『それが再三注意をしたのでござるが』注意では足らん池永家重役の右から2人目) 
岡嶋艶子=(『まんぢゅう』三十個の注文を受けた茶店のばあさん)
美川玲子=(なぜだかまんじゅうと団子の出てくる居酒屋『桔梗屋』の子女) 
矢部義則(義章の間違いでは?)
源次「親分、よく決心しておくんなすった!その通りだ!!」源次の左「よし!殴り込もうぜ!!」
亀石征一郎=伊島の半五郎(川瀬一家の代貸し)
不明 男16−1(NC)=(『あ、松吉さん』松吉が斬られたことを知らせた男) 男16−2(NC)=(『ようし、殴りこもうぜ』川瀬一家の血気に逸る子分)
不明 男16−3(NC)五兵ヱ「おやえを、おやえを返せ、返してくれ〜」五兵ヱの右
藤山良(NC)四十郎「素浪人、貴様この赤鞘組にたてつく気か」四十郎の左  淡路康?(NC)同右
川辺俊行?〜似ているが、川辺俊行は川瀬一家の子分。2役か?別人か?〜(NC)
=中井将監「小掛四十郎、城下にてのこの騒ぎ、何事じゃ?」中井と四十郎の間
小峰隆司(NC)勘兵衛「江戸家老殿、この連中はこの年寄りの娘を、無礼討ちとやらで斬った、(後略)」勘兵衛の右
有島淳平(NC)中井将監「武士の風上にも置けぬわ」次の場面頷く4人の重臣一番右 (右から2番目は、↑にある那須伸太朗 
浪花五郎(NC)=同右から3番目 不明 男16−4(NC)=同一番左
不明 男16−5(NC)=松吉が斬られた時、駆けつけた町民「あ、松吉さん!」
東孝(NC)首に手ぬぐい(右) 不明 男16−6(NC)=首に手ぬぐい(左)
野村鬼笑(NC)山田了庵 富永佳代子(NC)半五郎が座敷の戸を開けた時、四十郎の右の芸者
不明 男16−7(NC)=半五郎「手前、お見知りと存じやすが、川瀬一家の半五郎でござんす!」次の場面一番手前
池田謙治(NC)四十郎「さあ、席を替えて呑み直しだ〜」手前の伏せている芸者の右腕を掴む
遠山金次郎(NC)半五郎を戸板で運ぶ4人進行方向に向かって左前 前川良三(NC)か?=同右前
不明 男16−8(NC)=同左後 不明 男16−9(NC)=同右後
不明 男16−10(NC)源次「だからこそ、俺はゆるせねぇんだ!!」右から2人目  川辺俊行(NC)源次の右

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=森常次 録音=墨関治 照明=松井薫 美術=塚本隆治 
編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測= 山元豊 記録=牛田二三子 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=河野節子 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=太田雅章 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 
進行主任
=藤野清 現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


仙太が知り合ったお京は、池永家城下で川瀬一家を率いる女親分。居酒屋で団子と饅頭の接待を受けているところに、お紺に知らんぷりされて
「今夜は厳しい夜になりそうだぞ」と飲みあぶれそうな勘兵衛が、仙太(正確にはその前に置かれた2本の徳利)を見つけてほくほくの体で仲間
に加わり、二人は、お京と、先ほど勘兵衛の赤鞘組という愚連隊侍に対する活躍ぶりを目撃した代貸しの半五郎から一家に招かれ、
世話になることにする。
しかし、その夜、文無しの勘兵衛がいつまでたっても宿に来ないのを心配したお紺が、町を探していて、赤鞘組に捕まり、それを助けようとした
川瀬一家子分の松吉が斬り殺される。
赤鞘組は、殿のいる間は顔色をうかがい、いない間は我が物顔で城下の者に非道を働くため、城下を守る川瀬一家とは、再三ぶつかって
いたのだが、今回その報告を受け江戸から戻ってきた江戸家老・中江が、赤鞘組に閉門を言い渡し、お家がこれ以上傷つかないよう、川瀬組
にはこれでこらえてくれと、仲裁をした直後の出来事だった。
自分が行くと言うお京を止め、半五郎が、詫び状ですべてを流すと、赤鞘組に談判に出向く。しかし、相手は、家老の命令も平気で背く連中、
自分を斬ってそれで諍いを止めるならそうしてくれとまで言う半五郎を斬り、その気はないと笑う。倒れた半五郎の手元には、封をした刀が。
そして、半五郎も、戸板に乗って一家に戻ってきた。もう一家か赤鞘組か、どちらかが倒れるまで闘うのみと、決心するお京を、勘兵衛が止める。

「お京さん、あんたはこれで佛の死が生かされると思うか?あんたがまこと、城主を思い、城下の者のためを思い、一家のためを思うなら、
無駄な争いは止めるべきだな。おれは佛の代わりにあんたがまず話をつけに行くべきだったと思う。結果は戸板にのって帰ってくることになったろう。
そして次の者が。そうなったら城の者も黙ってはいない。行ったものは皆斬られるだろう、だが、殴り込みをかければそのうちの大半は死ぬ。
そうすれば家老が恐れていた事態が起こる。一番迷惑をこうむるのは城下の者たちだぞ」
お京は、その言葉にしたがい、ひとり、赤鞘組がいる料亭に向かう。「仙太、行くか」「そうこなくっちゃいけねえや」
予想通り、争いは止める、自分を斬れば心もすみましょうと申し出るお京に、赤鞘組が刀を抜こうとしたとき、お紺が知らせに走った家老が
来る。しかし、家老の怒りなど何とも思わず逆に家老に詰め寄る赤鞘組に、勘兵衛が代わる。・・・
礼を言う家老、お京。「それよりも、今夜、あんたの一家はお通夜だろ、おれも列席していいかな」「どうだろ、お通夜の時のお酒まであてに
しちゃって」「まったくどうしようもねえな、あの分じゃ、テメエの通夜の時にも喰らうに違いねえぜ」
「勘兵衛本日の働き神妙なるも、仙太お紺、酒の目付役怠慢なり。われ孤軍奮闘期するのみ」
見どころ:赤鞘組に単独乗り込み掛け合う半五郎と、半五郎を殺され乗り込もうとする一家を止める仙太と勘兵衛。このちゃんの殺陣もちろん冴える!(以上 じゅうよっつ)
昨日今日の勘兵衛、少し色の褪色が気になりましたねえ。特に今日の最初の目黒さんの顔、えらく青白いように見えました、放送開始のころの録画したのと見比べるとなんだかかなり色が抜けたような。残りのフィルムの状態が気になります。 (ろくりんさま)
我が家のTVでは、これまで黄色っぽい感じがきつく見えていたせいか、今日の色具合はあまり気になりませんでした。
色とは別にちょっと気になっていたことですが、『いただき勘兵衛』では“コマーシャル”のところも含めて、お地蔵さんが毎回使われていますが、あれって、いつも同じものを使っている気がしてなりません。『月影兵庫』で時折使われた斜め地蔵は、その都度違うものだったようで、表情も質感も様々でしたが、『いただき勘兵衛』ではちょっと大き目で、色黒くてテカテカしたお地蔵さんばかり。何か意図でもあるのかと勘ぐっちゃいますが、まぁ、意味はないでしょうね(笑。 ( トプ・ガバチョさま)
いや、あれはやっぱり意図的なギャグのつもりかと・・・。「なんでこんなところにあるの?」っていう場所にも置いてあって面白いです。勘兵衛さんのラスト回でも最後にアップで写りますよ。 (織波さま)
旅の場所:35万石池永家の御城下


「たまにはいい日もあったとさ」 (第17話

<キャスト> 見明凡太郎=青柳三左ヱ門(土井領代官) 北原義郎=二階堂玄蕃(にかいどう・げんば 二階堂家の殿様)
不破潤=久保源之助(土井領代官に勘兵衛が来たと告げた土井領の役人) 山口幸生=高木兵部(『殿、急な御越しでございますな』二階堂家の代官)
鈴木康弘=(『役目だ、捨て置け』おふねをの後をつけていた、土井領を預かる代官所の者) 日高久=(勘兵衛に沈んだ船、疾風丸の事を説明したとっつあん)
田中圭介「手紙ならこの先の飛脚屋へ行きなさい」貧乏神の臭いにちょっと困った御上の御用専門店のおやじ    
宮川龍児(宮川珠季)若造の仙太を隠密巡察使と疑った二階堂家の役人、杉野
山口朱実(山口朱美の間違いか?)=(仙太の好みにピッタリな、駕籠に乗ったいい女)
西康一今日はお休みの居酒屋のおやじ    藤山良乗っていた女のことを仙太に教えた飛脚の兄さん  
伊藤るり子=おふね(仙太の殺し文句にもフラフラとこなかった娘)
男17−3=(仙太に乗っていた女のことを教えた飛脚の兄さん) 男17−4=(若造の仙太を隠密巡察視と疑った二階堂家の役人、杉野)
男17−5(NC)=(『旦那が、旦那が殺されている』江刺屋の小僧) 
男17−7=(『苦しい、言うから放してくれ』勘兵衛らを襲った二階堂家代官所手付、松本重太夫)
宮城幸生か?(NC)御用専門店のおやじ(田中圭介)に「誰か!早馬の用意をしなっ!」と命じられた三人の使用人一番右 
淡路康か?(NC)=同真ん中 男17−8(NC)=同一番左
森源太郎か?(NC)殺された江刺屋に「旦那様〜!!」体を揺すっている番頭(?)
小峰隆司(NC)勘兵衛「先を越されたらしいな」暖簾越しに様子を伺う杉野の左
笹木俊志と思う(NC)=殺された江刺屋
女17−1(NC)=「おまちどおさま」お銚子を沢山運んできたのに2本しか取ってもらえなかった旅籠の女中


<スタッフ> 脚本=飛鳥ひろし 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=安達重穂 録音=墨関治 照明=佐々木政一 美術=塚本隆治 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=水島淳一 記録=平井宇津江 衣装=工藤昭 美粧=杉本勢一 結髪=河野節子 
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=津島勝 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 
進行主任
=藤野清 現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映

勘兵衛に隠密巡察使の役目を命じた土井正篤の領地と接するのは、二階堂家の領地。勘兵衛は「土井正篤の政治をこの目で見てやるのも・・」
と土井領へ、仙太は美人に引かれて二階堂領へ、お紺は、貧乏神を問いつめ、勘兵衛のあとを追って土井領へ。
土井領では、江戸に知行米・300石を運んでいて1年前に沈没した正篤の御用船疾風丸に乗っていた人々の法事が、正篤の命で代官・青柳
三左ヱ門によってとり行われていた。しかし、疾風丸は新造船、船頭はベテラン、沈むはずはなかったといううわさもある。
一方、仙太は別の若い美人に引かれて、二階堂領から土井領にやってくる。この美人・おふねは、疾風丸の船頭の娘で、代官所の役人に
追われている様子。何かあるとみた勘兵衛、仙太とお紺に早速おふねを探し出すよう言い渡す。「で旦那どうすんの?」「お目付の土井様はな、
俺から酒を取り上げた男だ。あんな奴のために汗を流すのはご免だよ」「酒のうらみはおそろしいねえ」
どうやらおふねは、父親の乗った疾風丸は、米を横領し私腹を肥やそうとした誰かに、荷を石にすり替えられ沈められた、と考えているようだ。
それをおふねに話したのは、疾風丸に乗っていて唯一人助かった人物だという。
仙太とお紺は、仙太が最初におふねに出会った二階堂領へ行ってみる。と、そこには、旅篭でごろ寝しているはずの勘兵衛が、酒を飲んで2人を
待っていた。勘兵衛は、既に疾風丸の生き残りが、この1年で船子から財を築き上げた廻船問屋・江利屋であることを突き止めていたのだが、
3人が行くと、すでに勘兵衛らの動きを察知した何者かが、江利屋を殺した後だった。そして、土井領への帰り道、3人は、突然、覆面の侍達に
襲われる。そのうちのひとりの懐から出てきたのは、「二階堂家代官所手付け・松本重太夫」の札。
この一件に二階堂家がからんでいるとみた勘兵衛は、おふねに疾風丸の一件を話した時江利屋と同席していた人物を問う。思った通りそれは、
二階堂家代官・高木兵部だった。おふねは、土井家代官・青柳を父の仇と言われ、代官所を見張っていため、役人に追われていたのだった。

やがて、貧乏神の元へ、正篤から手紙が届く。二階堂玄蕃と土井正篤は、同じ部屋詰めで行き来もあったのだが、大量の賄い金を使って大目付
の役職争いに破れたころから反目、正篤の失脚を狙っていた。
ことは読めた。二階堂玄は、正篤を失脚させようと、江利屋を抱き込み船を沈め、荷を石にすり替えたと根も葉もないことをでっち上げ、青柳が
横流ししたように仕組んだのだ。そして、その噂を広めるために、おふねを使ったのだった。「いかん、代官所だ、青柳三左門が危ない」
おふねを使った正篤失脚のもくろみが失敗し、二階堂は、直接青柳に、横領と船を沈めた件を江戸表に報告すると、詰め寄っていた。
「江戸表から返事が届いておる、よく読むがよい」勘兵衛は、正篤の手紙と、おふね、勘兵衛らを襲った侍の持っていた二階堂家の札を突きつける。・・・
今日ばかりは貧乏神もにこにこし、正篤からの「ただただ感謝 好きなだけ飲め ただし今日一日に限る」という手紙と金を差し出す。「おい、
女将、ここの店の酒は買い占めるぞ」と一升マスで飲み始める勘兵衛。
「この際につき見逃す事と致せしも勘兵衛いささか図に乗るの態あり 行末が心配なり」
見どころ:掛け軸の前での、左斜めに構え、あごを引いて手にグッと力を入れて相手を睨みつけるお得意の決めの殺陣ポーズがかっこいい!
目黒さんの殺陣も、刃をむき出して睨むお顔が、始めの頃より、このちゃんのと似てこられた感じがする。
目黒さんのとぼけた味は、いつも
自然でさすがだが、「待ってよ」とおふねちゃんを呼ぶ声が裏返ってるのがおかしかった。
旅の場所:土井領と二階堂領


「手折っちゃならない花だとさ」 (第18話)

<キャスト> 野口元夫=伊丹屋重兵ヱ(庄屋も兼ねた生糸問屋で、お藤の顔色を変える男)
小林勝彦=橋田孫四郎(伊丹屋の繁盛を結構だと思っている代官) 小野川公三郎=佐吉(ヤクザに身を投じた、お藤の弟)
波田久夫=三輪文之進(伊丹屋に頼まれて三浦屋を斬ったが、片腕を斬られた罪滅ぼし浪人)
有川正治=吉峰(『おう、お藤、いい所で会ったな』昼間から女にふられて八つ当たりしている飼い犬浪人)
有島淳平=倉持(料理屋で三浦屋殺しの話を立ち聞かれてしまった伊丹屋の飼い犬浪人、倉持左門)
宮城幸生=(『なにも逃げなくても良かろう』お藤に絡んだ飼い犬浪人) 
壬生新太郎=(『いてぇ』恨みを晴らしに来た吉峰に加勢し、勘兵衛に右腕をねじられた野良犬浪人)(勘兵衛「悪党から、ご内聞料をせしめて、せっせと貯め込む」勘兵衛と代官らのやり取りを聞いている代官所の5人の役人(?)一番右)お藤「父を殺したのは、伊丹屋重兵ヱです」お藤の右)
なかつかかずよ=(お藤を呼びに来た、料理屋『花菱』の女中』)・・※なかつかかずよ さんは、俳優メモでは、中塚 和代(中塚かずよ)と表記されています
赤座美代子=お藤(『勘さま、あたしと結婚して』勘兵衛様大好き女)

熊谷武(NC)お紺の問いかけに「お前さんのような、若くて綺麗な娘さんに・・・」と応じ、団子を勧められた居酒屋のおやじ
藤本秀夫(NC)勘兵衛「ようし!まだ痛い目に合い足りねぇって言うなら合わしてやる」勘兵衛が刀を取った直後恨みを晴らしに来た吉峰の右(勘兵衛に腕を捻られた伊丹屋の飼い犬浪人)
池田謙治(NC)同右から2番目(勘兵衛「いい加減にしたらどうだ?まだ分からんのか?」の直前、居酒屋の前で刀を構える飼い犬浪人)
男18−1(NC)=同一番右(伊丹屋「なぁに、お世話をしているだけでございますよ」一番右の飼い犬浪人)
藤山良に似ている(NC)佐吉に牢の鍵を奪われた番小屋の男
淡路康か?(NC)勘兵衛「悪党から、ご内聞料をせしめて、せっせと貯め込む」勘兵衛と代官らのやり取りを聞いている代官所の5人の役人(?)一番左
男18−2(NC)18−3(NC)18−4(NC)=同間の3人

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=安達重穂 
録音=墨関治 照明=佐々木政一 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測= 水島淳一 記録=平井宇津江 
衣装
=工藤昭 美粧=杉本勢一 結髪=河野節子 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=津島勝 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 
演技事務
=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映

酔っぱらい浪人からお藤を助けた勘兵衛は、「酒はいくらでも都合が付く」と言う言葉にひかれて、お藤のうちに行く。
普段は女に見向きもしない勘兵衛が、お藤と一緒にいることに合点がいかない仙太。お藤のうちへ行ってみると、いきなり、お藤の
「勘さま、夫婦になって!」という言葉が聞こえてきて、仙太(と貧乏神)は唖然とする。
「本当に、今日は酒癖の悪いのに縁のある日だな、やたらに結婚を迫る酒癖があるとは知らなかったな」
勘兵衛は、出された酒に口をつける間もなく慌てて逃げ出そうとし、家の外に言葉を失い立っていた仙太を見つける。
「こいつは、俺よりずっと強いんだ、ちょうど夫婦になる相手を捜してるところなんだ」と、押しつける。
仙太はお藤に、体を張ってまで強い男に「夫婦になれ」と迫る理由を問いただすと、お藤は、「人一人殺して欲しいんです」と言う。
そこへ、お藤のつとめる料亭の女中が、座敷に代官と伊丹屋が来るので支度をしてくれと、やってくると、お藤の顔色が変わった。
仙太の、「何か役に立つことがあれば」という申し出も断り、何か、意を決したようだった。
お藤のワケありげな様子を心配した勘兵衛らが、お藤のつとめる料亭に入ると、お藤は、伊丹屋を刺そうとして捕らえられたところだった。
番所の牢に入れられたお藤を、長い間姿を消していた弟の佐吉が助けに来る。勘兵衛らは、お藤と佐吉の話を聞く。
お藤と佐吉の家は、生糸問屋三浦屋を営んでいたが、父親を殺され、母親は首をくくった。
三浦屋がつぶれて土地一番の生糸問屋となった伊丹屋が、父親殺しの犯人と思われたが、証拠がなく、代官の取り調べでも無罪となったため、
お藤は水商売に、佐吉はヤクザに身を落とし、証拠をさがしていた。
佐吉は、父親を殺した浪人のうちの一人を見つけだし、証人として連れてきていた。浪人は、胸を患い余命幾ばくもなく、改心したいと言っている。
「まずは法をたてるべきだ」とうい勘兵衛のすすめで、姉弟と勘兵衛らは代官に会いに、番所に行く。と、そこには、伊丹屋、代官、浪人らが。
牢抜けしたお藤らを捕らえようとする代官は、勘兵衛や証人の浪人の話を聞いて、「よう分かった」と、お藤と佐吉に今までのことを詫びる。
「これで、父母も成仏できる」と、仏壇の前で礼を言うお藤、佐吉に、勘兵衛は「さぁ、それはどうかな」
外には、伊丹屋が送った、大勢の浪人が家を囲んでいる気配。・・・
伊丹屋では、代官と伊丹屋が笑っている。二人はグルだったのだ。
勘兵衛らがそこへ乗り込む。佐吉は、無事、父親の敵を果たした。
「こんどこそ、両親の霊もうかばれるだろう、弟と力を合わせて三浦屋を再興するんだな」と言う勘兵衛の言葉に、「このままでは気が済みません、
どうか、私たちのうちに留まって、そして、もし勘さまさえよければ、私、夫婦になっても・・」とお藤。
慌てた勘兵衛、「夫婦になるんならそっちだ、俺はこれで失敬するからな」と、そそくさと逃げていく。
貧乏神のメモ「勘兵衛、悪徳代官を退治。結婚を迫られあわてふためく。我、溜飲を下ぐ、愉快なり。」

見どころ:浪人の一人の刀を押さえつけ、刀を返してびゅーんと振る殺陣がかっこいい。背中をぐっと反って(なお健在!)、相手の攻撃をまつ
緊張感がいい。殺陣シーンが二度、浪人を痛めつけるのが一度、どれも身軽だなあ。


「空き家に花が咲いたとさ」 (第19話)

<キャスト> 石山律(石山輝夫、石山律雄)=伊之助(巴屋で働きたい板前、三吉の父ちゃん) 
土屋靖雄=鮒吉(ふなきち お客様があるとは思わなかった巴屋の番頭)
福山象三=不動の栄五郎(勘兵衛に極上の酒を飲ませると約束した、三足のわらじの親分) 杉山昌三九=黒沼精一郎(お波をお気に召した代官)
玉生司郎=丑蔵(勘兵衛に『旅籠は上州屋にしなせえ』と勧めた、上州屋の番頭) 武田てい子=お米(長いものには巻かれた上州屋の女中)
伝法三千雄=源八(巴屋じゃ酒を飲めないと忠告してくれた、上州屋の呼び込み男) 
道井和仁
=三吉(危なく酒の入った徳利を落すところだった、伊之助の子供) 
淡路康=
「下手人は俺じゃねぇ!」旨を叫ぶ伊之助を牢に入れた代官所の役人   
江原政一(榎原政一)「何者だ?」仙太に「怪しいもんだ」と返され「へっ?」と出た矢先、当て身を食らい気絶した代官所の門番    
光川環世(以前は藍芳、大吉当時は井上清子 thanks右京大作さま京さま=(川で魚を捕っていた巴屋の女主人、お波(おなみ)
不明 男19−2=(仙太に『怪しい者だ』と言われ、『えっ?』と言うだけだった門番)
不明 男19−3(NC) 女19−1(NC)=巴屋に案内されているのを、横から無理矢理上州屋の源八が奪った男女の旅人
不明 男19−4(NC)男19−5(NC)=勘兵衛とお紺が案内された布団部屋に居た2人の先客
不明 男19−6(NC)=丑蔵「泊まる約束で中へ通ったんだから、それだけは払ってもらう決まりだ」丑蔵の右に顔が現れる1人目
不明 男19−7(NC)=同2人目 藤山良(NC)同3人目 不明 男19−8(NC)同4人目
不明 女19−2=仙太が情報収集をした茶店の、耳は遠いがめっぽう話好きの婆さん
東孝(NC)栄五郎「その場で御用になって、代官所へ送られたよ」栄五郎の右
不明 男19−9(NC)=栄五郎「だが証拠があっちゃ仕方あるめぇ」栄五郎の左
不明 男19−10(NC)=代官と栄五郎を追い廊下に出て1人斬った勘兵衛の背後をドスを構えながら左から右へ移動した髭の男

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=高橋稔 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=森常次 
録音=墨関治 照明=松井薫 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=野崎八重子 
衣装
=工藤昭 美粧=杉本勢一 結髪=河野節子 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=西垣吉春 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 
演技事務
=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映

お波に一目惚れした仙太は、お波が主人を務める旅篭・巴屋に、酒がうまいと誘われた勘兵衛と仙太の女癖に愛想を尽かしたお紺は、その
向かいにある上州屋に宿を決める。ところが2つの旅篭は雲泥の差。
上州屋はえらい繁昌だが、勘兵衛らが通されたところは布団部屋の相部屋、、女中のしつけも悪く、おまけに出された酒は水増し(というか、
水の中に酒がちょっと)。怒った勘兵衛らは、酒代や泊まり賃計1両払えと詰め寄る上州屋のちんぴらをたたきのめし、巴屋に移るのだが、
巴屋は、滅多に客が来ず、今夜も勘兵衛ら以外に客がいない。だから、たったひとりの従業員である番頭の鮒吉が、仙太の刀や笠、カッパを
質に預けて、米を仕入れてくる程の困窮ぶりだが、もてなしは厚い。この原因は上州屋栄五郎にあった。
上州屋を乗っ取り3足わらじの親分になった栄五郎が、代官の黒沼精一郎と組んで、篭をすべて自分の旅篭に回させ、逆らう者は十手に物を
いわせてうやむやに消していたのだ。更に栄五郎は、金儲けを独占しようと、巴屋の乗っ取りもたくらんでいた。
栄五郎は、巴屋の板前だった伊之助に上州屋に移るよう脅していたが、巴屋に受けた恩に申し訳がない伊之助は、子供の三吉と2人してこの
宿場を出ていく決心をしていた。
その伊之助をお波が惚れているとしり、巴屋の番頭・鮒吉殺しの汚名を着せ、無理矢理代官所へ連行する。
この、嫌がらせとしか思えないやり口が、何を意味するのを理解したお波は、伊之助を救うために、栄五郎のいる代官所に行き、巴屋を譲ると
言う証文を栄五郎に渡す。そして代官・黒沼が、お波を無理矢理引き寄せようとしたとき、勘兵衛が現れ、仙太とお紺も牢から助けた伊之助を
連れてくる。・・・
「こぶつき男にお波ちゃんをとられるなんて、死んじまいてえや」「色事師もおちたもんだ」「うるせえ」お波が実は、伊之助に惚れていたことを
知り悔しがる仙太。
「親子3人力を合わせて巴屋を繁昌させるんだぞ」3人は旅立つ。
「勘兵衛ら宿場の悪を一掃。旅路快晴なり」
見どころ:お波にいいとこみせようとして川に墜ち、ずぶ濡れになったため、裸にカッパ姿でひょろひょろ歩く仙太、水増し酒に怒りまくり
他の客が驚いて顔を出すのを睨みつける勘兵衛が、カワイイ。
コメント:タイトル「いただき勘兵衛」の由来を匂わせる仙太の会話がある。「おとなしく留守番(勘兵衛は牢に伊之助を助けに行かなかった)
してると思ったのに、こっそりいただきに出てくるなんて、人が悪いぜ、さすがいただきの旦那だよ。」


「仮寝の宿に泣いたとさ」 (第20話)

<キャスト> 島田順司=田宮文之進(渡し場で倒れていた浪人)
大村文武=榊原一鉄(『素浪人、命拾いは一度だけだぞ』四人組山犬侍、家老のせがれ)
千葉敏郎=吉岡(『あー美味い、いい酒だ』勘兵衛に酒を見せつけた四人組山犬侍) 
浜田雄史=宮田(『旅に出てはや一年』もう嫌になった四人組山犬の口ひげ侍) 五十嵐義弘=千葉(文之進に斬られた、志乃の兄、達馬)
滝譲二=古谷(『その娘子に何をしておった』仙太に投げた小柄を勘兵衛に落された四人組山犬侍) 
下元年世=(土下座して謝ったのに斬られた、弱い素浪人) 森秀人=(仙太が連れてきた医者、了庵先生)
島田秀雄=(酒の事をすっかり忘れていた、旅籠『若松屋』の番頭) 泉春子=(地酒が自慢の茶店のばあさん)
青柳三枝子=志乃(どこまで行くのか分からない武家娘)
不明 女20−1(NC)
志乃と榊原の争いを廊下から窺う旅籠の女中

<スタッフ> プロデューサー=上月信二(NET)・杉井進・宮川輝水 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=森常次 
録音=墨関治 照明=松井薫 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=野崎八重子 
衣装
=工藤昭 美粧=杉本勢一 結髪=河野節子 装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=西垣吉春 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 
演技事務
=中久保昇三 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映

金のない勘兵衛が茶をたのむ茶店で、うまそうに酒を飲む4人の侍。この1年、文之進という男を捜しているらしい。少し離れたところで元気なく
腰を下ろしている武家娘に、仙太が声をかけると、その侍らが仙太に刀を抜く。ガラの悪そうな侍と非礼を詫びながら去る武家娘は、どうやら
連れらしい。
その夜、勘兵衛らは、お紺が見つけた意識不明の浪人を宿で介抱することになる。医者の見立てでは、労咳で後2月しかもたないらしいが、男は、
「志乃どの」としきりにうわごとを言っている。その同じ宿には、昼間の娘と侍も部屋を取っていたが、侍のひとりが、酔った勢いで娘に言い寄り、
それを止めに入った勘兵衛と仙太が娘の名前が志乃であることを聞き、病気の男に会わせる。男は、志乃のかつての結婚相手・田宮文之進
だった。
翌朝、文之進は意識を取り戻し、志乃が同宿であることを知り、事情を話し出す。文之進は、1年前、酒を飲みながら、家柄を重んじる志乃の
兄と、挙式を簡素にしたい文之進が口論、怒った兄が刀を抜き、文之進は思わず兄を斬ってしまったのだった。文之進は、切腹から逃げ旅に
出たのだが、間もなく病にかかってしまった。「笑ってくだされ。死ぬべき時に卑怯未練から逃げ出し、惚れたおなごにまで二重の重荷を
背負わせてしまったこの死に損ないを」「あんたの話を聞いて笑える人間は誰もおらんよ」文之進は、仙太らに助けられながら、最期となる
場所へ向かう。外で話を聞いていた志乃も、意を決したように、後を出る。
「もう言葉は要りますまい。命あるうちにそなたに討たれることだけを神仏に念じておりました」と覚悟を決めた文之進に、志乃は逃げてくれと
たのむ。「勘兵衛さま止めてください」「なんとかならねえんですかい」「何ともならんな。俺にできることは最期を見届けてやることだ。どうやら
その時が来たようだな」城下で刃傷沙汰を起こし罪を咎められる代わりに助太刀を言いつかった4人の侍達がやって来た。
4人は、とどめは志乃にと懇願する文之進にさらに斬りかかろうとする。「武士の情けと言う言葉が聞こえんのか。お前達こそ、武士の風上にも
おけぬ山犬だ」・・・
「志乃どのとどめを」と文之進は志乃をジッと見る。そして、懐刀を出してもなお決心の付かない志乃に、自ら刺されに行った。「田宮文之進は
りっぱな最期を遂げた。あんたが文之進に報いる道はただひとつ、強く生きることだ。それを忘れんことだな」
「勘兵衛邪剣を倒す、田宮文之進の死哀れなり、志乃殿が強く生きることを望むのみ」
コメント:監督は違うが、脚本は「素浪人花山大吉 死んで花実が咲いていた」とほぼ同じ内容。こういう武士の苦しみみたいなのは、
このちゃんにあうお話ということで再登場かな。
旅の場所:峰川の近くの宿場(以上 じゅうよっつ)
見どころ:いやー、「仮寝の宿に泣いたとさ」よかったですねー。本シリーズでも一番の面白さではなかったか? と勝手に思っています。
スジといいテンポといい、抜群でしたねー。話はよくあるものなんだけど、悪人を全部切り捨ててスカッとするカタルシス! そして、ラストの切なさ・・・。
これを見られただけで本シリーズを見た甲斐があったてえもんです。(右京大作さま)
今日の「いただき勘兵衛 旅を行く」のエピは、(かたき討ち・・・しかも許嫁の兄)「素浪人」にもありましたよね。今日の「島田順司」さんが、「入川保則」さんで・・・(確か?)武士は特権階級であっても、だからこそ悲しいなぁと思いました。人情話にならないので可哀そうと思いながら時代考証が納得できる(安い、ドラマではない)と、脚本がいいのですね。でもつらい。このシリーズは、そこをわきまえていてよく、「だんな」が、{お前は手を出すな}と半次兄さんに言ってましたなぁ。町人{渡世人}が武士をきったら・・・大変な事ですもの。(三条小橋さま)

          (↓相談屋さま)
「雨のあしたは晴だとさ」 (第21話)

<キャスト> 川島育恵=おさと(【おさと】と読めるが、実際は【おさよ】。 心根のやさしい居酒屋の娘)
横光勝彦=村井小次郎(用足しに行こうとし、刀につまずいた宇津の郎党(ろうとう))
伊達三郎=宇津源左ヱ門(甲府勤番の一人で、勘兵衛を見つけた元同僚の侍)
南祐輔=佐倉甚内(勘兵衛が、前世で貧乏神が酒を飲むのを、邪魔したと思っている甲府勤番の一人)
海老江寛=卯平(お紺からおでんの注文を受けた居酒屋のおやじ)
西田良=弥平次(『久しぶりに暴れてやるか』後から追いかけて来た、甲府への旅は足が重い侍)※宇津は「弥平太」と呼んだようだが・・・
田畑猛雄=袴田(はかまだ 『ふーん、甲府勤番か』宇津と張り合う森家の侍) 北原将光=旅篭主人(旅篭『つた家』の主、きゅうたろう)
松田利夫=(『いいからここに掛けて酌をしろ』お紺をひっくり返した森家の侍)
藤本秀夫=(仙太がつた家に話の分る人物を探しに行ったとき出てきた、話の分らない森家の侍)
木谷邦臣=(籠代を踏み倒されそうになった籠屋) 中山昭二=田坂玄蕃(勘兵衛が素浪人で良かったと思っている、森家の徒=かちがしら
大城泰(NC)勘兵衛「今言ったとおり、今夜抜き差しならん用があるんだよ」仙太が映った直後、籠屋(木谷邦臣)の後ろからこっちを見ている首に白手拭いを巻いた籠屋(後ろの籠の後ろの担ぎ手)
笹木俊志(NC)籠屋「斬れるもんなら斬ってみろい!」籠屋の左の籠屋(前の籠の後ろの担ぎ手)
壬生新太郎(NC)同右の籠屋(後ろの籠の前の担ぎ手) 不明 男21−1(NC)「これはこれは、いらっしゃいませ」森家を出迎えたつた屋の使用人
不明 男21−2(NC)勘兵衛達が居る居酒屋に入った森家の侍で、宇津らが来た事に最初に気づいた男
不明 男21−3(NC)用足しに行く村井の足に刀を掛け、「おのれぃ、武士の魂を足蹴にいたしたな?」と棒読みっぽく絡んだ森家の侍
東孝(NC)佐倉から居酒屋の勘定を命じられた宇津の郎党(?)
不明 男21−4(NC)勘兵衛「月田勘兵衛という者だがな〜、徒頭の田坂殿に会いたい」勘兵衛の右に見切れた門番
疋田泰盛(NC)弥平次「久しぶりに暴れてやるか」弥平次の左  不明 男21−5(NC)同弥平次の右  藤山良(NC)同宇津の左
池田謙治(NC)宇津「田舎大名の飼い犬ども!」宇津らが殴り込んだ時、土間で刀に左手を置く森家の侍
有島淳平(NC)(おさよが腕を斬られ)お紺「おさよちゃん!大丈夫?」お紺の後ろで2人の女中(?)を庇っている男

<スタッフ> 脚本=松村正温 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=平山善樹 録音=墨関治 照明=宇野増太郎 美術=塚本隆治 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山口鉄雄 記録=石田芳子 衣装=工藤昭 美粧=杉本勢一 結髪=河野節子
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=曽根勇 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映

大名・森大和守が本陣を構える宿場に、酒癖が悪いので勘兵衛がつきあいを避けてきたという宇津と佐倉という旗本侍が、甲府勤番に
着くためにやって来た。
「その辺は誰かさんと似たり寄ったりだな」「おい俺の酒はだな、自分で言うのも変だが、飲めば飲むほど奥ゆかしい人柄がにじみでるってもん
なんだぞ」「誰がそんなこと言ったんだ?」「だから自分で言うのも変だと言ったろうが、俺が」しかし、その仙太と勘兵衛のいる居酒屋に、大和守の
ために旅篭の変更を余儀なくされ面白くない宇津ら一行と、その際、宇津らと騒ぎを起こしかち頭・田坂にたしなめられうっぷんを晴らしに来た
森家家臣・袴田らが、合致あってしまう。
双方は一発触発の雰囲気、勘兵衛が宇津の仲間として中に入り事なきをすまそうとしても、お紺がこれ以上酔わないように水割りの酒を出しても、
ますます険悪に。宇津の連れの若侍・小次郎が席を立つ際、相手の侍のひとりがわざと刀を足に引っかけ、それが元で双方が刀を抜くことになる。
ちょうど心配してきた田坂が家臣を連れ帰り、宇津らも、「明日の朝は真っ直ぐ甲府へ行ってくれ」との勘兵衛の言葉に、一旦は引き上げた
かに見えたのだが、その夜、おさまらない小次郎は大和守の本陣へ行き、袴田らに高札を引き抜いたとして捕まってしまう。
翌朝、そのことを噂で聞いた勘兵衛は、乗り込もうとする宇津らを止め、本陣へ行き田坂と会い、お家のため参勤の道中を無事に終わらせるために
小次郎を離してくれんかと交渉する。「素浪人月田勘兵衛と名乗っておられるが、もしや」「いや、正真正銘の素浪人、勘違いしてもらっては困るな」
しかし、田坂と勘兵衛の計らいで、マゲを切られ刀をとられただけですんだ小次郎を見て、宇津らは、勘兵衛が仕官したくなって大名家の
かたを持ったと怒り出し、二度と口は聞かんと出ていく。「旦那、気晴らしに一杯やっか」「おお。水割りはダメだぞ。生一本でたのむ」「え?はあ
すみません」「みろよ」と仙太。
宇津は、合流した部下と、大和守の本陣へ乗り込んでしまう。ちょうど、昨日の勘定を受け取りに来ていた居酒屋のおさよがこの争いに巻き込まれ、
貧乏神の知らせを受けて駆けつけた勘兵衛は、もはや聞く耳を持たない宇津らを、峰打ちにする。
そこに来た田坂。双方とも、けが人が3人。「喧嘩両成敗と言うが、あんたはどうする」「お任せする」「そうか、すまんな。バカな連中だが、家族のもの
もいる。無事甲府へ発たせてやってくれんか」「分かりました」「かたじけない」「ところであなたは?」「忘れてくれては困るな。素浪人、素浪人月田勘兵衛」
頷く田坂。
居酒屋の亭主に挨拶して旅立つ勘兵衛ら。おさよの傷も軽かった。仙太が勘兵衛の手にある徳利に気づく。「旦那、これどうしたの」「これはな
あの娘が土産にくれてな。心根の優しい娘だよ、あの娘は」うんうんと頷く仙太と、小さくなるお紺。
そこへ貧乏神のじゃんが。「勘兵衛まことに見事な裁きぶりなり。ただただ感嘆の極み。なれど油断することなく監視する必要あり」
見どころ:上記仙太と勘兵衛のやり取りの他にも、勘兵衛が宇津らを居酒屋から追い出す口実として貧乏神を悪く言うセリフ「汚い衣をばたばたさせたり
ひどいときはシラミをつまみ出して杯に入れる」と言ったあと「ちょっと言い過ぎたかな、こりゃ」(貧乏神がくしゃみ)とか、お紺に土間の方がへっこん
じまったかもしれない」とか「どこにか弱い女が??」とか、セリフが面白い。三人のからみがしっくりしているのもよかった。
コメント:このところやたら息が白いが、ロケ寒かっただろうなあ。


「ご落胤が仇だとさ」 (第22話)

<キャスト> 戸上城太郎=蔭山伊左ヱ門(『お前の眼がそう言っている』仙太の眼の言った事がわかる頭分の浪人)
有馬昌彦=堀田三左ヱ門(五千両を持ってきた石野家国家老) 田中浩=宮井将監(二十五万石の跡目を狙って薄汚い手を打った、とんだお偉方)
阿波地大輔=佐川甚内(道標を直させなんだ鉄砲浪人) 松島和子=お春(お鶴の育ての母) 出水憲司=西野(五つまで数えられなかった鉄砲浪人)
八代郷子=お君(松吉のおっかちゃん) 川浪公次郎=吉村(『では逃がしたというのか』痛めて吐かすのを止められた浪人)
村田玉郎でなくて前川良三(NC)=(『助けてくれ』小屋の中で鉄砲で撃たれた男) 
村田玉郎
は、この人の他には該当者がないのですが、断定できるほど顔が映ってない・・・=飛んで来て堀田に耳打ちした家臣
長良俊一松吉(コマを取りに行った子供)  
山田光子=(『まあ、なんて近頃の娘は気の強い』お紺とお鶴が喧嘩した茶店のばあさん) 森源太郎=(『何だおぬし達』森の中で斬られた侍)
瞳順子=お鶴(お紺と取っ組み合いの喧嘩をした娘、実は鶴姫様) 
不明
 男22−1=(『おいらコマを取りに来たんだ』コマを投げるものと勘違いしている子供、松吉)
小峰隆司(NC)侍(森源太郎)「何だオヌシ達!?」右の侍  不明 男22−2(NC)斬られたもう1人の侍
藤山良(NC)勘兵衛から刀を取り上げた浪人
市川裕二に似ている気がするが・・・(NC)勘兵衛「客人?わからんな〜」(こちらを見ている人質)左端のじいさん 
不明 女22−1(NC)
同その隣の婆さん 不明 男22−3(NC)同右端の男 不明 男22−4(NC)仙太から刀を取り上げた浪人
淡路康(NC)山小屋の見張り役浪人 不明 男22−5(NC)蔭山「では俺はその手はずに行ってくる。後を頼む」蔭山の右の浪人
不明 男22−6(NC)吉村「来たぞ〜」山小屋の戸を開けた浪人(鉄砲を構えたところ、仙太から手拭いを顔にぶつけられた浪人)
東孝(NC)千両箱を最後に置いた中元

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=平山善樹 録音=諸熊秀喜 照明=宇野増太郎 美術=塚本隆治 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山口鉄雄 記録=石田芳子 衣装=工藤昭 美粧=杉本勢一 結髪=河野節子
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=曽根勇 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=小野登 制作=NET・東映

「石谷宿まで一里八丁」の道標に従って勘兵衛とお紺が歩くのは、どう見てもそま道。そこにある一軒家に立ちよると、人の気配はすれど、
呼んでも返事がない。それもそのはず、中には勘兵衛らと同じく立て変えた道標に導かれてやって来た旅人が、鉄砲を持つ浪人らにとらわれていた。
やがて仙太も、巡礼の母娘と共に、この小屋へやってくる。口振りから、浪人らは、この中の誰か、当地石野家25万石ゆかりの人間が目当て
のようだ。
仙太は、この浪人達に見覚えがあった。それより前、浪人達は、3人の侍を斬って死体を林に隠し、お偉方と思われる覆面の侍から礼金をもらい、
「後は予定通りに」と話していた。その時貧乏神から「石野家に謎あり」との知らせを受けていた。
そのうち、浪人の一人が山を下りる気配がし、やがて戻ってくる。城下へ行き、無事取引をすませたらしく、「明日の朝金がはいる」と浪人達は
安堵の様子だ。
事の状況がいまいち読めず、ど、にも手が出せないでいる勘兵衛らに、貧乏神からの知らせが来る。浪人は下山して家老・堀田をゆすった、
石野家は、世継ぎの菊千代、妹の綾姫が相次いで亡くなり「相続を巡って暗躍する者あり」とのこと。どうやら目的の人物は、巡礼の娘・お鶴。
相続を狙う黒幕が浪人達を雇い鶴姫を捕らえさせ、浪人達は、黒幕黙認で、さらに国家老からも、鶴姫と引き替えに金をゆすったのだ。
お鶴は、浪人が自分を「姫君」と呼んだことを、母親に問いつめる。お鶴は石野家の亡くなった綾姫と双子の妹で、双子を忌み嫌う習わしにそい、
当時奥使いだった今の母親と江戸にすむことになったのだが、今回跡目を継ぐために、家老・堀田からの要請で、国に帰ることになり、
落ち合うはずの迎えの者が来ないために、2人で城下に向かう途中だったのだ。
翌朝、鶴姫を迎えに、家老・堀田が約束の5000両を持って小屋に来る。しかし、浪人達は鶴姫を渡すつもりはさらさら無く、それどころか、
鶴姫も家老も亡き者にしようと、刀を抜く。その時、仙太は、家老に付き添ってきた侍の手の甲に傷を見つける。それは、浪人達に礼金を
払った覆面の男のものと同じだった。「こいつらを雇った黒幕はそいつだ」勘兵衛が握った火箸が飛ぶ、仙太の手拭いが鉄砲を塞ぐ・・・。
「石野家25万石跡目安泰なり」
「茶店がある、酒だ酒だ行こう行こう」しかしそこには貧乏神が待っていた。「何だよ変なものが出て来やがって」とあわてて仙太とお紺の後ろに隠れる勘兵衛。
「今回勘兵衛の働き殊勝なり。願わくば酒癖の改まらんことを」
見どころ:子供を助けようとした勘兵衛に鉄砲を向けるシーン、「俺も一人で死ぬのは願い下げだ、あんたを道連れにするよ」「丸腰でどうして
道連れにできる」「できる、一人だけはな」「やってみろ5つ数えるまでの間だ。1つ、2つ、3つ」その時勘兵衛が火箸を投げ浪人の着物が柱に
つき刺さる。「どうしたい、数の勘定は3つで終わりか。もっとも4つの次はあんたの喉が柱代わりになる、もう1本火箸はあるんでな」がかっこいい。
人質でジッとしていた分を取り戻すかのような目黒さんの身軽な殺陣と、腰の入ったこのちゃんの殺陣。このちゃんの刀を振った軌跡ってきれいだ。
旅の場所:石谷宿(石野家御城下)まで1里8丁の山小屋
コメント:勘兵衛とお紺が山小屋に近づいたシーンから言葉が響くので、セットなのだろうが、花山大吉の「ドカンと一発春が来た」で、大吉と
半次が山賊の小屋に近づいたときもそうだったなあと思いだした。あのときは、セットのシーンだけはアフレコじゃなかったのだが、そういえば
「いただき勘兵衛」は、第一話から同時録音だ。(以上 じゅうよっつ)
今回の話は、素浪人花山大吉第68話『道は地獄へ つづいていた』に似ていました。脚本も両方同じく森田新さんでした。
・道しるべを変えて,人質をおびき寄せる. ・コマを取りに行った子供を大吉/勘兵衛が助ける. ・五つまで数えられない鉄砲打ち
(相談屋さま)



「どちらを向いても敵だとさ」 (第23話)

<キャスト> 八木孝子=菊乃(淡路守を父の仇と狙う、山辺の短筒武家娘) 綾川香=高遠淡路守(バカ殿にならなくて良かったと思った殿様)
武周暢=山辺(十三年前に若殿を助けたことが元で殺された菊乃の父上、山辺友之進) 森祐介=辰馬(菊乃の弟、山辺辰馬)
岡田千代=さと(十三年前に殺された、菊乃、辰馬の母上)
田中弘史=川瀬(仙太を唐丸籠破りの一味と『関係ある』と思った四人組手柄横取り侍の目付け、川瀬新之介)
日高久=茶店オヤジ(殿様が襲われたことを教えた茶店のオヤジ)
野上哲也=的場(『おお沢田殿、ご無沙汰しております』沢田の酒友勘兵衛に尋問した役人)
熊谷武=(勘兵衛への酒をお紺に『まだ』と止められた居酒屋のおやじ) 木谷邦臣=(『止まれ、その方何者だ』四人組手柄横取り侍の大番組頭、村中治介)
渡辺百合=(『父上、どうなさいました?』十三年前の回想シーンでの菊乃) 小庄義明=(十三年前の回想シーンでの子供時代の辰馬)
深江章喜=奥村彦右ヱ門(今は家老職の四人組手柄横取り侍) 蜷川幸雄=沢田孫四郎(抜け殻浪人)
宮城幸生(NC)仙太に『ンッ!』と吐き、地蔵の陰から様子を窺う菊乃(次の場面)唐丸籠のすぐ前を行く役人
藤長照夫(NC)唐丸籠の担ぎ手(前)  大城泰(NC)唐丸籠の担ぎ手(後)
川谷拓三(NC)菊乃『これには、あと一発弾が入っているのです』(次の場面)川瀬の右  小峰隆司(小峰一男)(NC)同左
不明 男23−1(NC)菊乃『さぁ、命が惜しくば、籠の中の者を渡しなさい』菊乃の左
不明 男23−2(NC)川瀬『追え〜!!』仙太を追う先頭の役人
不明 男23−3(NC)行商人風の爺さん  不明 女23−1、23−2(NC)その爺さんに道を教えている感じの二人の女
福本清三(NC)お紺『まあ〜、どうしてそれを?』お紺の右  江原政一(榎原政一)(NC)同左
前川良三か?(NC)人相書が自分だと白状して逃げ出す(仙太)直後 左の門番
野村鬼笑っぽい(NC)おそらく瀬川『あっ!あそこだ!追え〜っ!!』旅籠の前の3人の町人(左)
山田良樹(小山田良樹)(NC)奥村『しかし、何事も用心が肝要かと存じます』奥村の右  笹木俊志(NC)同左
川辺俊行(NC)奥村『えぇい、この者に縄を掛けい!!』5人の鉄砲隊右から2人目
不明 男23−4、男23−5、男23−6、男23−7(NC)
他の4人
小田真士(NC)たわんだ刀で自決した沢田を見ている家臣(右)  不明 男23−8(例の棒読みの人)(NC)同左

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=羽田辰治 録音=諸熊秀喜 照明=宇野増太郎 美術=宇佐見亮 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山口鉄雄 記録=平井宇津江 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=河野節子
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=曽根勇 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=倉田準二 制作=NET・東映

「いい女に会わせてください」と拝んで仙太が出会ったのは、短筒を持った物騒ないい女だった。女は、役人を脅し、唐丸かごに乗せられた浪人を
助け、二人で逃げる。側にいた仙太まで仲間だと勘違いされ、人相書きまで掲げられて逃げるハメに。女と男は姉弟で、どうやら高遠淡路守を
殺そうとして失敗、男が捕まったらしい。
いつもは会えば喧嘩のお紺も、唐丸かごの男のグルとして追われる仙太を心配し、勘兵衛に腰を上げるように促すのだが、勘兵衛が、自業自得
と取り合わないでいると、旅篭の行灯が揺れだし、畳の下から貧乏神が。(勘兵衛天井を突き破って逃げる)「高遠淡路守襲われし一件調査の
要あり」
それより以前、勘兵衛がふと知り合った世捨て人のような変わった浪人・沢田をお紺に調べさせる。それまで機嫌良く勘兵衛と酒を飲んでいたのに
殿様が襲われたという話を聞くと、突然顔色を変え出ていった沢田に、何かあると睨んだのだ。沢田孫四郎は、13年前、高遠家の大番組・組頭
まで務めていたのに、急に自分から願って浪人になっていた。
今日は、高遠家の菩提寺で法事があるため、町の警戒は一層強くなっている。そろそろ殿様が城を出る時刻だ。「よし、じゃあ行って来るぞ」
さっさと出ていった勘兵衛をみて、「だからはみだし勘兵衛って言われんだよなあ」「あんたは何にも仙太!」
再び殿様を狙った姉弟だが、勘兵衛に立ちふさがれ、役人に追われ逃げる。勘兵衛は、姉弟が隠れていると思われる小屋に向かう。「俺は、
訳もわからず人が殺されるのを見過ごせんから淡路守を助けたんだ。大名だから助けたのではない。あんたたち、淡路守にどんな遺恨が
あるというのだ」二人の父・山辺は、13年前、当時まだ家督を継いでなかった淡路守が、お忍びで町に出てならず者にやられ、気を失っていた
ところを助けたのだが、後刻、高遠家の名誉を守るためと母ともども、斬り殺されたのだった。それを指図したのが淡路守だという。「たとえ大名
でも許されん。非は非として認めさせなければならん」
勘兵衛は、仙太らと姉弟を連れ、淡路守に面会を求める。しかし、淡路守は、姉弟の両親が自分の名誉のために斬られたことどころか、山辺の
名さえしらなかった。13年前、自分を助けてくれたのは、家老・奥村彦右ヱ門以下、沢田孫四郎を含む4人の家来だという。
勘兵衛の求めに応じて淡路守の前に呼ばれた沢田は、自分と家老、大番組頭、目付は、13年前、山辺が淡路守の窮地を助けた際偶然通り
かかり、
目撃者のいないことをいいことに功労を横取りしようと山辺を斬ったことを告白する。
淡路守は、腹心へのふくざつな思いを振りきり、姉弟にこの場で仇をとることを許す。・・・
過ちからとはいえ、殿様を斬ろうとした姉弟は、お手打ちにと、跪くが、淡路守は、自分に仕えてくれとたのみ、勘兵衛にも礼を言う。「淡路守殿
バカ殿終わらずによかったな」「手厳しいことを申すな、はははは」
「勘兵衛15万石に乗り込む。前代未聞の仇討ちを果たさす。好漢胆甕の如し」
見どころ:貧乏神に驚いた勘兵衛が天井を突き破ったり、姉弟を追う役人が急にストップして仙太を追い始めたり、逃げ回った仙太の足が棒に
なったり(目黒さんのコメディーはいい!)、漫画のような展開。この辺が「いただき勘兵衛旅を行く」の魅力かも。当時の世相を反映してるのかな。
旅の場所:高遠淡路守の城下
コメント:
最後に沢田孫四郎が自決するシーンで刀がたわんだのがちょっと気になる。人相書きによると仙太は二十五歳くらいらしい。
(以上 じゅうよっつ)
いまや大演出家になられた蜷川幸雄氏が出演なさっていましたね。・・・このころはまだ演出のほうに進出していなくて、たしか「徳川三国志
(’75〜’76年)」ではもう演出を始めていられたように記憶しているのですが。昔何かの番組で蜷川氏が厳しい演出家で有名なことについて、
蜷川氏自身が「俳優仲間では自分はへたな役者と言われている」とおっしゃっていました。
それとお紺が勘兵衛への酒を「まだ」と止めた居酒屋にいた大工風のお二人のお一方は、福本清三様ですよね。お若いし、いつもの浪人の独特
のメイクではなく、普通(と言っては失礼ですが)のお顔で、これまた少し福本様と断定するのは「?」なんですが。(中村半次郎さま)


「日本晴れの朝だとさ」 (第24話)

<キャスト> 大丸二郎=田坂文之進(凄まじい殺気の、まわし合羽に三度笠をかぶった旅人)
小野恵子=雪姫(旅人に誘拐された筒井家の姫様)
上野山功一=青地玄蕃(『おい、逃がしてやれ』子犬にとっては優しいが、居酒屋にとっては断わりたい客の三人組浪人の一人)
楠本健二=酒井兵馬(勘兵衛が姫君誘拐犯を見たと知って急に下手に出た侍) 松田明=(『変なお坊さんなら帰りましたよ』居酒屋のおやじ)
柳原久仁夫(『こっちは玉無しの一発勝負だ』三人組浪人の一人、野本) 高並功=(『ただ今駕籠者が戻りました』家老の耳元でささやいた侍)
司京子=(仙太を雪姫様誘拐犯人だと目で証言した、お付き女中、さなえ)
有島淳平?=(『雪姫様の御駕籠と知っての沙汰か』斬られた雪姫警護の侍)
由井恵三=(『二人はまるで道行きみたいでございました』姫様がさらわれた経緯を説明した駕籠舁き)
永井秀明=有沢刑部(『勘兵衛殿の眼力を買おう』お口上手な筒井家の御家老) 和田一壮=又一郎(短筒で仙太を脅かした家老の息子)
不明 男24−1=(『おいおやじ、借りだ』貧乏神のために戸を開けっ放しで出て行った、三人組浪人の一人)=智村清?
不明 男24−2=(『こいつは竹酒って言いましてね』旅の人に竹酒を自慢していた客) 
不明 男24−3
=(『こっちは玉無しの一発勝負だ』三人組浪人の一人、野本)柳原久仁夫?
不明 男24−4=(勘兵衛にクビの手紙を届けた飛脚) 不明 男24−5=(貧乏神こと真庭仙太を脅す謎の貧乏神)
大城泰(NC)墓参り行列の先頭の侍
不明 男24−6 (NC)=(お付き女中の証言に驚く仙太→刀を抜く侍達)又一郎の右
福本清三(NC)お紺『あ〜、ちょっと待って私は関係ないの、関係ないのよ〜』演:高並功の後ろ
不明 男24−7(NC)=その後ろ  小田真士(NC)その後ろ
矢部義章(NC)(尋問される仙太)後ろに立つ侍(左)
藤山良(NC)戻ってきた駕籠舁きで、経緯を説明しなかった方
鼻が和田昌也に似ているが・・・(NC)『こいつは竹酒って言いましてね』旅の人に竹酒を自慢していた客
不明 男24−8(NC)自慢された旅の人  不明 男24−9(NC)その連れ
世羅豊か?(NC)勘兵衛『約束が違うな』文之進『又一郎!!』(次の場面)勘兵衛の左  不明 男24−10(NC)同右
淡路康(NC)勘兵衛『あんた達こそ不貞の臣の最たるもんだな』刑部『黙れ素浪人!』又一郎の右
峰蘭太郎?(NC)同画面左端・・二役(↓飛脚役)になるので違うかも?  
不明 男24−11(第21話棒読みの人)(NC)(単筒が火を噴く瞬間)又一郎の右
東孝(NC)刑部『んー又一郎!』画面右端   峰蘭太郎(NC)勘兵衛にクビの手紙を届けた飛脚
クレジット有島淳平について
大吉第68話『道は地獄へ つづいていた』のコメントに、クレジットで寺下貞信とあるのに見当たらず、川口喬さんが出ている事について、どらおさまが推理しておられたように、(川口さんは存じ上げなかったのですが、俳優メモの写真でビンゴです。断定でよろしいかと。しかし、役者さんの所属を踏まえたうえでの推理、本当に素晴らしい。私なんか、100年かかってもできない芸当だなぁ、と感心しました。)三人組浪人の一人を有島淳平さんが演じる予定だったのが、急遽代役になった為、クレジットの変更が間に合わなかったんじゃないでしょうか。
というのも、『雪姫様の御駕籠と知っての沙汰か』の侍は、顔もまともに映っていないので果たしてクレジットに載るだろうか?逆に、三人組浪人の一人がノンクレジットというのも不自然だし。警護の侍をスローで見てみましたが、有島淳平さんではなさそうです・・・

<スタッフ> 脚本=森田新 音楽=秋元薫 演奏=M.C.S 撮影=羽田辰治 録音=諸熊秀喜 照明=宇野増太郎 美術=宇佐見亮 
編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山口鉄雄 記録=平井宇津江 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=河野節子
装置=曽根美装 装飾=清原和雄 助監督=曽根勇 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 演技事務=中久保昇三 進行主任=藤野清 
現像=東洋現像所 監督=倉田準二 制作=NET・東映


墓参りの行列一行が襲われ、筒井家の雪姫が駕籠ごと誘拐された。現場を通りかかった仙太は、雪姫誘拐の犯人と間違われ、
やって来た家老・有沢の息子又一郎らに連行される。仙太と一緒だったお紺は、旦那に助けを求め、居酒屋へ。
お紺から話を聞いた勘兵衛は、山道ですれ違ったすごい殺気の旅人を犯人と直感し、家老の家に向かう。
又一郎は、公にしていない雪姫誘拐を知っているのを怪しく思い、勘兵衛をもとらえようとするが、家老の取りなしにより、
勘兵衛と仙太は、事件解決に協力することになる。雪姫は、数日後に、又一郎と婚儀を行うことになっていた。
そこに、駕籠が戻ってくる。旅人姿の誘拐犯と姫はまるで道行きのように手に手を取って歩いていったという。
駕籠をかついだ二人は、その後、姫の落とし物を拾おうとしたところを、浪人三人に殴られて気を失っていた。
誘拐の目的は、うらみか金か、勘兵衛らは探索にあたる。
家老の話や、城下の住人たちへの聞き込みでは、殿様も家老もひどく評判が良く、藩内のもめ事もないという。だが、評判がどうも一様すぎる。
そこに、3000両と姫を引き替える強迫状が来る。家老は、犯人の顔を唯一人知っている勘兵衛に、金を持っていく役目を頼む。
指定された場所にでてきたのは、浪人三人、雪姫の誘拐を目撃して、それに乗じて一稼ぎしようともくろんでいた者たちだった。
ニセ犯人と分かり、又一郎は、すかさずこの三人を撃った。
そのとき、物陰から、旅人姿の男が「またその手を使ったな」とでてきた。この男こそ、勘兵衛が誘拐犯人と睨んだ男だ。
勘兵衛が誘拐の目的を問いただすと、「お家の為だ」という。男は、田坂文之進と名乗り、姿を消す。
家老らが、持ち帰ろうとする3000両の上に、貧乏神からのメッセージ、「雪姫は、紹福寺にあり」が。
勘兵衛らが出向くと、そこには、雪姫と文之進がいた。二人は、勘兵衛を信じることにし、お家騒動の一部始終を話した。
それによると、もともと雪姫の婿になる予定だったのは文之進で、文之進の父親の家老職と、雪姫の結婚相手の両方をねらって
いたのが、今の家老・有沢だった。
文之進は国元に帰る途中、又一郎に撃たれたが、幸い一命をとりとめ、文之進の父親は言われなき非難を浴びて憤死,殿はまだ病の床にあった。
勘兵衛が、不逞の臣は家老たちであったことを確信した時、そこに、家老や又一郎らが来る。・・・
居酒屋。勘兵衛は、めでたく、隠密巡察使の役を解かれる。せいせいした勘兵衛が、大きな升に酒をついでいると、そこに貧乏神が。
怖がる勘兵衛が顔を隠した升をひょいととり、「それがし、ご公儀お庭番真庭仙太でござる。」と、はじめてしゃべり出す。
「久しく物を言わなかっただで、これでせいせいした」と、酒でふらふらになりながら出ていく元・貧乏神。
勘兵衛とお紺が江戸に向かう途中、一人の若い侍が通り過ぎる。それは与力の職に戻った元・仙太、有賀透三だった。
あらためて勘兵衛に非礼をわびる透三だが、お紺の「しけたお役目ね」の言葉につい、「この跳ねっ返りめ」と応じてしまい、
「いけね、こんなんで、侍に戻れるかなぁ」「無理だ無理だ」という勘兵衛の言葉に「無理だよなぁ」。
それを陰で聞いている、お庭番に戻った元貧乏神。どこからか現れたほんものの貧乏神を見て、慌てて逃げていく。
それをみて笑う三人。空は日本晴れ。「はみだし勘兵衛隠密巡察の旅、ひとまずこれにて終わりなり」
見どころ:最後に来るほど、らしい面白さがでてくる。家老が姫さま救出に力を貸してくれと必死に頼んでいる間の仙太の無言の仕草が面白い。
もう1クールあれば、もっとそれぞれのキャラが確立されて面白かっただろうなあ。
旅の場所:
1万3千石筒井家の御城下(以上 じゅうよっつ)
コメント:兵庫、大吉、太平の最終回はみんなバラバラにそれぞれの道を歩み出す設定で寂しかったですが(もっとも兵庫は実際には
見ていませんが)、勘兵衛の場合はみんなで笑いに包まれながら江戸に帰るという設定だったので、少しホッとした記憶があります。
が、今思うと、体力的な事とか、親子競演を果たしたということで、最後はハッピーエンドで素浪人シリーズを終わらせようとしていたのでしょうか?
昔は(再放送といえども)最終回の放送後、『しばらくこの番組はお休みさせて頂きます』的なメッセージが流れていて、
当時は真面目にこれを信じ、花山大吉が再開されるものだと信じていました。ただ、再放送も回を重ねるごとに、
『この番組は本日をもって終了させていただきます』に変化しグサリときたもんです。(相談屋さま)
疑問1:今日の「いただき勘兵衛」のラスト、勘兵衛さんはどうやって家老の息子の短筒をかわしたのでしょうか?以前からの謎でしたが、今日見てもやっぱりわかりませんでした。(織波さま)
実はワテも最初にさらりと観た時には「あれ? 目の前で撃たれてるのに傷一つなく相手を倒してるのはナゼ?」と思いました。
で、じっくり録画した画像をコマ送りしてみると、短筒の銃口が光った瞬間、勘兵衛の腹の辺りに画像が移動するんですが、そのコマを見ていると体が左へ動いているんですよ。バックの柱か何かが右に動いているので、位置が変化しているのは間違いないですが、あっと言う間に姫の方に画像が変わってしまい、勘兵衛の避けながらの居合い抜きが寸断されちゃった格好になってました。いずれにせよ、観ている側が一発で分からない訳ですから、カメラワークと言うか、編集で失敗したと言える感じですかね?(トプ・ガバチョさま)
やはりコマ送りにして見ないと分からないレベルですから、このシーンを通常画面で見ていて、勘兵衛がわずかに身をずらして刀を抜いていることを確認した人は、まずほとんどいないでしょうね。何せコマ送りでも分かりづらかったですもん。銃口のアップと勘兵衛のアップとで画面を分けてしまっているのも失敗なのかな。(さらに、姫の姿をここで差し挟んだのは、もっと失敗。)(トプ・ガバチョさま)
疑問2:前にご指摘があった通り、地蔵が最後まで要所に登場してましたね。貧乏神がお庭番なのは、以前手裏剣を使っていたところで想像がついていましたが、彼も「センタ」と言う名だったとは知りませんでした。・・・ところでワテも疑問が一つありまして、最後のシーンでお庭番姿の「貧乏神」が別のおこもさんみたいな僧侶に恐れをなして逃げていますが、あれはナゼなんでしょうね?ついさっきまで自分が同じような格好をしていたのに、どうして恐れるのかがイマイチ分かりません。何か「いつも同じ地蔵」がナゾの意味を持つのかなぁ、なんて妄想しちゃいます(^∇^)単純に調子に乗って酒を升で飲んで千鳥足になっていたから、勘兵衛と同じように僧侶に非難されたように思ったんでしょうかねぇ…。でも、恐がる理由はないし…、不思議です(笑。 単純に調子に乗って酒を升で飲んで千鳥足になっていたから、勘兵衛と同じように僧侶に非難されたように思ったんでしょうかねぇ…。 (トプ・ガバチョさま)
自分の解釈では、これまで坊主の格好で勘兵衛を脅かしていたバチとして、本物の貧乏神がジャーンと現れるようになった・・・というものですが、いかがでしょうか? (織波さま)
おっしゃる通り、最後は自分が自分でしてきたことと同じような罰を受けている形ですが、そもそも自分があの格好をしていた貧乏神が、ナゼ僧侶姿の人を怖がるかなんですよ(^o^)勘兵衛は幼い頃坊さんにさらわれたと言うトラウマがあるから、以来僧侶を怖がると言う理由が有りましたが、貧乏神にもそうした過去があるなら、自分で同じ格好ができる訳ないですもん。やはり何らかの説明がないと、分かりづらい以前に理解不能になっちゃいますが、何か最終シーンを可笑しさと言う煙に巻いてドロンする形で、番組自体もドロンしたみたいに思えます(笑。(トプ・ガバチョさま)


音楽=秋元薫については、本編クレジットとレコードのクレジットに違いがあります(トプ・ガバチョさまより)素浪人シリーズいろいろ(一)の5「レコード情報」をご覧くださいませ。





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