素浪人シリーズいろいろ(四) | 「素浪人シリーズ」に出てくる’学’のある言葉を、素浪人ふうに解釈 素浪人語録 |
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「素浪人シリーズ」のDVD・ビデオ復刻 同サントラCD ソノシート TV版「柳生武芸帳」DVD化を「たのみこむ」(byタンバリンマン様) ●「素浪人月影兵庫(’07年3月〜12月 於:東映ch)」の次回放送時に1話でも多くの欠番を!と願い、「兵庫よ、すべてを見たかった!」 |
(最初の数字=話数から該当するお話のあらすじに飛べます 月=月影兵庫 花=花山大吉 い=いただき勘兵衛) 月36 |
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しんねこ 半次とおえんが二人で別室でいちゃいちゃしているところを覗き見していて障子を倒してしまった兵庫に、半次が「しんねこを決め込んでいる時に…」と言っていました。この「しんねこ」も大体はストーリーの流れで勝手に理解してましたが、調べてみると「しんみりねっこりの略。男女が人目を避けて仲良く語り合うこと。」だそうです。(トプ・ガバチョさま 2011年10月15日) 蝶蝶喃喃(ちょうちょうなんなん) 普段はちっともモテない焼津の半次兄さんが、売れっ子芸者を日中に助けてやり、夜に宿で再会し二人でいちゃいちゃしているところを、他の芸者さんが「厠の前の部屋でちょうちょうらんらんなんですよ」と言うと、兵庫が「そりゃぁ臭い ちょうちょうらんらん だなぁ」と言っていました。今ではほとんど使われない当時の流行語か何かなのか、Web上で調べても全く出てきません。ひょっとしたらと思い「ちゅうちゅうらんらん」のように、聞き間違えしそうな音でも調べてみましたがだめでした。そこでヤフーの知恵袋で尋ねると、早速有り難いことに回答を頂きました。 それによると、 「蝶蝶喃喃」(蝶々喃々)で、意味は男女が打ち解けて楽しそうに語り合う様だそうです。つまり、「らんらん」と聞こえていたのが、実は「ちょうちょうなんなん」だった訳で、どうりで調べても載っていないはずです(^o^)(2011年12月6日 トプ・ガバチョさま) |
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花1 |
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通人(つうじん) 兵庫が酒なら何でもOKだったのに対し、大吉が酒の味・飲み方、果ては肴についてまで、いちいち一家言を持っているのを評しての、半次の言葉。おからを肴に飲んだ場合は、「これが通人の飲み方かねぇ」と、批判的にも使われる。 名代(なだい) 評判が高いこと、名高いこと、また、そのさま。(大辞林第二版より) 大吉が相談屋の仕事として客の入りの悪い茶店の営業相談に乗って、その店の甘酒を名物として売り出すために考えついた(でっち上げた)文句。 一杯で元氣百倍 名代 甘酒 甘さの秘密は江戸仕込み これを見た、かつて江戸に住んでいたと称する旅の者は、コロッと騙され(?)さっそく甘酒を注文した。大吉に言わせると、この程度の誇大広告は愛嬌のうちらしい。(相談屋さま 2003年3月8日) |
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花2 |
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大吉による山菜料理の講釈 あけび、うこぎのような苦みのするものはだな、酢の物、甘酢漬け、酢みそあえなどはよくあうしよ、もっと癖の強いごまな、よめななんかは、天ぷらが最高だよ。 それから特に上手いものは切り和えだ。まずな、丸ミソを適量丸めて箸にさして火にかざしてこんがり焼き上げてアク抜きした山菜をみじん切りにしながら、その焼きミソと一緒に切り混ぜていくんだ。そしてな、それにカツオブシを加えてよーく混ぜ合わせて、七味唐辛子を振りかけて食う。 酒の肴によし、炊きたてのメシに載せて食ってもなかなか行けるぞ。 (他に、)煮浸し、芥子和え、おろし和え、それにな、冷や汁、白和え、納豆あえなども風変わりでなかなかうまく行けるぞ。 |
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花4 |
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大吉による鯛の活き造り講釈 卵3個、うど、わさび、それからめじそ、おおば、大根、それからな、薬屋によって砂糖少々を分けてもらってくるんだな。 鱗は手早く丁寧に落とすんだ。活き造りは皮付きのまま刺身にしてだすんだからな。 二枚におろすんだ、いいか、まず鯛を表にしてな、頭の付け根から包丁入れて真っ直ぐに中骨まで切りおとしていくんだ、そしてだ、裏返して同じ要領で切って頭を落とすんだ。 頭を落としたら、次は脇腹をしりびれの所まで、包丁を中骨に沿わせながら、真ん中まで切り離していくんだ。 そして包丁を立てて、腹骨を切って、中骨に沿わせて背びれまで頭の方から尾のほうに引きながら切り離していくんだ、 それで二枚に開くわけだ。 (四角にきった大根を)箸を真ん中にさすんだ、このくらい(3cm位?)の間隔でいいからな切っていくんだ、切れたら横に回して互い違いになるように切って、できたらまた横にして、そうそうそう、(何でこんなことをやるんだとの問いに)網の目大根作るんだよ。活き作りのしたに敷くんじゃないかよ。 そしたらそれをかつらむきの要領で剥いていくんだ、そしたら薄塩をあててしなやかになったところで開いていくんだ。かつらむきってのはこうするんだよ。 (網の目大根の上に活き造りを盛り付けたあと)本当はな、これに黄身おぼろがあれば彩りがいいんだが、今日は割愛だ。 |
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花5 |
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有為転変(ういてんぺん) [仏]世の中のすべてのものが絶えず変化して、とどまることがないこと。「ーの世の中」 (yahoo辞書より) 「そりゃあ、猿も木から落ちる、人生は有為転変だよ。苦は楽の種、今日は必ず商売開運、繁盛するに決まってるよ」(以上、花山小吉さま) 昨日今日と相談屋稼業がうまくいかない旦那が、難しい言葉を並べ立てて、半次に「なるほどねえ、なんだかよく分からねえが、簡単に見えて相談屋稼業もむずかしいもんだなぁ」納得させる。 |
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花19 |
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蟷螂の斧(とうろうのおの) 弱い者が自分の力をわきまえず強者に立ち向かうこと。蟷螂=カマキリの別称、カマキリのようにやせた馬。 お茶壺をぶっ壊そうとするとっつあんを、「それぐらいで世の中は変わらない」と説得していた大吉が、行列が町民を苦しめている 現実を目の辺りにして、「焼津の兄さん、これはしょせん、蟷螂の斧だ、しょせん無駄な戦いだということだ、しかし、目の前で町人がいじめられているのを黙って見ているわけにはいかん」と、刀を抜く。 |
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花23 |
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おからの味付け へそ曲がりな居酒屋のおやじの機嫌が直り、やっとありつけるおからの味付けに注文。 「おい、オヤジ、あのな、味付けはしつこくせんようになあ。煮魚の残った汁なんか使ったら絶対いかんぞ」 しかし、その後起こった家督相続のいざこざから、このおから、大吉は食べられなかった・・・。 |
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花26 |
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病膏肓(やまいこうこう) 治療しようのない病気、救うことが出来ない様な状態にまで深入りすること。 いくら大吉が「おれはだたの素浪人だ」とか「相談屋」だといっても、絶対に江戸の町奉行所出身だと、自分の目を信じてやまない自称「100年に一度出る名親分」の鬼源を表して、大吉がいった言葉。 「あの名親分、まだ旦那を江戸の町奉行所出身と思いこんでるのかね」「そりゃ自分のこともよ、100年に1度の名親分と思いこんでる病膏肓の名親分だからしてしかたあるめえよ」「病膏肓の名親分はよかったな」 |
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花29 |
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おからの味付け その2 断食道場に乗り込みたい半次に、道場に行かせてやる代わりに取り上げた金で、おからを肴に酒を飲んでいる大吉。お代わりのおからを注文しながら 「おやじんとこのおからは、少し味付けが薄いぞ。もう少し、煮込んで持ってこい、煮込んで」 この回は、大吉の代わりに、腹がへって道場を抜け出してきた半次が手づかみでおからを食った。 |
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花41 |
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焼きナスの作り方と刺身の盛りつけ講釈 板前が辞めてしまってしょうがなく包丁を握る居酒屋の亭主が出した焼きナスに、ショウガが付いてない。 「おめえ、ショウガ醤油で食わんと不味いだろうが」しかも、ナスは真っ黒焦げ。「焼けば何でも焦げるのは当たり前です」と居直るおやじに「おい、そう言うやけくそみたいな言い方するな、だいたい焼きナスと言うものはだな、こんなにガンガンおこった火で焼いたら駄目にきまっとるだろうがや。中火で回しながらこんがり焼いていくんだ。それにな、焼く前に金串で穴を開けとけば、火の回りも早くなるんだ」 そして、ぶっきらぼうに切ったイカの刺身をそのまま皿にのっけて客に出そうとするのを見て、「おまえ、そんなのを客に出せると思ってるのかよ」と笑い出す。「あしらいも添えずに客に出すつもりかよ」「あしらいって何です?」(大吉シャックリ) 「あしらいも知らずに正々堂々と商売しやがって。あしらいとはな、刺身のつまのことだよ。詳しく言えばだな、けん、つま、辛み、この三種があるが、これは刺身の風味を引き立てる上にも、風情を添えるためにも欠くべからざるものなんだ。」 「ついでだから教えてやるがな、けんは歯切れのいい材料を選んでだ、水によくさらして、材料によって適切な切り方をして添えるんだよ。たとえば、キュウリを使うなら千切りにするとか、輪切りにするとか、それからまたちょっと凝って松葉切りにして添えてもいいんだよ。」 「ほれ、これが松葉切りだよ(作り方はなし)。これをだなあ、こう添えるんだ。それからうめじそがあれば彩りがいいんだが、あるわきゃねえから、しょうがねえ、ショウガでも添えて出すんだ」 おやじはすっかり大吉の腕前に感服、早速板前としてスカウトしようとする。 |
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花57 |
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半畳を入れる ドニケル旦那が話している途中で、半次が茶化すような言葉を入れたとき、ドニケルは「話の途中で“はんじをいれて”くれるなよ」と言っていましたが、どうも調べても分かりませんでした。実は「はんじを入れる」ではなく「はんじょうを入れる」が正しく、「半畳」のことだったんですね。 意味は「話の途中でからかう・やじる」で、芝居小屋の敷物が半畳だったことから、芝居が気に入らない時にそれを投げたことが由来だそうです。大元は座布団投げですね。(2011年12月17日 トプ・ガバチョさま) |
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花59 |
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三百代言(さんびゃくだいげん) (1)明治前期、代言人の資格がなくて他人の訴訟や談判の引受を業とした者の蔑称。また、弁護士の蔑称。 (2)転じて、詭弁(きべん)を弄すること。また、その人。 (『広辞苑』岩波書店より) 半次が相談屋の大吉のために、身の丈ほどもある派手な看板【相談屋 花山大吉】をあつらえて来たときの大吉の言葉。 『おれはな、イカサマの三百代言が店開きしようっていうんじゃないんだぞ!』 大吉は半紙にでも書いて貼っておけば十分だと思っていた。 『あんな大げさな見せ掛けの看板を信用して来るような奴は、まずろくなのはおらんな』という大吉の言葉に反して、じいが若殿の件で相談にやって来た。 明治前期というのが気に入りませんが。時代も近いことだし、もしかすると大吉が広めた(?)のかもしれません。(2003年9月16日 相談屋さま) |
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花71 |
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春宵一刻値千金(しゅんしょういっこく あたいせんきん) 蘇軾「春夜詩」から。春の夜は、なんともいわれぬ趣があり、一刻が千金にあたいするような心地がすること。(@nifty:辞書より) 宿場についた半次が、旅篭に入る前に居酒屋で一杯やっていこうと誘ったときの言葉。半次もかなりの文化人? |
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花78 |
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前門の虎後門の狼 二人とも付け馬を連れている状況で、花山が「前門の狼、後門の虎か…」と嘆く場面がありますが、 「前門の虎、後門の狼」が正しい表現ですね。(2003年11月17日 花山小吉さま) 「前門に虎を拒(ふせ)ぎ後門に狼を進む」1つの災難をのがれるとすぐ他の災難に遭う例え(新潮国語辞典より) 業腹(ごうはら) 子供をさらった浪人達との取引現場で。要求された100両に対し、なけなしの40両を持ってきたが、それを受け取らずに浪人達は子供に刀を向ける。 「さあその前にあんたののど笛はどうかな」と、大吉は刀を突きつけている侍に小柄を投げる。 「俺はあんた達が40両で手をうてば、約束どおり、悪党達を見逃すのが業腹だが、子供を連れて変えるつもりだったんだ」 )「見逃すのが」の「が」は少々腑に落ちないのですが。「業腹」は、「非常に腹が立つこと」 だそうです。「業を煮やす」に通じる言葉なのでしょう。(花山小吉さま談 2003年11月18日) |
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い23 |
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好漢胆甕の如し(こうかんたんかめのごとし)(推測) 殿様の腹心の家来の非道をあばき、勘違いで殿様を親の仇と狙う姉弟を、無事、本当の仇に巡り会わせた勘兵衛の功労をたたえた貧乏神の言葉。 相模太郎胆甕の如し(さがみたろう たん かめのごとし)が出典のようです。ここで、 相模太郎 = 北条時宗 胆 → ここでは気力,度胸,肝っ玉のこと 甕 → 瓶(液体を入れる底の深い壺形の陶器) で、2回にわたる蒙古襲来をしのいだことを称賛し、頼山陽という人が時宗のことを『相模太郎胆甕の如し』と言ったそうです。 肝っ玉が瓶のように大きいということでしょうか。従ってここでは貧乏神が勘兵衛のことを誉めていると考え、 好漢 → よい男 を前に付け、『好漢胆甕の如し』としました。(相談屋さま 2004年5月10日) |
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