素浪人ばなし(花山の巻一)

見れぬなら、読んでみよう「素浪人シリーズ」のあらすじ。1〜26話
月影の巻一 / 花山の巻 / 天下の巻 / いただきの巻 
みなさまの記憶に頼るという、管理人お得意のパターンで行く予定です。
こんな話があった、このへんだけ覚えてる、ここ違うかも、何でも結構です、
多少の間違い、不安は物ともせず、掲示板に書き込んでくださいませ。
ちょっとだけご注意:引用文の場合は、著作権の関係から、全文書かないでね。部分引用はOK。
みなさまご自身の言葉で語る場合は、何でもOKです。
Merci beaucoup!
手作りキャスト表については、相談屋さま(企画・制作)始め、キンちゃんさま(大部屋さんご担当)、長沢威さま(キラ星女優さんご担当)、
右京大作さま(出演者のその後の活躍ご担当)、大地丙太郎監督(花園ひろみさんご担当)、どらおさま(栗塚旭方面から。ノンクレジットがお得意)、智蔵おっかさんさま(ノンクレジット再発見ご担当)の皆さまのご努力により、制作されております。 お名前の後の(NC)は、ノンクレジットで出演者として紹介されてない俳優さんです。

 ●各お話に出てきたが、タイトル横に貼り付けてあります。(相談屋さまのご提案)

オープニング


夕暮れ時なのか、あたりは赤っぽい。。荒れ野のようなところで浪人風の男たち10人くらいに囲まれたこのちゃんが、後ろ向きに立っている。バッサバッサと三人切り倒して、、、その後題字が出ました。(ひろちゃんさま 2002年3月17日)
お咲坊が
レギュラーになった時に変更になったと思います。(花山小吉さま 2002年10月29日)
「素浪人花山大吉」の字幕タイトルが出ますね。「素」と「花」で左の方で顔が字でかぶりますが槍を振り回して近衛さんに立ち向かってのはどうも俺みたいやね。と西田良さん。私がだいぶ前にお尋ねした件の答えでした。(京さまはカラーになってからとお話しされてますが、おそらく白黒の13話までと思われます。)(京さま)
(92話より)(数話で元に戻る←ま〜さま))オープニングが微妙に変わりましたね。まず、「素浪人花山大吉」とタイトルの出るとき画面がストップしますが、ストップするタイミングが0,1秒ほど早く(遅く?)なりました。今までは、斬り込んでくるカラミの顔に「花山」の文字がかぶさって、平沢彰さんか否か意見がいろいろ出されましたが、今度からはタイミングが少しズレたことにより、顔がはっきりわかるようになりました。どうやら平沢さんらしいです。
それから、「焼津の半次・品川隆二」とクレジットされるときの半次のカットが撮り直しされています。暖簾から顔を出すアクションは同じですが、横顔に変わりました。これは、思うに、品川さんか、もしくはマネージャーあたりからの要望によるものかもしれません。というのは、以前の暖簾から顔を出すカットですが、品川さんの顔が太って見えるのです。顔そのものがパンパンに膨張しているようで、コロコロして見えるのです。だから、本人からクレームがついたのでは、と思います。お咲登場編で初めてあのカットを見たとき、私も「品川隆二、随分肥えたなあ。」と感じたほどです。顔もテカッていたし・・・。(キンちゃんさま)

コマーシャルの後、番組に戻るとき

花山の剣を構えた姿と、半次が暖簾をくぐっている姿の入れ替わりで、「ララララ〜ラファレミ」でした。(ZAPOさま 2002年4月26日)

花山が正面を向いて相手をにらんだ画に続いて半次が背中に刀を持った図が、ゆっくりした花山のテーマ曲に乗って」というのと「はっそうの構えの花山に続いて何かを見上げて上を向いた半次の画が、アップテンポの花山のテーマに乗って」の2つを知ってます。
(後半のはZAPOさまのと同じもの)(花山小吉さま2002年10月29日)

エンディング

ある時までが「その話のハイライトが何枚かの静止画」で、その後は毎回同じ映像が流れていたと思います。(花山小吉さま 2002年10月29日)
予告予告のナレーション=酒井哲(とーしろーさま)


迷子のお話

以下のお話は、第93話「腕白小僧が知っていた」と判明しました。(大吉の流派は出てきてないようです。)

焼津の半次が大吉を用心棒に売り込む台詞に「放り投げた割り箸を、縦に三つにでも切り割ることが出来る小野派一刀流の使い手」というのがあったような気がします。(三四郎さま 2002年12月23日)

『割り箸を縦に三つに切る』売り込みの話、確かに聞いた記憶があります。(流派の話までは覚えていませんが)
私の記憶では、居酒屋のおやじが浪人?に脅かされていたらしく(その浪人は刀で割り箸を縦に二つに切ることが出来る凄腕)、そのおやじの悩みを半次が聞きだそうとした時、おやじが『(浪人が怖いので)割り箸を縦に三本に切ることが出来たら話す』と言い、半次がトライしたら、横に二つにしか切れなかったため、花山のダンナのことを持ち出したというものです。(相談屋さま 2002年12月24日)



「世のなか上には上がいた」 (第1話)  

<キャスト>
 花園ひろみ=紅屋一家の女若親分おしま 鈴村由美=女若親分に肩入れしている娘おさき 市村俊幸=甘酒が名物となった、流行らない茶店のおやじ 藤尾純=女若親分の島を狙う太田黒一家の親分 汐路章=鎖鎌の浪人 阿波地大輔=槍使いの浪人 鈴木金哉=最初に大吉に因縁を付けた浪人 日高久=おからを仕込み中だった居酒屋のおやじ 唐沢民賢=在りもしない甘酒屋を懐かしがる旅の男 山口朱実=在りもしない甘酒屋を懐かしがる旅の女 牧淳子=おからを置いてなかった料理屋の女中 西田良(NC)=太田黒一家の用心棒の一人(絣っぽい模様の着物)

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 照明=松井薫 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=寺島孝男 装飾=木村雅治 装飾=小川芳男 記録=篠敦子 助監督=福井司 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行主任=中久保昇三 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET、東映京都テレビプロ

兵庫と別れて旅を続けていた半次は、ある宿場で兵庫そっくりの男、花山大吉を出会った。あまり似ているので、ネコを見せるが平気。別人と分かるが、兵庫よりちょっぴり上品なのに、おからを肴に酒を飲むと品が悪くなる。その差の大きいのに半次はあきれる。
旦那と半次の出会いの場面。兵庫と半次の別れが水辺だったのに対して、山道だったように記憶しています。
花山の旦那を見かけた半次は、月影の旦那にそっくりで思わず声をかけるけれど、別人らしい。ネコを見ても怖がらないので「やっぱり別人だ、、」のように納得せざるを得ませんでした。 (ひろちゃんさま 2002年4月5日)

兵庫と別れた半次が、自分の半身が無くなったような寂しさを覚えているところに、兵庫が通りかかって、半次はびっくり。自分をかついだと喚き責めるが、男は、「人違いだよ」と覚えのない様子。「おれは花山大吉」と背中の「花」の字を見せる。
半次は、浪人の肩にネコを乗せる。しかし、浪人は「よしよし」と言いながらネコを放るし、半次が蜘蛛に驚いても、訳のわからない顔。
逃げていった半次に「あの男、きじるしではないようだが、お粗末の一言につきるな」
冷静に考えると確かに兵庫とは違う。着物が違う。食べ物の味にうるさい。飲み食いは静かにする主義。景気の悪い茶店で、商売繁盛の相談に乗ると、たちまち、その店は繁盛。しかも言いがかりをつけてきた浪人たちを鉄扇で軽く迎え撃つ腕前。
ただ、緊張すると出てくるシャックリ、瓢箪に入れた酒を飲むととたんに不思議に収まる。
2人があらためて自己紹介し「静かに」飲んでいるところに、娘が大吉に助けを求めて入ってくる。
娘は、紅屋一家のしまを横取りしようとするあこぎな田黒一家をやっつけて欲しいと言う。半次は、別嬪の若親分おしまの手助けに乗り気だが死をかけて戦う覚悟のおしまに大吉は、「ヤクザの意地や名前なんか、そこらの小石ほどの値打ちもありゃせんよ」と言う。
田黒一家が乗り込んでくるのを居酒屋で待つ大吉のもとに、ようやくできあがったおからが運ばれてくる。大吉は、上品に皿に盛ったおからを半次の分も、すぐに平らげてしまう。酒もがばがば。その様子を見た半次、
「おいおかわりはどんぶりでもってきな」「すさまじいねぇもう。これが通人の飲みっぷりだっていうのかねぇ」
あっという間に、台の上には空の徳利と皿の山が。先ほどまでの上品な大吉との落差に半次はあっけにとられる。
おまけに大吉は口が悪くなり半次を能無し・バカ呼ばわりし始める。
「焼津のばかたれが、酒がないぞ」「もうやめにしろ」といさめる半次に、「このボケが。おめぇな二度とそんな口をききやがったら、一寸刻みにして畑の肥やしにしてやるぞ、このうすらぼけが」「おれはなぁ、おからを肴に酒を飲むと、はめをはずすんだ、文句あるか」
頭にきた半次は、「このおからぼけが」と居酒屋を出ていく。
翌朝、半次は、一人で紅屋一家の助太刀をするが
(←thanks相談屋さま)、鎖鎌に刀をとられ、危機一髪。そこに大吉が来る。
「おれは見かけの通りの優男だが、悪党は退治する男だ」・・・・・
おしまは、昨日の大吉の言葉に、ヤクザのおろかさをしり、足を洗うと約束する。
「あ、忘れとったが焼津の、おまえに渡すものがある」と、大吉は半次に紙切れを渡す。「昨日の勘定だよ、たのむぞ」とささやき、さっさと旅立つ大吉。
そこには、酒48本、おから68人前。「冗談じゃねぇや。ちきしょう。おれ、昨日はほとんど飲み食いしてねぇんだよ。野郎、こうなったらどうなるかみていろ」と、旦那の後を追う半次。
見どころ:雪花菜(おから・きらず)の旦那だけあって、まずは鉄扇、最後の最後は真剣。やはりチャンバラは、見せ所。
鎖鎌を鉄扇に巻き付けてきた相手を牽制しながら、襲ってきた別の相手を懐にいれたところで素早く逆手で刀を抜いて斬る。4人を次々と。
「舌を大事にせん人間は生きる楽しみを一つ無駄にしたおろかもんだ」おからは「酒の肴には日本一、一番だ」と、おからがいかに優れたつまみかを半次に講釈。
「いかんな、その下品な態度は。酒は静かに飲んでこそ、快く酔えるもんなんだ」と騒がしい半次をたしなめる。
自分の酒を勧める半次に「いや、冷えたのはいかん」いづれも 上品な大吉で、鼻にかかった声なのが面白い。
半次は、大吉を「相談屋の旦那」、下手に出る時は「花山さんの旦那さん」と呼ぶ。(以上 じゅうよっつ)
コメント:第一話の中で大吉がさしている刀、あれはまぎれもなく月影の刀です。長いんです。柄の部分を見てください。立ち回りシーンは早すぎて見えにくいのですが、居酒屋で半次と向き合って座っているところなど、明らかにのちの大吉の刀より長いのです。ところが、オープニングタイトルでは短くなって(それでも他の役者さんのよりは長いですが)います。想像ですが、オープニングの撮影より前に本編を撮っていて、小道具が間に合わなかったとか・・・そんな理由ではないでしょうか?(キンちゃんさま 2005年4月24日)


「やっぱりふざけた仲だった」
 (第2話) 

<キャスト> 葉山葉子=十手持ちの娘おみつ 田中春男=偽金作りを追い求める、老十手持ち 桑山正一=おとぼけ浪人
中村是好=大吉に山菜料理の作り方を教えてもらった、えびす屋のおやじ 三原葉子=半次とよく出くわす、偽金作りの見張り役の女
広野みどり=半次に山菜の塩浸しに酢をかけるかと聞いた茶店のばあさん 小倉康子=おからはあいにく置いていなかった居酒屋の女将
中村錦司=偽金作りの首領,南堂 榎木兵衛=大吉に呼び出されたマムシの源治 三浦徳子=おからは品切れと言って持ってこなかったえびす屋の女中 西田良(NC)マムシの源治の手下の一人(格子柄の着物)

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 照明=松井薫 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=寺島孝男 
装置=木村雅治 装飾=小川芳男 記録=篠敦子 助監督=福井司 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=山田勝 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET・東映京都テレビプロ

半次は大吉に持たされた勘定書に頭に来て、「シャックリ野郎でおからを食いすぎちゃあ暴れ回る相談屋野郎」を見なかったかと、大吉をさんざんこき下ろしながら探し回り、旅籠で立て直しの相談を受けている大吉を見つける。
さっそく昨日の勘定の文句を言うが、なかなか相手にされない上、「うるせえな、営業中につべこべ言うな」と一喝される。
ところが、町のダニどもをやっつける間にも旅籠の名前を考える余裕をみせる大吉と、一緒に風呂に入り、相談のお礼に特別用意された大名用の部屋に案内され、大吉の山菜料理の講釈を聞いているうち、半次は、いつの間にか旦那に感心している自分に気づく。
「おれはこの旦那のことを深く頭にきてたんだよ、それがいつのまにか一緒に風呂に入っちゃってよ、この旦那、こら妙な人徳があるんだな」
しかし、そう思ったのもつかの間、翌朝、相談料にもらった一両の両替を頼まれた半次は、その一両が偽金であることが判明し、偽金作り一味として長年一味を探していた岡っ引き父娘に捕らえられる。
後からやって来た大吉に、「てめえこの山菜野郎、てめえよくも偽金の両替をおれに頼みやがったな」と文句をつけ、「犯人はこいつだ」と、岡っ引きに大吉を捕らえるように促す。
「御用だ御用だ」としつこく迫られ、大吉はシャックリ。「おい焼津の、早く酒を入れてきてくれ」今日も瓢箪の中は空だった。
4人で昨日の旅籠に戻ったことで、大吉は潔白、相談料の一両の出どこが、昨日同宿だった浪人だったと分かる。
とがめるような旦那の目つきに、半次は、「俺’御用’呼ばわりされたんでね、頭かっかきちゃって。いやいや、花山の旦那はりっぱなお方決してそんなことをするお人じゃねえと思ったんでござんすよ、思ったんでござんすが、舌の野郎が勝手にべらべら動いちゃって・・」
「もうやめろ、おまえに言うことはねぇよ、まさに恐るべきお粗末さだなぁ」「申し訳ないんでござんす」
その浪人は、宿場のあちこちで一両を使っていたことが分かり、偽金作り一味の探索に、大吉らも手を貸すことになる。
が、茶店
(←thanks相談屋さま)で突き止めた浪人も、実は、偽金一味に使われた方だった。浪人は、芝居ものから芝居のネタにするからと、一晩で十両をくずしてきっかり一両を使って欲しいと頼まれたという。浪人と半次らのやりとりの最中、奥から女が出ていく。
この女、半次が昨日大吉を探し歩いていた時も、今朝の旅籠でも、ずっとこの浪人につかず離れずだった。大吉は、女を浪人の見張り役と睨み、娘にあとをつけさせる。案の定、女の行った先は、怪しい一団のいる居酒屋だった。一味は宿場宿場で、人の良さそうな人間に偽金を使わせ本物の金とかえていたのだ。
「おれはおめえのおかげで一両棒に振った素浪人だ。もう四の五の言うことはあるまい、一両分はたっぷり痛めてやるぞ」・・・・・
「おかげでおとつあんの首がつながりました、ありがとうございました」と礼を言う岡っ引き父娘。
大吉はおかみを探し店の中に入る。「この店におからはあるか」「おからはあいにく置いておりませんが・・」うらめしそうにさっさと出ていく旦那。
「旦那、どこへ行きなさるんだい」「おからのない店で俺が酒を飲むと思うのかよ、ばかたれが」先を急ぐ大吉。
「どうだいまぁ、おからがないでとうとうばかたれか飛び出したぜ。しかしよ、俺、何だか花山の旦那がすっかり気にいっちゃったぜ、こらぁきっと相性がいいのかなぁ」「おい旦那、ちょっと待ってくれよ」と走って後を追うところに蜘蛛が・・。
見どころ:山菜料理の講釈は、聞いていてもおいしそう。鉄扇で戦う時には、逆手斬りのように左手てのひらで元を支えるんだなぁ。
文中以外の半次による大吉表現「年の頃なら40すぎで大柄」「かたり野郎」「しゃっくりおからの相談屋」
「まったく料理に詳しいね、こりゃどっかの大名家でまかない方かなんかやってたんじゃないのかね、しかしそれにしちゃ剣術の方もめっきり腕はさえてるしよ。これは俺も学のあるとこ見習わなくちゃならないぞ」(山菜料理の講釈を聞いて)
「へぇ、扇子で山鳥をねぇ、すげえ腕前だね。こりゃあひょっとすると前の旦那より上かもしんねぇなぁ。」
(鉄扇で山鳥を捕るので先に行って一両両替しててくれと言われ。結局は捕れなかったが。)
コメント:居酒屋で大吉が口の端に味噌をつけながら半次と近づきになる場面は、もう最高でした。大吉と半次が兵庫について語り合うという、ファンなら卒倒しそうな名場面。なんという贅沢!とくに兵庫のことを「そういうヤツは人間の中でも最低だア」という台詞には、もう舞い上がってしまいました。
何度もリピートして見ています。やっぱり、この二人は、ドラマ史上、傑出した名コンビだと改めて確信した次第です。初期の頃はまだ「月影」のテイストが残っているから、「大吉よりは兵庫」ファンである私には特にうれしい限りです。
(キンちゃんさま 2005年4月24日)
葉山葉子さん:茶目っ気のある役を演じている葉山葉子さんは当時23歳の若さでしたが、薄幸で耐え忍ぶといった役柄が多い彼女としては貴重なものと思います。(長沢威さま 2013年5月25日)


「男が男に惚れていた」 (第3話) 

<キャスト> 長内美那子=抜け荷の証拠探しのために三崎屋に潜入した、おしの 大塚国夫=絵師に変装した新米与力
森塚敏=三崎屋 千葉敏郎=虚無僧に化けた殺し屋(最初に笠を取った3人の内の中央) 児玉謙次=酔って半次に殴られた三崎屋の若旦那、平蔵
香月凉二=三崎屋の番頭 新屋英子=商売繁盛している茶店のばあさん 仁礼功太郎=半次が若旦那を殴った居酒屋のおやじ

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 照明=松井薫 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=寺島孝男 
装置=木村雅治 装飾=小川芳男 記録=高木弘子 助監督=浜比呂志 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=山田勝 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET・東映京都テレビプロ

旅の道連れと決めた大吉にからかわれ、「しゃっくりおからの相談屋野郎」と半次が喚き立てているところに、突然、尺八の音が聞こえてくる。
やがて虚無僧姿の一団
(thanks相談屋さま)が現れ、二人は理由もなく襲われる。虚無僧らはかなりの凄腕、大吉でさえ、危ういところだった。
だが、大吉にも半次にも、襲われる心当たりはない。連中は誰かに頼まれた殺し屋のようだった。
茶店で大吉が相談屋の商売をはじめようとしている間も、半次は心当たりを考えていた。と、そこに、今朝親切にした女が現れ、礼を言われる。
女はしかし、落ち着かない様子、半次が、帰り道殺し屋の虚無僧がいるから気をつけろと言うと、異常に脅えて去っていった。
女が、港町・細住の廻船問屋三崎屋に奉公しているおしのと聞いたとたん、半次は、昨日居酒屋で三崎屋の若旦那を殴ったことを思い出す。
三崎屋なら殺し屋を雇う金は充分にあるぞと、二人は三崎屋に乗り込んだが、平身低頭、昨日のことを謝る若旦那の平蔵に、半次は自分の勘違いが恥ずかしくなって早々に三崎屋を出ていく。
二人が茶店に引き返す途中、怪しい絵師が「花」「花」と二人に呼びかける。「旦那、誰か呼んでる、呼んでる」「花っていうやつがあるかよ、俺は花山大吉というんだよ」と言うと、あわてて、独り言だ、花の咲いているところを探しているという。怪しんだ大吉が、「そういえば三崎屋の庭には花が」とカマをかけると、絵師はあわてて走り去っていった。その行方を見ようとした半次に蜘蛛が・・。
すっかり三崎屋への疑いを退けた半次とは逆に、大吉は、三崎屋、半次の出会った女・おしの、先ほどの絵師の間になにか関係があると睨む。
大吉は、人目に付かないよう茶店の奥に陣取る。半次には、旦那の考えがさっぱり分からない。殺し屋のことも、絵師のことも「分かんねえ、分かんねえ」
大吉が半次に自分の推理を話している時、三崎屋平蔵がいそぎ通りすぎる。平蔵を追えば、事件の謎解きが出来る。二人が追跡を開始しようと茶店を出ようとした矢先、大吉が立ち止まり、半次が不審な顔。「行く先で例のやつが出るような気がしてな」と瓢箪に酒をつめる。
平蔵をつけていく先に、先ほどの絵師とおしのが姿を見せた。旦那の推理通り、
絵師は稲葉家船奉行の与力、三崎屋の嫌疑を探索中謎の死を遂げた与力の娘おしまとともに、三崎屋の抜け荷買いを探索していた。証拠をつかんだ二人は、三崎屋からほうほうの体で逃げ、城下に向かっているのだが、殺し屋に阻まれてここで立ち往生していたのだ。おしまと今朝会った半次は、この与力と間違われ殺されそうになったと言うわけだ。
「花」「山」は、幕府から三崎屋を取り調べに来た隠密と落ち合う時の、合い言葉だった。
そこに尺八の音。どうやらかぎつけてきたようだ。
と、しゃっくりが出る。「今日は備えがあってよかったな」と言って半次が差し出す酒を飲み、「よかったぁ」・・・
凄腕の殺し屋を片づけた旦那にすっかりぞっこんの半次、「見事としか言いようがないよ、俺、旦那の腕と気っぷに惚れたよ」
「気持ち悪いこというな」「旦那は行きずりの男とおしのさんのために一つしかない命をはったんだぜ、今どき、こんなうれしい男はないねぇ、
俺はね一緒に道中することに決めたよ」「いい加減にせんか」
半次と大吉の会話:1)冒頭、大吉の素性を知りたがる半次とそれに答える大吉の会話。
「なにか目的があって旅をしていなさるんでござんすか?」「まるでないな」「ほんじゃあ行く先は?」「ああ、足の向いた方だ」
「なんとまぁひねくれた答え方だね、で、どっちからきなすった?」「忘れたなぁ」「生まれ故郷を忘れるほど長え間旅をしてなさるんでござんすか?」
「長いと言えば長い短いと言えば短い」「これはこの前の旦那野郎とどっこいどっこいのすっとぼけだな」と独り言。
さらに「俺はな、金ぐらが2つ、部屋数が38あるさる屋敷で人間稼業を始めたんだが、4才で初恋してな、6才で女に興味を失ったんだ、
それからな世の無常を感じてな、今日まで気楽な旅を続けてきたっていうわけだ」とからかわれ、頭に来た半次は「しゃっくりおからの相談屋野郎め」と喚き出す。
「おめぇもう少し上品な口がきけんのか」と大吉に言われ、「てめぇ、おから食ってるときのてめえはどうだいてめえ、酒がぶ飲みしやがっておからがつがつ食いさらしやがって、二言目には目ん玉つり上げてばかたればかたれどなりやがって、あのざまが上品だとでもこくのか、この」「あれは不可抗力だよ」なおも大吉にくってかかる半次に、「いいかげんにしねえか、そのおからが俺は無性に食いたくなってきたんだ、おめえのせいだぞ、全く罪作りなやつだこのばかたれが」
2)虚無僧から助けてもらった半次、「前の旦那野郎だと、ここでさっそく命の恩人風吹かしていっぱいおごれが始まんだがよう」「お前何をブツブツ言っとるのか」
3)「味噌問屋の相談に乗って名案が浮かばずに味噌をつけた」と、殺される心当たりを話す大吉に冗談はやめろと半次、それに対し、「世の中にはな、ほんの些細なことでも逆上したり、理由もなしにとんでもねぇことをやるやつがいるもんだ」と半次の方を見て笑う。
「はあはあ、ほんの些細なことでも・・・」え、自分のこと?と気づく半次「まぁまぁいいでしょうよ、ええ、ええ」
4)花山の旦那と旦那野郎(兵庫)をいつの間にかかぶせている自分に気づいた半次、「何ぐずぐずしてるんだ、急ごうってばよ」はっと気づき恐縮する半次「こりゃ驚いた俺は三崎屋のことで夢中になっちゃってよ、旦那を以前の相棒だった旦那と勘違いしちゃった、花山の旦那、ぞんざいな口きいて申し訳ございませんでした」
「結構だよ、おまえなんかぞんざいな口しかきけんだろうが、それで行け、それで」「さいでござんすか、ほんじゃまぁ、これからはぞんざいでいかせてもらいやす、そうと決まったら、おい、花山の旦那行こうぜ」笑いあう二人。
見どころ:殺し屋の虚無僧は、凄腕の設定。緊張で顔をふるわせる、相手の動きに素早く反応、このちゃんの立ち回りもそれだけ気合いが入っているのが目に見えて分かる。鉄扇と刀の二刀流!
旅の場所:三崎屋→神奈川県三浦市三崎町の三崎屋(きっと大地主だ)。細住の港には手がかりなし。(by MICK探偵 2003年3月3日)
コメント:初期の大吉は、普段の黒襟グレーの衣装とは別の、セカンドの衣装で登場することが多かったのですね(3話、5話、6話)。
で、この衣装がまた月影の衣装とそっくり。しかも、懐手をしながら胸の辺りを撫でるようなしぐさをすると、いよいよ月影そのものです。
これは、演出なのか、近衛のクセ(月影が終わったばかりなのでクセが抜けていなかった)なのか、不明ですが、とにかく第二衣装で登場した初期の大吉を見ていると、月影兵庫を見ているような錯覚に陥ってしまうのです。(キンちゃんさま 2005年5月2日)
第3話を観ていたら、大吉の着物が兵庫風に変わっていたと思いきや、半次のサイコロ帯も十字模様のものに換わっていました。で、第4話では着物が1・2話のものに戻り、半次の帯もサイの目に。第3話は後で撮ったものなんでしょうね。ちなみに、第5話の予告で、また兵庫風着物が映ってましたね(^∀^)(トプ・ガバチョさま 2013年6月1日)



「一人残らず抜けていた」 (第4話) 
(thanks 南まさとさま)

<キャスト> 由利徹=三人組、松(お兄ちゃんと呼ばれている) 佐山俊二=三人組、梅(最後は留守番) 谷村昌彦=三人組、竹(大吉を板前と間違える)
嘉手納清美=お兄ちゃんの女房おみね 柴田美保子=三人組にかくまってもらった成田屋の娘きく 
阿井美千子=大吉のためにおからを味付けした、三人組梅の女房およし 山口真代鯛に塩ぶっ掛けて焼いちまおうとした、三人組竹の女房おさと  
滝恵一=すれ違うとき、大吉にぶつかった浪人小林 奥田義博江戸で茶の湯を教えているという、実は女衒の主役白山
川浪公次郎=浪人小林が大吉に切りかかるのを止めた浪人吉野

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 照明=松井薫 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=寺島孝男 
装置=木村雅治 装飾=小川芳男 記録=高木弘子 助監督=浜比呂志 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=山田勝 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET・東映京都テレビプロ

半次は、旦那に無断で料理の講習を引き受け、「経済成長の波に乗ってな、めざましい発展を・・さっぱり示しとらんよ」と懐の寂しい大吉を、なんとか連れて行こうとする。「あの男、まさに恐るべきおっちょこちょいのめでてえ男だが、こんなのと付き合ってると、しめえには俺も感化されてしまうぞ」「旦那なんか言ったか?」「いや、めでてえ、めでてえ、言うことナシのめでたさだよぉ」二人は仕事先へ向かう。
着いたところは長屋なのに、亭主たちはこのところ料理屋でしか食事をしないというし、しかも教え料は1両と、えらく景気がいい。
初めは嫌々だったが、大吉もびっくりの見事な鯛にがぜん意欲を出す。
材料とともにもちろん、おからも買ってこいと指示。酒の好きな亭主には、「おからと活き造りがあればこの世の天国だよ」とのたまう。
「おから、勘弁してくれよ」とすこし心配顔の半次も加わり、大吉による活き造りと網の目大根の講習が始まる。素浪人いろいろ(四) 花4
網の目大根を慣れない手つきで作る半次、手を切って「痛え痛え、指が網の目になっちゃった、バラバラになっちゃった」
ところが、帰ってきた亭主たちは3人が3人ともすっとぼけた男達。「俺はあいつらのために活き造りを教えたかと思うと泣けてくるよ」
手づかみで活き造りを食うわ、騒がしいわで、「いい加減にせんか、食い物というものはな、 静かに味わうべきものなんだぞ(thanks相談屋さま)」と
説教、3人はすっかりしおらしくなり、おとなしく飲みはじめるのだった。
「それはそうとおからはどうした」大吉の言葉に半次はあわてる。しかし、やがて運ばれてきたおからを食い始めた大吉、とたんに下品になる。
「旦那、もうちっとみっともよく食ってくれよ。この前と違って、俺一人じゃねえんだ、いくらおからに目がねえかしらねえが、酒くらいすぎて品のない暴れ方するんじゃねえよ」と小声で旦那を諭すが、そんな半次の心配をよそに、酒をつげ、バカタレを連発する大吉。
3人の亭主は、がらっと変わった大吉にあっけにとられる。「遠慮するな、おからを肴に飲む時は別だ、派手に行け」との大吉の言葉に、そんなものかなぁと、3人も歌い踊り出す。「あ〜あ、こりゃもうおしめえだ」覚悟を決める半次。
翌朝、酒を飲み過ぎ暴言を吐いたため、教え料をふいにしたと聞かされ、「これから先はおからも程々にせんといかんか」「程々に願いたいねえ」そこにおかみさん達が助けを求めてやってくる。侍たちがきて亭主たちに刀を突きつけていると言うのだ。
大吉らが行ってみると、そこには、昨日「旅姿の別嬪の娘を見かけなかったか」と探し歩いていた男達がいた。男達は、大吉の強さに退散。
最初は口を開かなかった亭主たちも、かみさんに説得され、わけを話し始める。
亭主らは、かくまって欲しいと頼まれた娘に10両渡され、4日前からかみさんにも内緒で、二子山(thanks相談屋さま)のそま小屋にかくまって世話をしていたのだ。侍達は、急に羽振りのよくなったこの亭主らをくさいと、やって来たのだった。
大吉らは亭主にそま小屋に案内させる。(途中、半次は蜘蛛にでくわす)娘(柴田美保子、
thanks右京さまは、あけぼの宿の生糸問屋の娘で、江戸の屋敷に行儀見習いの話があるとだまされ、他の多くの娘たちとともに女衒(ぜげん)に売られそうになった(thanks相談屋さま)ところを抜け出してきたというのだ。娘の話が終わった頃、先ほどの侍達は、もうここに、大吉らのあとをつけてやって来ていた。「断っておくがな今度は容赦せんぞ」
続いて半次も啖呵をきろうとした矢先、シャックリ。「でた」「早く酒を」「酒なら入ってるだろ、そんなことがあっちゃいけねえと思って俺、ちゃんと入れておいたんだ」「助かった、焼津の、おめえなかなか気のきく男だな。おい、待たせたな」・・・
礼を言う娘。帰ったらおかみさんになんと言われるだろうとなさけない顔の亭主達。「十両の方は助かったけんど、母ちゃんの方は当分助からねえなぁ」
亭主達を見て鉄扇で仰ぎながら笑っている半次、「これどうも」と旦那に渡す。受け取った鉄扇を半次に向けて「助かったな」と二人で大笑い。
見どころ:一人の刀を受けてくるりと回って次を倒す。後ろの相手をけん制しながら、前・横の相手を睨む。やっぱ、このちゃんの殺陣はスゴいの一言。
これですでに下り坂と聞いたが、そんなバカな!と言いたいくらい。
ラストの立ち回りで、「旦那てば〜」と助けを求める半次の相手に、左手で鉄扇を投げ、拾った半次が自分の頭でそれをコンとやり、「あいた、ありゃ、こりゃ鉄だわ、こりゃ」と、大吉の扇子が鉄製だと判明する。
(ね、MICKさま)鉄扇は無地。
三人の亭主を演じるコメディアン(由利徹、谷村昌彦、佐山俊二)の息が合う。かあちゃんらはほとんど標準語に近いのに、亭主らはひどいナマリという、不思議な設定(?)がまた面白い。それに負けない、このちゃんと品川さんの掛け合いが加わり、面白さ倍増。
旅の場所:二子山→神奈川県鎌倉市・逗子市の近辺にある標高208m程の二子山。
それ以外は海から遠い(=鯛が入手できない)のばかりでした。(by MICK探偵 2003年3月3日)


「あわれ十五の春だった」 (第5話) 

<キャスト> 正司歌江=雄坊にウソをついた、おとくばあさん 五味竜太郎=『よせ!』大吉との争いを止めた三人組浪人、赤間道場の主
石浜祐次郎=店をたたんでいる居酒屋のおやじ 海老江寛=可愛そうな恋之介の病気で悩んでいる呉服問屋、和泉屋の旦那
高宮克己=外に出られない身の上の十五歳の少年、雄吉(ゆうきち) 宮城幸生=顔に傷のある、三人組浪人の一人
島田秀雄=おちよに言い寄り,雄吉に殺された太助 城健二?? 最後は半次と切り合った三人組浪人の一人か??
森本隆=竹馬が得意で、半次にぶつかった少年 清水まゆみ=店をたたむ居酒屋で働き、弟同然の雄吉の面倒を見ているおちよ

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=荒井岱志 撮影=脇武夫 照明=林春海 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=寺島孝男 
装置=松井三郎 装飾=小川芳男 記録=藤原凪子 助監督=尾田耕太郎 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行主任=丸本晃 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET・東映京都テレビプロ

「半次は、高札に掲げられた皆殺し強盗の賞金5両にありつこうと、旦那に話を持ちかけるが、「与力や同心のマネはごめんだよ」と断られる。
しかし、相談屋の仕事を持ちかけた居酒屋からは、例の強盗がこわくて商売をたたむからと断られ、紹介先の呉服屋では、犬の病気を治してくれと頼まれ、まったく、商売にならない。ここらで起死回生を計ろうと考える二人に、困った様子の娘の姿が目に入る。
娘は先ほど大吉が断られた居酒屋で働くおちよで、どうしてもまとまった金が要る
のだという。二人は相談にのることにする。
おちよには、弟同然に面倒を見ている15歳の少年・雄吉がいた。雄吉は、1年前、おちよにしつこく言い寄る男・太助を刺し殺し、15になった今年、島送りされるという。雄吉を心配するおちよは、雄吉とともに島へ渡り、一緒に向こうで暮らす金を貯めているというのだ。
相談の途中、雄吉が行方不明になる。大吉と半次が探していると、また押し込み強盗が起こる。被害にあったのは、昼間の居酒屋だった。
心臓を一突き、犯人は腕の立つ侍のようだ。そういえば、あのとき、顔に刀傷のある浪人らが大吉に絡んできた。
雄吉が見つかった。雄吉は、雄吉らの面倒をよく見てくれる近所のおとくおばさんから、おちよが嫁に行くと聞かされ、ショックで家を飛び出したのだった。
さらに、おちよが太助を殺したと思いこみ、1年前身代わりに犯人を名乗り出た雄吉に、大吉は「おちよちゃんは犯人なんかじゃない」とその根拠を話してやる。
しかし、一体どうしておとくおばさんは、そんなうそをついたのか?4人はおとくおばさんの所へ。
「雄坊を島送りから逃がしてやりたいと思ったんじゃないか」、「太助殺しについて何かを知ってる、殺したのは誰かね」と問う大吉と、「話して」とすがるおちよに、おとくはやっと重い口を開く。
おとくおばさんは、幼い子供二人を殺すぞとおどかされ、太助が殺された現場を見たことを口止めされていたのだ。
あの晩、押し込みを目撃した太助は、強盗一味をゆすり、逆に殺されたのだった。
「浪人の一人は顔に刀傷があったろ」との大吉の問いにうなずくおとく。大吉らは、男らのいる道場へ向かう。
道場の前で半次が立ち止まる。「いけねえいけねえ、旦那、シャックリ止めの酒を入れるのを忘れたじゃねえかよ」
「ああ、酒は要らんよ、今日は体調すこぶる好調だ」・・・・
「よかったな雄坊、これでまたねえちゃんと水入らずで暮らせぞ」喜ぶおちよと雄吉。
「焼津の、ひとっ走り役人に届けてこい。賞金の5両も忘れずに催促するんだぞ」「すっかり忘れてたわ」「5両ありゃ、この二人もささやかな駄菓子屋ぐらい出せるからな」「旦那いいこというね」
「今夜はおからでささやかに前祝いといくか」「おー、そうしよう、ささやかにな(笑っていたが、ふと困り顔になって)でもおからかや」「なんだその顔は」
半次の言葉:居酒屋で人相の悪い浪人達に因縁をつけられ囲まれた大吉の瓢箪に酒が入ってないことに気づく半次の独り言
「いけねえ、旦那、昨日は素寒貧だったんだよ、するてえと、あの瓢箪には酒は入っちゃいねえ、シャックリが始まったらえらいことだ、こら瓢箪に酒つめるしかねえぞ」と、すでに相手に対し構えている大吉から無理矢理、瓢箪をはずそうとする。
「何しやがんだよ、妙なまねしやがって、このばかたれが」と怒鳴りながら旦那は浪人達に応戦する。放り出された半次は、「なんだよ、旦那は斬り合いの前に必ず緊張してシャックリが出るもん と思ってたが、出ねえこともあるんだな、何と、人間の体ってのは不思議にできてるもんだな、こりゃ」とまた独り言。今回は、シャックリは全く出なかった。
相談屋の商売をしようと呉服店に入る時、大吉が「商売というのはな、何でも自信をもつことが必要なんだよ」と言われ納得した半次、「自信をもっていかなくっちゃ」そこにぶら下がっているクモ。「出た〜旦那、自信がなくなちゃった」(以上じゅうよっつ)
コメント:清水まゆみさんが太助に襲われそうになる場面での、シンバルと小太鼓による曲は、「櫛の色は赤かった」で殺人現場を目撃した娘が駕籠でさらわれる時をはじめ、しょっちゅう使われていた曲です。(キンちゃんさま 2005年5月2日)


「若様はおからが好きだった」 (第6話) 

<キャスト> 沢本忠雄=おから好き若様、長太郎 原健策=じい 伊沢一郎=若様のお命を狙う国家老、大草帯刀(おおくさたてわき)
柳川清=癖のある戸が自慢で『おから無い』居酒屋の偏屈おやじ 浅川美智子=半次に固めの杯を取らせようとした居酒屋の酌女
有川正治=若様を狙う家老の手先、鳴海関十郎(なるみせきじゅうろう) 松田明=大吉の泊まった旅籠巴屋の番頭で、大吉を若様と間違えた男 
有島淳平
半次が酌女に追いかけられ、慌てて駆け込んだ旅籠秋葉屋の番頭
古閑達則じいのお供、又四郎(若様の着物、刀を持参) 笹木俊志=じいのお供、新八(じいのために障子を開ける)

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=長谷川安人 撮影=柾木兵一 照明=松井薫 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=寺島孝男 
装置=木村雅治 装飾=小川芳男 記録=松尾美智子 助監督=久郷久雄 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行主任=中久保昇三 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET・東映京都テレビプロ

半次は、おべんちゃらを言ってすっかりその気になった娘に追いかけられて逃げ込んだ宿屋で、高須藩の若さま・長太郎と相部屋になる。
若さまは、気位が高いが持参金をたっぷりもった姫君とのお見合いがイヤで、城を抜け出していた。見合いを壊す相談を気軽に引き受け、半次は大吉の所へいく。「焼津の兄さん、おまえさん年はいくつになったんだ」「あ?」「子供の使いじゃあるまいし、5両もらって喜んでとんでくるバカがあるかよ、相手もりっぱな姫君だろうが」「そうそう、そういってたよ」「その縁談をぶち壊すのがどうして簡単なことなんだよ」
「そりゃそうだけどよ」「分かってるんならなぜその場で断らんのだい」「おれはおったまげてたんだよ」
それを聞いてさらにあきれる大吉「おい、焼津の兄さんよ」「はいはい」「俺はいい加減な気持ちで相談屋なんかやっとるンじゃねえんだぞ、俺は責任の持てないような相談には乗らん、若君には自分の縁談くらい自分で断れといっとけ」とさんざん説教され、ションボリ引き返す。
ところが、その話を聞いて、若さまはますます大吉に会ってみたくなり、翌朝、二人は、朝からおからを肴に酒を飲んでいる大吉の宿を訪ねる。
おからというものを初めて食べた若さま、「珍味じゃ」とすっかりおからが気に入り、最後には、おからの取り合いになり、大吉に鍋をとられる始末。
次に半次が、丁半バクチを教える。これで2、30両は稼げるともくろむ半次だが、ビギナーズラックで勝ち続けるのは若さまだった。
そこに、若さまを捜していたじいと家来が、若さまを捜し当ててくる。じいと若さまの間に座って話を聞いている半次は、さいころを振った茶碗が気になってしょうがない。若さまは、城へは帰りたくないと突っぱねる。
しかし、事態はそんな悠長な場合ではなくなった。若さまの無事を知らせに城に戻る途中の家来2人が、刺客に斬られる。
それを相談屋稼業から帰る途中の大吉が目撃(介入した際シャックリが出る。瓢箪は相談を受けた居酒屋においてきていたが、幸い、大吉に恐れをなして相手は逃げた)、「あんたこの二人がなぜ殺されたか分かるかね、この二人はな、城を抜け出したあんたが見つかったことを知らせに帰る途中だったんだ、あんたが行方しれずになっていたほうがいいと願っているものが城の中にいると言うことだぞ、あんた、今までそんな連中が足下にいることを少しも気づかなかったのかい、おめでたいバカ様だったわけだ」「捨てておいたらあんたのうちは、そんな連中のためにめちゃくちゃにされちまうぞ、まああんたは、気に入らない女から逃れるために3万石を捨てるつもりになったんだからな、家がつぶれようとどうなろうと知ったことじゃねえだろうが、一つだけ言っておくよ、そこで冷たくなってる二人は誰のために命を落としたんだ、あんたのために死んでいったんだぞ、あんたのためと言うことはだな、お家のためにだぞ」
「これ以上とやかく言うのは止めておくよ、俺の領分外だからな、焼津の、いこうや」と大吉は半次と出ていく。
大吉の言葉に目の覚めた若さまは、城に帰り、自ら城内の不穏な動きと縁組みに立ち向かう決心をした。
城へ帰る途中、刺客に襲われた若様一行を、心配してつけてきた大吉・半次が助ける。(クモが出て、半次はじいに助けられる)
その正体は、家老の手下達。一人の懐から、若さま殺害命令の家老の手紙も見つかる。家老は、若さまの親戚筋にあたり、若さまが城に帰らなければ権力を握ることが出来るわけだ。それを知った若さまは、国境に出向いた家老の悪巧みをあばき見事成敗した。
城に来てご意見番になってくれと頼まれる大吉だが、「俺に仕官しろと言うのは木に登って魚を求めるようなもんだ、悪いが勘弁してくれ」
「焼津の、俺はまた妙におからが食いたくなった」「若さまあの調子だからねぇ、雇わない方がいいですよ、あんなのは」と、二人は旅立つ。
後日、二人の前に、じいが乗った駕籠が止まる。あの後、若さまの元には縁談が山と来て、例の姫さまの態度もがらっと変わったと言うめでたい知らせ。
「ご依頼の件の相談料」と、50両を差し出されるが、早速手を出す半次を鉄扇で小突き、大吉は5両だけを受けとる。
「これが商売のコツだ。あまり相談料を高く取るとな、後々の依頼人が少なくなるからな、さあ兄さん今日は久しぶりにおからでたらふく飲むか」
見どころ:大吉の見事な説教
(ね、名も無き男さま)。それをシオらしく聞いている半次兄さんの反応もまた面白い。
よく悪家老役で出てこられる原健策さんが、今回は若さま側のとぼけたじいで、味がある。
おからの食べ方:若さまにおからを勧める。「これはな、いろいろと食し方はあるが、こうやって食うことも出来る、ほら」と、手づかみ(今回が初めて)でおからを食べてみせる。それから若さまは箸で、旦那はレンゲでおからを食べる。
旅の場所:高須藩(美濃=名古屋)の若さまが1〜2日で歩いて来られるあたりと思われる。(以上じゅうよっつ)
コメント:大吉半次が沢本忠雄と別れる場面、「そのうち美味しいおからを持って尋ねていくよ」のバックで流れていたさわやかな曲は、後期月影のラストシーンでほとんど毎回用いられていたものです。殺陣の場面の曲も、ほぼ月影時代のまんまです。(キンちゃんさま 2005年5月2日)
浅川美智子さん:後に彼女は ラジオでのDJをやったりしてよくラジオを聞いていました。途中から「鬼首おりん」(だったかな!?)という変わった名前で通していました。(きざくら&ようめいしゅさま 2009年2月19日)


「自分で自分を探していた」 (第7話) 

<キャスト> 御木本伸介=故郷のため代官をやっつけた、百姓に身を変えた武士 御影京子=代官殺しを恩人と思う農家の娘おくめ
加賀邦男=大吉を代官殺しにでっち上げた黒崎の大五郎親分(別名:はばかりの丑五郎) 
小田部通麿=代官殺しの人相書きを半次に渡した黒崎一家の子分、利七 市川男女之助=八州見回りの役人
賀川泰三=居酒屋で暴れていたが、大吉を見て急におびえた黒崎一家の子分、仙助 表淳夫=『よお兄さん、いい天気だなぁ ハハハ』のお気楽浪人
沢淑子=大吉を訴人した、おくめの家の隣の女 内出良子??祭りの日ぐらいおからを置いておくべきだった居酒屋の女将か??
松田春子=大吉を代官殺しの犯人と証言した、下女のおまつ 世羅豊=おまつを連れてきたり、訴人に対応した黒崎一家の子分

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=荒井岱志 撮影=脇武夫 照明=林春海 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=寺島孝男
装置=松井三郎 装飾=小川芳男 記録=藤原凪子 助監督=尾田耕太郎 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行主任=丸本晃 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET・東映京都テレビプロ

大吉が、居酒屋で暴れるヤクザに注意すると、その男は大吉の顔を見るなりびっくりして、出ていった。それから間もなくして、半年前に起こった栗岡の代官殺しの人相書きの高札が掲げられる。その頃茶店で留守番をしていた半次も、これを受け取り、「どこかで見たことあるような顔だな」
10両の賞金に引かれて、ちょうど茶店に来た大吉を誘うが、「おめえなおめえ流で探せ、俺は俺流でやるからな」と大吉は酒を探し始める。
「なんだよ、俺流にとかこきやがって、酒でも喰らって昼寝でもこくつもりか」「うるさいね、とっと失せろ」「そのかわり俺が賞金独り占めにしても、尻尾振ってついてくるな」と相変わらず、会うと喧嘩、半次は茶店を出ていく。しかし、ふと気づく。この人相書き、旦那にそっくりなんだ。
再び茶店に引き返した半次の前に、クモが。
人相書きは、旦那に似ているだけではなく、どうも、大吉自身のようだ。二人が宿場を歩くと、この辺りで二足のわらじを履いている黒崎の大五郎の手下に、あとをつけられる。追っ手を払って、林の中に入った二人の前に、大吉に会おうとやって来た娘・おくめが姿を現す。
おくめは、半年前、代官を斬った侍をずっと捜していた。おくめは当時、代官の元にいやいや奉公させられるところだったので、その侍にずっと恩義を感じていたのだが、人違いと知り、せめてもの恩返しとして、大吉らをうちにかくまう。
おくめの話では、代官とその手下の黒崎の大五郎一家のために宿場の人たちは、大変な難儀をしていたらしい。大吉は代官殺しが筋の通ったものであることを知り、力を貸すことにする。それにしても、どうして、黒崎の大五郎は、大吉を狙うのだろう?
大吉は、昼間居酒屋で暴れていたヤクザを脅して、真相を聞きだす。黒崎の大五郎は、昔まだ、はばかりの丑五郎というチンピラの頃、茶店で言いがかりをつけていたところを大吉に痛めつけられたことがあった。今回、大吉がこの宿場に来ているのをこの男から知り、ちょうどいいと、犯人が見つからないで困っていた半年前の代官殺しに仕立て上げたのだった。
その頃、おくめのうちで寝ていた半次は、寝返りをうったときに鉄瓶をひっくり返し、足にやけどを負っていた。朝が来た。おくめの「大変」という声。
おくめのうちは、昨夜のうちに密告を受けた黒崎の大五郎一家に、囲まれていた。
そこに、「俺が代官殺しの犯人だ」という百姓に身をかえた男が現れ、半次と二人で応戦する。やがて、真相を暴いた大吉も戻ってくる。
男が、俺は代官を殺してはいない、
代官の罪状を暴いた弾劾書をもって陣屋へ行ったところ、かえってつかまえられそうになって、もがいていたところで、代官は家来の刀にかかって倒れたのだ、と、当時のことを大吉に話す。「よし、俺に任せろ」・・・
男は、10歳までこの土地にいて、いつもここをふるさとと思ってきた、しかし、代官が私利私欲のために、自分の愛する山や川、人々を滅ぼしてしまうのが憎かった、と話す。「生まれ故郷か、いいもんだよな」
ふと気づく半次。「それはそうと今日は出なかったな」「なにがだい」「あれだよ」思いだした大吉はシャックリ。「お〜出た出た」と嬉しそうな半次。
仲の良さそうな二人に見送られて、旅立つ大吉と半次。「俺たちのほうどうなるんだよ、さんざん苦労したあげく、10両の賞金もパァだよ」
「もともとなかったと思えば、あきらめもつくじゃねぇか」「あのねぇ、ちょっと・・・何様のお生まれか知らねえが、おおようにできてるねぇあの旦那は」
ため息をついて、旦那の後を追う半次、まだ包帯をぐるぐる巻いた足でつえをつきながら。
大吉・半次の会話: 大吉と喧嘩別れした後、大吉が人相書きに似ていると気づき茶店に戻った半次の前にクモ。旦那に取っ払ってもらい、「俺が悪かったんだ心得違いしてんだよ、旦那、親切ないい人なんだな」クモを追っ払ったくらいで、一時は大吉を代官殺しの犯人かと疑ったことも帳消しにする半次を、「死ななきゃなおらねぇ単純さだよ」と大吉はあきれる。
旦那に似てる
人相書きを見ながら「しかしよく似てんな、この人相書き見てくんなよ、誰かに似てると思わない?」
「気に障ったら勘弁してくんなよ、旦那に似てると思わない?」「けしからんな俺の人相、こんなに悪いのかな」「これは絵描きの腕が確かだったんだな」「な、な、な、何?」「いやいや、違った、たまたまか偶然か旦那代官殺しとがよく似てたってことなだよ、全くとんだ災難だ」「おめえ、さっきからいちいち気になるな、迷惑してんのは俺の方なんだ」
見どころ:鉄扇と刀の二刀流、決めのポーズがカッコいい!
旅の場所:八州回りの役人がいるということは、関東一円のどこかと考えて良いのではないでしょうか。(相談屋さま、2003年3月18日)


「棺桶かついで笑っていた」 (第8話) 

<キャスト> 人見きよし=大吉の相談屋としての腕をまるで信用していなかった棺桶屋の卯吉 
岸本教子=虫が付かないように奥で働かされている、一膳飯屋の平助の娘おしま 潮万太郎=不況に喘ぐ一膳飯屋のおやじの平助
月形哲之介=押し込み強盗の首領の武士 丘路千=大吉に突き当たり、また最後に卯吉を斬り殺そうとした疾風の銀次
伝法三千雄=臆病な、とうふ屋(田島屋)のおやじ 津島道子=目撃者という言葉の意味は知らないがシッカリ目撃者だった婆さん
平沢彰=大吉に斬りつけ押さえこまれ、そのとたん大吉がシャックリをしたのでちょっと驚いた浪人
高峰圭二=空家になっている郷士の屋敷の怪を半次に説明した百姓 
前川良三=特別奉仕料理御献立の晝食(昼食)欄を読み、『ふーん、こりゃ中々面白い宣伝だな』と言った町人
奥野保=特別奉仕料理御献立の夕食欄を読み、『皿数に比べて値も安い』と言った町人

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=長谷川安人 撮影=柾木兵一 照明=松井薫 録音=渡部章  編集=島村智之
美術=寺島孝男 装置=木村雅治  装飾=小川芳男 記録=松尾美智子 助監督=久郷久雄 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 
結髪=浜崎喜美江 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行主任=中久保昇三 現像=東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET、東映京都テレビプロ

「不景気を嘆いたなんて十月も前に通り越しちまってるだ」と、商売不振を嘆く一膳メシ屋の平助とそこに来た卯吉の話を聞き、半次は、早速旦那を売り込むが、平助はともかく、卯吉はがせネタだと、全く信用しない。怒った半次が旦那を捜しに外に出ると、大吉は、ぶつかった無礼を注意した男達5、6人に囲まれて、シャックリの最中だった。「焼津の兄さん、これに早く酒だ」と瓢箪を投げる大吉。「どうだろうねぇ、人が一生懸命探してりゃ、ご本尊はシャックリこきながら斬り合いなんかしやがって」と、とぼとぼ瓢箪を持っていく半次に、「おい兄さん、走ってけ、走って」
酒を飲んだ大吉は手早く男らを片づけ(←画面早回し)、がせと言われた一膳メシ屋へ赴き、相談屋の手腕を発揮する。大吉は、店の平凡な献立に特徴を出すために、「特別奉仕料理(=昼・夜日替わり定食)」を考えだし、これが結構人気を呼ぶ。それを喜んだ平助は、酒と肴の特別奉仕も作りたいが、肴は何がいいかと大吉にたずねる。「そりゃおやじ、おからにきまっとるよ、肴の特別奉仕は連日おからでいけ」「連日はひどいよ、それに出来ることなら、おからは見合わせた方がいいって」しかし、平助は、大吉の意見を聞き入れ、しかも、今晩相談料の代わりにおからと酒をごちそうすると約束する。「気の毒に、この旦那がおからで酒を飲み始めたらどうなるかもしらねぇで」これを見ていた卯吉、すっかり大吉に感心して、偽物呼ばわりを平謝りし、是非、自分の商売の相談にものって欲しいと、二人をうちへ案内する。
ところが、そこは棺桶屋。棺桶屋の商売繁盛なんて、長屋の水に毒を投げ込むか辻斬りするかしかない。それでも、「棺桶屋はそこへ収まらなきゃ成仏できん大事なものをつくっとるんだ、坊主と同じで尊い商売なんだ、金儲けはあきらめるんだな」という大吉の話しを聞き入れない。最近で一番流行ったのは、3年前の春の、郷士の病死と、その後夏に起きて迷宮入りした、生糸問屋の押し込み皆殺しの時で、それからはさっぱりだ、何とかしてくれと、卯吉は粘る。
名案が浮かばず困っているとき、外で、「人殺しだ」と声。「一年ぶりに客だ」
殺されたのは、平助の弟の六助、4、5人からめった斬りにされていた。しかも、間もなく、少し離れたところで、平助の同じような斬殺死体が見つかる。
平助は、大吉のアドバイスが成功したのを喜んで、同じく一膳メシ屋を営む弟と手を握ってもうけようと、六助の所へ向かったという。
さらに二人が、中通りを南に曲がったのを目撃した者がいた。ふと気づく大吉。「中通りを南へ曲がった先にトーフ屋はないか?」「あります」大吉はトーフ屋へ向かう。「おい旦那、どこへ行くつもりだよ、トーフ屋がねえかって、どうしたってんだよ」「おからだよ」「こんな時におからを買いに行って食おうっていうのかよ、おから野郎が」大吉は、2人がこれからのおからの仕入れのためにトーフ屋へ行ったと睨んだのだ。
「するってえと、トーフ屋でもめごとが起きてトーフ屋に殺されちまった、旦那、こう考えるのはちょいと単純かね」「モーレツに単純だよ」
しかし、平吉らはトーフ屋には来ていなかった。と言うことは、二人は中通りを南に曲がったところからトーフ屋に至るまでのどこかで、誰かに襲われたことになる。しかも、二人が別の場所で複数の者から斬られたところを見ると、相手は、10人近くの集団だ。
大吉らが現場に戻る途中、棺桶屋では、卯吉が嬉しそうに、棺桶を作っていた。例の、主が死んで3年前から立ち入り禁止になっている
郷士の屋敷の前に、一両で棺桶を持ってきてくれと言う注文が入ったというのだ。「(行くのは)よせ、殺されるぞ」と、大吉が止めるのも聞かず、いそいそと棺桶をかついで出かける卯吉。大吉と半次が影から見張っていると、半次の頭に・・クモ!とっさに大吉に口を塞がれセーフ。
卯吉は、数人の男に無理矢理、屋敷の中へ連れ込まれ、二人も後をつける。
中では、男達が、土を除け、埋めてある千両箱を取り出していた。男達は、3年前の夏、生糸問屋を襲い、うばった金を立ち入り禁止のこの屋敷に埋め、ほとぼりが冷めた今、金を棺桶に入れて運ぼうとしていたのだ。この屋敷の出入りを見た平吉と六助はそれで殺された。・・・
「相談屋の旦那さん、おらやっぱり考え違いをしていただ、棺桶屋は銭もうけなんど考えちゃいけねぇ、これからは謙虚に生きていきますだ」
「謙虚だとよ」「棺桶屋の兄い、とたんに神妙になっちまったじゃねえか」と笑う三人。
見どころ:平吉(潮万太郎さん)が娘を半次から遠ざけようとする仕草や、人見きよしさんの棺桶屋はさすが、おもしろい。
今回は、罪のない人を殺した許せない悪党なので、旦那はおもいっきり剣を振るい悪党退治。ラスト、悪党のかしらを斬るとき、大吉は片足をあげた格好で決め、ろうそくがぽとりと落ちるのが、カッコいい。


「死んで花実が咲いていた」 (第9話) (←見るだけ)

<キャスト> 入川保則=病気の浪人、名張弓之介 桜町弘子=弓之介を仇と狙う武家娘、綾部雪乃
戸上城太郎=『素浪人、なかなか使うな』四人組お武家の大先生、風捲 尾上鯉之助=茶店で半次に席を譲ってもらった、四人組お武家の一人 高木二朗=弓之助が斬ってしまった、雪乃の兄の綾部友一郎 山田桂子=本日開店した、曾爺さんの代からの縁台が自慢だが、おからは置いていない茶店のばあさん 
宮土尚治(のちの桜木健一
thanks ろくりんさま)=雪乃の弟、友二郎 入江慎也=大吉半次がオケラで泊まった旅籠さつき屋の番頭
小津敏=弓之助のために水を汲んで来て、半次に病人を押し付けた旅の商人 野々村圭=薬代として一両ふっかけた医者の良庵
乃木年雄=四人組お武家に脅されていた居酒屋のおやじ

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 照明=林春海 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=塚本隆治 
装飾=木村雅治 装飾=曽根美エ 記録=野崎八重子 助監督=山村繁行 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい  
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET、東映京都テレビプロ

半次が粗末な茶店で、これまた「石橋を叩いて渡る」ようにそっと座らなければ壊れるイスに座って、茶を待っていると、侍4人と武家娘、前髪の若者の一団が来る。侍の威圧的な「席を譲れ」という態度に、「おかけになっておくんなせえ」と席を譲ると、案の定、侍は転んで、半次はゲラゲラ。
それに怒った侍の一団は、半次に刀を抜いたが、すんでの所で、大吉の鉄扇が飛んできて、助かった。
そこから、野尻宿に行く街道で、ひとりの浪人が倒れていた。ひどい熱で、二人は浪人を旅籠に連れて行くが、ろうがいであと3月ももたないと言う診断。
浪人には、竹光の刀以外、身元の分かる物もない。おまけに薬代が一両。「俺があとで何とかするからな、お前払っとけ」「ないもの払えるかよ、昨日土場ですってんてんになっちゃった」「このばかたれが」びっくりした大吉はシャックリが始まるが、瓢箪は空。「するってえと、旦那もオケラかや」病人に悪いと思いながらもシャックリは止まらない。
二人は、金策のため相談屋の口を捜そうと夜の町に出るが、こういうときに限って、一件目は大はやり。(クモ出現)2件目では、朝の侍たちが居酒屋の主人を脅していた。「敵討ちの助太刀で1年あまり旅を続けている武士の中の武士からささいな勘定をとるというのか」と、難癖をつけている。
大吉は、「これ以上覗いていると奴らを叩き斬ってしまうかもしれんぞ」と、その場を立ち去る。
朝、二人が気づかないうちに、浪人は発っていた。番頭に聞くと、薬代も3人分の宿代も払い、「自分にはもういらなくなったから」と過分な心付けまでおいていったということだ。番頭は、昨夜大吉らが金策中に、浪人が「雪乃どの」と名前を呼んでいたこと、そのとき通りかかったひとりの武家娘がこの浪人の顔を見てびっくりしていたことを、話した。しかも、その娘は、昨日出会った、あの一団の中の曰くありげな娘だった。
あのガラの悪い侍と武家娘たち、今日の死を覚悟している浪人、「あんた討たれて死ぬつもりだな」と大吉に問われ茶店で誰かを待つ浪人・名張弓之助はことの次第を話し出す。1年半前、雪乃と弓之助は祝言間近だったが、雪乃の兄・友一郎と、祝言のうちあわせで意見が分かれた。「何様の挙式ではあるまいし、格式張ったことはやめよう」という弓之助の言葉に激怒した友一郎が弓之助に斬りかかり、とっさに刀を抜いた弓次郎は友一郎を殺してしまった。弓之助は、切腹をいいわたされたが、こわくなって逃げたのだ。
そこに、雪乃の弟・友二郎が、逃げてくれ、もう憎いとは思っていないと来る。姉も、同じ気持ちだと思う、いまはただ、功名心にかられて敵討ちをを助太刀しようとしているあの4人の侍たちが、弓之助を追っているだけだ、と言う。弓之助は、「4人のために討たれるのではない、私は、討たれねばならぬことをしてしまった男だ、武門には武門の掟がある」と決意を曲げない。
やがて、そのときが来る。4人の侍が、弓之助に斬りかかる、竹光が折れ、額から血を流す弓之助。「武士の情けだ、とどめは雪乃どのに、友二郎どのに」と懇願するが、侍たちは聞き入れようとしない。そこに大吉のひょうたんが飛ぶ。「お前達は武士の情けと言う言葉がきこえんのか」・・・
「とどめを、雪乃どの、とどめを」苦渋に満ちた顔の雪乃は、やがて持っていた笠と杖を落とし、ふところから守り刀をとり出す・・・。
「名張弓之助は武士としてりっぱに果てたのだ。ただ一つ、俺に言えることは、弓之助の死を無駄にするなということだ、それを忘れぬことだ」
二人は旅立つ。
「あれだけりっぱに死になすったお人が、何で竹光なんか差してたんだろうね」「俺には分かる、弓之助は、長い旅の間中、刀を呪い続けてきたに違いない。刀さえ差していなかったらこんなことにはならなかったとな」「なるほど、それで竹光を・・しかし、侍は刀を差さなけりゃ」「ああ、様にならんだがな、人斬り包丁を差して歩いている限り、弓之助のような不幸はなくならんぞ。そのうちきっと、こういうものが要らなくなる時代が来るよ、敵討ちもなくなる時代がな」「刀も敵討ちもなくなる時代がね、しかし、そんな時代まで俺生きていられるっかな」
コメント:どうも、見たことあると思ったら、「いただき勘兵衛旅を行く 仮寝の夢に泣いたとさ」がほとんど同じ筋書き。同じ森田新さんの脚本。
(もちろん、大吉の方が本家でしょうが)最後の大吉のトーンを落とした台詞がいい。(以上じゅうよっつ)
ええ話や〜〜〜。もしかしたら今まで(10話まで)見た大吉の中で一番好きかも?ラストのセリフは、兵庫の「乙女心はふるえていた」のラストのセリフ(「おまえは心で仇を討ったんだ」)に匹敵する「ジーンとするセリフ・ベスト2」(今まで見た中でですが)です!このお話はこのちゃんの表情が「かわいい!」と思う場面もたくさんありました。例えば、「できたてほやほや」の茶屋のおばあさんに「おからはないか、おからは」と聞いて「そんなもん!(ないよ!)」と言われた時の残念そうなお顔とか・・何だかかわいかったです。(鈴雪さま 2009年1月31日)
今日の大吉、最後の予想を裏切る悲しい展開、それと旦那のこれからの日本を思う最後の言葉、何だかいつもと違うラストにしんみりしていまいました(-.-)・・今回は昭和30年代に活躍した方、おなじみ戸上さんやお姫様や町娘の桜町弘子、さらに入川保則や渋い脇役高木二郎、さらに柔道一直線以前の桜木健一までが本名で!。まだ関西中心で活躍してた桜木健一の十代の頃の貴重な姿が見られました.(ろくりんさま 2010年1月15日)
旅の場所:野尻宿(中仙道・木曽あたり)


「坊さんまるまる損をした」 (第10話) 

<キャスト> 吉田義夫=半次に大名(迷)僧と呼ばれた般若湯(はんにゃとう)好きな了泉寺の和尚、了覚
茅島成美=和尚さんにはとても冷たい、おからはあいにく置いていない居酒屋の娘おさと
島米八=和尚様を小馬鹿にしている小坊主の了珍 八名信夫=和尚をペテンにかけた、奸智(かんち)にたけた郷士の室山
岡田千代=差込みに苦しんでいたが、和尚が背中をさすったら直った旅の女 邦保=和尚の治療に感心し、半次に名僧だと同意を求めた旅の男 疋田圀男=精進料理を『食べていきまひょか?』の客 村田天作=『お寺で精進料理を食わすとは、こりゃまた珍しい』の客
西田良(NC)=『やいやい、このどさんぴん』と、大吉に向かう与太者の1人

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 照明=林春海 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=塚本治 
装飾=木村雅治 装飾=曽根美エ 記録=野崎八重子 助監督=山村繁行 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい  
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET、東映京都テレビプロ

娘さんのひどい差し込みを直ちに治し「これは大名僧だ」と半次が恐れ入った坊さん・了覚は、茶店で「般若湯だ」と半次と一緒に酒を飲み、べろんべろんに酔う。半次が坊さんをおぶって、寺のあるさつき宿まで来ると、「喧嘩だ」の声。早速、坊さんともども向かうと、そこでは、シャックリをしながら4〜5人の与太者を相手にしている旦那がいた。「また入れ忘れたのか?」「いやあ、俺としたことが、一生の不覚だった」「しょっちゅう忘れてシャックリこきやがってよ」半次は、かかってきた与太者の頭を瓢箪でぽこり。「このバカタレが、瓢箪がわれたらどうするんだ」
シャックリも無事に止まり与太者を懲らしめ、与太者に困っていた居酒屋の娘・お里に、お礼に一杯と店の中に呼ばれるが、肴におからがない。
「おからか、そう言えば今日はまだ食っていなかったな」と了覚がいい出す。この言葉を大吉が聞き逃すわけはない。「あんた今おからが何とか言ってたな」「実はわしはおからが大の好物でな。じゃあ、あんたも。」いやあ俺のは好物どころではないんだよ、おからには全く目がない方でな」
おからにまさる酒の肴はないと、二人の意見が一致する。「確かに和尚は大名僧だ」大吉は、了覚に「おから仲間じゃよ遠慮なく」と誘われ、おからは絶やしたことがないという了泉寺に行く。にこにこ顔の二人のあとからは、心配顔の半次。
「腹が減っておるなら、戸棚に御所車がある」と和尚にいわれ、「こんな戸棚に御所車が入るわきゃねえや」「ばかだなお前は。御所車っていうのは坊主の隠語で卵のことだよ、御所車も卵も中にキミがおわすだろうがい」「なるほど」と笑いこけて喜ぶ半次のもつ卵のかごから、クモがスルスルと。
「おい、焼津の、ゲラゲラ笑ってないで
それを早く下においた方が身のためだぞ」「何を?」かごの下を覗いて「わ〜出た、御所車にクモが出た」
いよいよ、おからが、大皿に山のように盛られて登場。大吉と和尚は、すぐに手づかみで勢いよく食べ始める。小坊主・了珍が買ってきた酒も入り、「おめえ誰だ」と半次のことも分からなくなる始末。「おからあるところ幸いありだ」果ては、尚ちゃん大ちゃんと呼び合って二人はゴキゲン。
「こりゃまたすさまじいねぇ、よくこう食いながら飲めるもんだよ」とあきれる半次。
翌朝、寺に、昨夜の居酒屋のお里が請求書を持ってくる。この半年で、和尚は5両2分60文もの酒代を滞っていた。
檀家が多いので左うちわ
だと話していたのに、何だか話が違う。「あの大名僧の”名”はな、しんにょうの方の”迷”だよ」「じゃあ、差し込みを治したのは?」
「それはな、たまたま治りがけた時に背中をさすったんだよ」半次は、それを聞いて、おから坊主、うそつき和尚と、すっかり和尚を格下げする。
大吉らが、お里と了珍に責め立てられている了覚に聞く。「なんで5両もの借金をしたんだね」「わしがばかじゃったんじゃ、訳があるんじゃ」と話し出す。
喧嘩で人をあやめたこともある郷士の室山が半年前、仲間と来て、改心して先祖にわびを入れたいので、本堂を貸してくれといわれ、貸すと、室山たちは、何とそこで、麻薬を吸っていた。この寺で麻薬を吸ったことが分かれば了泉寺は麻薬寺と申し立てるぞ、さらに、麻薬を吸われたくなかったら、毎月10両払えと脅してきた。和尚は、寺男を連れて城下に訴えに出向いたが、途中寺男は室山に斬り殺され、次は了珍を殺すと脅す。
和尚は、一人、この苦しさを酒で紛らわせていたと言うわけだった。
「乗り込んで叩き斬ろうじゃねえか」「どうやらその必要はないようだぞ」室山たちは、今月の10両をとりに寺へ現れた。・・・
もう酒は断つ、と喜ぶ和尚と了珍。
しかし、まだ、問題が残っていた。「うちのお勘定どうしてくださるの」と一歩も譲らないお里に、大吉が、寺の境内で、精進料理の商売を始めたらどうかとの名案を出す。それから数日後、商売は繁盛していた。
見どころ:吉田義夫さんの了覚和尚。この頃は、まだ貧乏神じゃなかったのね。チャンバラがちょっと細切れで物足りない。
旅の場所:さつき宿(隣がすみれ宿)


「その一言に弱かった」 (第11話) 

<キャスト> 石浜朗=姫思いの剣術指南役、河合又一郎 宇佐美淳也=最高のおからをご馳走してくれたご家老、安藤頼母(あんどうたのも) 穂積隆信=一山当てようと企んでいる、まむしの伝蔵 金井由美=姫君鶴姫
島村昌子=まむしの伝蔵の女房で達磨屋(松の家)の女将、おみね 雲井三郎=大吉を素浪人呼ばわりした町奉行所与力、(よしべともえもん) 小沢文也=手拭いを落とした、まむしの伝蔵の弟分、弥七 
那須伸太朗=『これは一大事、一刻も早くご家老に』その後大吉達と姫君探索に加わった家老の家来
大城泰=『そっ、その方は何者だ!』姫様警護の斬られた侍 白川浩三郎=『へい、がってんでえ』千両箱を運んだ駕籠かき

<スタッフ>
 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 照明=林春海 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=塚本治 
装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 記録=野崎八重子 助監督=山村繁行 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作=NET、東映京都テレビプロ

益田藩の屋敷町に迷い込んだ大吉と半次は、中元1人、侍3人、腰元1人の斬殺死体を発見、すぐあとに通りかかった町奉行の与力らに疑われる(シャックリ)。しかし、このメンバーなら駕籠があったはずで、腰元がついているからおそらくは、益田藩の姫君が駕籠ごとさらわれたであろう、いずれも一太刀で斬っていることから斬ったのは相当腕の立つ一人であると、いつもながらの名推理を見せ、逆に家老に、協力を求められる。確かに、駕籠ごとかどわかされたのは益田藩の鶴姫だった。縁談がまとまり仮祝言をあげるため、明後日には出立せねばならず、しかも、嫁ぎ先の米沢藩からの迎えの者たちにはさとられないよう、捜索は隠密裏に行わねばならない。
その晩、大吉は家老宅で、最高のおからの大皿で、楽しく酒を飲む。
翌朝、殺人の現場に行くと、そこには、夜露にしっとり濡れた手ぬぐいが1つ。手ぬぐいには”酒 松の家”とある。半次が松の家に出向くと、ヤクザ風の男が二人、うち一人の女房を相手に朝っぱらから酒を飲んでいる。半次が手ぬぐいを見せて女房に尋ねると、二人はあわてて出ていく。
手ぬぐいは、200本をひいき筋に配ったそうだ。「すると姉さんのこれももらったってわけだな」という半次の追求を快く思わない女房は、泥棒呼ばわりして、半次を追い出そうとする。半次は、出て行こうとするが、戸の外にクモがいて、再び中へ。
その頃、大吉は、家老に、一人の男を紹介されていた。河合又一郎、藩の武芸指南役で、ばかのつくほどの堅物だ。
半次から、松の家にいた怪しい二人と黒幕が、どうやら姫をさらって金を狙っているようだという報告をうけ、大吉が「おれは、このかどわかしはどうも違う臭いがする、つまり色恋のからんだもっと人間くさい臭いだよ」と言うと、又一郎は、「姫に対してその汚れた雑言、ゆるせん」と刀を抜こうとする。
そこに、強迫状が来る。今夜4つ時、千両を川北神社の境内にもってこいとある。大吉、半次、又一郎らが見張る中、神社にはやはりあの二人の男が現れ、女房の居る松の家まで千両を持ち帰った。半次は二人に口を割らせるため、カマをかけに出る。「俺はあるところでこいつ(手ぬぐい)を拾ったのよ、今夜の神社の境内は静かでよござんしたねぇ。」と脅す。しかし、さらに「黒幕」のことに話が及ぶと、ははんと、とたんにでかい態度になる。これで、大吉は、実際には黒幕など居なかったことに気づいた。
この男たちが、姫をさらう現場を見て一か八かの大芝居に出たことをあばき、男たちは、堪忍する。しかし、真犯人のことになると、男たちは、暗闇で覆面だったので、よく分からないという。大吉らはこの二人の男たちを見逃してやろうとするが、又一郎は一刀のもとに斬る。「姫君を汚すやつらは一人たりともゆるせんのだ」と、言い、去っていく。「あの目は狂っている」
又一郎の役宅入り口付近には、むしろをかぶった駕籠かきの死体。中にはいると、鶴姫が座敷牢に。2年前、御前試合で姫に「そなたの太刀捌きは惚れ惚れする」と言われた一言を自分への恋心と信じ込んでいる又一郎には、姫の「帰して」という言葉も、真実としては耳に入らない。
しかし、姫はあれはその場の褒め言葉に過ぎない、さらに、又一郎を乱心者と呼ぶ。立ち上がる又一郎。
外では、又一郎のあとをつけてきた大吉と半次、与力や家老らが様子をうかがっている。「助けて」の声。「河合又一郎、出てこい」
「姫を取り返しに来たな、帰さん、殺してやる」又一郎は、与力を倒し、大吉に挑む。「姫・・」又一郎が倒れる。
礼を言う家老に、大吉は、「礼金は要らん、ほとぼりが冷めたら、又一郎の墓を建ててやってください」「焼津の、では行こうか」
半次の呼び方:与力ら(頭は雲井三郎さん)とやり合うときにシャックリが出て、「何ぼやっとしとるんだ、早く酒を」「酒は昼間俺が茶店で入れたじゃねぇかよ」「ありがたい、持つべきものは友だ、焼津の貸し元、すまんな
旅の場所
:益田藩(鳥取?!)


「親子でカモを探していた」 (第12話) 

<キャスト> 玉川良一=がまの油売りの平助 加島こうじ=しょっちゅう右足に怪我をしている、がまの油売りの息子
藤岡重慶=がまの油売りを仇と人違いした武士で、絹の兄 阿波地大輔=『斬れ!』と言われ、がまの油売りを斬ろうとした、敵討ちに助勢する侍 瀬良明=緒ずれで困っている娘の父親 唐沢民賢=将棋に勝って、がまの油を喜んで買っていった旅人 宮城幸生=酒手をせしめようとした雲助 有島淳平=半次が乱入したおかげでがまの油を買い損なった、旅の男 真木祥次郎=おからの良さが分かる居酒屋のおやじ 源八郎=雨で難儀した大吉が泊まった旅籠のおやじ 中村明??『しかし、うり二つですな』敵討ちの侍の一人か??  
大江光=足を痛めた娘を気遣う茶店のばあさん 浅松美紀子『あっ、痛い』半次にがまの油を塗ってもらった旅の娘、おこと
岡本隆成=『無礼者!』雲助に対して刀を抜いた父の仇を探す子供、長一郎 高森和子=兄の助勢のもと仇を探す長一郎の母、絹

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=小野登 撮影=羽田辰治 照明=林春海 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=塚本治 
装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 記録=野崎八重子 助監督=山村繁行 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい  
擬斗=谷明憲(東映剣会) 現像=東洋現像所 進行=藤野清 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水


茶店で、町人とがまの油売りの男が将棋をさしている。「まいった」と油売りの男。「恐ろしくうまいんだね、ちゃんが負けるの初めて見たよ」
すかさず、その息子が褒め言葉を続ける。町人はすっかり気分を良くして、500文のがまの油を「安い」と買って行く。
旅籠、ひどい降りの中、大吉が入ってくる。いろりで袴の裾を乾かしているそばで、例の父子が将棋をさしている。子供が”待った”させてくれと頼むが、男は譲らない。板を見て大吉、「ぼうず、そのままやって見ろ、ゆっくり粘れば勝ち目はあるぞ」男がすかさず、それならと、大吉に相手を求める。そして、例のごとく、「お侍さん、恐ろしく強いんだね、おいら、ちゃんが負けるの初めて見たよ」「恐れ入りました」ところが、大吉は二人の魂胆を見抜いていた。「せがれを八百長に引きずり込むなんて、けしからん、そんな下手な世渡りしてるといつか首と胴が泣き別れしちまうぞ」
男は、改心します、と大吉に訴える。
一方、街道の半次、すっかり春めいた景色にうかれて歩いていると、男の子が、怪我をして泣いている。例の子供だ。そこに、がまの油売りが来て、たちどころに傷を治す。すっかり感心した半次、「あんたのことだから600文にしておく」と言われ、ほくほく顔で、代金を支払う。
茶店で休んでいると、父娘がやってくる。娘は旅慣れないため緒ずれを作ってつらそうだ。早速のチャンス到来と半次は予行練習。
「ちょいと塗ればたちまちけろりだ、お陰でおいらは救いの神さまだ、『旅人さん、どうか娘の婿になってください』『いえいえ、あっしは、お嬢さんの婿になれるような男じゃございやせん』『まぁまぁそう仰らずに』こいつは全く、こたえられねえことになって来やがったぞ」しかし、薬を塗っても、緒ずれは良くならないどころか、かえって痛みがひどくなる始末、おまけに付けた薬ががまの油と聞いて、がまが大嫌いな娘は気絶。
父親からは、娘が気づく前に、姿を消してくれと頼まれる。しかし、まだ半次は騙されたと気づかない。「草履の緒ずれぐらいに効かないなんて・・あれ、ひょっとするとこら、ガキ専門かもしれねえな」
再び街道を歩き出した半次、またあの子供が「痛いよ」と泣いているのを見つける。「おかしいな、あのチビ、年がら年中怪我ばかりしてやがるようじゃねえか」と、そこに、例のがまの油売り。ようやく気づく半次、「やいやい待ちやがれ」と子供をつかまえる。そこに来た大吉と、事情を聞けば、同情の余地がある。母親が浮気者で逃げて、父子食べるためにがまの油売りを始めたが、なかなか売れず、こんなやり方に出たというわけだった。
「よし、俺はおめえたちが悪いことしねえでも生きていく手を親身になって考えてやる」
その頃、逃げた父親の方は、居酒屋に居た。半次と子供と別れた大吉が入ってくる。大吉が、すんなり出されたおからに気分良く酒を飲んでいる間にこっそり出ようとして、大吉に止められ、再びいかさまを繰り返したことを、怒鳴られる。「早く子供を捜してこい」「はい」
半次は、父子が新しく商売を始められるように資金調達に賭場に行くが、すってんてんになって帰ってきていた。「だからおいらが無理をするんじゃないといっただろ、しかし、くよくよするなよ」「そうだよな」おまけに現れたクモまで追っ払ってもらい、半次は、すっかり立場逆転。そこに、子供を探していた父親がやってくる。子供に事情を聞き、大吉・半次の厚意にすっかり感動する。
ところが、二人が父子と別れてすぐ、侍の一団が、二人とすれ違う。「がまの油売りを見なかったか」「ついさっき、宿場で別れたところだ」
急いでその方向に走って行く。この侍たち、前に、あの父親をみて「千之新、恥をしれ、よくもここまで逃げ延びたな」と、つかみかかったことがあった。
そのときは人違いだと分かったが、一体あの父子に何の用が?
大吉らがあとを追うと、父子は刀を抜いた侍たちに囲まれていた。侍らは、仇を捜す母子の助太刀。もうこの辺で、仇の首をもって国に帰りたいと、この、仇にうり二つのがまの油売りの首を代わりに持って帰ろうとしている。大吉が相手になろうとして、シャックリ。半次が持つ瓢箪の酒を、斬りかかる相手をよけながら飲む。・・・礼を言い旅立つ父子、それを目で追う大吉・半次。
見どころ:なんってったって、セリフが面白い。半次の独り言、半次と子供の会話、おからがスムーズに出てきたことを喜ぶ大吉とがまの油売りの言葉、すべてGOOD!コメディアン(今回は玉川良一さん)が入ると、二人のセリフまで、普段以上によく転がるのが不思議。
上機嫌の旦那:居酒屋でおからを置いていると聞いて、「こんなにすんなりおからにありつけるとは、今日は日がいいぞ、そんなことよりここの店がいい、気に入ったぞ、おからの良さが分かるとはおやじの人柄がしのばれるよ。どうだい、この店の品の良さ、まったく気分が落ち着くよ」
それを聞いたがまの油売り「世の中上には上があるもんだい、あのおだて方は全く俺以上だな、ただ酒でも喰らう魂胆かな」
半次と子供の会話:半次が身ぐるみ剥がされて帰ってきて「くよくよするなよ」「そうだよな」クシュンと半次「おじさん、体だけは大事にしないといけないよ、人間体が元手だからね」子供が飲んだ甘酒代を自分で払ったと聞いて、「ありがてえ、全く恩に着るぜ」クモが出る「変なものがこわいんだなぁ」「本当に何から何まで(ハクシュン)世話になるねぇ」「本当だよ」
高森和子さん:彼女はいまは執筆や講演活動に専念されているようですが、昭和20年代後半にNHK大阪劇団に採用されて活躍していた女優さんです。彼女が飛躍したのは昭和48年のNHKドラマ「けったいな人々」の船場の御寮人役で、当時41歳であったにもかかわらずこのような老け役が回ってきたことに、高森さん自身は嘆き悲しみ、迷ったということですが、結果的にはこの役によりいくつかの賞も取ることになりました。高森さんといえば花山大吉を代表するエピソードのひとつ(^^;)「腹の虫が怒っていた」にも出演しています。(長沢威さま 2009年2月5日)


「寝ながら地図を描いていた」 (第13話) (←見るだけ)

<キャスト> 菅井きん=大吉にちょっくら相談しに来た、おしげ 渋沢詩子=為三郎と結婚するか、半五郎さんに走るかで悩んでいる小町娘、お春 汐路章=最後は寝小便をたれた布団に顔をくっ付けた盗人一味の頭、鬼熊 国一太郎=首に手拭を捲いている鬼熊の手下
水木達夫=吉良正雪を成敗したと言って兄を連れ戻しに来た弟、彦太郎 大橋壮多=十八になっても寝小便が直らない若者、平吉
岡高史最初はおからを置いてなかったが、後でちゃんと買ってきた居酒屋のおやじ
丸凡太=寺に運ぶ途中の行き倒れを半次に説明した男 茶川一郎=逆賊、吉良正雪に幽閉されていた相良作太郎

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 照明=林春海 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=塚本治 
装飾=木村雅治 装飾=曽根美エ 記録=宮内喜久子 助監督=尾田耕太郎 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい
擬斗=谷明憲(東映剣会) 現像=東洋現像所 進行=藤野清 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水

半次は、街道で出会った無一文で身元も分からない行き倒れに自分の身を重ねてすっかり不安になり、旦那をつかまえて、日頃になく難しい言葉をならべたてて真剣に話す。
「俺たちはな、日頃の心がけを改めなきゃいけないんだよ、出たとこ勝負の毎日をおくってたら行き倒れと同じことになっちまうんだぜ、俺は今度という今度は肝に銘じたんだが、俺たちはもっと建設的に生きなきゃいけないんだよ」「け、建設的にな、その建設的というやつだが、どういうふうに生きればいいんだ」「それはよ、世の中すべて金次第だよ、俺の方は、賭場で絶対にすらねぇように心がけて、もっとパッと意欲的な勝負に徹しなきゃいけねえ、」「お前の建設的な生き方というのは賭場で意欲的に稼ぐことか、こらあいいや」と大吉は笑いが止まらない。
しかし、賭場の勝負がうまくいかない時のために、旦那には、相談屋で稼いでもらわなければと、半次は、大々的に相談屋の仕事を宣伝する。
「商売繁昌からなやみ事まで萬相談引受」ののぼりを立てて、大吉を売り込むが、気乗りしない大吉は、ますます居心地悪い。おまけに、受けた相談は尻軽娘の恋の相談、頭のおかしい侍の妄想。これには半次もすっかり嫌気が差し、次に相談に来たおしげを追い返してしまう。
ところが、居酒屋の亭主の話では、このおしげは元庄屋屋敷に住む金持ち、おからのある居酒屋での酒代ほしさに、大吉はおしげの相談に乗ることにする。(おしげのうちの前で、クモ出現)おしげは、広い屋敷に18歳になる息子・平吉と二人住まい。相談は、平吉の寝小便を治して欲しいということだった。(相談内容にびっくりして旦那がシャックリ)前金で半金を受け取った大吉は、無事おからにもありついたが、翌朝、庭の物干しには、やはり平吉の布団が。大吉はおしげに一喝される。しかし、布団をよく見て、不思議に思う二人。「あの大洪水は、図面に似とるな」
そこへ、突然、ごろつき5人が押し込んでくる。大吉・半次は、難なくごろつきを痛めて追い返すが、おしげの話では、奴ら鬼熊の手下で、山師だった亡くなったおしげの夫が見つけた金鉱の図面を探しているのだという。夫は、亡くなる前、図面は、行李の中に、鬼熊の手中に入っても分からないようにしてあると言っていたのだが、おしげが何度探しても、行李には図面はなかったという。
「敷布は、行李に入ってなかったか?」頷くおしげ。「おしげさん、これをよく見ろ」と、平吉の布団を差す。図面は、普通は見えないが、水に濡れると現れるように敷布に細工されていたのだ。「ありがてえ、平吉、よくぞたれてくれただよ」「たまにはおらも役に立つことがあるんだな」と喜ぶおしげと平吉。
そこに、再び、鬼熊らが仕返しに来る。大吉、半次は、早回りのような素早さで盗人たちを片づける。
礼は要らないと言う大吉に見習って、おしげは金鉱は代官に任せ世の役に立ててもらうと決める。
「寝ションベンから金鉱が出るなんて、俺もときどきしてみなきゃいけないな」「そのときは、俺が相談に乗ってやるよ」「頼むぜ」
半次の旦那売り込み口上:「さあ、お立ち会い、見てもちょうだい、聞いてもちょうだい、ここに控えたこの旦那、姓は花山名は大吉ときたもんだ、さあてお立ち会い、この旦那、見たところ図体がでっけえだけでなんの変哲もない旦那だが、この城元に2つとない商売、相談屋の元祖の旦那だよ、この旦那に一言相談を持ちかけたら、何でもかんでもピタリコ商売繁昌、悩みは日本晴れだあ。筑波山で捕れた、じゃなかった、生まれたこの旦那、おのれの頭を絞りに絞りたらりたらりと汗を流して相談に乗っちゃうよ」客には受けたが、大吉は、「おれはがまの油売りじゃねえんだ」
「お前のお粗末さは唐天竺まで名のとどろくこと請け合いのお粗末さだい、俺はもうこれ以上言う気力もなくなった」とあきれられる。
見どころ:茶川一郎さんのすっとぼけた顔の侍。最後の立ち回りは、早回しか!と思うほど早いが、映画「城取り」で見せた目にもとまらぬ槍使いを考えると、これぐらいお茶の子さいさいか。(じゅうよっつ)
ラストの殺陣では、品川さんの、素手のすごいアクションがみられました。窓の障子を突き破ったり、畳の上を転げまわったり、素晴らしい運動神経をお持ちなんだなあと感心して見ていました。
大吉「寝ながら地図を・・・」で、鬼熊一家との第一ラウンドの立ち回り(半次のパンチが空振りして障子の桟に命中するヤツ)のBGM(琴三味線をフューチャーした曲)は、ああ、懐かしい、兵庫の予告編のBGMであります。正確に言うと、シリーズ前半の予告編ね。後半は「波の千鳥」に替わりました。
ただし、「天国と地獄」へ発展する大吉バージョンとは別です(当たり前です)。またしても、兵庫の味がほのかにしました。

(キンちゃんさま 2005年5月29日&6月4日)
汐路章さん:その見るからに憎々しい役柄とは裏腹に、悪人役には善人が多いという伝説はこの人のためにあるのではないかと思わせるほどの温情の人だったそうです。(長沢威さま 2009年2月5日)


「風の岬に鬼がいた」 (第14話) クモもしゃっくりもおからも無し

<キャスト> 太田博之=これからは剣の時代ではないと思っている、切られた江原源之丞の弟、辰馬 高須賀夫至子=辰馬の姉、雪乃 千葉敏郎=道場主を切った岬兄弟の一人 月形哲之介=大吉に『立ち会わぬほうが良いわ。後々もな』と言った岬兄弟の一人 萩清二=岬兄弟に斬られた神道無念流の道場主、江原源之丞 正司花江=半次さんに『夫婦(めおと)になって』と言った桂浜の茶店の娘

<スタッフ>脚本=森田新 監督=小野登 撮影=森常次 計測=山口鉄雄 照明=佐々木政一 録音=渡部章 
助監督=山村繁行 美術=塚本治 記録=佐藤利子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像=東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作=NET・東映 協力=室戸市

土佐ロケ。
土佐の海岸に来た二人。「南国の海はさすがに違うね、波のうねりも雄大だよ」「そりゃ俺たちの渡った瀬戸の海と違ってな、こっちは外海だからな」「じゃあ、こっから先はどこまで行っても陸地はねえってわけかい?」「いや、ずっと南へいきゃあルソンとか天竺もあるよ」「そのずっと南へ行くっていうのは、船で2〜3日もかかるかな」「船で2〜3日な・・」「なんてったって、まるでここから見えねえんだからそのくらいはかかるだろね、二挺櫨でとばさあもっと早いかな」「に、二挺櫨ね・・」どうしてそんなに詳しく知りたがるのかと聞く大吉に半次は、異国で意気のあったやつと酒を飲みたいとか別嬪の姉ちゃんにもてるかもとか話だし、大吉はますますあきれる。「俺はもう、お前と話したくない心境だが、念のため1つだけ聞くがよ、唐の別嬪の姉ちゃんが日本語を使うと思ってるのかよ、俺はな、人ごとながら、なんかこう体がむずむずして、ものすごく恥ずかしくなってきたんだよ」
さらに半次のおとぼけは拍車がかかる。茶店の前にいる尾長鶏を見て、「なんでこんなに長く伸びやがったんだろうね、まさか近所の野郎たちが毎日毎日よってたかって引っ張ったから伸びたんじゃあるめえな」旦那の目つきに気づきすぐに「そんなことは俺もありえねえと思うんだよ、この尾長鶏は先祖代々尾っぽが長いんだな、つまり親の因果が子に報いたと同じというわけだ」と言い訳し、またまた「俺はまた恥ずかしくなってきたよ」と大吉に言われる。
二人は、その尾長鶏のいる茶店で一休みするが、茶店のお梅ちゃんに、半次さん大好き、夫婦になって、と言い寄られる。ここで汚名挽回と「唐天竺まで行かなくてももてたぞ」さらに、もうこれから旦那と道中出来なくなるかもしれないがと、有頂天の半次。実はお梅は同名の小間物行商の半次さんに惚れ、焼津の半次さん相手に、プロポーズの練習をしていただけだった。土佐に来て、いきなり2度も旦那の失笑を買い、さらにこの追い打ちに、さすがの半次もすっかり元気がなくなる。「俺、世の中はかなくなってきた」と言う半次を、大吉は笑いをこらえて慰める。「バカにして笑ったんじゃねえぞ、おまえのような、言うなれば嬉しいやつがいるからこそ、世の中に笑いが生まれ、悲しいことも忘れられるんだ」大吉がおだてたお陰で半次はすぐに意気を取り戻す。「そうだよな、お陰で俺、生きる自信がわいてきた」「これは恐るべき単純さだ」と吹き出しそうな大吉の独り言。
そのとき突然、3人の侍の斬り合いが始まる。「いかんあの侍斬られる」と大吉の予告どおり、一人が斬られた。
斬られた侍は神道無統流の道場主だった。その弟・辰馬の話では、斬ったのは室戸の漁師あがりの岬一刀流の男たち。先日道場破りに来た際に、辰馬が2両与えて引き取らせたが、それに対し昨日また、「恥を知るなら桂浜にこい、嫌なら5両出せ」とのゆすりまがいの果たし状を送りつけてきたのだ。そして、辰馬らが知らぬ間に、父親の「剣の道を修めるものは立つべき時は毅然と立ち、死を恐れてはならぬ」という言葉にしたがい、兄は岬一刀流の果たし合いを受けた。辰馬は、兄は古い、外国船が日本の海を往来する今は、もはや剣の時代ではない、兄は無駄死にしたとまで言う。大吉は、辰馬の言うことに同意するが、辰馬の中の弱さも見抜いていた。
夜中酔って帰ってきた辰馬に大吉は「あんたに欠けているものが1つある」と、辰馬が兄のようにふるまえないコンプレックスを自分の理屈で隠そうとしていることを諭す。
翌朝、辰馬は「立つべき時に立たず、死を恐れる人間に未来を説く資格はない」と、大吉に仇討ちに行く決心を告げる。しかし、そんな辰馬の決意を知らない姉の雪乃は、うらみを晴らしにすでに、室戸へ向かっていた。雪乃を追う、3人。
突然、大吉が辰馬に「刀を抜け」と言う。「俺を岬兄弟だと思ってかかってくるんだ」だが、辰馬はへっぴり腰。万が一にも勝てない。
「そんなことで人が斬れるか」大吉の叱咤がとぶ。「一つだけ手がある、相打ちをねらうんだ。正眼に構えて俺の目を見ろ」しかし、辰馬の目は落ち着かない。「だめだ、なぜ目を見ん!全身の精気をこめて見なければダメだ、もっと下腹に力を入れて見ろ」辰馬が、大吉の動きを追えるようになる。
「よし、それでいい、相手が斬りかかってきた時、相手の胸板を目がけて真一文字に突きを入れるんだ」
雪乃を見つけ、介抱しているところに岬兄弟が現れる。大吉は弟に、辰馬は辰馬の兄を斬った兄に、刀を抜く。辰馬は、大吉の言葉どおり相手を差し、共倒れになる。しかし、辰馬だけは起きあがる。抱き合って喜ぶ姉弟。
「命を捨ててこそ浮かぶ瀬もあるというやつだよ、言うなれば素人はこわいと言うことだ」「旦那、不謹慎なこと言っちゃいけないよ、それより今度は珍しかったな、旦那のあれも俺のあれも出なかったじゃねえか」「おお、そう言えば・・・いや、土佐はいいところだ」「ホントだ」
見どころ:おからもクモもシャックリもないが、乗ってる大吉・半次の掛け合いがたっぷり楽しめて、しかも、大吉の剣術講座が聞ける、とってもお得なお話。カラー第一話だけあって、気合いが入ってる。
旅の場所:もちろん土佐


「女よあなたは強かった」 (第15話) 

<キャスト> 南都雄二=押しの一手、泣きの一手を使い分ける達人で蜘蛛が苦手な世吉(よきち) 三田登喜子=世吉の女房で、小料理屋寿寿屋の女将、おみね 神戸瓢介=『一寸の虫にも...』で言葉の詰まった浜島一家の子分、勘太 永田光男=女親分に恋文を出した横田一家の親分、利三郎 滝恵一=浜島一家の代貸し、十人力の力三(りきぞう) 有川正治=せめて大吉がおからを平らげてから腕試しをすればよかった鎖鎌の用心棒、村井先生 上杉高也=大吉半次を用心棒にとやって来た横田一家の代貸、鬼つね 浅野公恵=トビウオ、いや白魚みたいな指をしている居酒屋梅の屋の女中、おさと 泉好太郎大吉半次を探し、鬼つねを連れて来た横田一家の子分、うしまつ(丑松)
ミヤコ蝶々=育ちに関しては猛烈にうるさい浜島一家の女親分、お北 山下義明(NC)=『一寸の虫にも』の次の句『五分』を教えた浜島一家の子分


<スタッフ> 
脚本=森田新 監督=小野登 撮影=森常次 照明=佐々木政一 録音=渡部章 編集=島村智之 美術=吉村晟
装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 記録=篠敦子 助監督=山村繁行 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET、東映テレビプロ

半次は、浜島一家に、対立する横田一家の用心棒と間違えられ、さらに浜島の女親分・お北を「メスだぬき」呼ばわりしたことから一家の10人力・力三にやられそうになる。そのとき通りかかった大吉も、お北のことを「育ちのよくねえ」と言ったことからお北の怒りを買い、「柿の木につるせ」との命令に力三は大吉につかみかかるが、大吉は、びくともせず、逆に力三の腕をねじ曲げて倒してしまう。
浜島一家を出た二人は、居酒屋で飲み始めるが、そこで、居酒屋の娘を口八丁で口説いている男・世吉に出会う。世吉は、女房・おみねがやってくると、今度は、居酒屋娘を追い返し、女房を褒め称え、「過ぎた嫁はんに苦労をかけて、こんな男は死んでしもた方がいいんだ」と最後は、同情心をあおる。機嫌を直したおみねと世吉が居酒屋を出ようとした時、世吉の前にクモが。「でたあ」と世吉が叫び、続けて半次が同様の叫び声。「助けてよねえ」と世吉。「旦那た、助けてくれ」と半次。
クモが嫌いな同好の士にあって「あの兄さん、根は善良なんだよ」などと喜ぶ半次、それにあきれる大吉の前に、先ほどの浜島一家でのことを知った横田一家の代貸しが現れる。
浜島一家がいかに横暴に振る舞まい堅気に迷惑をかけているかを二人に話し、近々ある出入りのために、用心棒になって欲しいと頼む。
大吉はヤクザの用心棒など、気が進まない。半次が、宿場も助かり自分たちも潤うのだから「一鳥二石」というんだと説得し、「それをいうなら一石二鳥と言うんだ」結局、懐の寂しい二人は、その話を引き受けたが、出向いた横田一家の人相の悪い用心棒に、いきなりお猪口を鎖鎌で割られ、どうも「嫌な臭い」がすると、二人は、すぐさま用心棒を辞めて出ていく。「けしからん、せめておからを平らげてから腕試しをしたらいいのに、全くけしからん」飲み直しに入ったおみねの店で、二人は、悪いのは横田一家で、浜島一家の女親分のお陰でこの宿場は無事なのだと聞く。
そこへ、お北が入ってくる。二人は、自分たちが横田の用心棒のためにこの町に来たのではなく、たんなる旅の素浪人と風来坊であることを告げ、互いに、先ほどの非礼を謝る。
横田一家はお北に弱みを握られていた。お北の亭主が亡くなった時、以前からお北に気のあった横田の親分・利三郎は、お北に、「一緒になってくれなければ死ぬ」という恋文を出した。その恋文をたてに、お北は、おかしなことをしたら全国の親分に恋文をばらすぞ、と脅し誓約書を書かせていたのだ。「親分、あんたなかなか頭がいいぞ」半次も感心し「何十年前の恋文が役立つなんてねぇ」というと、すかさず、「ちょっと待て、うちの亭主が死んだんは5年前やで、5年前」としっかり訂正し、半次は恐縮、旦那は、陰で笑う。
おみねの亭主・世吉も、お北のお陰で、板前修業までしたのに、酒と女道楽に余念がない、それどころか、近頃は、横田一家に出入りしているらしい、手遅れにならない内に、と話しているところへ、お北の子分が来る。例の恋文と誓約書の入った文箱が盗まれた、それも、世吉が盗んだらしいという。
さらに、その文箱を取り戻そうとした力三が、横田の用心棒に殺される。世吉は、文箱を盗めば、居酒屋のたまった勘定を払ってやるが、嫌と言えば女房と一緒に住めなくしてやると脅され、酔わされたあげく、文箱を盗んだのだった。
「悪党の臭いがしてきたようだぞ」お北の脅しから逃れた横田一家が、殴り込みにきた。
「横田の親分、俺は気が変わってな、こっちの女親分の用心棒をすることに決めたよ」「この浜島のお北はな、おまはんらに簡単に命を取られるようなあほな女と女が違うんじゃ、このあほんだら」それを受けて、大吉「おい、あほんだら、うちの親分はな、女でもとびきり生きがよくできているんだ。昔の恋文をこそこそかっぱらうような、そんなみみっちいあほんだらとは違うんだい、わかったかい」・・・
「いろいろお世話になって」と礼を言うお北。これからは、一家を解散して子分らを正業に就かせるという。世吉もすっかり恐縮している。
「こんどは(ヒック)でなかったじゃないか」「ああ、そう言えば出なかったな、今日は記念すべき日だ」「大げさなこと言うんじゃないよ」
コメント:ミヤコ蝶々、南都雄二のお二人とのシーン、生録と思われます。(おからぼけさま)
怪力のやくざに衿を掴まれてもびくともしない大吉。かっこいい〜〜〜。あのシーンに惚れました。(惚れすぎ?)あと、私が好きなのは、敵を倒す時のこのちゃんの「ヘン!」とか「フン!」とかいう声です。いかにも強そう〜(こんなやつは朝飯前さ!)な感じで、大好きです。(鈴雪さま 2009年2月8日)


「地獄の鐘が鳴っていた」 (第16話) (←今までで食べた中で一番のうまさ)

<キャスト> 和崎俊也=美味いおからを出す居酒屋松乃屋の亭主、伊七 宮園純子=居酒屋の伊七の女房、おたみ
山岡徹也=三人組の頭分で鎖のついた分銅を使う、はっすんの虎松 堀田真三=三人組の一人で刀を使い、簀巻(すまき)の半次を殺そうとした男、丑蔵 波多野博=三人組の一人でめっぽう手裏剣が上手い、見附のきりすけ 日高久=安くて客の喜ぶ献立を聞きそこなった旅籠伊勢屋のおやじ 牧淳子=おからを持って来なかった旅籠の女中
不明(赤ん坊)酔って寝ていた大吉の危機を泣き声で救った、居酒屋夫婦の赤ん坊(男の子)

<スタッフ> 
脚本=松村正温 監督=荒井岱志 撮影=森常次 計測=山口鉄雄 照明=佐々木政一 録音=渡部章
 
助監督=尾田耕太郎 美術=塚本治 記録=篠敦子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=喜多外志之 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映

半次は、夫婦が経営する居酒屋で「お客さん、おからなんぞ召し上がりますか」と聞かれ、「花山の旦那がきいたら、よだれ垂らして喜ぶような店だな」と、おからの折り詰めを頼み、ふと考え直す。「旦那におから食わせると、癖が悪いからな、すぐにバカタレとか、からんできやがるからな、結局被害をこうむるのは俺だもんな」それでも、旦那を喜ばせようと、相談屋の得意先の旅籠でおからがないと文句を言いながら酒を飲んでいる大吉の元に、折り詰めをもってやってくる。
「おい旦那、これ欲しい?それとも欲しくない?」「子どもじゃねえや、もったいぶらずに開けてみろ」「開けてびっくり玉手箱」「お、おからじゃねえか!」と大吉が目を輝かせる。しかも、このおから、おから通の大吉を唸らせるほどうまい。そんな大吉が一折りのおからで満足するはずがない。
翌朝早く、半次は、大吉に居酒屋を案内させられる。しかし、店の前には、「本日休業」の看板(大吉シャックリ)。半次は、昨日店で、投げ文を読んだ亭主が顔色変えて出ていったこと、女房が心配そうに後を追ったことから、昔の女のことで夫婦ゲンカして今日は休みなんだと推理するが、おからの虫がおさまらない旦那、そんなことには全く関心がない。半次は大吉のために遠い城下町までおからを求めて奔走するはめになったが、おからは「お空(から)」、代わりに、江戸の人足寄せ場から逃走中の悪党3人組を見つけたら5両という、もうけ話をみつけた。
大吉には、1つだけ心当たりがあった。大吉は、昨日不審な3人組に鎖や手裏剣で突然襲われていたのだ。それを聞いた半次は、悪党はまだこの宿場にいるかもしれないと、早速、悪党探しに町に出かける。
夜、なぜか開店した例の居酒屋で、大吉は、早速おからをむさぼり酒をがぶ飲みし始める。悪党の名前を突き止めたという半次が、旦那を襲った3人組の人相を教えてくれ、「悪党をつかまえて5両もらえるのなら、あれなんだっけなな、一石二鳥だあね」と誘うが、今の大吉にはおからを食べること以外、関心がない。半次は「このおから!」と言い捨てて出ていく。
実は、悪党どもは、昨夜からこの居酒屋の奥を占拠していた。居酒屋の亭主は元仲間、怪しまれないために店は開けたが、弱みにつけ込み、赤ん坊を盾にとっていたのだ。
翌日、捜査に行き詰まった半次は、ちょっと決まり悪そうに、旦那の知恵を借りに来る。半次から、悪党はこの宿場にいるらしいこと、分銅のついた鎖や手裏剣を使うこと、投げ文の差出人が”虎”であったことを聞き、大吉は、虎が女ではなく、悪党の一人の虎松ではないかと推測する。
「3人組はあの店にいるかもしれんぞ」という大吉の言葉に、すぐさま居酒屋へむかったまではよかったが、店の前で様子をうかがっている時にクモが出て大騒ぎ、奥へ引き入れられてしまう。なかなか戻ってこない半次に「何かあったぞ」と大吉も居酒屋へ向かう。店に出た夫婦は半次など知らないと言いはるが、「奥を見せて貰うぞ」と言う大吉の言葉に、思わず女房が、「坊やが殺されたらどうするんですか、お願いです、帰ってください」と泣き出す。一旦大吉は引き上げるが、これで、奥に悪党どもがいることははっきりした。大吉は、一人ずつおびき出す作戦に出る。
まずは、半次を簀巻きにし川に放り込むように命じられた亭主を見届けるために追ってきた男一人を、小柄で。
それから、半次は、大吉に言われるまま、宿場に戻り、半鐘を鳴らし続ける。火事はどこかと、町の人たちが集まってくる。残ったうちの一人が外へ様子を見に出たところを叩きのめす。最後の一人は、仕掛けた火に気をとられて赤ん坊を離したすきに、斬る。
「旦那、こういう仕掛けだったのかい」夫婦が礼を言う。「坊、よかったな」と赤ん坊を抱く大吉。「坊や、夕焼けがきれいだぞ。坊やのお顔も真っ赤っか」と、半次が夕日の前で赤ん坊を抱き上げる。
おからの食べ方:大吉が二度も、おからを皿や折りまでなめあげて食う(以上じゅうよっつ)
コメント:第15話で半次が『一鳥二石』と反対に言って大吉に怒られ、第16話では、『あれ何だっけなぁ、おお一石二鳥だわな』と正しく言えてました。大吉と付き合っていると、学が付いてくるんですね。(相談屋さま 2003年4月11日)
赤ん坊をあやすシーン、本当に眼を細めて柔和な表情で赤ちゃんの顔をうれしそうに眺める演技が最高でした。実生活でも、孫に同じように接しているのかも、と思わせるほどで、良い意味で「よきお爺ちゃん」という風情でした。(キンちゃんさま 2003年10月4日)
最初のほうで、半次がだんなにおからを買ってきてあげたのに、「バカたれ」呼ばわりされて、半次がふてくされて、だんなが「すまん。俺が悪かったよ、焼津の兄さん・・・・」と必死にあやまって、店を教えてくれと頼んだのに、半次がふてくされて横になっていて、だんながさらに頼んでも 「いいよ、酒なら自分の金で飲むよ。」と言ってなおもだんなの頼みを聞き入れなかった、そのあとのだんなのセリフ「そうかよ・・・」と言ったこの一言が好きです。ちょっといじけた、子供のけんかのあとのような言い方がとてもおもしろかったです^o^ みなさんももしよければこの「そうかよ・・・」に注目して聞いてみてください!(天童左近さま 2009年2月6日)
(↑の天童さまのコメントに対して)だんなの ふてくされた「そうかよ・・」のシーン見ましたよ!思わず笑ってしまいました! 少し鼻にぬけたような言い方で子供っぽくかわいらしく感じました。そのあとすねて 自分でおからをさがしに行くというのも よっぽど気にいって食べたかったんですね・・ 最高でしたよ! でも だんなは いつもおからを最初味見したとき 「おい!おやじ ここのおからは最高だよ!」というようにいつも最高とか 今まで食べた中でいちばんだよ などと調子のいいことを言ってますね・・結局 おからなら なんでもいいみたいということが よくわかりました・^0^(間抜けの坂田三左衛門さま 2009年2月10日)
(↑の天童さまのコメントに対して)わたしもだんなの「そうかよ・・・」の一言が気にいりました・・・ビデオで何回も見て笑っています。(焼津のだんなさま 2009年2月10日)
花山のダンナってば・・お皿舐め回しちゃってもう〜お下品っすねっ(爆)とか言いつつ、あそこまでやってくれると、かえって天真爛漫で可愛いぞ・・とか思ったり。子どもの頃、同じことをやっては叱られていたのを思い出しました(笑)(南まさとさま 2009年2月9日)
このちゃんのカットバン、見ました!確かに2枚、右手の甲に貼ってありました。ペールオレンジ(今は「肌色」と言ってはいけないそうで・・)で目立たなくはありましたが、確かに!(ああ、あれを見ただけでも、このちゃんが痛々しくて・・)ちょっと不思議だったのは、普通だったらカットバンが見えないアングルから撮影すると思うのですが、あんなに「カットバンの手が手前に来る方向から」撮るって・・!おおらかというか、何というか…。私がこのお話で好きだったのは、大吉が宿屋の帳簿?を見ながら「これじゃあ、赤字になるのも無理はねえな。ここの親父はそろばんをまるっきり知らねえんだなあ・・」とそろばんをはじくシーンです。知的な大吉の一場面を見た感じで、素敵でした。それから、このお話では、半次の人のよさ、まめさ、を感じるシーンもたくさん出てきましたね。旦那のためにおからを折りづめにしてもらったり、遠くの城下町までおからを探しに歩いたり・・おからをさがしにさまよい出て行った旦那を夜も寝ないで待っていたり。あと、「本日休業」の店の前でしゃっくりを始めてしまった旦那にひょうたんの酒を飲ませてあげ、背中をさすり、最後にはひょうたんを腰につけてあげるまめまめしさ!ひょうたんを腰につけてあげるシーンでちょうどCMになるので余計に印象深かったです。最後の、半次が半鐘を鳴らすシーンの夕焼けは本物??それとも絵でしょうか??(鈴雪さま 2009年2月11日)


「美人だらけの町だった」 (第17話) 

<キャスト> 宮地春子=娘っていうのかオバハンっていうのか、そのへんのところが微妙な姉ちゃんの、おみつ 
牧冬吉=娘のお花を一等にしたいと思い、おからを差し入れた大工の棟梁の留蔵 芦屋雁平=美人選び大會の司会、大工の源助
須藤健=江戸一番の版元,明石屋与右衛門 楠本健二=大吉を少々痛めつけようとした浪人 
柳川清=美人選び大會の開会を宣言した、娘のお春を一等にしたいと思っている神主 原聖四郎=絵筆を取っては日本一、安藤国重先生
白川洋子=大工の棟梁の娘、お花ちゃん 東三千=神主の娘、お春ちゃん 
佃和美=一番手として登場した目元涼し人気者、小間物屋のおきっちゃん 崎山陽要=材木問屋の娘、お銀ちゃん 
三枝由佳?? 岡美芸子=美人選び大會開催直前の控え室でお茶を入れていた娘
浪花五郎美人選び大會の開会宣言席上で留蔵の隣に座っていた老人 
姿美千子=美人選び大會に出ていれば一等間違い無し、居酒屋の娘おしの
不明の女=顔を隠して登場した質屋の娘、おようちゃん
和田昌也(NC)=『おー。.美人大會が始まるぞ』と叫んでいた町人

<スタッフ>
 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=森常次 照明=佐々木政一 録音=渡部章 編集=島村智之 美術吉村晟
装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 記録=篠敦子 助監督=山村繁行 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 
擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水 制作=NET・東映京都テレビプロ

その宿場の真ん中には、大きな舞台が立っていた。、聞くと、あと一時もすると「美人選び大會」が始まるらしい。一等をとった娘は、審査員で江戸で評判の絵師・安藤国重のモデルになれるのだ。どうりで、街道筋では人買いの噂があるというのに、この佐野宿では、きれいに着飾った娘をたくさん見かける。
半次が、絵師・国重の泊まっている旅籠を覗くと、なんと、国重、版元・明石屋と並んで、大吉が座っている。大吉は、昨日この旅籠で相談に乗ったのがすこぶる好評で、急遽、審査員を頼まれたのだという。事前運動は止めようと言う申し合わせがあるにも関わらず大工の棟梁が自分の娘を連れて挨拶に来る。さらに、神主も娘を連れて、入ってくる。絵のモデルになれば、娘は全国に知れ渡るとあり、親までが必死なのだ。
半次は、半次が大吉の連れと知った大年増のおみつから、なんとか締め切りに間に合わなかった自分も、大會に加えてくれるよう頼んでくれとしつこく頼まれ、しぶしぶ大吉の元へ行くが、とんでもないと、断られる。それでももう一押し、と、とせがむおみつから逃げ出すころ、町ではそろそろ大会が始まる。
「相談事なら日本一、花山大吉先生」と紹介され、全くやる気のない顔で、手をあげ挨拶している大吉。おみつに見つかった半次は、、またしぶしぶ大吉に頼みに行くが、てんで相手にされず、ちょうどそのとき、「お好きとうかがって」と、大吉に酒とおからを持ってきた棟梁に、追い出されてしまう。
「なんだい、あの花山のおから野郎、なにが美人選びの審査員だい」とブツブツ文句を言っていた半次だが、やはり、酒とおからを出された旦那のその後が気になる。行ってみると案の定、司会者に酒買ってこい、棟梁におからがないとわめき、自分がなにをしているのかも分かっていない状態で、大會はひっちゃかめっちゃか。半次は、関係者に平謝りしながら、大吉に肩を貸して、連れていく。人通りのないところまで来ると、突然、2人は浪人たちに襲われる。大吉のシャックリに、半次は酒を買いに走るが、大吉が酔ってあまりに手応えがないため、浪人は、去っていく。
実は、これは大吉の作戦。大會前に、版元から「礼はするから、ただ黙って座っていてくれ」、つまり口をはさむなと頼まれた大吉、イヤな臭いがしていたところに、おからと酒が出てきて、渡りに船と、大會をぶちこわしにしたのだ。そしたら、次に、浪人たち。文句も言わずに斬りかかってきた。
大吉の睨んだとおり、美人選び大會の裏には何かがありそうだ。
半次は、大會から追い出されて出会った、これこそ町一番の美人と思われそうな娘・おしのの話を思い出す。おしのは、大會にまったく興味が無く、ばからしいとさえ思っていた。さらに詳しくその理由を聞きに行く(おしのの店の前でクモ)と、絵師の描いた1枚の絵を見せる。
酔って描いた絵とはいえ、
ひどい絵だ。
旅籠では、つぶされた大會の代わりに、絵師と版元が、5人の娘を選び、江戸に連れて行く手はずを整えていた。そこに、証拠の絵を持って大吉・半次が来る。最初は、とぼけていた絵師も、「これでもまだ、おめえは絵描きと言い張る勇気があるか」と絵をつきつけられ、とうとう、尻尾を出す。版元の「やっちまえ」の言葉を合図に、浪人たちが旅籠に入ってくる。・・・
この二人は、人買いで、有名絵師のモデルにすると、それぞれの親から20両ふんだくった上に、娘たちをかどわかそうとしていたのだ。
一件落着し、恐縮する棟梁と神主。「めでたしめだたしというわけだね」しかし、大吉の差す方には、半次をさんざん追い回したあのおみつが。
半次に礼を言いたいのだという。もし、自分が大會に出ていたら、5人の中に入ってかどわかされてたかもしれない、「何が幸いするか知れないね」その言葉に「全く見上げた心掛けだよ」と笑う二人。
酔った大吉を浪人が襲う:浪人の一人が斬りかかってきたところで、シャックリが出る。「いかん、焼津の、出た、ホラ出たよ、早く酒を入れて来ねえか」「また空か」「ブツブツ言うな、このうすらバカタレ」「花山おからが!今度バカタレとか言ったら、ぶっとばすぞ」「分かったよこのバカタレが」半次が酒を買いに行ったあと、刀をかついだ大吉は、「今酒が来るから、それまで一息入れてなさい」と千鳥足で浪人の間を歩き、当然、かかってくる浪人たちを「一息入れろと言ってるのが分からんのかよ、瓢箪が来んのだ、瓢箪が」と、鞘に入った刀で受けながら、イビキとシャックリをしながら寝てしまう。
旅の場所:下野(しもつけ)佐野宿(栃木県栃木市)(以上、じゅうよっつ)
見どころ:なんといっても美人コンテストの席上で差し入れのおからを肴に酔っ払ってコンテストを滅茶苦茶にしてしまう近衛さんの演技です。その後も悪役たちに絡まれて大立ち回りとか言うところで酔いつぶれて鼾をかいて寝てしまうシーンも最高です。あと、半次が美人コンテストとは無関係のような娘と言うかおばはんと言うかに、コンテストに出場させろとしつこく付きまとわれるし、それを花山の旦那に頼みに行ってけんもほろろに追い返されるシーンは大爆笑ものです。この回はユーモア度で104話中の白眉だと思います。(錯乱坊さま 2003年2月25日
いやあ、評判どおり面白い作品でした。笑わせる部分は、もう良質の喜劇と言ってもよろしいんぢゃないでせうか?審査員紹介の場面で、紹介された大吉が、カメラ目線で片手をひょいと振るところなんかケッサクでした。それに、おからのために会を滅茶苦茶にしてしまうところも、初期のフーテンの寅さんを髣髴とさせる傍若無人ぶりで、いい味でしたね。もっとも、会をブチ壊したのは大吉の作戦だったのですが。
余談をひとつ。「佐野宿美人選び大会」という看板のアップとともに、会が始まる場面で、ウエスタン調のBGMが流れますが、これも「月影」でお馴染みの楽曲です。もっぱら半次が単独で暴れるときに使用される曲で、さしづめ、「半次単独アクションのテーマ」とでも呼べるものなのです。
「財布の紐がゆるんでた」で、神風タクシーならぬ神風駕籠に乗った半次が松の木に激突する場面で流れたのが、特に印象に残っています。
(キンちゃんさま 2005年6月15日)
みなさん 兵庫と大吉は雰囲気が違うと言われていますが、私も同感です。ついでに言うなら 月影の第一シリーズの半次と花山大吉での半次もぜんぜん違う感じがします。旦那のほうは別人という設定なのでわかりますが、半次は同じ役柄なのに変わりようにびっくりです!たとえばよ〜く見ると 髪型、顔の化粧なども少し違っているようです。月影は白黒放送なのではっきり言えませんが、花山では半次のほっぺたが 少し赤く塗られて 道化者的な化粧になっているような感じがします。特にカラー放送ではよくわかります。もみあげも 月影の時はも少し長かったような感じがします。だんなのほうは いろいろと違いがわかりやすいですが、半次のほうもいろいろと観察してみると 新たな発見があり楽しめますよ!!(きざくら&ようめいしゅさま 2009年2月10日)
コンテスト会場(?)の飾りつけにクリスマスの時に使うモールが使われていましたよね、あれは意図的なんでしょうか?意図的でしょうね、あの時代にあるとは思えないですものね、なんだか大発見をした気がして「オイオイ!」と思わず突っ込みました。きっと皆さんも気付いて突っ込んでいるか(?)と思ったのですが。(のりりんさま 2009年2月11日)
確かに美人コンテストの場面だけ、現代に戻ったかのような錯覚を起こさせるような設定でしたね。審査員の紹介の場面も、現代風。審査員紹介で大吉が「ハーイ」のように片手をあげるシーンがすごくかわいくて、ここが一番好きでした!あと、半次の「べっぴん」の基準について、甚だギモンです(笑)。この回での「美人コンテストにふさわしくないねえちゃん(オバハン)には酷評でしたが(旦那ともども、気の毒なほどの酷評)「風の岬に鬼がいた」で言い寄られた(だまされた)茶店のねえちゃんは絶賛する「べっぴん」でした…。う〜〜ん、半次さん、どういう感覚をしてるんでしょか?(鈴雪さま 2009年2月11日)
私も美人コンテスト場面を確認しようと思って最初から見ていると、番組がスタートして4分50秒ほど、大工の源助(芦屋雁平)が焼津の半次に美人選び大会が開かれることになった経緯を説明しているところで、左上の画面に鉄ハシゴのついた撮影所の建物が映ってしまってますね。時代劇を見るときに背景の風景などは私はあまり気をつけてみたことはなかったのですが、このようなことはよくあることなのでしょうか。(長沢威さま 2009年2月11日)


「渦まで左に巻いていた」 (第18話) 

<キャスト> 梅津栄=拾った寄進の酒樽を半次に押し付けた、酒癖の悪い瀬戸の漁師のジンクロベエ
二本柳敏恵=弁当のおかずにおからを持参したジンクロベエの妹、いや本当は娘のお浜
二本柳寛=『その酒樽を返して頂きましょう』抜け荷一味のお頭 尾上鯉之助=眼帯を掛けた浪人 
小倉康子=半次には気をつけた方が良いと思っている、ジンクロベエの母ちゃん 有馬宏治=大吉達に土柱見物を勧めた茶店のおやじ
大城泰=眼帯浪人と一緒に大吉たちを追いまわし、最後はジンクロベエの母ちゃんを連れて来た子分、源太
志茂山高也=抜け荷のお頭が『そこに入っていた紙も一緒にだ』と言っている時、画面左端にいた子分
加藤匡志??  福本清三=土柱で、大吉のしゃっくりが収まった後、最初に大吉に斬りかかった男
小峰一男??   
不明 男18−1=琴平参りの老夫婦に、犬代参をお願いした旅の男 男18−2=犬を預かった琴平参りの老夫婦
    女18−2  琴平参りの老夫婦

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=森常次 計測=山口鉄雄 照明=佐々木政一 録音=渡部章 助監督=山村繁行 美術=塚本治 記録=佐藤利子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像=東洋現像所 プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作=NET、東映 協力=琴平町

徳島ロケ。
鳴門の渦潮見物に徳島にやってきた大吉・半次は、旗を立てた酒樽を持った「ジンクロベエ」(陣九郎兵衛?)(梅津栄)という男に出会い、半次が酒樽を押しつけられる。この酒樽は、この近くを通る船が海上安全を願い海へ投げ入れたもので、拾った者はそれを琴平さんへ届け、代参しなければならないしきたりになっている。さらに事情で代参ができない者は、それを他の誰かに頼み、いわば「代参の代参」をするのである。半次はその「代参の代参」を頼まれたのだ。途中で徳島まで奉公に行く陣九郎兵衛の娘を伴い、重い樽を半次が抱え、さらに「犬代参」なるものや、近くにある「土柱(どちゅう)」という観光名所、琴平さんでも「蹴鞠」などのエピソードもはさみながら、旅が続く。
酒樽の中は酒が一杯、代参者は途中で飲んでもいいが、その分を足して奉納しなければならない。娘が二人に差し出した弁当にオカラが入っていたものだから、大吉は樽から直接がぶ飲み、娘は驚き、半次はもうこうなったらどうしようもないとあきれ、あきらめ顔。
夜、三人が泊まった旅籠に「枕さがし」が入る。どうやら、この酒樽をねらったらしい。さらに、陣九郎兵衛が後から三人を追ってきて「酒樽を返してくれ」という。怪しい男たちに、「かあちゃん」が人質に取られ、どうしても酒樽を取り返してこいと言われてきたというのだ。
大吉は、この酒樽の二重底を見破り、抜け筒の連絡文書を見つけた。短筒を妻に向けながら現れた悪人達に「仲間とは(連絡文に書いてある)15日の夜、牢屋で会わせてやるよ!」と言った瞬間、連絡文の紙を短筒に向かって投げつけ、誤発射させる。あとはいつもの痛快な立ち回り。(花山小吉さま 2002年5月28日)
見どころ:梅津栄さん扮する陣九郎兵衛と、半次のやりあいが面白い。
タイトル「渦まで左に巻いていた」は、冒頭、大吉と半次が渦を見ている時、「なんで阿波の海だけ渦が巻いてるんだろう」「それは潮の流れのせいだよ、渦巻いてる辺り、瀬戸内側より水位が低いだろう」「なるほど・・水位ってなんだ?」「水面の高さのことだよ」「ほーそういやたしかに。なるほどね、阿波の海も随分難しくできてるんだなぁ」「何が海が難しくできてるんだ、どうもせっかくの鳴門の渦潮見物に来てもだ、お前のおかげで渦まで左に巻いてるようでいかんよ」からきているようだ。
旅の場所:阿波(徳島県)
お決まりグッズ:クモは、旅籠で怪しい男たちが半次らの部屋に入り込んだのも知らずに隣室で眠っていた娘・おはまを見て、バカらしくなって寝ようとした時、行灯に。おはまがおからの入った弁当を差し出され、それまで半次が奉納酒を飲もうと言うのを不謹慎だとたしなめていた大吉は、とたんに、「焼津の、何ぼやぼやしているんだ、早く樽をあけんか、ホラ、あけんかって!」「あけんかって、旦那たった今、これは琴平さんの酒だからがっついちゃいけないって言ってたじゃないか」「何いっとるんだ、おからがすべてに優先するのを忘れたのかよ、お前は全く非常識な男だな」「非常識はどっちだ!」おからをむさぼり、酒樽に口をつけてがぶ飲みし始める。シャックリは、土柱見物で浪人たちがかかって来た時出るが、今回は、瓢箪に酒がはいていたので、事なきを得る。
コメント:浜辺で昼飯を食べるシーン...連れのお浜ちゃんが出したおからが目に入った瞬間の大吉の上半身の身ののりだし様がいい!
そして「おい焼津の何をおめえぼやぼやしてんだ早く樽を開けんかほら樽を」「開けんかってダンナたった今これは金毘羅さんの酒だからがっついちゃいけねっていったじゃねえか」「何を言ってんだおめえは!おからが出たら別だよーおからが全てに優先するのを忘れたのかおめーは全く非常識な男だなおめーは」もう誰も逆らえませんね!(あまぎそよかぜさま 2005年5月29日))
二本柳敏恵さんと二本柳寛さん:お浜に扮する二本柳敏恵さんと最後のほうに登場する抜け荷一味のお頭、二本柳寛さんは名前からもわかるように実の親子です。父親の二本柳さんは戦後の一時期、その苦みばしった精悍な容貌と重厚な演技で、スケールの大きなスターとして大成することを期待されました。その後も「麦秋」「太陽のない街」などの名作に出演し存在感を示しましたが次第に印象が薄れ、31年に日活に移籍してからは無数のアクション映画に出演、そのほとんどは凄みを生かしたギャングのボス役などであったそうです。この出演の翌年1月に心不全のため死去していますのでこれは最も晩年の映像といえるかもわかりません。(長沢威さま 2009年2月10日)
金毘羅さんあたりに 現代風の物が偶然映っていないかと 探したんですが、石段をアップにしてうまくはずしていたようです。カメラの映っていないところでは たぶん有名な観光地だけあって ものすごい数のギャラリーだったんでしょうね!土佐ロケのように・・・花山大吉の撮影の頃はまだ アスファルトやコンクリートの道なども地方に行けば少ないので撮影しやすかったんでしょうが、現代ではほんとうにロケをするにはむずかしい条件になってきているんでしょうね(きざくら&ようめいしゅさま 2009年2月12日)
徳島ロケということで、普段よりさらに気合いを入れて視聴しました(笑)やっぱり冒頭は鳴門の渦潮でしたね。けれど、あれはロケ時に撮ったものではないかも・・。(ひょっとして東映さんのバンク映像?)渦って、いつ行っても見られるという訳じゃないし、1日のうちでもできる時間は限られているもので。映像を見ながら、ああ・・近衛さんと品川さんは、実際の渦潮をご覧になることが出来たのだろうか・・と、いらぬ心配をしていました(笑)あと、あんな風に海岸から渦は見えないんだよなぁ・・とか、そもそもあの海岸て何処なんだろう・・とか、ストーリーとは関係ない雑念が色々と(笑)おまけに土柱まで出てきてくれたんで、地元民としてはいよいよテンションが上がったっす(笑)完全に観光とタイアップしてましたよね。尤も今はすっかり寂れてしまってますけど・・>土柱写ったのが岩肌むき出しの映像だったので、改めて放映時からの月日の流れを実感しました。今ではあの岩肌も、かなり松の木に覆われてます。それと、土柱の下で立ち回りをしてましたが、あそこも現在は入れないのでは・・??何にせよ、国の天然記念物に指定されている場所でのロケ、流石は花山大吉って感じでした(笑)
それにしても花山のダンナ、本当に博識なんですね〜。渦潮の出来る原因だけじゃなくて、海に酒樽を流しての金比羅代参のことまで知ってるなんて凄いっす。ネットで調べたら本当に行われていたみたいで・・でも樽は空だと書いてあるサイトもあったり・・。けど、もしそうだとすると話が作れなくなっちゃいますもんね(笑)
そう、今回個人的に一番のツボだったのは、あのおから登場シーンでした。視聴者に期待を持たせるあの前フリ、もう素晴らしすぎます。そしておからと共に例によってダンナは豹変、酒樽から直接口飲みするし(こればっかりは真似したくても出来ないかも(笑))、挙げ句またもそのまま寝入っちゃうし・・。あれ、あの後半次が旅籠まで運んだんですよね??さぞや重たかっただろうなぁ・・(爆)
ともあれ、見知った場所が出てきた分、プラスαで楽しめましたよん。個人的には、ジンクロベエ(甚九郎兵衛?)と半次の会話は今ひとつでしたが(汗)
なんせいつものダンナとの掛け合いが素敵すぎるもんで・・もうあれ以外受けつけないというか・・困ったもんです(笑)(南まさとさま 2009年2月12日)


「お茶はお茶でも無茶だった」 (第19話) (←ニオイだけ)

<キャスト> 原良子=大吉の『町人と侍の分け隔てするのが嫌だ』の一言に惚れた、芸者の菊春こと、お菊
新井茂子=大吉がおからを買いに行ったとうふ屋の娘、おてる 増田順司=五年前、茶壷のために息子源太を殺された、とうふ屋のおやじ 大泉滉=茶摘女に気のある茶坊主 石浜祐次郎=『役得』について奉行に説明した、お役目に慣れた茶坊主のりゅうどう
不波潤=お茶壺道中を率いる生真面目で若い奉行、高森 東大二朗脅迫状が投げ込まれて、四苦八苦の代官 
山本弘=大吉を連行したが、後で酒付きの食事を差し入れ、釈放した代官所役人 桂広行??   
高並功=『御茶壺様の道先をけがす不心得者!』 母親を鞭打ったお茶壺道中の徒歩頭
寺下貞信=お茶壺道中の道先に俵を落とした町人 松田春子=子供がお茶壺様の道先をけがし、鞭で打たれた母親
筧浩一=大吉達の筆跡鑑定をしようと執拗に迫った代官所の若い役人 南郷成吉お茶壺様に殺されたとうふ屋のおやじの息子、源太 村田天作=『黙ってるって法はねえやな』の牢屋で半次と同室の男 古閑達則=『俺たちゃ身に覚えがねえんだよ』の牢屋で半次と同室の男 
不明 男19−2=半次を引っ立てようとした木っ端役人 男19−5=子供時代の大吉

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=荒井岱志 撮影=羽田辰治 計測=荒木和男 照明=佐々木政一 録音=渡部章 
助監督=尾田耕太郎 美術=塚本治 記録=篠敦子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=喜多外志之 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映

花山は道ばたで寝ているときに、半次は居酒屋で飲んでいる時に、それぞれ役人に素性が定かでないというだけの理由でとらえられてしまう
(花山は無抵抗で、半次は抵抗したけど、クモが出た)。取り調べでは、姓名を書かされる。この宿場には将軍のお茶壺が到着しており、代官所に「お茶壺をたたき割ってやる」という脅迫状が来ていたので筆跡を調べるためだ。取り調べのあと、花山には酒つきの食事が出て無罪放免、半次たちには”ひえ”の入った握り飯で、出してもらえる雰囲気はない。満面笑顔、半次の鼻の前に酒をかざしながら飲んで食べて牢を出てきた花山だが、無罪の半次達を助けるために一肌脱ぐ。一方牢の中で半次は「侍」というだけで出してもらえるということで「身分制度」「侍全般」ばかりでなく、大吉にも恨みの気持ちを持つ。
大吉は代官所に飛び込み、代官を刀で脅して脅迫状を見せてもらう。その瞬間、これは豆腐屋の仕業と見抜く。紙からオカラのにおいがしたからだ!豆腐屋のおやじ(増田順司)は、昔息子が茶壺道中の時道ばたに這っていたのだが、わずかな落ち度に、無礼だと斬られてしまっていたのだ。その恨みから、毎年茶壺道中の時、いつか茶壺を割ってやろうと考えていたのだという。大吉はそんなことをしてもなんの意味もないと話すが、なかなか納得しない。
おやじは、ばかなまねをしないように娘が見張っていたのだが、わずかなすきに抜け出した。(大吉驚いてシャックリ)大吉はようやくおやじを捕まえ、見てもらいたい物があると言って、はかまをめくって自分の足を見せた。そこには大きな傷。「子どもの時の、この傷をつけたのは誰だと思う。今の将軍だ。遠駆けの馬に引っかけられたのだ。わしは生死のふちをさまよった。一命をとりとめ治ったとき、父が『せめてすまなかったのひとことが欲しかった』と言っていた」と、必死におやじを説得。牢破りをしてきた半次はそれを隠れ聞いていて、花山の本当の気持ちを理解した。
最後は、半次とともに茶坊主どもを痛い目にあわせ、「お茶壺道中なんかで、どれだけみんなが迷惑しているのか、江戸に帰ってら将軍に
言っておけ」坊主が「お名前は」と言うと、「昔上野の森で、上様の馬に引っかけられた子どものことを覚えているか、と申しておけ」
今はこれが精一杯だ、そのうち、弱い者がバカをみない世の中が来るよ。そう話し合いながら去っていく大吉半次だった。
(花山小吉さま 2002年5月30日)
見どころ:このちゃんは、浪花節的口調や懇々と説得する口調のセリフがとてもうまい。どうしてもお茶壺をたたき割ってやるというとっつぁんに、「世の中はそんなにたやすいものだろうかね」「短気を起こすんじゃねえゾ、騙されたと思って聞いてくれ、な、たのむ」「それよりもとっつぁん、いまの自分を大切にすることだ、いい娘さんがそばにいてくれるじゃないか、つらいだろうが思い直せ」というときの、語尾の「ね」や「な」や「か」にこもった気持ちが、傾けた顔の優しい目尻のシワとともに、相手の気持ちを落ち着かせ、ほぐす。(じゅうよっつ)
サスペンス仕立てでなかなかの佳作だと思います。さらに注目すべきは、半次の武士に対する思想がはっきりと前面に押し出されていたことです。以後、半次の「俺は侍は嫌いだ」というテーゼは、各エピソードの至る所に顔をだすようになっていくのではないでしょうか。(キンちゃんさま)
豆腐やの娘さんが「私が目を離した隙にオトッチャンがいなくなった!」って言ってきたときに、大吉のおなじみのシャックリがでましたが、そのとき“いかん・・またでた!”の言い方が、すごく可愛かったです。(笑)(ノリちゃんさま 2009年2月13日)
なかなか考えさせられるお話でした。子どもの頃の大吉が出てきたのも、貴重ですね。子どもの大吉も、目が二重でとってもかわいいし利発そう。できれば大吉の父や母も見てみたいです。(出る回は、ない・・ですよね?)あんなに小さい頃からもう袴をはいて「武士の子ども」って感じですね。大吉の、とうふやの親父を諭すところは、大吉がしゃべっているというより、このちゃんが言っているような錯覚を覚えました。いろいろな経験を重ねてきたこのちゃんが言っているような。(鈴雪さま 2009年2月14日)


「我が子を拾うバカもいた」 (第20話) 

<キャスト> 三上真一郎=拾った?赤ん坊の君太郎を背負った、すぐカッカする火の玉の兄さん、政(マサ)
河上一夫=赤子を背負った子守りを探している庄屋の清兵衛 小谷悦子=赤ん坊を旅人に預けたと言った、機転のきく子守り娘のお花 
小田部通麿=君太郎に興味のある野盗の頭、荒武 宮城幸生=赤子を連れた旅人を探している浪人
平沢彰=火の玉兄さんが2度目に喧嘩した相手で、大吉をたたんでしまおうとした男
藤長照夫=火の玉兄さんが最初に喧嘩した相手で、半次に向かって『何しやがんでぃ、このタヌキ野郎』と言った男
熊谷武=一気に六人前のめしを売り上げた茶店のおやじ
菊ひろ子(若柳菊 改め)=腹は腹でもすきっ腹で倒れていた姉さんのおきみ

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=森常次 計測=水島淳一 照明=佐々木政一 録音=渡部章 
助監督=山村繁行 美術=宇佐美国亮 記録=佐藤利子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映


その日は、わけのわからない人間によく出会う日だった。
まず大吉は街道で、怪しい浪人達から、「赤子をつれた旅人を見かけなかったか」と尋ねられる。「見ない」というと、急いで通り過ぎていった。
次に、、半次と合流して二人が出くわしたのが、火の玉の政という旅人で、5〜6人のヤクザと喧嘩していた。しかも、背中には赤ん坊を背負っているので、二人は助っ人を買うが、逆に、要らぬことをしてくれたと、怒って行ってしまう。
その態度に頭に来た半次兄さんは、それを旦那に向けてしまい、小言を言われる。「いつも冷静な俺としたことがだな、火の玉野郎の印象があんまり強烈だったもんで、ついこの」「何が冷静なだよ、あの火の玉野郎といい勝負のくせしやがって」「いくら俺でもよ、ああ無学丸出しのこっぱずかしいタンカきれねえや」などと言い出すもので、大吉は大笑いし始める。「なんだいその態度は、なにも吹くこたあないだろ」「いや俺は吹いちゃおらんよ、息が鼻と口からいっぺんに飛び出しただけだ」「この、また人からかいやがって」
そんな事を話していると、次に、街道に倒れている女・おきみを発見。半次兄さんが親切に介抱してやると、3日前から何も食べていないという。茶店に連れて行き、半次が持ち金で足りるか心配している横で、ちょうど手持ち分の6杯のどんぶり飯を勢いよく平らげた。事情を聞くと、「人を捜している」というが、なにか話づらい様子。半次が、「おきみちゃんはその年だから、子供って事はないだろう、男のケツ追っかけるなんて事は考えられないしよ、そうするとおっかさんじゃねえのか?」と、勝手に推理していき、おきみも「そう、そうです」となんだか、話を合わせているように返事をする。(おきみの、「自分は母親似で美人」という言葉にあきれているところでクモ出現)
半次はとうとう、「尋ね人 おうた 三十九才 丸顔 右の女知ってる人は乞お知らせ」と書いた母親探しの旗を掲げて、街道を尋ねながら歩き始める。しかし、旦那は、「俺はなあ、お前と一緒に歩くのはごめんだよ」「どういう訳だ?」「一緒に歩きたかったらなその妙なもの(旗)を捨てちまえ」と迷惑そう。大吉には、どんぶり飯6杯平らげたおきみが、母を恋い慕って捜しているようには見えないのだ。半次が「もう面倒みきれねえや」と、大吉に怒っていると、「おい、面倒見切れんのがあそこにもいるぞ」見ると、あの火の玉野郎が、また喧嘩している。
また助っ人にはいる二人。相手は逃げるが、火の玉の政は、今度は怒って、大吉にかかってくる。大吉に鉄扇で一撃されて「お前が死ぬのは勝手だが、その子は人間を開業したばかりなんだぞ、なんの権利があって巻き添えにしようというんだ」と怒鳴られ、やっと目をさます。
政は、背中の子は自分の子か、と半次に聞かれると、何だか口ごもっている。「この君太郎はよ・・・それが実は拾ったのよ、今朝がた」「おめえ、拾った捨て子の名前をなんで知ってるんだ?」と大吉に聞かれ、名なしじゃかわいそうだから自分がつけたと言い訳する。そして、一緒に行ってやるから次の宿場で役人に届けろと、勧める二人の言葉に、あわてて去っていく。
今度は、いい身なりの町人とその雇い人らしき男女がやってくる。「赤子をしょった子守りを見なかったか」と聞く。男は村の庄屋で、今朝、子守りごと子供がさらわれた、さらったのは、前から狙っていた野盗の荒武らに違いないという。
半次は、てっきり政が庄屋の子をさらったのだと思いこむ。「どうやら俺には読めてきたぞ」と大吉。
その頃、火の玉の政は、荒武と名乗る浪人達に囲まれ、「子供を渡せ」と脅されていた。そこに、大吉・半次が来る。「俺の大事な一粒種の君太郎をかっぱらおうとした」という言葉に半次は驚く。そこに、庄屋が無事、子守りと赤ん坊を連れてやってくる。
「お前達は、とんだドジをふんで、この火の玉の兄さんを追ってきたようだな」荒武は、庄屋の子守りが危険を感じ、機転を効かせて赤ん坊を草むらに隠し、荒武には赤ん坊は旅人に預けたとウソを言ったことから、政の背負った赤ん坊を庄屋の子供と勘違いしたのだ。「乗りかかった船だ、焼津の、この悪党どもを一掃き掃いていくか」(大吉シャックリ、半次に助けられて酒を飲む)・・・
日頃荒武に困っていた庄屋達が、大吉と半次に礼を言う。政も、右に同じで消えようとするが、「待て、おめえはなまだ不審だらけの男なんだぞ、なぜうそこいたんだ」と半次が止める。
そこに、おきみが来て、政に気づく。二人は夫婦で、派手な喧嘩をして、飛び出したおきみを政が追い、おきみも帰ったらいなくなっていた子供と亭主を捜していた。二人とも、「こっぱずかしくって」本当のことは言えないので、人の良さそうな半次兄さんにうそをついていたというわけだった。
「旦那あ、俺食われたぁ」「兄さんよ、この勝負は負けも負け、言うことなしの完敗だ」大笑いの大吉。「完敗かぁこんちきしょーめ!」と旗を放り投げ、面目なさそうに覆った手から顔を出す半次。
見どころ:大吉が、旗を持った半次と一緒に向かい風を受けて街道を歩いているシーン、短いが、風に揺れる袴、ちょっと上向きで、目を少し細めた大吉、いかにも旅をする素浪人風でいい。
最後の荒武らと闘う大吉。瓢箪を収めながら、前で刀を構える荒武をきっと睨む。次に後ろの浪人を睨み牽制。前と後ろに気を配りながらゆっくり足を進め、浪人が横からかかってきたとき、すかさず刀を抜き斬る!それからは次々。


「自分の首を絞めていた」 (第21話) (←ニオイだけ)

<キャスト> 井上清子=半次に水をぶっ掛け他の旅籠を薦める旅籠の女中で、座頭の娘お弓
潮万太郎=大層な借金をこしらえた團九郎一座の座頭、團九郎 谷口完=仏の万七と呼ばれるいいお方の新田(しんでん)の万七親分
鮎川浩=お弓を借金の形に預かっている旅籠笹屋のおやじ 鈴木金哉=『ほざくな!』くわえていた爪楊枝を飛ばした浪人
丘路千=大吉をヒモ呼ばわりした、人斬り包丁を引っさげた将来を見る眼のない馬鹿浪人
松岡与志雄娘のおすみに会わせてくれと頼みに来た、父っつあん 白川浩三郎=娘に会わせろという父っつあんを裏から追い出した、新田の子分 崎山陽要=大吉に救いを求めた、土蔵の中に監禁されていた娘 小田真士(NC)=変な浪人者がやって来たことを親分に告げた、新田の子分

<スタッフ>  脚本=松村正温 監督=小野登 撮影=平山善樹 計測=山口鉄雄 照明=佐々木政一 録音=渡部章 
助監督=山村繁行 美術=宇佐美国亮 記録=佐藤利子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映


半次が春めいた陽気にうかれて街道を歩いていると、向こうから沈んだ雰囲気の旅の一座がやってくる。一座の座頭が「お気持ちだけで」と、辞退するのに、半次は、俺が関わった事はほとんど解決するからと、沈んでいる理由を聞きだす。一座は、野沢の城下で興行したが入りが悪く、10両もの借金を旅篭にこさえ、 二枚目は愛想尽かして逃げていくし、借金のカタに一座の花形で座頭の娘のお弓を旅籠にとられたのだった。
半次は、まかしておけと、その旅篭・笹屋に向かうが、お弓も主人も半次を信用しないし、その旅篭で、この借金の取り立ての相談を受けていた大吉からもけんもほろろに追い払われる。一座に戻った半次は、「向こうには用心棒とも何ともわからねえ花山とか言うへんてこな浪人がついてやがってよ、もちろん、腕ずくでもおさんを連れ出そうと思えばわけないんだよ、しかし、無茶や非道なまねは大嫌いな俺だからな、みんな分かってるね」
半次は翌日、10両稼ぐために、賭場へ出向き、スッカラカンになって出てきたところで、新田の親分に声をかけられる。事情を話すと、10両を用立てようと言う。ようやく面目が保てる半次は、その10両を持って、笹屋に出向く。
一方、大吉の方は、台所に行っては皿を割る跳ねっ返りで、もてあまし気味のおを、日頃の役者経験を生かして、この旅篭の看板として芸者代わりに使ってはどうかと持ちかける。おも旅篭の主人も、すっかり乗り気で、さっそく、2人の侍の客の相手をさせるが、大吉がおからの出来るのを待っているときに、おは、客から逃げ出してくる。イヤな事をされたり言ったりと、文句を言っていると、その侍達が大吉の部屋に乗り込んでくる。大吉をおのヒモだとか、侍が商売の指南なんぞとのヤジリに泰然と構えている大吉に業を煮やし、おが大吉の刀を取り出す。
(びっくりした大吉はシャックリ。瓢箪の酒を飲もうとしたところで斬りかかられ、瓢箪が転がる、それを拾おうとして、また斬りかかられ、ついに転がった瓢箪から酒がこぼれてしまう。大吉、畳の上の酒をはいつくばって飲む。)2人は、役人を見て、逃げていく。
旅篭の主人の話では、この2人、新田の親分の用心棒だという。主人は仏のような親分だというが、合点がいかない大吉は、酒代の請求書を持って、新田へ向かう。
そこで、旅篭に向かう半次と新田に向かう大吉が、出会う。半次は、10両を懐に持って大きな態度。「驚いたね、おからが歩いて来やがる。
呼ぶよりそしれって、本当だね」しかし、旦那がこの快挙を全然驚いてくれないばかりか、半次が、10両を新田の親分から用立ててもらったことや、その上、「おちゃんと組んで芝居でもやってみようかなんて事を考えたんじゃないか」と、図星を言い当てられ、びっくりする。そして、「自分の力の限りを超えたことをするとな、後悔するようなことになりかねないぞ」「兄さんのしていることは、軽はずみのおっちょこちょいがやみくもに突っ張っているだけだよ」と言われ、すっかり頭に来て別れる。
半次は、旅篭でおに10両渡すが、おは昨日花山の旦那と話をしたという。大吉は、一座が借金でバラバラになったのは、座頭とおが世間知らずで大勢の人間を引っ張る力が無かったからだ、「もういちど、生まれ変わったつもりでやり直すことだ。ここで働きながら世間を勉強するんだ、そしたらいい役者になれるし、おとっつあんのあとを継ぐいい座頭にもなれる、そうすることによって自分が大きくなる、どうだ、分かるだろ」とさとし、おも、自分で働いて借金を返そうと決心したのだという。半次の10両は、一座の立て直しの資金ということで、円満に解決、新田の親分のころにおと二人で挨拶に行く。
ところが、新田の親分は、おに別の場所で芸者として働かないかと持ちかける、それじゃあ、元に戻ってしまう、と反論する半次に、俺が10両出して買ったんだ、俺が何しようと勝手だ、と次第に語気を強める新田。
そのころ、新田から酒代を取り立てた大吉は、新田の裏口からたたき出されたとっつあんの話を聞く。大吉は若い娘達が捕らえられている蔵を新田の屋敷内に探し当てる。と、そのとき奥では、半次が新田らともめる声。
「焼津の兄さん、口が裂けても俺には助けを求めないはずだったな」「俺が悪かった、反省するよ」「あの世へ行く前に反省できてよかったな」・・・座頭とおは、しばらくは旅篭で働くことになった。
「どう考えても、頼りねえ番頭だな」「心配するな、番頭が穴をあけたらな、娘が倍にして返してくれるよ」「倍にしてな!」
見どころ前々回といい説教の口調がいいが、旦那がおちゃんに説教するところ、今回は、座長の心得だけあって、10年間どさ回りで苦労してこられたこのちゃんの言葉に、真実みが増す。
旅の場所:野沢の城下(長野県佐久市?)(以上じゅうよっつ)
コメント:この頃になると、脚本家のセンセイ、大吉よりも半次のほうにウェートを置いてペンを進めているようですね。それも半次のマイナス面をやたら強調しているようで、うーん、この時期は「大吉」の路線迷走期だったのかな。とにかく「胴より・・・」なんか、もう徹底的に半次のドジぶりをこれでもかと言わんばかりに描いていて、これほど半次が大吉を初めとした多くの人間からコケにされまくっている作品も珍しいんじゃないでしょうか。それに大吉自身も、茶店の場面から後、半次に対してはおちょくりっぱなし。いつもよりも冷ややかな視線で完全に突き放しています。兵庫はもうちょっと思いやりがあったと思うのですが・・・。
で、ゲストで大山克己が出ていましたが、これってチオビタのCMで「え?この大山克己って誰なの?なに?新国劇のホープ?ふーん。チャンバラ上手いんだア」てな具合で売り出していた頃でしょう。といって、近衛と対決するわけでなし、別に流川の佐太郎さんが大山である必然性は少しもないわけで、こんなふうに、ゲストで話題を作るしかなかったところに、この時期の「大吉」の一つの限界があったのかもしれません。(キンちゃんさま)
井上清子さん:(後に光川環世“みつかわたまよ”に改名)花山大吉を飾る名花たちの中でも御影京子さん、柴田美保子さんなどと並んで私の最も好きな女優さんのひとりです。彼女は40年代のテレビ時代劇に数多く出ていますが、本名は李月隨という台湾の方です。5歳のとき、父親の仕事の関係で日本に移住、7歳で東宝芸能学校に入学して子役としてデビューしました。私は彼女の現代物は見たことがないのですが、時代劇の出演作を見た限りではどちらかというと寡黙な、耐え忍ぶといった役柄が多いため(木枯し紋次郎/背を陽に向けた房州路など)、このおゆみのような陽気でお茶目な娘役というのは非常に貴重なものと思います。(長沢威さま 2009年2月16日)
潮万太郎さん:戦前から活躍する貴重なバイプレイヤーのひとりですが、弓恵子(姉)「浅間は怒っていた」に出演)柴田てる彦(弟)の父親としても知られています。(長沢威さま 2009年2月16日)


「胴より首が長かった」 (第22話) 

<キャスト> 嘉手納清美=イッヒヒヒヒ、半次と結婚の約束をした留吉の18歳の娘お花、イッヒヒ
野口ふみえ=半次に夫婦愛を見せつけた旅のおかみさん 中村錦司=八十島(やそじま)の何とかいう、えらく評判の悪い親分
北見唯一=大吉に相談を持ちかけたろくろ首一座の座長、留吉 市村昌治=大吉に心を改めてもらった八十島一家の子分
三浦徳子=半次を自信喪失に追いやった、半次が最初に口説いた娘 有島淳平=病に倒れ、半次に背負ってもらった旅の亭主
和田昌也=大吉がしゃっくりを起こした居酒屋の亭主
大山克巳=『惚れていながら惚れないそぶり、それが男というものさ』が持論の堅物旅がらす、流れ川の佐太郎

<スタッフ>  脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 計測=山口鉄雄 照明=佐々木政一 録音=渡部章 
助監督=山村繁行 美術=宇佐美国亮 記録=佐藤利子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映


街道で夫が熱を出して困っている夫婦を助けた半次は、そのあまりの仲の良さに、「俺もいつまでも花山の旦那とつるんで歩いて、シャックリ止めの酒を瓢箪につめててもしようがねえぞ」と、「ここらで人生を根本的に考え直す」事にする。しかし、茶店で「俺も夫婦愛をいっぱつかませたくなっちゃったのよ」と元気のないわけを大吉に話すと、後ろに座っていた流川の佐太郎という旅ガラスとともに大笑いされる。
佐太郎には、「一本どっこの旅ガラスは惚れてながら惚れないそぶり、それが男というものさ、とこうでなくっちゃいけねえんだ」と、やじられ、旦那には「夫婦愛は男一人では成立せん、相手の問題をどうするのか」といわれ、「必ず別嬪のねえちゃんを見つけてくる、今日中に旦那に見せてやる」とタンカを切る。
しかし、はじめの娘に失敗し、すっかりしょげているところへ、「イヒヒヒ」という不気味な娘の笑い声が聞こえてくる。
笑い声は気になったが、このお花は別嬪で、しかも初めての濡れ場体験に照れる半次に、「半次さんて純情なのね、私純情な男の人って大好き」と、気のあるそぶり。
半次と夫婦になるのも乗り気だ。(お花の髪にクモ)喜んだ半次は、「やい、旦那野郎」と、旦那のいる居酒屋に勇んで入っていく。「祝言の相手は見つかったのか」「え、見つかった?本当に見つかったのか!」驚いた大吉はシャックリ。それでも、信じられない旦那に、「今夜7つ過ぎに会わせてやる」
そこに、相談屋商売の客の、ろくろ首一座の座長、留吉が「花山の旦那、来ましたぜ、早く話をつけてください」と旦那を呼びに来る。どんな相談かと、半次が旦那のあとをついていくと、ろくろ首の見世物小屋の前に、八十島一家の子分らがやってくる。八十島一家は、ここいらの商人たちの稼ぎの半分を場所代として持っていくあこぎなヤクザたちだった。これを見ていた半次は、自分も出ようとするが、「祝言前の大事な体、暴れるわけには行かないんだ」と、自分をいさめて、端で見学と決め込む。大吉の「ゆすりたかりは止めてもらいたい」という忠告を聞かない子分らは痛めつけられ逃げたいった。
さて、邪魔物が片づいたところで、一座の興行が始まる。半次は、はじめ、若い娘の首が伸びるのを喜んで見ていたが、よくよく見ると、それはなんとお花。半次は、首の長いお花にウインクされ、しかもお花がつい、胴体から離れて半次の元へやって来たものだから、見世物は台無し、半次は腰を抜かしてしまう。
「笑うんじゃねえ」「お前、無理言うな、これが笑わずにいられるかよ」大吉にまたまた笑われている半次のところへ、「半次さんもう大丈夫?」とお花が来る。
半次は、旦那にろくろ首は仕掛けもので、本当に伸びるんじゃないといわれても、やはり「あっちへ行け」とお花を寄せ付けようとしない。
そこへ、留吉がまた来る。佐太郎が、八十島一家がまた乗り込んでくるという情報を持ってきたというのだ。佐太郎は、以前から八十島をやくざの風上にもおけねえ奴らと、機会があれば、八十島をやっつけようと思っていたのだ。
見世物小屋の前に、八十島の親分とその手下がやってくる。流川の佐太郎が、タンカを切って、向かってく。旦那も。遅れをとった半次は、「あの流れ川野郎、俺を出し抜いていいかっこしやがって」「おいおい、八十島の、俺の言うことも聞け、俺のいうことも、前の二人と同じ!」と、退治を始める。
最後は、佐太郎を押しのけて半次が八十島の親分を斬る。が、片づいて見ると、佐太郎がいない。お花も。
半次は、やっぱりお花と夫婦になろうと考え直す。「お前と夫婦になろうなんて娘は、お前が人生をなんべんやり直しても出て来っこないんだから絶対離しちゃいかん」と、大吉にもいわれ、半次はお花を探す。と、お花は、佐太郎と手をつないでいるではないか。「佐太郎さんと夫婦になることに決めたわ、ろくろっ首の娘でも好きだといってくれたのよ」「これ、流れ川、『一本どっこの旅ガラスは惚れてながら惚れないそぶり、それが男の生きる道』ってこいてたじゃねえか」という半次に、「人間は一生同じ考えで生きられるもんじゃない」とあっさり前言を取り消す佐太郎。
「旦那、どうしよう」「しかしおめえという奴は、全くというかお見事というか、とにかく徹底的に女には縁のない男だな」「俺、全く徹底的に縁がねえ、俺もうおっちにたい!」
大吉半次の会話:元気のない半次とわけを聞く大吉。「俺いま、人生について悩んでいるんだよ」「人生について?お前がか、ハハハハお前の口から人生などという言葉を聞くと、つまり、天国に赤鬼がいるような違和感を覚えてな」「人を小馬鹿にするのもいい加減にしやがれ」「小馬鹿になぞしておらんよ、まぁ、俺がいくら否定してもだな、とりようによってはそうとられてもやむを得んかもしれんがな」・・・「人生についての悩みは解消したのか」「俺の悩みはそう簡単に解消する様なしろもんじゃねえんだ、根本的な悩みなんだぞ、この野郎」「何と恐ろしくけんか腰の悩みなんだな」「お前なあ人生について悩んでいるものがそういちいち目をむいて怒鳴ってはいかんぞ、それではとうてい悩みは解消せんぞ」「そんなもんかねえ、こら俺が悪かった」(以上じゅうよっつ)
コメント:半次が「ダメなヤツ」的な描かれ方をしているこの「胴より首が・・・」にくらべると、「自分の首を・・・」は、大吉、半次のスタンスが明瞭で、佳作だと思います。早い話、半次は、同業者の親分から裏切られるわけですが、普段「俺は侍れぇは嫌いだ」と豪語している彼もまた、自分の側にいる人間(渡世人)から騙されたということで、半次が一家に属さない一本どっこである立場が明確になるのです。さて、ここからがこの「素浪人シリーズ」のスゴイところなんですが、相手(悪)がやくざの場合、必ずといってよいくらい「侍」が用心棒についています。そして、たいがいは、大吉が用心棒のさむらいを、半次がやくざを、それぞれ担当することになっています。そして、二人は叫びます。「お前ぇたちのような悪党はなぁ、二本差しの面汚しダッ!」「てめぇたちゃやくざの風上にも置けねぇ野郎どもだっ!」二人は、各々、武士とやくざという自己を否定したゆえに、素浪人、旅がらすになったのでありましょう。(キンちゃんさま)


「子ゆえに母は強かった」 (第23話) (←作りかけを見ただけ)

<キャスト> 月形龍之介=曲がったことは大の嫌いの御老体、久野監物(ひさのけんもつ)
藤岡重慶=一両を延べ金で大吉に払ってもらった地回り、まむしの権蔵 江見俊太郎=二千石は是非とも欲しい、久野和太郎
山村弘三=おからはあっても、『そんなものはねえだ』の居酒屋のおやじ 三木豊=半次を単純と見抜いた、おはまの子、祐太郎
鷲塚良子おからのことを『そんな物』と言う、教育のなっていない佐野屋の女中
山田光子=庭に出ていたゆうちゃんを家の中に追い込んだばあさん 森源太郎=御老体の供の者、竹下 小畠絹子=ゆうたろうの母、おはま

<スタッフ>  脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 計測=山口鉄雄 照明=佐々木政一 録音=渡部章 
助監督=山村繁行 美術=宇佐美国亮 記録=佐藤利子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映

料理屋の組合で、上方風と江戸風の酒の肴の作り方を教えて3両も懐にある旦那は、お裾分けをしてやるよ、と、半次を誘い、(喜んでついていこうとする半次の前にクモ)、湯治場で一番上等な旅篭・佐野屋の一番上等な部屋を取る。2人とも、さすが、と、喜んでいたのに、「まずは一汗流すとして、夕食の酒の肴には卯の花を頼むぞ」というと、「そんなものおいてありません」といわれ、おからがないのと、おからを「そんなもの」呼ばわりされたのに腹を立てて、大吉は、町に出ていく。町の居酒屋を覗くと、「おから壱皿三文」の札が見える。早速入って「誰かおらんのか、誰か」と何度も呼んで、やっと店のオヤジが出てきた。「なんですね、お前さんは、大きな声を張り上げて。あたしゃ急いで出てきたつもりですよ、この年で走って出てくるわけにはいきませんからね」と、大吉がああいえば、こういう、かなりなへそ曲がりだ。酒の肴におからを注文すると、「おから?そんなものはねえだ」「なに、ない?ないとはなんだよ、(おからの札を鉄扇で叩きながら)これ!これ!これ!これ!これはどういう訳だよ」(驚ききわまって、シャックリ)
なかなかやみそうにない二人のやり取りを見ていた半次は、仲人にはいるが、売り言葉に買い言葉で、半次まで喧嘩に加わる。
そこに、おはまという、門付けで働きはじめたばかりの女が、店に三味線を取りに来て、店を出たところで、まむしの権造一味に囲まれ、所場代や上前を要求され、大吉と半次に助けられる。それを見た居酒屋のオヤジは、さっきとはうって変わり、二人を店に招き入れ、酒を振る舞いおからの用意をはじめる。おはまは、あることで衰弱してしまった息子・祐太郎を連れてこの湯治場に来ていたが、湯治が長引き、その費用を稼ぐために門付けをはじめたばかりだった。なにやら訳ありな様子。
大吉が2両を差し出す。「門付け料だ」「まだ花山さまには門付けを」「聞かせてもらったつもりでご祝儀だ、それでいいだろう」「さすが旦那だ、いいこと言うねえ。人の好意は素直に受けるもんだ、なあ、旦那」「ああ、その通りだ」
祐太郎が母親に会いに店に来たため、おはまは祐太郎を連れて帰ろうとするが、今度は、侍3人に囲まれる。「女、かようなところに潜んでいたのか太郎、探したぞ、太郎はもらっていく」「いやだ、母さまと離れるのはいやだ」「さあ、若様」大吉が呼び止めると、「訳は女聞くがよい、それでも分からんときは佐野屋へ来るがよい」と言い残して、太郎を連れ去っていった。
おはまはそれまで黙っていた事情を話し出す。芸者だったおはまは二千石取りの名門・久野家の城主・直太郎と恋に落ちたが、一緒になることはかなわず、直太郎は独り身を通し、おはまも生まれた太郎と二人で幸せだった。ところが、直太郎が急死し、跡継ぎ問題が浮上したところからおはまの兄が、おはまに黙って、養育料50両とを受け取り、太郎引き渡しの同意書に判を押してしまった。太郎は一端屋敷に連れて行かれたが、直太郎の弟・和太郎が家督を狙っていることから、太郎の身の危険を感じたおはまは、すっかりやせ細った太郎を屋敷から連れだし、この湯治場へ来たのだった。「今度は太郎は死んでしまう、私が一緒にいなければ」というおはまの言葉を聞いて大吉と半次は、佐野屋へ向かう。
この通り、同意書もあるし、50両の受け取りも持っている、直太郎の実子である太郎が家を継ぐのは正当である「この久野監物、生まれてこのかた人の道を誤ったことは一度もない」と、大吉に話す。「確かにあんたは人の道を踏み外すことはしたことがないかもしれん。しかしあんたに母親はいたはずだな。太郎と別れた母親がどんな気持ちでいるか考えたことがあるか」「そんなことはものの数ではない」柳太郎が叫ぶ「いやだ、母さんのところへ返してください」「ご老体、名門の跡継ぎも大事かもしれんが、親子の仲を引き裂いて、果たしてそれで人の道を踏み外さないと言いうるだろうか」と言い残し、部屋を出ていく大吉。
しかし、直後、家督を狙う和太郎らが、部屋に入り込み、太郎や剣持一派に刀を向ける。大吉・半次が入ってくる。・・・
太郎と抱き合うおはまに、剣持は「達者で暮らせ」といい、去っていく。「よかった、よかった」「「ああ、よかったな」「しかし、あのご老体、名門の跡継ぎはどうするつもりなんだろうね」「跡継ぎはその気になれば一門のどこからでも迎えられるさ。俺たちも行くか」「ああ、そうしようぜ」
二人が出ていった鴨居の上にある天狗の面の鼻にクモ。(落ちてはこない。)
見どころ:達者な口の持ち主の居酒屋梅の屋のオヤジと、大吉のいい合い。ラストの殺陣は、やはりゲストがゲストだからか(月形龍之介さん)ワザを見せてくれる。一人を突き、その男の短刀を抜いて投げ、遠くの男を刺す、前に突いた男の持っている刀を倒れかけた男から奪い、横の男を斬る。(そこで画面が変わってその間に、突いた男から自分の刀を抜いたはず)(以上じゅうよっつ)
温泉宿で、女中におからを「そんな物は置いていない」と言われてしまった時の大吉の反応は、他の回の同じような場面と比べても個人的にとても印象に残りました。おからが無いことを知った瞬間の大吉の受けた衝撃と哀しみ、おからを「そんな物」と言われてしまった怒りと悔しさ、これらの感情が一瞬にして合体、そのまま一気に最高点に達したような、この時の近衛さんの演技は、とても演技とは思えないような本気の迫力を感じました。期待を裏切られた大吉の怒りや哀しみがびんびんに伝わってきて、素晴らしい演技だったと思います。その直前の、にこやかな姿とのギャップも激しかったので、その豹変ぶりには大笑いしました。バックに流れるとぼけた曲も本当にピッタリで、個人的に好きな場面です。(どらおさま)
子ども役の男の子は 三木豊くん(今では立派な成人男性なのに、失礼・・・)で 花山大吉シリーズでは 子役としていちばん出演回数が多いんじゃないでしょうか? あとは39話「島から悪魔が帰ってきた」50話「シゴいた相手が悪かった」62話の「あきれた病気にかかっていた」102話「覗いちゃいけないことだった」ですが昔から再放送を見ていてなんとなくよく出てくる子だな〜と思っていました・・・演技もじょうずで印象のある顔立ちですね!特に39話「島から〜」での家族一家を殺されてしまう三吉の役は、悲惨な気持ちを熱演して、心に残っています。(きざくら&ようめいしゅさま 2009年2月18日)
「おれは人の道の根本は、愛情だと思う」の言葉はずっしり来ました・・。
(鈴雪さま 2009年2月21日)
旅の場所:32万石大田家に仕えた2千石取りの久野家から、おはまが子供を連れだしてこの湯治場に来たので、多分、久野家の場所からそう遠くないと思われる。大田家は沼津。久野家は?


「貴様と俺とは逆だった」 (第24話) (←前日は食べたがこの日はニオイだけ)

<キャスト> 舟橋元=武士道の先生、栗山孫三郎 (ただし予告編では『くりやま やさぶろう』と呼ばれていた by相談屋さま
金井由美
=焼津の旦那に相談事を頼んだ娘、おきみ 吉川雅恵=腰抜け婆さん
千葉敏郎=引越し先を間違えた押込み専門の悪党、赤鬼 阿木五郎=焼津の旦那に相談屋の仕事先を案内した、おからの匂い漂う茶店のおやじ 芝本正=『喧嘩だ!』焼津の旦那に喧嘩の場所を教えた百姓の兄さん   北川俊夫(NC)=『あっ、泥棒』赤鬼の一味で、半次を泥棒と呼んだ泥棒 
不明 男24−2=『おやじさん、置いときますよ』の茶店の客

<スタッフ>
  脚本=森田新 監督=井沢雅彦 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=林春海 録音=渡部章 
助監督=久郷久雄 美術=宇佐美亮 記録=松尾美智子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=山田勝 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映

大吉と半次は、博打か?何かの賭をし、半次が「だんなぁ〜、もし賭に負けたら、俺とだんなはいつもと逆の立場で、俺がだんなでいいだろ」と大吉に言う。大吉「ああ、好きにしろ」半次「俺が負けたら・・・」(それは思い出せない)
そして、まんまと賭けに勝った半次。そして半次「おいっ○○(思い出せない)!」大吉「な、何、なんだと半の字!」
半次「半の字とは何だ!半の字じゃない!ちゃんと、焼津のだんな!と呼べ!」大吉「そんなことできるか!」
半次「あぁ〜、このぉ〜、居直るのか!」大吉「わ、わかったょ!<わざとらしく>焼津のだんな!やいづのダンナ!」
半次「おぉぅ、それでいいのよ!」(会話は凡そで、脚色と思ってください) (ZAPOさま 2002年4月5日)

半次がダンナに、金を預けたのですが、それを一晩でのんでしまったダンナ。「店に不公平があってはいけないから」ってんで、宿場飲み屋を一軒残らずはしごしたとか。そこで、半次の提案で、二人の立場を入れ替えたわけです。「焼津のダンナ」と言わされる花山、そりかえって「花山の!」と呼ぶ半次。
その一部始終を、堅物そうな浪人(舟橋元)が、聴いていて、両人に「侍がサンシタをダンナ呼ばわりとは何だ!」
「サンシタ、それへ直れ、成敗してやる」と言われる始末。二人が事情を話すと浪人はあっさりと納得し、二人の関係を「おもしろいのう」と言い出す。
その関係を保ちつつ居酒屋で飲んでいると、相談屋の口が。ある旧家が盗賊に襲われ、爺さまが殺されて、家宝を含む一切が盗まれてしまったため、ばあさまの腰が抜けてしまった。それを直してくれという。花山はうれしそうに「相談屋は、こっちのにーさんだ」と言い、相談屋の自信がなくてしぶる半次を先頭に立てて旧家へ行く。ばあさんが寝ている部屋の横の部屋で、花山は突然怒り出し、刀を抜いて半次に斬りかかる。ふすまを蹴破り、ばあさんの顔のすぐ横に刀を突き刺した。と、ばあさん、びっくりして飛び起きた。
花山、ばあさんに向かってにっこり「腰が治って良かったな。芝居をしたんだよ」半次「びっくりしたなあ、もう、一時は、いけねえ(本当に殺される)と、思っちゃった・・・」
先ほどの浪人と再会し、誘われるままに浪人の家に行った二人が見たものは、盗まれた旧家の家宝だった。盗賊が間違えて運び込んだのだ。そこへ盗賊が現れ、いつものようにスカッとする立ち回り。
実は、講釈師であった浪人が、この始終を「体験的講釈」として売り出すと張り切るのを見てあきれるご両人でありました。
(花山小吉さま 2002年4月7日)
大吉・半次の会話:冒頭、半次が大吉を追いかけてきたところから。「やい、このおから野郎、待て!」「焼津の兄さんか、今日はすっかり天気になったな」「だまりやがれ」「えらくコーフンしとるが何かあったのか?」「ふざけるな、さあ、出しやがれ。やい旦那、昨日俺がつきについて稼いだ二両二分預けたのを忘れたとでも言うつもりか!」「いや忘れはせんさ、確かに、そう言う事実はあったな」「ふざけた言い方しやがって、さっさと戻せってんだよ」「まぁ待てよ、おい兄さんよ、そう敵討ちもどきの言い方をしたらいかんぞ。俺と兄さんとはほれ、親子も及ばぬ、親しい親しい間柄じゃないかよ」「おい、このおから野郎が。罪の意識にとらわれて、”親しい”を二度も連発しやがったな」「なんだよ、その罪の意識にとらわれてっていうのは」「とぼけるのもいい加減にしやがれ!旦那が居酒屋でおから肴に酒がばがば喰らってハシゴしたのもちゃんと分かってるんだ!」「兄さん、いい目をしとるな、ご立派」「旦那の使った分はだな、二分と二朱だ。一両三分と三朱その懐に残ってないとならねえ勘定だ」(ここで半次兄さんのあまりの切れ具合にびっくりしてシャックリ)「どうだおからボケが、俺が金額まで調べたと知ってびっくりこいてシャックリまでこきやがった」「いやあ恐れ入った、恐れ入ったよ、兄さん」「そうかい。まあ、俺と旦那の仲だ、二分一朱は目をつぶってやるから、残り出してもらおうじゃねえか」「おい兄さん、そう無理を言ってはいかんよ」「無理だと?」「確かに、そこまではご名答で、恐れ入ったんだがな、昨日はあの宿場でハシゴをして隣の宿場まで足を伸ばしたってわけだよ」「なにい?」「ああ、不公平があってはいかんので、居酒屋を一軒残らずハシゴしてな、最後はハシゴの途中で意気投合した酒友達4、5人と、料理屋で派手に打ち上げしちまったってわけだ、それで寝たのがとうとう夜明け近くでな、今朝起きたときはもう二日酔いで頭ががんがんして弱ったぞ。兄さんよ、お互いに、二日酔いは気をつけんといかんな」「じゃあ、俺の虎の子はどうなったんだ」「俺は2つの宿場を股にかけてハシゴして回った上、料理屋で有終の美を飾ったんだぞ、その俺の懐に金が残っていると思ってるのか、全く勘の悪いやつだな、バカタレが」(以上 じゅうよっつ)
コメント:第24話あたりから、エンディング(風来坊笠の曲が始まる前)が、花山大吉のテーマミュージックの終了とともにピタリと終わるようになってきたので、『あっ、見終わった』とスッキリする感じです。(相談屋さま)
私のお気に入りの回のひとつです。例の「焼津のだんな〜」という一言が最高です・・(だんなが半次に対して)でも考えてみたら、だんなにとっては愚にもつかない(だんなの言い方をまねすれば・・)半次の申し出ですが、半次の提案もわからないこともない気がします。半次いわく「日頃からちょっぴり、侍と旅がらすといいう立場以上ににひけめを感じているんだぞ・・・」という一言などからやっぱり江戸時代当時の庶民の気持ちを表しているのかもしれませんね・・・実際は 侍とそれ以外の身分の者が旅をするなどということはなかっただけに、半次が少しだけでもの抵抗を示したとも言えますね・・・ただ日頃のだんなの半次への心情とまなざしを見ていてもだんなが侍という立場を超えた付き合いをしており、けっして侍をえらいものだとは思っていないのが先進的なだんなの気持ちだと思います。現に番組の中でいろいろな機会に「これからは侍が刀を持って争う時代じゃないぞ」と言っていますものね。相談屋稼業にしたって、力ばかりじゃなくてこれからは頭を使う時代だとも言ってますね。だから今回の半次の気持もよ〜く理解できますが、さすがだんなは全部見通してその上をいっていると感心しています!それでも今回はよくこういう実際にはありえない脚本を考えたものだと感心します。お相手の武士道の先生役の「船橋元」さんの役柄もピッタリはまっていて、最初から最後まで笑通しでした。(冒頭の半次がだんなに預けた金をかってに使って飲んでしまった・・・というあたりのくだりも最高でした。^o^)(きざくら&ようめいしゅさま 2009年2月19日)
舟橋元さんと金井由美さんは素浪人シリーズではすでにおなじみですが、金井さんは俳優座養成所出身の女優さんで同期には地井武男さん、原田芳雄さん、前田吟さん、三田和代さん、栗原小巻さんなどがいるようです。舟橋さんはデビュー当時は演技力不足が目立ったようですが、どちらかというと映画よりも近藤勇役などのテレビ時代劇のほうが印象的なようです。(長沢威さま 2009年2月19日)
半次のお金を使ってしまった大吉。確かに悪いのですが、大吉はもともと、お金に執着しない人間なのだと思います。「子ゆえに母は強かった」でも、おはまにポンと2両差し出したし、他の時でも「ここだ」と思ったら、人に惜しげもなくお金をあげていますよね。相談屋稼業でも「礼にはおよばんよ」と謝礼を受け取らないこともよくあるし。それに半次の稼いだ金は賭場で稼いだもの。もしこれが半次が汗水流して稼いだお金なら、大事に預かっていたのではないでしょうか。・・なんて考えたりしました。(鈴雪さま 2009年2月21日)


「笑う機械がこわれていた」 (第25話) 

<キャスト> 曽我町子=自殺を半ちゃんに止められた市村美女こと、おきんさん
人見きよし=ぽっての兄さん、山之上土左衛門(やまのうえ・どざえもん) 牧冬吉=尻之上菊十郎(しりのうえ・きくじゅうろう)、実は三国屋の番頭、与吉 武原英子=笑う機械の壊れた大地主の娘、お梅 杉狂児=花松門右衛門先生(大吉)に娘を笑わせて欲しいと思っている、大地主の儀平 月形哲之介=徒党を組んで悪さの限りをつくしている石州浪人、黒髪甚九郎 賀川泰三=『トザイ、トーザイ』市村一座の呼出しの政吉 田中弘史=鍋之屋湯気之丞(なべのや・ゆげのじょう)、実は三国屋の手代、尚松(なおまつ) 杉沢勝雄=菊十郎ら発見の知らせを受け、仲間に指示を出した浪人 藤本秀夫湯気之丞、菊十郎を発見した浪人 坂東京三郎=菊十郎たちに『命賣ります』看板を掛けたり、はーさんを素っ裸にした女形 稲村理恵=大吉におからを売りそこなった、豆腐屋のおばさん 榎原政一芝居の幕開き時に『よっ、よっ、待ってました!』の掛け声を掛けた客 

<スタッフ>  脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 計測=山口鉄雄 照明=林春海 録音=渡部章 
助監督=山村繁行 美術=宇佐美亮 記録=篠敦子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映


半次は、市村美女(曽我町子)という一座の座長が首をつるのを助ける。助けたとたんに「首つりは、やろうと思ったときでないとできないんだ。
もう死ねなくなったじゃないか。このウスラ馬鹿!!」と言われ、半次の脳裏に”あの顔”が浮かぶ。
美女はなぜ死のうとしたのか・・・貧乏市村美女一座は、大地主の儀平に頼まれた。「狂言で娘を笑わせてくれ。そうしたら資金を出してやる」
儀平の娘(武原英子)は生まれつき笑いを知らない娘だった。だが期限までにおもしろい狂言ができなかったので死ぬしかないというわけだ。半次はすぐに美女を連れて相談屋のダンナを探した。
花山は考えていた。どうやったら安くオカラを腹一杯食えるか。豆腐屋でオカラを買って、鍋は旅籠で借り、野菜はそこらの畑で適当に調達して自分で作るというのが結論だった。半次が花山を見つけたとき、今まさに豆腐屋の前でオカラを受け取る時だった。半次に無理矢理引っ張っていかれ、ザルに一杯のオカラを目の前にしながら計画が頓挫して不機嫌な花山だ。
強引な美女に無理矢理に狂言作者にさせられた花山。美女に連れられ、儀平の家に連れて行かれ、「花松門右衛門」と紹介された。離れに缶詰になって狂言の原稿を書くはめになる。やる気のない花山に半次がハッパをかけると、ふと花山に名案がひらめく!名案を半次に耳打ちした。半次は「なにっ、オカラ!?」。オカラを肴に一杯やれば名案が浮かぶというわけだ。
しばらくして半次が部屋を覗くと、酔って寝ている花山の傍らの紙には狂言の題。「おっ、できた!」さすがオカラの力と一瞬喜ぶ半次。と次の瞬間、続きは白紙であることに気づく。そこへ儀平。花山は自ら作者でも何でもないことを告げ、「娘を(芝居に)連れてきなさい」と言う。
どうするのかやきもきする半次。
しかし、そこは花山大吉。コマーシャルが開けると、とりあえず狂言をでっち上げていた。芝居の幕が開いた。題は、「ああ無情、哀れ売られていくわいな」。貧乏な農家のおばさん(美女)が、爺さまととうちゃんを売りに出すが、ちっとも売れない。客は「男はつぶしがきかんでな。それよりおばさん、一両でどうだ」「なに、たった一両とはふざけるな」・・なんていう調子。舞台の袖で半次は大笑いだが娘は一向に笑う気配がない。
そのときあやしい男たちが小屋に入ってきた。すると、爺さまととうちゃんを演じていた二人の新参の役者(牧冬吉&田中弘史)が突然逃げ出した。
芝居は中断。美女は一計を案じた。なんと花山と半次を代役に立てたのだ。花山の野良着姿!!オカラと酒を餌にして半次は誘う。
「オカラか・・」とぶつぶついいながらようやくしぶしぶ舞台へ。ところが、半次にセリフにない「バカたれが!」と言ってみたり、セリフを忘れ、緊張のあまりしゃっくりをこき出す。半次はあわててひょうたんをとりに走る。、酒を花山に飲ませながら、しゃっくりとひょうたんの事を観客に早口で説明する。そこへクモが出てきて、もうめちゃくちゃ。その様子を見て、テレビの前の私たち同様、笑わぬ娘が大口開けて笑い出した。
というわけで一件落着。
逃げた二人の役者は大店の番頭。大金を持った使いの帰りに悪人に狙われたので一座にもぐりこんで隠れていたのだった。この二人を悪人から救った大吉半次だ。( あらすじは花山小吉さま、岡野さまが役名訂正)
コメント&見どころ:「市村葉左衛門」は美女の死んだ亭主の名で、地主・儀平に紹介した(花山の)名は「花松門右衛門」でした。
牧冬吉さんの相方、「鍋之屋湯気之丞」を演じられたのは田中弘史さんです。(注:あらすじ中の役名は変更・追加済みです)
旦那の野良着姿はすごかったですね。いつもは風格たっぷりなのに、顔に化粧されて、舞台の切株にチョコンと座っている姿が可愛くて大笑いしました。(岡野さま 2002年6月12日
「花松門右衛門」・・そうでした。美女がとっさに「花山」の花と言いかけて「近松門左衛門」をもじって言ったのでしょうね。あと他にも妙な名前がありましたね。たしか「なんとか土左衛門」とか・・大吉が「尻の上にも三年というからがんばれよ・・」と励ました?相手は何という名前でしたでしょうかね。花山小吉さま 2002年6月10、13日)
牧冬吉さんの役名が「尻之上菊十郎」、人見きよしさんが「山之上土左衛門」です。すごいセンスですね〜。(岡野さま 2002年6月13日)
旅の場所:片山宿(片山という地名は現在は、秋田、埼玉、群馬、千葉にある)
見どころ:このところのこのちゃんの殺陣は、背中で受けてそのまま斬ったり、あわせている刀を素早く振り払い、襲いかかる別の悪人を斬る、そのまま次も斬る、という風に、いろんなワザを見せてくれるし、しかもそれが早回しのようにとても速い!旦那と半次が背あわせで外に出ていくところなんかも緊張感があっていい。
二人の最後の言葉「旦那、昨日からいろいろなことがあったねえ。なかでもあれはいけないよ、あれは。」「あれってなんだい?」「役者の代役だよ。役者はいけねえよ、俺あんな恥ずかしい思いをしたことは初めてだよ。とにかくね、孫子の代までやるもんじゃねえや」「しかしなあ、おめえはその心配は絶対ないがな、俺のような好男子はなぁ、血筋をひいて子孫に日本一と騒がれる役者が出ることはたぶんにある」「どうだろうねえ、売り出しもそこまでいきゃあ、腹もたたねえや」そこで、市川美女から誘いがある。「半ちゃん、あんたいいもの持ってるわ、役者にならない?」なんだか、役者であるお二人のことを重ねてしまい、面白い。
杉狂児さん:若くして故人となられた武原英子さんの姿も懐かしいですが、武原さんの父親大地主の儀平を演ずる杉狂児さんは戦前から活躍するコメディアン&歌手、俳優です。去年の夏惜しまれつつ閉店した(^^;)道頓堀くいだおれ人形は若き日の杉狂児さんをモデルにしたものといわれています。(長沢威さま 2009年2月19日)
何度見てもおもしろかったです!^o^特に冒頭で、だんなが半次から預かった2両2歩ものお金を一晩で散財してしまい 開き直ったその態度には大笑いしました。でも2両2歩って現在ではどのくらいの価値なんでしょうね!かなりの金額だと思いますが・・・それをたった一晩で使うなんてあきれました もっとも不公平があってはいかんと(笑)すべてはしごして(すごい!!)おまけに途中で意気投合した連中(どんな人たちなんでしょう!!??見てみたいです!)と飲み明かせば使い切ってしまったのは当然かもしれませんね! ところで半次兄さん、賭場でつきについてと言ってたけど 2両2歩ってすごいもうけたんですね!競馬で言えば馬場券にあたったようなものでしょうね! でも兄さん、だんなに預けたのは大間違いでしたね・・・(なんであずけたのかな?? だんなの性格知ってるんだから こうなることはわかっていたはずなのにね・・・)(きざくら&ようめいしゅさま 2009年2月20日)
野良着とすごいメークの狂言役者のこのちゃんにはもうびっくり!いや〜あんな場面があったとは。面白いを通り越して、なぜかほろりとしてしまいました。(鈴雪さま 2009年2月21日)
そしてそれ(↓の南さまの曽我さんについてのコメント)以上に感動!?したのが、大吉の野良着姿。憮然とした顔と舞台化粧とのミスマッチが最高、しかも妙に似合ってる(笑)んですよね〜。めちゃめちゃ可愛かったです(^-^)(南まさとさま 2009年2月22日)
曽我町子さん:芝居をやっている途中にオバQになってましたね!すごく久しぶりに聞きました。知ってる人は知っている初代オバQの声の人です。イヤー懐かしー!歳ばれるー!  なんだかちょっと得した気がして。でもでも旦那と半次さん、どこまでコミカル路線に突っ込んで行くのか怖〜い!?(のりりんさま 2009年2月21日)
わたしもよく知っていますよ!おばQの声はなつかしいですね!(わたしは「花のピョンピョン丸」でのケメ子役も忘れられません・・・)もともとは声優でデビューされたようですが、女優としても出るようになられ 後に子供向けの特撮ものでは、魔女役でも出演されていたようですね! 曽我町子さんは第34話「海にもぐれぬ海女もいた」で海女役でも出演されてますよね 2006年に急逝されたのは残念でした・・・晩年はアンティークのお店を経営されていたようです。(きざくら&ようめいしゅさま 2009年2月21日)
曽我さんのオバQ声、私もわざとだと思います。きっと当時の視聴者へのサービスだったんじゃないでしょうか。曽我町子さんって、特撮での悪役魔女姿(超ハマってるんです!!)しか知らなかったので、お若いときの姿を拝見できて感動しました。(南まさとさま 2009年2月22日)


「お化けを肴に飲んでいた」 (第26話) 

<キャスト> 南弘子=お化け屋敷に行った豊さんを心配している娘、おはま 海老江寛=しゃっくり止めの酒を入れた茶店のおやじ
河上健太郎お化け屋敷に現れた偽金作りの一味のお頭   阿波地大輔=千両箱を落とし、半次に切りかかれと目配せした浪人
千葉保=おからを置いてある優良店舗の居酒屋を経営しているおやじ 高峰圭二=お化け屋敷に出かけたまま帰ってこない、豊さん
曽我廼家明蝶=百年に一人出る捕物師、名(迷)親分の鬼源こと、一本松の源助

<スタッフ>  脚本=森田新 監督=小野登 撮影=平山善樹 計測=山口鉄雄 照明=佐々木政一 録音=渡部章 
助監督=山村繁行 美術=宇佐美国亮 記録=佐藤利子 編集=島村智之 装置=木村雅治 装飾=曽根美エ 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=長谷川きい 擬斗=谷明憲(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=吉川義一・宮川輝水  制作:NET・東映


大八車の炭俵から落ちた千両箱の小判を拾ってやって斬りかかられた半次と、その騒動中の半次のことをかばっているのか悪口を言っているのか、分からないような弁明をしてやった大吉が茶店で休んでいると、後ろに座っていた男が、しきりに二人を怪しむ気配。
ところが、半次の斬られそうになった理由を大吉が、「千両箱が飛び出したのを知られてはまずかったということだよ」と、推理すると、「お見事!」
この男、一本松の源助という「100年に一人出る」という目明かしで、3ヵ月前からこの街道筋で派手に偽金を使う奴らを追っていた。大吉と半次への疑惑は消えたが、今度は、大吉をすっかり江戸の奉行所出身と思いこみ、二人に協力を要請、二人を自分の住む宿場町の居酒屋へ連れて行く。
悪いことに、この店にはおからがあった。半次がいさめるのも聞かず、大吉はおからをむさぼり食い、酒をがぶ飲みしはじめる。「好きなら止めることないでしょ」といっていた源助も、あきれてものも言えない。
そこに、町娘が、許嫁の豊さんがお化け屋敷に行ったっきり帰ってこない、探してくれと、源助に頼みに来る。お化け屋敷とは、一家が死に絶えた郷士の家で、3月ほど前からお化けが出ると噂が立っていたのだ。半次と源助は、おからに夢中な大吉を残して、お化け屋敷に乗り込むが、人魂と幽霊を見て、ほうほうの体で逃げ帰ってきた。娘は今度は大吉に頼む。大吉は、これも相談屋稼業のうちだ、と、腰を上げ、折り詰めのおからと一升徳利をもって、屋敷に乗り込み、お化けの出る場所がよく見えるところに陣取り、怖がる半次、娘、源助をよそに一杯やり出す。
そこに、人魂が現れ、三人は屋敷の外までに逃げ出すが、ふと気づくと旦那は居座ったまま。中から「バカタレが」の声が聞こえるが、怖くて確かめられない。翌朝、三人がこわごわ屋敷に入っていくと、大吉が寝ているそばには、足のある幽霊が縛られていた。
「偽金が出だしたのも3ヵ月前、化け物が出だしたのも3ヵ月前、こりゃあひょっとしたら瓢箪から駒が出たようだぞ」ここで偽金を造っていた連中が、人目を避けるためにお化け屋敷の噂をたてたのだった。現場は、壁の奥の地下室だった。
そこへ、昨日の大八車の連中が戻ってくる。「親分、あんたの出番だ」しかし、鬼源親分は、啖呵を切ったあとは全くさえない。
半次に抱きついたり、繩ですくった足をたぐり寄せると半次だったり。しかし、二人によって無事に悪人どもは退治、豊さんも見つかる。
「花山の旦那、ありがとうござんした。さすが江戸の町奉行所で鍛えたお方は違います、恐れ入りました。」「あの名親分、まだ旦那を江戸の町奉行所出身と思いこんでるのかね」「そりゃ自分のことさえ100年に1度の名親分と思いこんでる、病膏肓の名親分だからしかたあるめえ」
「病膏肓の名親分はよかったな」
大吉・半次の会話:千両箱の小判を拾った半次をかばう大吉「この男は、おっちょこちょいの早とちりで、まあ一言で言えば、お粗末人間を絵に描いた様な男だがな」「おい、お粗末人間を絵に描いた様な男とは、なんてことこくんだ」「そう騒ぐな、これから褒めてやるよ。えー・・・強いて取り柄を探せばな、(指で鉤を突くって)これだけはやらんと言うことだ。だから、ご面相とは裏腹で、これも弁解しにくいが、ねこばばだけはやらんはずだ」
その後、斬りかかられてシャックリが出た大吉が半次に例の酒を頼むと、瓢箪にクモがいる「わー出たあ!」と、斬りかかる相手に抱きつく。
「早くどけてくれよ」急いでクモを放り投げる大吉「おい、もうあれはおらんぞ、早く!」「やだよ俺、そう言うものついた瓢箪なんか持つのごめんだよ」旦那にせっつかれて、そおっと、瓢箪を持って、酒を買いに行く。
見どころ:阿波地大輔さんとのラストの殺陣。押したり引いたりの、このちゃんとの息がピタリと合っている。二人が刀をあわせたまま、刀を見(力の勝負って感じが出ている)、にらみ合う。このちゃんが阿波地さんの刀を押しのけ、その刀の刺さった畳を足で押し上げ畳の上から斬る。
旅の場所:
会話に、柴木(?)の宿と12万石・松平さまが出てくるが、どこでしょ?





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