素浪人ばなし(天下の巻

見れぬなら、読んでみよう「素浪人シリーズ」のあらすじ。
月影の巻一 / 花山の巻一 / 天下の巻 / いただきの巻
みなさまの記憶に頼るという、管理人お得意のパターンで行く予定です。
こんな話があった、このへんだけ覚えてる、ここ違うかも、何でも結構です、
多少の間違い、不安は物ともせず、掲示板に書き込んでくださいませ。
ちょっとだけご注意:引用文の場合は、著作権の関係から、全文書かないでね。部分引用はOK。
みなさまご自身の言葉で語る場合は、何でもOKです。

オープニング


浮世絵風の絵画面。松田明さんによるナレーション。
「空は青空たのしじゃないか。天下太平旅を行く。・・・・突如現れる刺客の群れ。一人、二人・・・男・太平怒りの時だ。」
広い山道?太平、10人くらいの侍に取り囲まれている。刀を抜く。侍たちが次々襲いかかる。「やあっ」と斬る。
「素浪人 天下太平」のタイトル。主題歌「ひとり旅」はじまる。
太平前の水たまりへと歩いてくる。侍一様に引く。一人が襲う。太平斬る。「天下太平 近衛十四郎」
うづ巻の勘太、同じく侍に襲われ、ひっくり返りながら応戦する。「うづ巻の勘太 佐々木剛」
お仙、小刀で色っぽく受ける。「御坊のお仙 加茂さくら」
・・・太平、襲ってきた最後の一人をよけ、懐に寄せて斬る。刀をさやに収め、これでよしといった表情の太平。
アニメの小鳥が出てくる。「旦那、・・今夜の旅籠代はどーするの?」「うん、そうなんだ」



「さくらの花の咲く頃に」 (第1話)

<キャスト> 稲葉義男=西国屋 遠藤辰雄=居酒屋亭主 藤江リカ=染香 松谷紀代=志津 佐藤京一=吉辺 
岩田直二=儀兵ヱ 神戸瓢介=職人 飯田覚三早見栄子酒井哲北野拓也滝譲二宮川龍児富永佳代子岡本直子
葉山良二=大槻伝四郎

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=結束信二 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=墨関治 照明=松井薫 美術=寺島孝男 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=水島淳一 記録=篠敦子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=久郷久雄 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=荒井岱志 制作=NET・東映


天下太平は、鴨奴が座敷をつとめる料亭で、いつも皆の分までもって、宴会をやる。しかし払う当てはないので、借金はたまり放題。
鴨奴が、女将に催促されて太平のうちに行くと、太平は、「金策をする」と置き手紙を残して、旅に出た後だった。
ある宿場、かごに乗った備前屋が浪人に殺される。
殺人現場を目撃した辻うら売りの女の子が斬られようとするところを、太平が助ける。
浪人たちは、城の侍、大槻に雇われていた。大槻は、潔癖な備前屋に代わって、西国屋を御用商人にし、金を儲けようとたくらんでいる。
浪人たちから、そのことを知った太平は、大槻のいる料亭に向かい、100両ゆする。
さらに、備前屋に出向き、自分が敵をとってやるから、城に大槻のたくらみを知らせるようにと、言う。
一方、太平を追ってきた鴨奴こと、お仙は、100両のカタに太平がつれてきた、大槻の芸鼓に手を焼いていた。
二人がもめているところに、同じ宿に泊まっていたうづ巻の勘太が仲裁にはいるが、二人にはじき飛ばされる。
太平の一喝に、喧嘩は収まるが、それを見ていた勘太は、すっかり旦那に惚れ込む。
「おひけぇなすって。手前、うづ巻の勘太と申す、、」と、さっそく、売り込むが、太平はあまり相手にしない。
そこへ、大槻の使いがやってきた。そこには、大槻と西国屋、浪人たちが、太平の口を封じようと待ちかまえていた。・・・
悪者たちを退治した後、備前屋の通告で、役人がやってくる。
本当は、太平は、役人からの褒美を借金の返済の一部に当てようと思っていたのだが、役人は、太平の腕のすごさに恐縮し、
「いや、貴殿のような方に、尋常のお礼をするのは失礼だ、このままお引き取りください」
「いやいや、、全くの素浪人で、一文無しで、、」と太平は、何度も強調するが、とうとう役人は悪者たちを捕まえて帰ってしまった。
そこに、備前屋がお礼にと、金子を持ってくる。喜ぶ太平。
ところが、喜びもつかの間、例の辻うら売りの女の子のところに行くと、母親が病気で、家賃が払えず、困っている。
太平は、もらった金子で家賃を払い、「もう辻うら売りなんかしなくてもいいんだぞ、さくらの花が咲く頃には
おっかちゃんの病気もよくなるからな」といって、残りも母子に置いてきた。
また一文無しになった太平をみて、お仙は、しょうがないという顔つきで後に続く。勘太も、「天下太平でござんすね」といって続いた。
見どころ:女の子を助けるために大槻と戦う太平。侍が斬りかかる寸前に刀を半分抜いて牽制、そのまま抜いて、相手の刀を落とす。
はやい!かっこいい!チャンバラがたくさんあって楽しめる。やっぱりいいぞ!スケールの大きなこのちゃんのチャンバラ!


「ここは江戸から何千里」 (第2話)

<キャスト> 菊容子=おみよ 富田浩太郎=田川主水 木田三千雄=小山田左内 千葉敏郎=吉辺 山田秀樹=市太郎 
大城泰田嶋艶子由井恵三左右田一平=大山伝内

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=結束信二 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=塚本隆治 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=水島淳一 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=曽根勇 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


文無しの太平は、腹が減っても茶店を素通りするしかない。その太平を呼び止めたのが、浪人の大山だった。
大山は、依頼主は明かせないが、30両で人を斬る仕事を手伝って欲しいという。「人一人斬って30両。人斬り相場としては高すぎるな。」
じつは、その相手は、城代家老 田川主水。彼のために町の人々は、生活に苦しんでいるのだという。
大山には、子供がいて、子供に学問をさせてやるために江戸にやる資金10両が必要だった。
太平は、本当に家老が悪政を行っているのか確かめに、町へ出た。そこで、賭場も盛り場もない町にふてくされている、勘太と会う。
さらに2人がいくと、家老の家から出てきたお仙と出会う。家老の田川は、江戸にいたころ、お仙のなじみの客だったのだ。
太平からことの次第を聞いたお仙は、太平を田に引き合わせる。
は、藩の財政を立て直し、領民の生活をただすために、非難を覚悟で緊縮財政を行い、もう少しで、
租税を下げることができるまでになっていた。それを聞いた太平、「やはり、御家老には死んでもらわねばなりません」
勘太を大山の元へやり、田を斬ったと告げさせ、至急、依頼主を呼びつけた。
死んだふりをしてむしろに横たわった家老の元にやって来たのは、元勘定奉行と元蔵奉行だった。
2人は、家老の田のせいで、甘い汁を吸えなくなっていたため、大山に田殺害を依頼したのだ。・・・・・
悪人をやっつけた太平に、家老田は、「お仙から聞きました」といって、金子を差し出す。
一瞬喜ぶが、すぐに、気を落とした大山の姿が目に入り、お仙の許しを得て、大山に金を渡した。
「これだけあれば、一緒に江戸まで行けるだろう。あの、子供をかわいがっていた娘さんも誘うといい。」
大山親子は江戸へ旅立つ。
「あの人たちは江戸に行くのね」「それに比べてこっちは江戸からだんだん遠くなる。」「何処まで行くのかしら」
「分からん、何とかなるさ」「前途遙かな旅でござんす」3人も旅立つ。
見どころ:大山(左右田一平)とのやりとり。(太平)「で、誰を斬るんだ?」(大山)「実は私、思い切って・・」と言いかけたところで、
いつも誰か邪魔が入る。はじめ緊張して聞いていた太平は、だんだんダレてきて、「今日中に聞けるんかいな」と、鉄扇を枕に横になる。
悪人が襲う、と、かがんでよけ、素早く体勢を立て直して斬る。(←速いから、間に合う。)
後ろから襲いかかった敵には、さっと横によけ刀を振り上げる。よけて斬る、リズム感のよさ!


「金の亡者を笑う鬼」 (第3話)

<キャスト> 人見明=赤沼玄蕃 二瓶秀雄=清吉 中村錦司=徳兵ヱ 丘路千遠山金次郎森秀人伊玖野暎子畑中伶一
野村昭子=おとく

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=脇武夫
録音=高井唯夫 照明=林春海 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=佐賀彰 記録=長田君枝
衣装=荒堀実秋 美粧=井筒俊彦 =河野節子 装飾=清原和夫 装置=曽根美装 助監督=久郷久雄 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=荒井岱志 制作=NET・東映


勘太はある宿場で、ばあさんから棒で叩かれる。不意をつかれて頭を抱え、「だめだねぇ」と言い捨て逃げていくばあさんを
追いかけることもできない。このばあさん、今度は、同じ宿場の居酒屋で、珍しく肴までたのんで飲んでいる太平にも、不意打ちを食らわす。
太平はもちろんよけるが、こぼれた酒がもったいない。ばあさんは太平の腕を見込んで、「酒ぐらい飲ませる、用心棒になれ」とたのむ。
ばあさんのお宝を奪いに天狗連がやってくるというのだ。強引なばあさんを、太平は、相手にしない。
このばあさん、高利貸しのお徳で、あくどい商売をするので、町中の人から嫌われている。おとくばあさんが、町の人に助けを求めても、
誰も相手にしないどころか、「巻き添えを食わぬように、町から出ていってくれ」といわれる始末。この様子を見ていたお仙は、
おとくばあさんを気の毒に思い、太平と勘太に助けてやるように説得するが、昼間、ばあさんに不意打ちを食らった二人は、首を縦に振らない。
お仙が一人でおとくばあさんの元にいってみると、自分で売り込みに来た頼りない用心棒がいた。
お仙の入れ知恵で、おとくばあさんは、太平の泊まる宿屋へ行き、狂言首つりをして、太平に用心棒になることを承諾させた。
ばあさんは、非常なケチで、太平には300文、もう一人の用心棒には100文の用心棒代しか払わないし、
金の在処を教えろという太平に、嫌々ながら嘘を教える。飯は、芋一本だ。そのうえ、心配して来た息子まで、追い払ってしまう。
夜、いよいよ、天狗連が押し込んで来た。太平は、もう一人の用心棒がばあさんを護っているのを確認し、
金を置いているとばあさんがうそをついた、別の部屋へ向かう。
しかし、この用心棒、天狗連の頭だったのだ。いよいよの時、ばあさんが金を守ろうとするだろうと予想していたのだ。
頼ってきたおとくばあさんに当て身を食わせ、太平が別の部屋で天狗連と戦っている間に、楽々と金を奪い逃げた。
太平は、昼間、この用心棒のそぶりがおかしいと気づき、勘太に天狗連をつけさせていた。
翌日、太平らとお徳は、盗賊たちのいる船小屋に向かう。・・・
「おらのお宝」と騒ぎ立てるおとくが、太平にお礼を払おうとすると、太平は「世の中間尺に合わない馬鹿なことをする奴もいるんだ。
金が大切か、息子が大切か、よく考えて見ろ」と、申し出を断る。おとくは、改心して、息子のもとへ行った。
「旦那すっかり見直したわ」「天下太平の行くところ、悪は滅び、心病むものは正道に帰る。・・だが、人間誰にも欠点はあるものだ。」と、
あわてて言い訳しながら、お仙を後にさっさと歩き出す太平。「世の中先手必勝でござんすよ」
見どころ:あの長い刀、屋内のチャンバラにはさぞかし不便と思いきや、かなり小回りを利かせるチャンバラを見せてくれる。
一方、屋外に出ると、自慢のホームラン斬り、のびのあるチャンバラに変身する!
花山大吉ファンにはうれしい、「けしからん」が聞ける。お仙がばあさんに入れ知恵したのを知っての一言。


「山のお寺の怖い鐘」 (第4話)

<キャスト> 村上冬樹=福田屋英五郎 高品格=鳴神の五郎兵ヱ 明石潮=和尚 土屋靖雄=由松 田畑猛雄=佐吉 
山本弘
=猪之吉 鈴木康弘=鐘の大八 出水憲司田畑実行五十嵐義弘川口喬遠山二郎佃和美原田逸夫内藤康夫
智村清
三条泰子=羽衣お蝶

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=迫間健 音楽=小川寛興 撮影=脇武夫
録音=田中峯生 照明=椹木儀一 美術=宇佐見亮 編集=鳥居勉 整音=小野岡道秀 計測=山元豊 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =水巻春江 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=尾田耕太郎 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


お寺の鐘をつく太平。「いやぁ、鐘をつくのも、結構力がいるもんですなぁ。」
「よかったらこのままずっとやってくれんか」と、年取った和尚がたのむ。太平は、寺に世話になっている。
太平を追うお仙と勘太は、寺から出てきたお蝶と出会う。
勘太は以前に、お蝶の父親が取りしきる羽衣一家に世話になっていて、お蝶とは顔見知りで、早速世話になることにする。
このあたりでは、羽衣一家と鳴神一家が天神山を巡って対立していた。
鳴神一家は、羽衣一家の守っている天神山を切り開いて、飲むうつ買うの場所にしようとたくらんでいるのだ。
天神山は、町の人々が薬草を採って生活の足しにしているところで、争いを禁じている羽衣一家は、いままで、子分たちも縄張りも
鳴神一家に取られてきたが、町の人たちのためにも天神山だけは譲れない。
鳴神一家のもとに、全国を取り仕切る大親分の福田屋英五郎がまもなくこの地にやって来るという知らせが入る。
英五郎は、争いを嫌い、かたぎに迷惑をかけないのがやくざ気質だと考えているので、鳴神一家は、工作にあわてる。
しかし、その知らせは、お蝶の元にはわざと入らない。これを知ったお蝶は憤慨し、鳴神一家に単身乗り込む。
お蝶の身を案じた勘太は、太平をさがし、お蝶を助けて欲しいとたのむ。いやがっていた太平だが、羽衣一家は町の味方だといわれ、
鳴神一家に赴く。助け出したお蝶に太平は、かたぎになるようにいう。
その夜、羽衣一家に、鳴神一家に世話になろうとして、けんもほろろに追い出された老人の旅ガラスがやってくる。
老人は、「やくざはふつふついけません」と、お蝶にかたぎになることをすすめる。太平は「よく言ってくれた」と、老人と酒を酌み交わす。
翌日、福田屋英五郎が羽衣一家に滞在していること知った鳴神親分は、それが昨日追い出した老人とは知らずに、羽衣一家に赴く。
やってきた鳴神の親分を、英五郎は一喝し、追い返す。
やくざはいけないと言いながら、自分は大親分の身分を隠して人に施しをする老人に、太平は腹を立て、出ていく。
英五郎に見放された鳴神一家は、やけになって英五郎とお蝶を襲う。勘太は太平に助けを求めに行くが、太平は腰を上げない。
すんでの所で、太平がやってきた。「やっぱり来てくれたんですね」というお蝶の頬を「馬鹿者!」とはり倒し、
「なんだこのざまは。今日の俺は虫の居所が悪いんだ。」と、片っ端から襲いかかる鳴神一家を叩き斬った。
お蝶は、元子分の吉松と旅に出る。太平にぶたれた頬に手をやりながら、うれしそうに。
太平は、すがすがしい顔つきで旅を再開したが、茶店でお仙が団子を食べているのを見つけ、見つからないようにそそくさと逃げ出す。
吹き出しながら後ろをついていく勘太。旦那に気づいたお仙は後を追おうとするが、団子にあたって腹痛を起こした。
山のお寺の鐘が鳴る。息を切らしながら鐘をつく和尚が「やっぱり、あいつをつかまえておけばよかったかね。」
見どころ:始まりのナレーションの「天下太平怒りの時だ!」を思い出す。まさにその通り、怒った太平の迫力あるチャンバラ。
和尚さんと碁をしながらのやりとりも面白い。


「額に汗して空財布」 (第5話)

<キャスト> 桑山正一=竜神の為五郎 原健策=笈川十太夫 戸上城太郎=藤井軍兵ヱ 坂口徹=三浦哲之助 玉生司朗=寅吉
波多野博重久剛平河正雄藤山良牧淳子宮崎博準見淳亀井光代=あや

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=飛鳥ひろし 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=寺島孝男 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=水島淳一 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=古市真也 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


江戸から73里、街道を歩く太平。若侍がやくざに追われてきて、太平に財布を託す。馬鹿に軽い。
一方、お仙は、このまま借金の返済を待っていても埒があかないと、太平に仕事をさせることを思いつき、
勘太と、宿場の龍神一家に出向き、太平に内緒で太平を売り込む。
お仙と勘太は太平を待ち受け、有無をいわせず、仕事のうちあわせ場所につれて行く。仕事は、お家のためにならない悪人を退治する、
という名目で、
あきれる太平をよそに、お仙は仕事料50両を、勘太は滞在費まで要求して引き受けさせる。
翌日、太平は、若侍にたのまれた財布を届けに、未亡人、あやの家に行く。そこでは、昨日打ち合わせ現場にいた侍らが、
あやに書類の在処を問いつめていたが、太平が来た気配で姿を消した。太平はあやに財布を渡す。中には金はなく、書類が入ったいた。
その晩、約束の時間、太平は神社に人斬り仕事に出向く。やってきた相手は、太平に財布を託した若侍、三浦哲之介だった。
哲之介は斬れない。太平と哲之介はすっかり気が合い、あやの家で飲もうと、向かう。
が、太平の雇い主は、再びあやの家で書類を探し、見つからなかったためあやを誘拐していた。
太平の雇い主は、材木奉行川で、川は地元龍神一家と結託して木材の伐採量を水増しし、私腹を肥やしていた。
その証拠書類を城から持ち出したのが、あやの夫、小森で、川らに殺される前に、友人の哲之介に書類を託したのだった。
2日後には殿が国に帰ってくる。川らは、殿の目に書類がふれる前に、書類と哲之介、あやを消そうとしていた。
翌朝、宿屋にも川の家来が来て、お仙をさらっていく。太平、哲之介の元に書類とあや、お仙を交換する手紙が投げられる。
取引の場所に行く太平と哲之介。・・・
後日、殿様のお国入り。哲之介の手で、やがて城下の大掃除が始まるだろう。
「旦那ったら、また50両稼ぎ損なっちゃった。苦労して売り込んだのに」とつぶやくお仙の声を聞いて驚く旦那。
「え、売り込んだ?そーかい、道理で段取りが上手すぎると思った!」
「旦那、堪忍。一日もはやく借金のない身にしてあげようという女心からよ」とあわてて逃げるお仙。
「勘太、おまえも共犯か?」「あっしにゃ、関わりのないことでござんす」と、勘太もそそくさとお仙の後を追う。
ふと気づいた太平、「おい、お仙、借金があるのは俺の方だ、おまえの方が逃げるのはおかしい」と呼び止め、逆方向に逃げていく旦那。
見どころ:太平と若侍哲之介(坂口徹)のチャンバラ。熟練したチャンバラと若々しいチャンバラが対比できて面白い。


「空にきらきら金の星」 (第6話)

<キャスト> 富田仲次郎=虎造 川島育恵=おゆう 花上晃=清吉 五味竜太郎=権藤源八 西山辰夫=茜の半蔵 
国田栄弥
=伝五郎 北見唯一森章二南部彰三島田秀雄野村鬼笑長谷川明男=銀次郎

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・杉井進・田村嘉 脚本=結束信二 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=宇佐見亮 編集=川上忠 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=太田雅章 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


ある城下町で「江戸風おでん」を売る兄妹。
妹おゆうが出前をしている間に、兄清吉の兄貴分、銀次郎が来て、清吉は不承不承屋台を離れる
太平は「江戸風」に惹かれて屋台に来るが、お仙を見つけて、あわてて逃げ、代わりに「関西風おでん」の、まずい居酒屋に入る。
そこでは、清吉が、やくざの銀次郎と弥三郎に何か言いつけられていた。
清吉は、江戸にいたころ、板前の修業をしていたと家族には言っているが、実は彼らの下っ端をやっていたのだ。
家族にそのことを知られたくない清吉は、銀次郎のと弥三郎に言われるまま、宿屋に泊まる浪人権藤を呼びだす。
2人は、浪人権藤を闇討ちする。銀治郎、弥三郎、権藤らは、江戸で御用商人を殺し、千両奪っていた。その取り分を増やすためだ。
勘太は、2人が走り去るところを目撃する。
兄がやくざものとどこかへ行って困っているおゆうのところへ太平がやってきて、兄の清吉を一緒に探してやる。
おゆうの好意で、太平はその晩、家に泊めてもらい、暖かいもてなしを受けていた。清吉は帰ってきたが、様子がおかしい。
そこへ、清吉が浪人権藤を呼び出したのを見ていた目明かしが、清吉を浪人殺しの下手人として、つかまえに来る。
太平は、居酒屋で清吉と一緒にいたやくざ2人が真犯人に間違いないと、探しにかかる。
一方、昨夜殺しの現場でみかけたやくざ2人を、茶店の前で見かけた勘太は、お仙を残して2人の後を追う。
お仙は、やくざを探す太平に出会い、2人も勘太の後に続いた。。
賭場にいるやくざ2人のところへ、太平と勘太が乗り込む。銀治郎は埋めた千両の話をして、賭場の親分に援護を求める。
・・・太平に恐れをなした親分は、「千両やるから、助けてくれ」とたのむ。
親分が掘り出した千両。「これ一枚であぷあぷしている奴もいるという世の中になぁ」と眺める太平。親分にさあどうぞどうぞといわれて、
「いいのか、もらっても。これで江戸の借金全部払えるぞ。お仙、長い間すまなかったな。」と目を輝かせる。
そこへ目明かしがやってきて、千両箱を持っていってしまう。惜しそうに見送る太平に、お仙は、「旦那やっぱりお金に縁はなかったわね、
さぁ、城下に戻って、江戸の味のするおでんでも食べましょう」となぐさめた。
「いや、俺はやめとく。親子3人が幸せに暮らせばいいんだ。俺が行くと、恩着せがましいからな」
夜、屋台でおでんを食べるお仙と勘太。兄妹、病気が良くなった父親も手伝っている。太平が行ってしまったことを残念がっている。
「おでん〜」「燗酒〜」の呼び込み声が、太平にも聞こえて、立ち止まる。見上げると、きらめく星空。
見どころ:「おやじ釣りはいらないよ」というやくざに対し、なけなしのお金を払い「おやじ、これで勘定足りるかな」という太平。
その居酒屋の親父はふてくされてまずい関西風おでんとぬるい酒を出す。一方、かわいい妹と礼儀正しい兄の売るのは江戸のおいしいおでん。
たまには、太平がそそくさ逃げ出さずに、最後までかっこいいのもいい。


「往きはよいよい怖い道」 (第7話)

<キャスト> 見明凡太朗=山田吾右ヱ門、滝恵一=荒、小倉弥寿子=おたけ、芦田鉄雄=俵田、川浪公次郎=藤岡
田中直行=弥次郎、野崎善彦坂東京三郎小峰一男藤山良松本妙子淡路康谷村昌彦=亀吉

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=松村正温 音楽=小川寛興 撮影=羽田辰治
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=塚本隆治 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=平井宇津江
衣装=工藤昭 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=清原和雄 装置=曽根美装 助監督=尾田耕太郎 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


山田村の亀吉は、暮らしがきついと嫁さんに怒鳴られ、赤ん坊をおぶったまま、追い出された。
同情した村人が、「男なら、村を出て母ちゃんの鼻あかしてやれ」と勧め、餞別と働き口を世話してもらうための添書をもって旅に出る。
お仙、太平は、それぞれ、あやしい浪人が、この村を出る人間を見張っているのに気づく。
勘太は、村人から「親分」とおだてられて、代官に届ける訴状を預かっていた。
だが、訴状を預かったのは、勘太だけではなかった。
その夜、太平と相部屋になった僧侶が殺された。僧侶は、村人の一人が化けたもので、そばには偽の訴状が落ちていた。
やったのは、昨日からうろついている浪人たちと、太平は推察する。昨夜、浪人の一人が、僧侶を確認しに、部屋に来たのだ。
次に、勘太が怪しいとにらんだ浪人たちは、勘太を斬ろうとする。
太平は、夕べ同じく相部屋した亀吉が、川でおしめを洗っているところで、村の名主の悪行について聞く。
そこへ、太平と亀吉の方へ勘太が逃げてくる。太平が、追ってきた浪人に、「坊主を殺したのはおまえたちだな」というと逃げていく。
様子のおかしい勘太が、訴状を隠していると察した太平は、訴状を見せるように言う。勘太が持っていたのも、偽の訴状だった。
殺しの張本人は、どうやら名主のようだ。
では、だれがいったい本物の訴状を?・・・ついさっき、別れた亀吉は、添書をもらったといっていた!
3人は、亀吉を追う。そこでは、名主と浪人たちが亀吉を斬ろうとしていた。・・・訴状は、無事、届けられた。
「村もきっと暮らし良くなる。母ちゃんも前のようにきついことは言わなくなるよ」そこへ嫁さんが迎えに来る。
すっかり仲直りした二人の様子を見て、「まずは、めでたしめでたしでござんすね。」
太平旅立つ。(小鳥の声)「天下太平だね。」「ああ」お仙と勘太が後を追ってくる。(じゅうよっつ)
見どころ:走りながらの斬り上げや突き、牽制、左腕のブンまわし、肩背面受けなど妙技がいっぱい。(岡野さま)
ちょっとだけだが、太平が、山と空を背に、風に吹かれて街道を歩く姿。「素浪人」にはやっぱりこんな風景がいい。
亀吉の赤ん坊を見る笑顔。(きっとお孫さんを見るときの笑顔だ。)(じゅうよっつ)


「夕焼け子焼けの子守唄」 (第8話)

<キャスト> 山岡徹也=熊蔵、森秋子=おえん、和田一壮=清吉、大木智子=おせつ、梅津栄=権造、丘路千=陣之助、
小田部通麿=鬼五郎、志摩靖彦日高久松田明高並功道井和仁春藤真澄八代郷子北原義郎=黒沼重太夫、
田口計=伝吉

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・杉井進・田村嘉 脚本=結束信二 音楽=小川寛興 撮影=森常次
録音=武山大蔵 照明=岡田耕二 美術=中島哲二 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=野崎八重子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=久郷久雄 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=荒井岱志 制作=NET・東映


ある宿場で、男が誰かを隠れて待っている。
男が、連れの女の子に見張りを託し、、女の子がちょっと場を離れたすきに、一人の男が通った。
女の子の名はおせつ。熊蔵親分のところで女中奉公をしている。男は代貸しの伝吉で、熊蔵親分のおかみと連れ立っている。
伝吉とおかみは、三好屋から雇われて300両もって旅をする清吉を狙ってあとを追っていた。
その晩、清吉を見逃して怒られて泣いているおせつを、お仙が見かけた。
同じ晩、文無しの太平は、寺に一夜の宿を借りようと入ると、身なりのいい先客、清吉がいた。清吉は太平を見て、逃げるように出ていった。
翌日、伝吉は、宿場の親分に清吉殺しを依頼する。その話をおかみと伝吉が茶店でしているところへ、お仙が来る。
おせつの態度でおせつが助けを求めていると直感したお仙は、勘太とともに、3人のあとをつけた。
そのころ、やくざに追われる清吉は、あばら屋に逃げ込んだ。そこにはあばら屋を今宵の宿と決めた太平がいた。
太平が難なくやくざたちをやっつけたのを見て、清吉は、太平に護衛をたのむ。
清吉殺害が失敗に終わったと知った伝吉とおかみは、次の宿場で、女郎屋におせつを売り、その金で、
命知らずの殺し屋のいる道場に殺害を頼みに行く。と、そこには、牢から出てきたばかりの熊蔵親分がいた。
おかみさんと伝吉ができていることを知って、頭に来た親分は、300両の話を聞いたあと、2人を殺し、道場主らに清吉殺しの加勢をたのむ。
太平らの泊まる旅籠に親分らが来る。・・・・清吉がお礼を言っているところへ、清吉の迎えが来て、志を、と太平に金子を差し出した。
そこに、お仙がやってきた。おせつを見つけた女郎屋で、勘太が、やくざにやられているのだ。・・・
女郎屋の主人は、おせつが正当に買われたことを示す証文を太平に見せるが、太平はそれを破り、先ほどもらった金子10両を払う。
自由になって喜んで走り去るおせつのあとを、お仙と勘太が国の両親に土産でも、と、追っていく。
あとに残った太平は、今夜も文無しだ。酔っぱらいのぶら下げる土産や、居酒屋をうらやましそうにのぞき込みながら、今夜の寝場所を探す。
見どころ:チャンバラが堪能できる。やくざ相手では、刃先を器用に振って脅しているし、本気で浪人を斬るときは、力強い殺陣。
人が一振りするところ、太平は二振り!速い!力強い!それに、決まった型がかっこいい!


「山の彼方の悪を断つ」 (第9話)

<キャスト> 江見俊太郎=佐野伊左ヱ門、五藤雅博=松崎屋儀助、寄山弘=作兵ヱ、小松陽太郎=千吉、守田学哉=氏原左門
楠年明=石島源三郎、浜伸二野上哲也不動万松田明疋田泰盛橋本房枝小峰一男御影京子=お春

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=脇武夫
録音=田中峯生 照明=椹木儀一 美術=宇佐見亮 編集=鳥居勉 整音=小野岡道秀 計測=山元豊 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =水巻春江 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=尾田耕太郎 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


太平とお仙は、父親の無実を信じ、唐丸かごに入れられ護送中の父を助けようと追っている千吉に出会う。
父は山奉行石島を殺した罪を着せられていて、同じく山奉行で働いていた姉は昨日から行方不明だ。
大平は、事件の真相が分からないので、気乗りしないが、お仙は千吉を心配して、かごの宿泊先にとまり、千吉を待つ。
その頃、千吉の姉は、殺された山奉行石島から城の目付役に届けてくれと言われた帳簿2冊を持って、この城下に来ていた。
お仙から千吉が父親を助けようと無茶していることを知らされ、お仙のすすめで、居酒屋にいる大吉に相談する。
大平は、殺された石島が、昼間は酒を飲んでいたが、夜遅く書き付けに目を通したり、一人で山歩きをしていたことを聞き、
火事騒ぎで役人のいないすきに、かごの父親から、娘が奉行を殺したとのをかばって罪人になったことをうち明けられ、重い腰を上げる。
一方、勘太は、旅人がやくざに襲われているところを助け、そのまま用心棒をつとめていた。旅人は、材木問屋松崎屋の主人で、
昨兵衛を護送している材木奉行の役人佐野の後を追ってきたのだ。勘太の紹介で、松崎屋は太平にも用心棒をたのむ。
材木問屋と聞き、用心棒を引き受けた太平は、松崎屋の部屋で、役人の雇ったやくざや浪人の襲撃にあう。・・・
山奉行を代行する佐野は、松崎屋と結託して、木材を売り私腹を肥やしていた。
松崎屋の口からそのことが漏れるのをおそれた佐野は、松崎屋殺害を依頼したのだ。
また、佐野は、奉行石島が、佐野の不正を帳簿につけているのを知って、殺害し、それを千吉の姉の罪に仕立てていた。
何も知らない父親は、現場を見せられて、自分が罪人になろうと決めた。
佐野は、父親を護送しながら、姉が石島から預かった帳簿を取り返そうと、姉を追っていたのだ。
佐野らの面前で、悪行をあばき、帳簿を見せて、父親と姉の無罪を証明する。・・・
父、姉、千吉は抱き合って喜んだ。「旦那、だんぜん見直したわ」「見たかい、まぁこんなもんだな」
小鳥の声がする。「旦那、かっこいいところで早く逃げた方がいいよ」あわてて出ていく太平。気づいたお仙、「また消えちゃった」
「空は青空、心は軽い、けど、、旦那の懐まで相変わらず軽いね」苦々しく空を見上げる太平。
見どころ:よくも、狭いところで、四方八方から来る相手を、縦横無尽に斬れるものだと感心する。
それに、斬った後、刀を持つ右手をぐっと張って威嚇、クルミを持った左手の拳も力が入って、いかにも強そう。
このちゃんが若い頃よく見せていた、片足をだんと出して斬るチャンバラもある。


「はぐれ鴉の流れ唄」 (第10話)

<キャスト> 水島道太郎=流れ星の銀次、富田仲次郎=井熊の助五郎、河村弘二=新田の惣兵ヱ、京春上=おかよ、
鈴木康弘=儀十、島田秀雄平沢彰池田謙治日高綾子内藤康夫目黒祐樹=佐太郎

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=羽田辰治
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=宇佐見亮 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=平井宇津江
衣装=工藤昭 美粧=井筒俊彦 =水巻春江 装飾=清原和夫 装置=曽根美装 助監督=尾田耕太郎 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


明日は井熊一家と新田一家の出入りという日、新田一家の元に、流れ星の銀次という、やくざの中のやくざが来る。
井熊の連中が、銀次に言いがかりをつけているところを止めに入った佐太郎に、井熊の親分は「今日中に銀次を斬ってこい」と言う。
銀次は、新田の親分につれてこられた居酒屋で、偶然、幼友達の太平に再会する。
2人が、昔話に花を咲かせているところへ、佐太郎が来て、今すぐ宿場を出ていかないなら命をもらうと、刀を抜いて斬りかかってきた。
しかし、太平に酒をぶっかけられ、銀次にはねられて、負けを認める。「殺せ」という佐太郎を、「明日は思いっきりかかって来な」と、帰した。
が、佐太郎が落としていった守り袋を見て、銀次は、あわてて、佐太郎のいる井熊一家に向く。
佐太郎は、銀次が島流しになっている間に生まれ、行方しれずになっていた、正吉と名付けた息子だったのだ。
銀次は父親だと名乗ったが、佐太郎は、父親に見捨てられたと思い込んでいて、銀次を寄せ付けなかった。
それを、端で聞いていたものが2人。井熊の子分と太平だ。
太平は、息子に償うつもりなら、もう一度あって事情を話し、ばくち打ちの愚かさをよく言って聞かせろ、と説く。
太平の説得で、銀次がもう一度、井熊一家へ出向こうとしたとき、新田一家に銀次宛の手紙が、井熊の親分から届いた。
それは、明日の出入りには手を出すな、出したら息子の命はない、と言う脅迫状だった。
新田の親分には何も告げずに、銀次は、ふたたび井熊一家に出向く。長ドスを預けて、井熊の親分と会う。
脅迫状のことを知らず、銀次が来たことを不審に思っている佐太郎に、
井熊の親分の制止をふりほどき、自分は佐太郎を見捨てたわけではない、やくざというのは縄張りのためなら何でもするのだと、話す。
怒った井熊一家は、2人を斬ろうとする。佐太郎が鉄砲に狙われているのをかばい、銀次が腕を撃たれた。
思わず「おとっつぁん!」と叫び、佐太郎は、銀次をかばった。
銀次のあとをつけていた勘太から、銀次の様子がおかしいことを聞いた太平が、井熊にやってくる。・・・・
銀次と佐太郎は、はれて、親子として、この町に住むことになった。見送る二人に挨拶して、立ち去る太平、続くお仙と勘太。
見どころ:なんと言っても、銀次(水島道太郎)、佐太郎(目黒祐樹)、太平の3人で繰り広げる、贅沢なチャンバラ。
太平が、後ろから来る相手の刀を、斜め左上で受けるぞ!目黒さんは、力強さより、華麗な感じ。斬ったあとの型が素敵です。
水島さんは、やっぱりベテラン。このちゃんとの会話もかみ合ってすごく自然。(以上じゅうよっつ)
コメント:(目黒祐樹さんが)実の父親の傍でゲストの水島道太郎に「おとっつあん!」と言っていたのがちょっと笑えました。 (こうじさま 2005年12月16日)


「鈴が鳴ります母恋い唄」 (第11話)

<キャスト> 外山高士=桜井玄馬、五藤義秀=正吉、山村弘三=弥八、杉山昌三九=浅吉、有川正治=後藤、雲井三郎=和尚
松田明=田島、八代郷子=さわ、石沢健=文吉、熊谷武小田真士保積かや赤松志乃武長谷川待子=浦辺

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=西沢裕子 音楽=小川寛興 撮影=森常次
録音=高井唯夫 照明=椹木儀一 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山口鉄雄 記録=篠敦子
衣装=荒堀実秋 美粧=井筒俊彦 =水巻春江 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=古市真也 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=小野登 制作=NET・東映


太平は、街道で、馬子をして働いている男の子、正吉とであう。正吉は、病身の母親を、働いて支えていた。
正吉の母、さわが正吉の帰りを待っているところへ、数人の浪人が来て、正吉を出せと家の中を探して荒らしていった。
さわを心配してやってきた和尚に、さわは、正吉が小川藩の家老の娘で、若君のお育て役をしている浦辺が産んだこどもであることを話す。
自分が万一の時、正吉が成人したらこの話をしてくれと和尚に頼むが、正吉は家の外で、2人の話を聞いていた。
浦辺は明日、若君の初の献上茶壺護衛の仕事に同伴して、この村に滞在する。
さわは、心配して、正吉を遠い親戚のところへ使いに出す。一足違いで、浦辺が使いに出したじいやが、さわの元を訪ねて
会わない約束ではあるが、一目だけ正吉に会わせて欲しい、との浦辺の願いを届ける。

使いの途中、正吉は、腹が減って座り込んでいる太平に出会い、自分には母親が2人いて、生みの母親は身分が高いと話す。
正吉は、あきらめきれずに、村の旅籠の本陣のあたりをうろうろしていた。そこでまた会った太平に、詳しく話して見ろと言われて、
まもなく、壺を護衛する、母親のいる行列がここに逗留することを話す。
一方、勘太は、この宿場の賭場で、しくじり、命が惜しければ、行列が護衛している献上茶壺を奪ってくるように脅される。
勘太と一緒だったお仙は、助けを求めて太平を探す。ここの親分は、さわの家を襲った浪人どもと結託していた。
お仙の話も上の空で、久々の酒を息もつかずに飲んでいる太平に、お仙は、勘太が行列の壺を盗めといわれていると聞き、
「何でそれを早く言わないんだ。壺を盗むと困るやつがいるんだ。」と、すぐさま居酒屋を出て、勘太を助けに行く。
行列がついた本陣に潜り込んだ正吉を、浦辺が見つける。正吉に、浦辺に一目会わせてくれと頼まれるが、浦辺は名乗らない。
壺を持って正吉は、「浦辺さま」と叫びながら外へ出た。そこには、浦辺と若君殺害を謀り、弟の千代之助を世継ぎにしようとたくらむ、
桜井がいた。「浦辺殿」の言葉に、正吉は、この人が自分の母親だったことを知る。
桜井が正吉、浦辺を殺そうとしたとき、太平が、賭場の浪人から聞いた桜井を退治しに、やってきた。・・・・
「何もかも忘れてしまうことだ。正坊のおっかぁは、一人だ、な、浦辺殿。」うなづく浦辺。
今日も、正吉は、馬子に出る。涙しながら見送る母親さわ。正吉の馬子唄が、行列かごの浦辺の元にも届く。
正吉を街道から見送る太平、お仙、勘太。お仙が気づくと、太平はいつものように逃げていた。
見どころ:前回もそうだったが、このちゃんの昔からの映画仲間、雲井三郎さんや杉山昌三九さんが共演。
これも前回もそうだったが、このところのこのちゃん、チャンバラに気合いが入っている!このちゃんだけ早回りかと思ってしまう。(以上じゅうよっつ)
見所はチャンバラシーン。天下太平が壷を抱えたまま、片手でバッタバッタと斬り倒していくのは、やっぱりしびれてしまう。 (こうじさま)


「白い月夜の悪い夢」 (第12話)

<キャスト> 石山律=庄吉、野口元夫=阿野の政造、小谷悦子=お花、西田良=伊佐次、山本弘藤沢宏梶本潔川口喬
藤本秀夫池田謙治青柳美枝子=おゆう

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=松村正温 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=塚本隆治 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=宮川俊夫 記録=平井宇津江
衣装=工藤昭 美粧=林三郎 =浜崎喜美江 装飾=清原和夫 装置=曽根美装 助監督=曽根勇 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


お仙の泊まる隣の部屋に、庄吉おゆう夫婦が来た。
庄吉はおゆうにベタぼれ、着道楽のおゆうの好き放題にさせていたおかげで、江戸に構えた店はつぶれてしまった。
庄吉が知り合いに借金に出かけている間、おゆうはお仙と飲んで、出かける。
おゆうがもう帰ってこないのではあるまいか、と不安がる庄吉を気の毒に思ったお仙は、居酒屋の太平と勘太に相談するが、
女房に店をつぶされながら、まだ縁も切れない庄吉の煮え切らない態度にあきれて、手を貸そうとしない。
そのころ、女房のおゆうは、いかさま博打の男とくんで、賭場にいたが、いかさまがばれて、親分に女房になるように迫られていた。
お仙と庄吉は、いかさまがばれて刺された男から、おゆうがの阿野の政造のところにいることを知り、政造の元へ向かった。
政造は否定するが、おゆうの下駄をみつけた庄吉は、おゆうの名を呼び、中に入ろうとして追い出された。
兄を心配してわざわざ出てきた庄吉の妹をかわいそうに思い、太平は、その晩、女房をあきらめて出直すように庄吉を説得する。
しかし、あきらめきれない庄吉は翌朝、阿野一家のところへ出向く。外に出てきたおゆうは、戻る気はないと、庄吉に冷たい態度だ。
太平とお仙がそれを影で見ていると、一家の中から、女が助けを求めてでて来た。政造は、女を集めて、売っていたのだ。
実はおゆうも、女房としてではなく、売るつもりだった。
勘太が、政造のところから出た篭からおゆうの下駄が落ちたのを拾う。太平は怪しいとにらみ、勘太に篭の行方を突き止めさせる。
そこでは、政造が女達を売っている取引の最中だった。・・・・
政造がおゆうに刀を向けて人質にしようとしたとき、庄吉がおゆうを救おうと制止する勘太の手を逃れた。
政造が庄吉を斬ろうとするのをかばい、おゆうが斬られる。おゆうは自分の非をわび、今度はいいおかみさんをもらってといって死んだ。
太平、お仙、勘太は、庄吉と別れる。お仙と勘太がもめている間に、太平はいつものように、すたこら逃げていった。
見どころ:細かいやりとりが面白い。たとえば太平がどうして店がつぶれたのか、庄吉に聞く場面。
「商いに失敗したのか」「いえ、商いは順調で、もうけもありました。でもそのうちお金がなくなって、、」
「じゃあ、番頭に使い込みでもされたか」「そんな事じゃありません」「じゃあ、病人でもいるのか」「いえ、つまり、、」
「ああ、家族が多ってわけか」「いえ、家族は女房と二人きりで」一向にはっきりしない庄吉だが、女房のことになると、嬉しそうに話し、
太平がそんな女房縁を切っちまえと言うと、怒って、太平におごっていた酒を、一本一本取り上げていく。


「父ちゃんの土産は千両箱」 (第13話)

<キャスト> 河野秋武=村井道庵、小林勝彦=大野新人、外山高士=卯月平馬、野口ふみえ=粂、大泉晃=熊吉、
加賀爪芳和
(thanksA師匠さま)=三太郎  石浜祐次郎=三河屋、浜田雄史那智映美志賀勝木谷邦臣山田光子なかつかかずよ
壬生新太郎亀石征一郎=海田源太郎

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・杉井進・田村嘉 脚本=朝比奈峰 音楽=小川寛興 撮影=羽田辰治
録音=墨関治 照明=藤井光春 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=山根定男 計測=山口鉄雄 記録=篠敦子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =浜崎喜美江 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=曽根勇 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=荒井岱志 制作=NET・東映


勘太は、怪しい二人組のあとをつけ、二人が両替商からで千両箱を強奪するところを目撃、成敗に出るが、自分も足を斬られ、
逆に役人に被疑者として捕まってしまった。勘太の証人として、太平とお仙が呼ばれる。
幸い勘太は、新八という一人の犯人の名前を覚えていた為、釈放になる。「大野新八か?」犯人は、この役人、卯月の知り合いらしい。
もう一人の犯人、海内源太郎は、妻子に次の宿場の境内で落ち合う約束をして家を出たが、妻は、途中で病死する。
偶然最期を見取った太平は、妻に頼まれ、次の宿場の境内に息子三太郎を連れて行くが、源太郎は太平を怪しんで出てこない。
その夜、太平らの泊まる旅籠に、役人が来て、三太郎を引き渡せと言う。太平は、「盗賊の子をかばうとどうなるか分かっているだろうな」
という卯月に、「ああ、分かっているとも」と、役人達をに刀で軽傷を負わせながら子供を連れて逃れる。
翌日、役人の動きから、二人が山小屋に逃げ込んだと予想した太平は、三太郎を連れて、山小屋に行く。
「ちゃん」としきりに父を呼ぶ三太郎の声に堪えきれず、源太郎が出てきた。
源太郎は、あくどい金貸しに苦しんでいる村人のために千両を奪ったのだと、三太郎に告げる。
一方、山小屋の中に鉄砲を持って残った、新八は、元々、金を山分けしたあとは、自分独り占めしようと考えていた。
太平や源太郎の説得も聞く耳を持たない。
勘太とお仙が山小屋の裏口から、太平が表から来た為に、新八は山道を逃げる。向こうから卯月ら、役人が来た。
卯月は、他の役人を制止し、自分で、幼なじみの大野新八を斬った。
太平は、源太郎、三太郎親子を崖に追いつめる。不安そうに太平を見る三太郎。と、役人がやって来る。二人の「ワァー」という声が響く。
卯月らが現場に到着すると、太平が刀を抜いて崖下を見ていた。「二人を斬り捨て、ただいまこの崖から落とした」と卯月に言う。
すべてを了解した卯月の「信用することにしよう」の言葉に目を閉じて頭を下げる太平。
卯月は、自分が手にかけた新八の墓に手を合わせ、涙する。
見どころ:この事件の複線で、スリのゴマのハエ(大泉滉)が登場。さすがに本職コメディアン、酔った太平に(多分アドリブで)
酒をつがせようとするが、このちゃんはちょっとのりが悪くて、却って面白い。
役人とのチャンバラ、迫力が足りない?いいえ!これが、岡野さま命名の、ピンポイント斬り。本気でない、脅しだけの斬り方。
こんな風に、場面によっても斬り方を変えるんですね!(以上 じゅうよっつ)
太平旦那の差していた太刀、いつもと違っていましたね。
あの太刀、恐らく月影兵庫の刀と思います。少し古ぼけていますけど、筋の付いた鞘と鍔の彫り物(トンボだと思う)から見て
間違いないと思います。もしかしたらいつもの刀折れちゃったので、代わりにしたのかな。
他の役者さんなら代わりの刀いくらでもあるでしょうが、近衛さんの場合は、刃が長くないといけないので、倉庫の奥から出して
きたのでしょうね。次回は元の刀に戻っています。
確か、16話でも、あの刀差していたと思います。16話の方がわかりやすいと思います。(岡野さま)


「雨降り花嫁さんどこへいく」 (第14話)

<キャスト> 和田一壮=清治郎、鷲尾真知子=おみの、近江輝子=日光尊、東竜子=おこよ、古川ロック山本一郎高崎継義
北見唯一日高久疋田泰盛和田昌也江原政一前川良三山岡徹也=月光、原健策=七兵衛

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=松村正温 音楽=小川寛興 撮影=森常次
録音=高井唯夫 照明=林春海 美術=宇佐見亮 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=水島淳一 記録=篠敦子
衣装=上野徳三郎 美粧=井筒俊彦 =河野節子 装飾=清原和雄 装置=曽根美装 助監督=古市真也 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行=河野荘一 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=佐々木康 制作=NET・東映


太平は、くも助のいさかいごとを上手くまとめた腕を見込まれ、紙屋七兵衛から、明日に控えた娘の婚礼の仲人を頼まれた。
太平にその気はないが、お仙がやってきて、一度仲人をしたかったと、引き受けてしまう。太平は、お江戸の借金をこの場で返せ
とお仙に脅されて、いやいや引き受けることにしたが、その晩、両家から大いにもてなされ、「もう4,5回引き受けてもいいな」などと、
お仙相手に酒を酌み交わし、ご機嫌だ。
翌日、七兵衛や、太平、お仙の加わった、娘の花嫁行列が、婿の油屋につくが、まだ、店が開いていない。
不審に思い、勘太、太平、お仙がうらへ回ると、すっかり用意の調った婚礼の間の隣部屋で、屋の主人、千衛門が首をつっていた。
が、これは自殺ではない、と太平は言う。千衛門の身長では、台に乗っても、天井からつるしたひもに首が届かないのだ。
やってきた宿場役人の頼りなさに、太平らは自ら捜査に乗り出す。

実は、元々の仲人は、この宿場に信者を持ち、予言が当たる、日光末法教から、「仲人をしたら仏罰が下る」と脅されていた。
太平が寺に行くと、そこには、油屋の息子清治郎と、家の者たちがいた。清治郎は、自分たちに関わってくれるな、婚礼はご破算と、
太平を追い返す。勘太やお仙が寺の信者になりすまして、逃げようとした油屋の手代が殺されるところを目撃するが、
これぞと言う、彼らの悪行を示す大きな証拠がつかめない。
そこに、七兵衛が、娘がいないと、太平の元へ来る。勘太が、おみのにせがまれて、清治郎が寺にいることを教えてしまったのだ。
「あっしの命に代えても」と勘太が出ていこうとするが、「おまえが行ってもどうにもならんのは火を見るより明らかだ」と、立ち上がる。
清治郎の父は、日光末法教の信者だったが、法外な寄付を押しつける為に、教を捨てた。しかし、婚礼の前夜、彼らは、油屋に来て、
店の権利を譲れ、と脅し、千衛門を殺したのだ。
そして今、店の者やおみのの命をと引き替えに、清治郎は、教に店を譲ると一筆書くように脅されている。太平らが乗り込む。・・・・
居酒屋で、塩をなめながら酒を飲んでいる太平の元に、七兵衛、おみの、清治郎らが来て、もう一度、仲人をしてくれと頼む。
「元々、俺がするんだったからな」と太平は快く引き受けた。
それを聞いて喜んだお仙に、「俺が一人でやるよ、おまえが一枚かんでくるとできる話もできなくなるだろう」と言う。
小鳥の声が聞こえる「旦那、江戸の弱みをつっつかれるわよ」太平は、すねるお仙の様子をうかがって、また塩をなめ、酒を飲む。
見どころ:いつもよりスピーディーでリアルな、太平に襲いかかる悪者侍たちと太平の応戦。
いつもなら、このちゃんは斬ったあと型が決まるが、その暇もなく、次の相手が絡んでくる。(以上じゅうよっつ)
いやー、鷲尾真智子さんがあんな可憐な娘役とは・・・。なんか可笑しかったッス。(右京大作さま)
「酒を飲むのにつまみはいらない、塩だけで結構だ。」と箸に塩をつけて飲んでいたのが何気によかったです。(こうじさま)


「めんない千鳥の惚れた女」 (第15話)

<キャスト> 今井健二=伝造、唐沢民賢=仙次、松島和子=行商の女、阿木五郎真木祥次郎美松艶子由井恵三大江光
多々良純=富の市

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=羽田辰治
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=宇佐見亮 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=井筒俊彦 =河野節子 装飾=清原和夫 装置=曽根美装 助監督=曽根勇 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


小間物やのおばさんの荷物を持ってやって、肩や腰が痛くなったお仙が呼んだあんまは、お仙の髪のにおいに
「お仙さんでは?」と、いたく懐かしがる。お仙には全く見覚えがない。
あんまの富の市は、3年前、銚子で旅商いをしていた頃、酔った漁師に暴行をうけて目が見えなくなったとき、お仙という女性に介抱され
勇気づけられたのだ。2人は夫婦の約束までしたという。
さらに、自分の真心を見せると、自分のうちから、それまでにためた20両のはいった壺を持ってきて、これはみんなお仙さんの物だ、という。
お仙は、あんまりしつこい富の市を、「帰って!人違いよ!」と、ヒステリックに追い出してしまう。
翌朝、宿場から早く出てしまおうと旅立つお仙に、旅籠の番頭が富の市から預かった、昨夜の壺を渡す。
仕方なく、お仙は壺を返しに富の市の家に行くが、富の市はお仙が心変わりしてしまったと失望して、首をつろうとしていた。
お仙は一人で手に負えなくて、太平と勘太を富の市の家につれて来る。家主まで、お仙に「富の市が死んだらあんたの責任だ」と責める。
そこに、富の市の以前の同居人で今は亡き乙松の親戚という者が訪ねてきて、しきりと、富の市から乙松のいまわの際の事を聞き出そうとする。
この男達、夕べから、富の市の家を覗く怪しいやくざ者だ。富の市が「いまは取り込み中で」と何度も断り、やっと帰っていった。
太平がお仙は3年前には江戸にいたことを話し、富の市に、やっと人違いと分かってもらう。
お仙は、しょげかえる富の市を見て気の毒になり、皆で酒を飲もうと、買い物に出かけた。
そこに、勘太が、家主が殺されたと、戻ってきた。そして、お仙がさらわれ富の市が呼び出される。太平は、家主殺し、2年前のご金蔵破り、
さらに、富の市から乙松が最期に「壁の掛け軸」といい残した事を聞いて、これらにつながりがあることを見抜く。
現場に向かう太平と勘太。太平は、2年前のご金蔵破りの連中が、乙松に託した金の在処を知りたがっていて、その在処を乙松が
掛け軸に残していた事をあばく。・・・
無事、千両箱は役人の手に渡る。本物のお仙でなかったのにがっかりした富の市。そこに小間物やのおばさんが来る。
富の市を見て、「富松さん」と呼ぶ。「あたしとあんなおばさんと間違えるなんて」「こりゃあいい、こりゃあ傑作だ」と喜ぶ太平と勘太。
見どころ:ぽんぽん出てくる、太平の言葉が面白い。
(お仙が小間物を運んでいるのを見て)「人間働く事が第一だ。当てにならん金を追い回すよりもな、自分で働く。さすがお仙だ。」
(お仙が居ることを知らずに浴室に入って怒られた太平)「おめえの裸を見るくらいなら、猿の水浴びでも見る方がましだい」
(富の市を励ます会をしようとお仙が提案して)
「おーそりゃいい、是非やらんといかん!なんなら2、3日ぶっ続けにやったらどうだい」
(取引の場に富の市がきていないこと)「あんまは家の中で呼ぶもんだ」
もちろん、殺陣もいい。掛け軸を左手に、長刀を右手にの二刀流。後手に刀でうけ、前では掛け軸で同時にうける。(以上じゅうよっつ)
見所はやはり最後の殺陣ですね。11話では壷を抱えたまま片手斬りをしていましたが、今回は片手に掛け軸(を丸めたもの)。一見二刀流ですが、あんな重そうな長い刀を片手で見事に振り回すことができるのは、やはりこのちゃんならでは。圧巻はラスト。掛け軸を宙に放り投げている間に二人をバッサリと斬り、斬った後でその掛け軸をキャッチ。素晴らしい!(こうじさま)

             (↓相談屋さま)
「子を取ろ子取ろの悪の里」 (第16話)

<キャスト> 高森和子=おかね、増田順司=大和屋、幸田宗丸=伝蔵、西田良阿波地大輔谷村昌彦=伍作、広瀬義宣近江輝子
山田光子邦保三浦徳子和田昌也池山豊明池田尚代泉春子淡路康柳沢真一=三本松の伊助

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=羽田辰治
録音=墨関治 照明=藤井光春 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=山根定男 計測=山口鉄雄 記録=篠敦子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =浜崎喜美江 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=曽根勇 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=荒井岱志 制作=NET・東映


ある宿場で、太平とお仙は、かどわかしの犯人と間違えられたことから、さらわれた吉松探しに乗り出す。
浪人と粋な女の二人連れが犯人だったと、人相書きを描き、その後行方不明になっていた源ベエが殺された。
かどわかしの現場を見た源ベエは口封じの為に殺されたのだ。
そして、捜査に乗り出した太平を、浪人達が言いがかりをつけて斬ろうとする。浪人達は、飯田宿の川勝一家の用心棒だった。
夜、勘太のおごりで意地汚く飲んでいる太平らのところに、三本松の伊助が、かどわかしに関わりがある知らせを持ってきた。
伊助は、昼間、源ベエを探していた勘太が、吉松という同名の子供を背負ったため、てっきり犯人と、勘違いした男だ。
伊助は、3日前、川勝一家に世話になったとき、子供を4、5日貸してくれないかと頼まれた。
断っても用心棒が子供を狙っているのに気づき、逃げたのだという。
勘太と太平の謎解きが始まる。
吉松は川勝一家にかどわかされ、それを目撃し口止めされた源ベエは、事がばれるのをおそれた一家に殺された。
恐らく稲田宿で、太平とお仙が飲んでいたところを見て犯人にでっち上げたが、太平らが捜査に乗り出したため、斬ろうとした。
太平、勘太、お仙は川勝一家に向かう。3人が様子を伺っていると、そこに街道きっての大店大和屋の主人が来る。
太平と勘太は、用心棒を倒して中に入り、隣の部屋で様子をうかがう。
川勝の親分は、大和屋の主人の囲いものだったおたねが生んだ子供をねたに、手切れ金と養育費をゆすっていたのだ。
ゆすりが一度だけではすまないと分かった大和屋の主人が、おかみに訴えるというと、用心棒達が構えた。太平と勘太がふすまを開けて・・・
吉松母子は、無事を喜ぶ。「旦那お手柄でござんすね」「俺がその気になればこんなもんだ」と威張る太平だが、あわてて急用を思い出した、
と、逃げていく。「そういつも借金のことばかり考えているんじゃないんですよ」「あの旦那とあっしと姉御の3人は不思議なつながりでござんす」
見どころ:チャンバラタイムがたっぷりあると、得した気分。脅しでびゅんと振り回すの、よく見ると左手でしたねぇ。
太平が斬り終わったあと、袴で刀を拭くのは珍しい。なぜか「十兵衛暗殺剣」の土臭い十兵衛を思い出してしまった。(以上じゅうよっつ)
序盤、村の人に襲われるシーンで旦那がおばさんを振り払うときに、かすかに「バカタレ」って言ってたような気がしたのですが・・・
聞き違いだったのかな。(岡野さま)


「晴れた金の鈴鳴らそ」 (第17話)

<キャスト> 藤岡重慶=山谷の多三郎、森健二=喜兵ヱ、柳生博=吉次、汐路章=幻の伝造、浜伸二=大熊、滝譲二=常
山瀬洋=松吉、佐野伸寿=喜一、野上哲也丸平峰子東孝小畠絹子=お絹

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=森常次
録音=高井唯夫 照明=佐々木政一 美術=塚本隆治 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=篠敦子
衣装=工藤昭 美粧=井筒俊彦 =浜崎喜美江 装飾=清原和夫 装置=曽根美装 助監督=古市真也 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行=河野荘一 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=小野登 制作=NET・東映


勘太とお仙は、松吉という子に出会う。2人が、遅くまで働く母親をまって松吉の家で一緒に過ごしていると、そこに太平が通りかかる。
酒を飲んでいる勘太にほくほく顔で合流した太平、勘太が、松吉の母親思いなことを、しきりと話しているのをよそに、必死で飲んで居る。
「やっと人心地がついた、ところで、この子は何で一人で留守番しているんだ?どうした、何でなんにも話さんのだ」勘太はむくれて、肴をどける。
そこに、松吉の母親お絹が帰ってきたが、太平の顔を見て、はっとする。実は太平は、お絹が身売りしていたところに出会っていた。
素知らぬ顔で通した太平と、勘太お仙が帰ろうとすると、山谷一家の手下がきて、お絹に今日の利息を払えという。
翌日、また山谷一家がお絹のところに来る。心配してきた太平が、お絹に話を聞きたいからもう一日待て、と追い帰す。
お絹の夫は、山谷の賭場で、初めて賭け事をして30両すってしまった。今日中に払え、さもなければ殺すと脅されて、逃亡中だ。
30両はもうすでにお絹が返しているが、山谷一家は法外な利息を要求しているのだ。
松吉と目明かしの子供喜一は、松吉の母親の窮状を救いたいと、2人で山谷一家に入り込み、捕まってしまう。
その夜、お絹の夫、吉次が帰ってくる。
逃亡先の江戸で8両こしらえて、さらに金を作ろうとして呉服屋あらし伝造の手伝いをさせられそうになり、逃げている。
この伝造、山谷の多三郎の兄貴分だった。伝造は、多三郎に、仕事途中で逃げた吉次殺しを依頼していた。
吉次の元に山谷一家から、子供を預かっていると呼び出しがかかる。伝造は山谷に向かい、後を追ったお絹も捕まる。
伝造は、8両で、借金をなかったことにしてくれ、自分はどうなってもいいから妻子だけは助けてくれと頼む。
が、すでに、山谷はお絹を売り、子供を奉公に出すよう決めていた。吉次の命も危ない。
太平らと目明かしが来る。・・・
目明かしは、お縄をうけようと両手を差し出す吉次に、何も聞かなかったことにするいって、去っていく。
喜んでいる親子3人をほっとして見守る太平ら。そして、太平はいつものように、そっと抜け出す。
見どころ:今日も左手で斬り、右手に持ちかえて斬ってた。左手でも、全然不自然でないし、かえって、豪快に振っている感じがする。


「本物 偽物 三度笠」 (第18話)

<キャスト> 高品格=吉五郎、江見俊太郎=服部修理、川島育恵=お千代、阿波地大輔=黒馬の伝造、千葉敏郎=大沼陣内、
秋山勝俊=白狐の丑松、新屋英子=お松、浜田雄史=伊坂兵衛、森章二=赤不動の岩吉、高並功=源八、熊谷武=説爺、
岩尾正隆=青蛙の権太、井上茂子山田光子藤川弘宮崎博江原政一長谷川明男=弥市

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=飛鳥ひろし 音楽=小川寛興 撮影=安達重穂
録音=高井唯夫 照明=岡田耕二 美術=宇佐見亮 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=水島淳一 記録=土橋喜久子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =水巻春江 装飾=清原和夫 装置=曽根美装 助監督=岡本静夫 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行=河野荘一 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=松尾正武 制作=NET・東映


うづ巻の勘太と名乗る男が、庄内の吉五郎親分の賭場でいかさま博打をして大いに稼いでいることを知り、
「勘太あにぃのご功名もとどろいたものよ」と喜ぶ勘太。
その夜、勘太は、その男が、同じ親分の別の賭場でいかさまをして逃げ出すところをつかまえようとするが、反対にやられてしまう。
勘太は、太平に援護を求めるが、太平は、昼間、代官が農民から畑を取り上げるところを救えなかっ為、機嫌が悪い。
ところが、勘太によると、代官の横暴は今に始まったことではなく、この3ヶ月くらい、街道に沿った畑だけが次々と、何らかの理由をつけて
取り上げられ、農民は追放されているらしい。
次の夜、同じ庄内の代貸しの、別の賭場に、にせ勘太が現れる。大金をかけようとしてすぐに「うづ巻の勘太」と見抜かれやられそうになるが、
太平が勝負をうけこの場をとりつくろう。にせ勘太より先に「半!」といい、このさいの目は半しかでない、とばらしたため、にせ勘太は逃げ出した。
本物勘太が後を追うと、にせ勘太は、一軒の農家に入っていった。
そこには、目の見えないお千代とその母親が暮らしていた。勘太は、にせ勘太・弥市が、お千代の目を江戸の医者に見せる為に
危ない思いをして金を貯めていることを知る。
翌日もまた、弥市は、これ最後とお千代に言い残して出かけた。賭場ではすでに、「うづ巻の勘太」といういかさま博打男のことは知れ渡っている。
大金をかけようとしてすぐに、庄内の親分と用心棒が出てきた。太平が、窮状を救う。勘太が本物の勘太と知って、恐縮する弥市。
勘太は弥市に「親分」と呼ばれていい気持ちだ。太平とお仙を用心棒と女中だと紹介し、弥市に手を貸そうと申し出た。
庄内一家は、代官と手を結んで、理由をつけて街道筋の畑を農民から取り上げ、そこに女郎屋をつくって儲けようと計画しているのだ。
太平は、土地を取り戻す為にも、江戸に行って直訴するように弥市に勧める。
翌日、矢文が届く。お千代と母親が代官に捕まったのだ。弥市が直訴することが、代官の耳に入り、お千代の命と引き替えに直訴を取りやめ
名乗って出よとのことだ。4人は代官所に向かう。・・・
土地が戻って喜ぶ農民たち。弥市とお千代、母親の元に、お千代の医者代の足しにと、勘太からの財布が届けられる。
すでに勘太らが発った方向に頭を下げる3人。
一方、太平らは、3人とも飯代までない、からっけつ。「お仙、いくらかへそくりはないか」「おい勘太・・」
おいしそうにおにぎりを食べる旅人を物欲しそうに見つめる勘太を見て、あきらめる太平。
見どころ:このちゃんの立ち回りは、体制の立て直しが素早いから、悪人が次々にやってきても、スピーディーに斬れるし、
間に合わないときは、びゅんと一振り威嚇して、相手を尻込みさせるのがリアル。


「黒い風吹く城下町」 (第19話)

<キャスト> 亀井征一郎=笹部伊織、永井秀明=三宅作左ヱ門、谷口完=辰五郎、五味竜太郎=井上軍八、
加賀爪芳和
thanksA師匠さま)=長松 中田喜子=由美、永野達雄=立花曲軒、那智映美=おかよ、千葉保木谷邦臣白川浩二郎
有島淳平泉好太郎小田真士 河原崎健三=富田兵馬

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=迫間健 音楽=小川寛興 撮影=羽田辰治
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=塚本隆治 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=平井宇津江
衣装=工藤昭 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=清原和雄 装置=曽根美装 助監督=尾田耕太郎 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


勘太が道場の練習を覗き、その下手さを笑ったことから、太平はしようがなく一手あわせることになるが、
その失態のため、師範代の井上は破門になる。
太平は、道場主や城の重鎮・三宅から、師範代になってくれ、いづれは仕官の道も、と勧められるが、気楽な浪人暮らしがいいと断り、
せめてもと、三宅から請われるまま、町はずれの寺に滞在することになった。
ところが、寺に入るなり、太平は、3人の侍が一刀のもとに殺されているのを発見する。
どうやら、昼間、勘太と酒を飲んでいた居酒屋の奥で、なにやら相談していた侍たちのようだ。
翌朝、太平が目を覚ますと、兵馬という侍が、飯の用意をして待っていた。
この兵馬、太平が三宅のひいきと知り、娘由美との養子縁組を取りなしてもらおうという狙いらしい。
しかし、三宅は、新蔭流の使い手、勘定方・笹部を養子にと考えているらしく、太平に笹部の人物をみてくれと、引き合わせる。
太平は、笹部が身分にあわない高い刀を持っていることに気づく。帰り際、笹部は、三宅を心配させたくないからと、太平にだけ
殺された侍が藩の金を横領していたと、話した。が、居酒屋の親父の話では、侍たちは逆に、殿に何か訴えようとしていたらしい。
太平が寺に帰ると、兵馬が子供達に飯を食わせていた。
子供らの父親らは大工や左官で、城の増築工事のさい、勘定方は代金を支払ったのに、大工達には金が入らずに、食うに困って、
出稼ぎや夜逃げをしたのだ。
そこに、勘太が来る。勘太の知り合いの壁辰の親方が、城に、再び工事代金を払ってくれるように、代表で頼みに行ったという。
城では、笹部の計らいで、とりあえず半金300両が親方に支払われたが、帰り道、親方は襲われ金を取られる。
翌日太平は、笹部にカマをかける。昨日親方が襲われ、太平がその一人の顔をみたこと、犯人らは親方が持っていた金の金額まで
知っている人物であることを話し、兵馬に笹部のあとをつけさせる。そしてそのまま庭いじりをする三宅のもとへ行き、
侍たちを斬った犯人が、新蔭流の使い手であることをあばき、部下任せの三宅にもっと下々の暮らしを見て回るべきと諭す。
笹部が、太平に昨夜顔をみられた、元師範代・井上を斬ろうとするところに、太平と兵馬が駆けつける。・・・
「とどめを刺せ」という笹部に、太平は「死ぬとも生きるとも勝手にしろ」と言い残して去る。
三宅の計らいで、壁辰にも、兵馬にも、いい知らせが来そうだ。
太平が、あの子供たちが忘れていった、風車を拾う。かがんでいる太平の背後から井上が斬りかかる。
風車を口にくわえ、後ろ手に刀でうけて、左手で相手の脇差しを抜き刺す。「おい、いつまでも重いじゃないか」の言葉のあと、倒れる井上。
勘太とお仙は、一足先に出て行ってしまった旦那を捜しながら旅立つ。太平は、風車を吹きながら歩いていく。
見どころ:かっこいい最後の殺陣!こんなの見せられちゃぁ、チャンバラ&このちゃんファンはメロメロ。もう参っちゃいますよね!
(書くとスローモーですが、ホントは一瞬です。)(以上 じゅうよっつ)
亀石征一郎、五味竜太郎といった悪役、若くて可憐な中田喜子も印象的でしたが、やはり最後の殺陣がシビレました。
素浪人ノートにも書かれてありますが、しゃがんで風車を口にくわえたまま後ろからの刺客が振り下ろした一刀を咄嗟に抜いた刀で受け止め、振り向きもせず片手でその刺客の腰の刀を引き抜いてズブリ。くーっ、かっこいい!(こうじさま)



「からすなぜなく遠い空」 (第20話)

<キャスト> 福山象三=熊五郎、上野山功一=弥十郎、永野達雄=彦兵ヱ、畠山麦=岩松、玉生司朗森秀人新海なつ
藤山喜子日高綾子村田玉郎有島淳平平河正雄伊玖野暎子今田義幸池田弘美小庄義明梶三和子=おちよ

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・杉井進・田村嘉 脚本=松村正温 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=宇佐見亮 編集=川上忠 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=太田雅章 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


勘太とお仙は、ある旅籠の裏口から出てきた大きな荷物の行く先をつきとめて、それが、娘の死体であることを発見した。
お仙からそのことを知らされた太平は、お仙に脅されてようやく腰を上げ、その旅籠に真偽を確かめに行ったが、その間に、
娘は息を吹き返し、勘太は、怖くなって逃げ出した。旅籠の主人、熊五郎の話では、その娘、おちよは、客と心中したため、
困って寺に埋めたのだというが、太平には解せない。
お仙がおちよの郷里に出向き、おちよが、家の借金を返す為に機織りに出て、そのまま連絡が途絶えており、
心中したという男の名前の幼なじみはいないことが分かった。
3人は、おちよの捜索に乗り出す。お仙は、熊五郎の旅籠に入り込み、様子を探る。おちよが最初に働いていた機織りの彦兵ヱ
は、太平がお千代のことを聞きに来たあと、熊五郎のもとへ出向き、おちよのことを探っている浪人がいることを知らせる。
どうやら、彦兵ヱと熊五郎はグルらしい。熊五郎は、その浪人が自分のところにもやってきた、太平であることを知る。
その頃、おちよは、新しい場所で機織りの仕事を見つけて、働き始めていたが、そこにやってきた仲買人が、おちよを見知っていて、
彦兵ヱに、知らせる。熊五郎の手下がおちよをさらい、太平らに、おちよの命が惜しければ、二度とこの件に関して手を出さないよう、
脅す。が、おちよは、卑怯な手を好まない熊五郎の用心棒によって、解き放たれる。それでも、熊五郎への恩義の為、用心棒は
太平と闘い、斬られる。
無事戻ったおちよの話では、五両の約束で機織りに来たのに、彦兵ヱは一両しか払わず、どうしても金の要るおちよが
他へ移るというと、熊五郎のところで身売りするように言われた。それを拒んだおちよは、3日間鞭でぶたれて、仮死状態になり、
寺に埋められたのだった。
いよいよ、太平の悪人退治が始まる。・・・
おちよらは、太平に追い出されて彦兵ヱがいなくなった機織り工場で、楽しそうに働いている。
太平は、いつものように、お仙から逃げるように歩き始める。
見どころ:ちょっとだけ、立ち回りの中で、このちゃんの足だけ映る。あの広いスタンスから、安定した立ち回りが生まれるんですね!
このちゃんって力強いから、パンと相手の刀をたたき上げて相手をのけぞらせおいて斬る、あれが、すごくかっこいい。


「親星子星の見る夢は・・・」 (第21話)

<キャスト> 小野恵子=美代、国一太郎=伝次、阿波地大輔=安五郎、西山嘉孝=上州屋、古川ロック=川辺の政吉
徳田実=留造、土橋勇井上茂水島道太郎=佐野大三郎

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=塚本隆治 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=水島淳一 記録=平井宇津江
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =浜崎喜美江 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=上杉尚祺 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


お仙は、襲われて死にそうになった旅人から、手紙を預かる。旅人は受取人の名前も言わずに死んでしまった。
同じ宿場で、太平は旧友・大三郎(thanks A師匠さま)と再会。
大三郎は、そこひを患い目がよく見えない上、体もがたがたで、道場もたたんでしまって、今は、娘お美代の結婚に際し、
小さな店を持たせてやるのだけを、楽しみにしている。
大三郎と話している太平の元に、お仙がきて手紙のことを相談しようとすると、大三郎は、突然、用があると出ていった。
その後、お仙は、旅人を殺した悪者一味に襲われ、手紙をだせと脅される。
大三郎を待つ太平、太平に助けを求めるお仙、勘太が、大三郎の家にいると、大三郎を訪ねて、男が来る。お仙を見てあわてて出ていく男は、
先ほどお仙を襲ったやつだった。その後、帰ってきた大三郎も様子がおかしい。お仙に手紙を出せ、太平にもはやく宿場から出ていけという。
大三郎は、娘に持たせる店の金ほしさに一味に荷担していたのだ。
大三郎と悪者一味は、密輸品売買の商人達を襲って金をふんだくるつもりらしい。
密輸売買の場所を知らせる手紙を、大三郎(thanks A師匠さま)と悪者一味は手に入れたがっている。
太平は、大三郎を呼びだし、手紙を渡す。「俺は今でもおまえを友だと思っている。その手紙をどう使うか、おぬしが決めることだ。
だが、決め方によってはおぬしを斬る。」と言い残し、去っていく。
そして、売買の現場へと向かう。
大三郎と悪者一味は、密輸品の買人を斬り、金を奪う。やはり、大三郎は目を覚まさなかったのか。
影で見ていた太平が、刀に手をかけようとしたとき、大三郎は、「まて、これは役人に渡す」と態度を翻す。
太平も加わり、二人は悪者を倒す。そのとき、大三郎と太平を単筒が狙った。
大三郎は、「撃てるなら撃て」といい、太平が止めるのも聞かずに相手の方へ向かい、恐れをなして相手が撃った弾に倒れた。
太平のクルミが飛び、単筒を落とす、残る悪者も退治し、「大三郎」と、駆け寄る太平。
「娘が店をもてたら、人知れず腹を切るつもりだったが、もう夢だ」「いや、夢じゃないぞ、お美代さんは自分の力できっと店を持つ。
しっかりしろ!」太平の着物をつかみ、「太平、達者でな」と、こときれる大三郎。
お美代は、また働き始めた。父親が立派な最期をとげたことに誇りを持ち、生きていくという。
再び旅立つ太平、お仙、勘太。
見どころ:大三郎役の水島道太郎さんとの顔合わせ。水島さんとこのちゃんの立ち回り、どっちも熟練味がある。水島さんの立ち回りは、
「元道場主」っていう感じがよく出ている(と思う)。
大三郎最期の二人の会話も、やはり、長年の付き合いなればこそ。息がぴったり。このちゃんが演技が下手と言ったのは誰だ!


「日暮れの道は遠い道」 (第22話)

<キャスト> 北原義郎=氷川弥平太、菊容子=おみの、梅津栄=仁造、江幡高志=辰、西田良=銀次、雲井三郎出水憲司
土橋勇松田利夫宮崎博藤山良桜むつ子=お熊

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=小滝光郎 音楽=小川寛興 撮影=脇武夫
録音=田中峯生 照明=岡田耕二 美術=中島哲二 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=山口鉄雄 記録=野崎八重子
衣装=荒堀実秋 美粧=井筒俊彦 =水巻春江 装飾=清原和夫 装置=曽根美装 助監督=尾田耕太郎 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=井沢雅彦 制作=NET・東映


太平らは道を間違えたため、日が暮れて、山の中の一軒家に、泊めてもらった。
が、この家の母娘は、なぜか、勘太だけに他の2人とは格別の待遇をする。
勘太が母親の夫の若い頃にそっくりだったからで、勘太は母親から、娘の婿になるよう求められる。
「ここで堅気になったほうが、おまえのためだ」と、太平までこの母娘のカタを持ったため、勘太はふくれたまま床についた。
翌朝、すっかり祝言の用意が整っているのをみて、勘太は、娘と町へ行く振りをして、逃げようと試みるが失敗。
あきらめて再び娘の家に戻ると、そこには、牢破りをしたばかりの罪人5人が籠城していた。
罪人たちは、仲間のけが人を手当てした医者も殺している。1人は爆薬を持っていて、さすがの太平も手が出せない。
夜、罪人は、逃亡の支度を始め、太平らを殺そうとする。
太平はすきを見て医者の薬箱から抜き取っておいたメスを投げ、爆薬を落とす。
かかってきた罪人の一人を押しつけ、刀を奪い、全員をやっつけた。
翌朝、まだ勘太に未練のある母親を説き伏せた娘さんをみて、
「こんないい娘さん一生かかっても見つからないわよ」というお仙に、「あっしにゃ、長ドスという連れ合いが」と言って、3人は旅だった。
見どころ:メスを使ったこのちゃんの久々の小柄(こづか)なげ。
短い立ち回りの時間に、このちゃんのチャンバラが光る。右でうけて、左で突き。
勘太が持ってきた太平の刀を右で受け取りながら、左では奪った刀で後ろ手でうけ、右でよけて、もう一人を左で逆手で刺す!
こういうのが見れるから、このちゃんが一番!
この日のテレビ欄、「ハイジャックにあった客の気持ちが分かるね」と、このちゃんが語っている。(以上じゅうよっつ)
今日の太平旦那の最期の殺陣で、倒れた敵に逆手で刺した刀を一旦、反対の手に持ち替え手から握りなおすシーンがすごくよかったです。
まさに刀をホンモノらしく見せてるって感じでした。(岡野さま)
勘太兄ィと結婚しそうになる娘さんは「好き!好き!魔女先生」の菊容子さんでしたねー。
ここでは、全く屈託がない顔しているのになぁ。(右京大作さま)


「あの町、この町影法師」 (第23話)

<キャスト> 珠めぐみ=お菊、住吉正博=仙次、山村弘三=了庵、西山嘉孝=吉兵ヱ、武周=清太郎、武田禎子=お梅、
藤田千代美=お君、大橋壮太川浪公次郎田畑猛雄熊谷武内藤康夫東孝坂本香宮村武子御木本伸介=安川惣右ヱ門

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=森常次
録音=武山大蔵 照明=岡田耕二 美術=寺島孝男 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=野崎八重子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=尾田耕太郎 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=荒井岱志 制作=NET・東映


勘太は、首つりをしようとしていた男・仙次を助けて、家までつれて帰る。
仙次が説得に応じたので、いったん引き上げてきた勘太は、太平と出くわす。
太平に「自殺しようとした者をほっとく奴があるか」と怒鳴られ、仙次の家に戻ってみると、仙次はすでに首をつっていた。
一方、お仙は、旅の途中で具合の悪くなった仙次の妹・お菊を、偶然、つれてきていた。
お菊は、兄が体が弱い為に奉公に出ていたが、働き先に、仙次が20両もの大金と「どんなことがあっても戻ってくるな」
と書いた手紙を送ってきたため、不安になって戻ってきて、そこで、兄が善助親分を殺したと名乗って出たのを知ったのだと言う。
通夜の晩、太平らは、何者かに襲われる。仙次の件に太平らが深入りするのをおそれた何者からしい。太平らは捜査に乗り出す。
善助親分は、殺される前かみさんに、木材問屋丹波屋の皆殺し事件の犯人をつかんだ、犯人は大物だと話していた。
今の丹波屋の主は、皆殺し事件当時の番頭で、そのときは偶然出かけていて助かった。怪しいとにらんでカマをかけ、呼び出す。
太平が脅すと、元番頭は、丹波屋の主にしてやるからと脅されたと白状した
丹波屋を殺し2000両取り、それを見抜いた親分を殺したのは領主・安川だった。
安川の元で働いていた仙次は、医者からあと半年の命と言われていた。薬代の借金もたまっていたので、20両を安川にもらって、
親分殺しを名乗り出ることにしたのだが、仙次には周知のアリバイがあったため釈放されてしまう。
安川らは事がばれるのをおそれて、仙次に自殺を迫ったのだ。
安川の元に乗り込む太平ら。お菊が人質に取られていたため、一時は刀を捨てるが、太平のクルミがとび、隙に刀をとって、
領主の家来たちと戦う。・・
相変わらず、お仙に借金のことを言われて、あわてて逃げ出す太平。「男と女の仲は複雑なもんでござんす」と笑う勘太。
見どころ:元番頭を脅す際の、刀を抜く速さ!
領主のうちでは、畳上げで、相手を牽制してから、捨てた刀を拾う。鴨居のある低いところでは、足下を斬っていく。リアルだ。


「どんぐりころころ一人旅」 (第24話)

<キャスト> 田口計=銀造、金井由美=おさと、春日俊二=越後屋、山崎亨一=三太、武田てい子=茶屋女房、松島和子=おちか
大木晤郎=伊佐次、伝法三千雄=鹿松、宮城幸生前川利江子市川祐二初音礼子=おかね

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=松村正温 音楽=小川寛興 撮影=脇武夫
録音=高井唯夫 照明=宇野増太郎 美術=角井博 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=土橋喜久子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =河野節子 装飾=山中忠知 装置=曽根美装 助監督=内沢豊 擬斗=上野隆三
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=小野登 制作=NET・東映


太平は、旅商人殺害を目撃した子供、三太を三人組から救い、道連れになる。
三太は、祖母と暮らしていたが、父親が死んだあと働きに出ている母親・おさとをしたって、家出してきたところだった。
三太にまんじゅうを食わせるために、薪割りのアルバイトをしたりしながら、二人は、おさとの働く中津宿に着く。
一方、三太を捜す祖母と一緒になったお仙は、三太は母親のところとにらんで、この町に来た。
料理屋で働くおさとには、越後屋の亭主が自分の妾にとしつこい。
例の旅人を殺した三人組は、この亭主を旦那博打で見知っていて、妾話を成功させて亭主から金をふんだくろうとするが、断られ殺害する。
そこを、祖母に見つかって逃げ出してきた三太に、再度、目撃された。
三太を捕まえ、では、この子をだしに、おさとを捕まえて売ってもうけようともくろむ。
三人組に呼び出されたおさとが、泣く泣く、言うことを聞くから子供を返してくれと言っているとき、太平らが寺にやってきた。
太平が、三人組と話をしている間に、勘太が後ろに回り込み、一人に斬りかかる。
びっくりして二人が後ろを振り向いたすきに、太平が刀を抜いて二人を追い込み、斬った。
太平を慕う三太は、「おっとちゃんになってくれよ」と太平に頼む。太平は、「おっかちゃんと一目会ったら、おばあちゃんの処へ帰ると
約束しただろ」とたしなめる。「おじさんは何処へ行くの?」「おじさんはな・・」と言いかけて、借金のことを思い出し、あわてて歩き出した。
勘太とお仙もあとに続く。
見どころ:「俺にもこんな頃があったな」と男の子の寝顔をみる太平の優しい顔がいい。薪割りもスパッとかっこいい。


「大ボラ小ボラで日が暮れた」 (第25話)

<キャスト>
 高木均=芋田の儀十、上野山功一=十津川玄馬、玉生司朗=郷田、武田禎子=おつた、松田明=和助、佃和美=お花
池田幸路=お銀、北原将光岩尾正隆宇崎尚韶智村清丸平峯子伊玖野暎子工藤堅太郎=大前田の小五郎

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=森田新 音楽=小川寛興 撮影=柾木兵一
録音=高井唯夫 照明=松井薫 美術=寺島孝男 編集=島村智之 整音=草川石文 計測=山元豊 記録=土橋喜久子
衣装=荒堀実秋 美粧=井筒俊彦 =浜崎喜美江 装飾=清原和雄 装置=曽根美装 助監督=上杉尚 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行=河野荘一 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=小野登 制作=NET・東映


勘太は、いさかいを粋に収めた旅ガラス風の男をしたい、道連れになり、男のおごりで、宿場の小料理屋でごちそうになる。
男は、大前田の小五郎と名乗り、栄五郎とは飲みあけの仲、江戸の大きな呉服問屋の息子という。
おけらの太平も加わり、夜更けまで飲み明かすが、実は、この男は大ボラふき、ホラが元で村八分になった一文無しだった。
誰も金を持たない上に、折良く現れたお仙にも、「お江戸の借金も返してないのに、
その上借金しようなんて、旦那なんか張り付けになるべきよ」とさんざん絞られ、3人は帳場へ謝りに行く。
帳場では、女将が、40両もの借金を作っているヤクザ・儀十とそのバックの十津川道場に頭を抱えていた。
「これはしめたでござんす」と、勘太は、いやがる太平を押さえて、
町の邪魔者をやっつけることで、昨夜の飲み代をチャラにしてもらうことを取り付ける。
勘太に腹を立てた太平が、小料理屋を出ると、例のヤクザたちが居酒屋の亭主に難題をふっかけているのに出くわす。
太平がヤクザを追い払った後、勘太に追い出されたホラ吹きは、「あれは俺の用心棒だ、おれは呉服屋の息子だ」と、
またもホラを吹いたため、道場の連中を連れて戻ってきた儀十らに、連れ去られる。
勘太と太平の元に、儀十の手下が、男を返してほしければ金を持ってこいと、大金をふっかける。
2人が、呼ばれた場所に赴くと、ホラを真に受けた儀十らと道場の侍たちが待ち受けていた。・・・
心を入れ替えようとしているホラ吹きの五作に、「よかったわ」とお仙らは安心する。が、すぐにいつものように形勢不利になり、
「でも昨日ほど腹が立ったことはなかったわ」といわれて、「あねご、人間はいつまでも過去のことにこだわっててはいかんよ」
と逃げ出そうとする太平。
見どころ:このちゃんのチャンバラが堪能できる。左右両手が使える、二刀流のワザがすごい。スッパスッパ悪人を斬るぞ!


「むすんでひらいて朝が来た」 (第26話・最終回)

<キャスト> 水原麻記=おきみ、小松陽太郎=三吉、瀬良明=茂助、五藤雅博=徳右エ門、阿波地大輔=大熊、笹吾朗=飛脚
丘路千=岩松、八代郷子美樹博佐々木松之壬生新太郎斉藤真澄司京子内藤康夫穂積隆信=円月院元道
小林勝彦=原町の伝造

<スタッフ> プロデューサー=上月信二・群杉昭(NET)・杉井進・田村嘉 脚本=松村正温 音楽=小川寛興 撮影=森常次
録音=墨関治 照明=宇野増太郎 美術=寺島孝男 編集=鳥居勉 整音=草川石文 計測=長谷川武次 記録=篠敦子
衣装=荒堀実秋 美粧=林三郎 =水巻春江 装飾=清原和雄 装置=曽根美装 助監督=古市真也 擬斗=土井淳之祐
演技事務=上ノ山敏 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 ナレーター=平井道子・松田明 監督=荒井岱志 制作=NET・東映


勘太は、十両を落として身投げしようとしていた娘、おきみを助ける。おきみは、言いがかりをつけた男ともめた時に金を落としたらしい。
3人でさんざん探したが見つからない。相談された太平が「もうねこばばされたな」というと、「このおじさんたら他人事だと思って」
とおじさん呼ばわりされるし、お仙にも「おじさんでたくさんよ」と言われて、弱みのある太平は、2人の機嫌を取り繕う。
その夜、おきみは、何者かに襲われる。どうやら、おきみが見知らぬ女性から預かった手紙のでせいで狙われているようだ。
だが、手紙は落とした財布の中だった。
翌日、おきみは、問屋場の役人に十両落としたことを届けるが、役人は、なぜか財布の中の預かりものにしか興味を示さない。
しかも、おきみに手紙を預けた女が水死体であがるが、どう見ても殺されたのに、この役人は、身投げだと言い張り野次馬たちを遠ざけた。
おきみの財布を拾ったのは、太平が知り合った男の子、三吉の叔父・茂作だった。
茂作は、その金をもって、伝造親分のところへ行き、売った娘を買い戻そうとしたが、難癖をつけられているところへ、
太平らが来る。伝造の一味は、太平の顔を見るなり、あわてて引っ込んでしまった。どうやら、昨夜、おきみを襲った奴らだ。
茂作は、重たい口を開いて、宿場の人たちの苦しみを語る。
宿場では、円月院の住職が占いで気に入られ領主から領地を与えられた為、宿場の人は田畑を取り上げられ、重い年貢や借金に苦しみ、
娘を売ったりしていたのだ。しかも、役人も、やくざの伝造も円月院に結託しており、用心棒に浪人まで雇っていて、手がでないのだ。
三吉も、両親が借金で苦しみ死に、今は叔父と一緒に暮らしていた。
手紙は、円月院の非道の究明を奉行に求める連判状だった。円月院と役人、伝造の集まる寺へ、太平は乗り込む。・・・
一件落着したお仙の元に、江戸の女将さんから、持病が長引きそうだという手紙が来た。
「江戸へ帰るわ」「あねご、本当に行くんでござんすか?」うなづくお仙。「帰った方がいい。あんたを娘のように思って
頼りにしてるんだからな。帰ってやれ。」「帰ったからって借金はあきらめませんからね」「別に逃げも隠れもせんよ、おれは」
「じゃあね」と寂しそうにお仙が旅立つ。お仙と分かれて後、勘太もまた、別れを告げる。
「突然でござんすが、あっしもこのまま旦那と旅を続けると、いつまでも旦那を頼って一人前の渡世人になれない気がしやす」
「そうだな、それがおまえの将来の為に一番いいことかもしれん。はやく行け。」「せわしない旦那だな、最後まであっしの尻
叩いていただいてありがとうございやす。」
三吉と茂作、おきみが太平を見送る。「おじさ〜ん」の声に振り返る太平。笑顔で鉄扇を振り、また歩き出す。
三人は別れ別れの旅を始めた。
見どころ:寺の中でチャンバラ。部屋の真ん中には、ろうそくが一本、ずっと火がついたまま。もちろん、芝居だから、
編集したのかもしれないが、ろうそくが倒れることも火が消えることなく、チャンバラが続く。
「私はからみに怪我させたことはない」と言ったこのちゃんの言葉が思い出された。
気のせいかもしれないが、話数が後半になるに従い、このちゃんのチャンバラに気迫がこもってくる気がした。





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