素浪人ばなし(花山の巻四

見れぬなら、読んでみよう「素浪人シリーズ」のあらすじ。79〜104話
月影の巻一 / 花山の巻・四 / 天下の巻 / いただきの巻 
みなさまの記憶に頼るという、管理人お得意のパターンで行く予定です。
こんな話があった、このへんだけ覚えてる、ここ違うかも、何でも結構です、
多少の間違い、不安は物ともせず、掲示板に書き込んでくださいませ。
ちょっとだけご注意:引用文の場合は、著作権の関係から、全文書かないでね。部分引用はOK。
みなさまご自身の言葉で語る場合は、何でもOKです。
Merci beaucoup!
手作りキャスト表については、相談屋さま(企画・制作)始め、キンちゃんさま(大部屋さんご担当)、長沢威さま(キラ星女優さんご担当)、
右京大作さま(出演者のその後の活躍ご担当)、大地丙太郎監督(花園ひろみさんご担当)、どらおさま(栗塚旭方面から。ノンクレジットがお得意)
の皆さまのご努力により、制作されております。 お名前の後の(NC)は、ノンクレジットで出演者として紹介されてない俳優さんです。

各お話に出てきたが、タイトル横に貼り付けてあります。(相談屋さまのご提案)

「痴漢に間違われてバカをみた」 (第79話) (←気づかず)

<キャスト> 新井茂子=半次を水汲みに走らせてその間にずらがった娘、お園(おその)
高村俊郎=トンマな悪党を雇ってしまった、お園の叔父、甚兵衛 阿波地大輔=『残らず冥土に送ってやるぜ』用心棒の大場先生
鈴木金哉=『女、一緒に来るんだ!』痴漢浪人、佐久間 酒井哲=お咲が敵を称えたので助かった旅籠田島屋の番頭
川浪公次郎=『いいから来るんだ!』痴漢旅がらす、マサ 道井恵美子=お咲の団子の御代は半次からもらうことになった茶店のばあさん

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術=宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=高木弘子 編集=川上忠 装置=木村雅治 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧
=林三郎 結髪=浜崎喜美江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


覚えているシーンは、半次が行き倒れている旅の途中の娘を見つけて水を飲ませようと近くの川で手のひらで水をすくって持ってくるのですが、
途中で全部指の間からこぼれてしまうので思い余って口一杯に水を溜め込んでほっぺたを膨らまして戻ってくるのですが、
肝心の娘がいなくなってブーッと水を吐いてしまうシーンです。(2002年10月8日 せりざわ ひろしさま)
半次兄さんはこの後さんざん大吉旦那にバカにされ口論になっている最中に、この回よりレギュラーになったお咲に、二人とも痴漢に間違われる
というところから話が進展していきます。(2002年10月8日 相談屋さま)
(これから半次に起こることを予想するかのように、ひっそりとぶら下がっているクモ)「おい半次っ!」と、夢でも大吉に怒鳴られて目が覚めた
半次は、苦しんでいる若い娘を助けようとするが、”こんなところで若い姉ちゃんをおんぶできるなんてとんだ余録だなんて、ついつい心に
あることをくっちゃべっ”てしまったせいか、体よく逃げられ、ガッカリしているところで大吉に呼び止められる。「またそこらのねえちゃんにひじ鉄
食らったのか」
そうだ、旦那を捜していたんだった、と思い出した半次、早速「おい旦那、昨日貸した2朱、あれ返してくれよ」と、あやうくサカナにされそうになる
ところをかわしたが、それに対し”あくまでも端整な顔立ちを心持ちゆがめて”つまり”端正な顔立ちに若干苦みを走らせて渋い中年の魅力
に満ちた横顔”をみせて持ち合わせがないことをくみ取らせようとする大吉と、「ボケうすらが」「おから狂いのくそったれ面」と言いあいが始まった
のはいつも通り。その時、二人はいきなり後ろから「あたしがいくら器量よしでお上品な色気があるからってさ、妙なことするのやめてよ、どすけべ!
(大吉シャックリ)」となじられる。見ると、熊のぬいぐるみを抱いたミニの着物にポニーテールの若い娘。二人は、昨日この娘が泊まった旅篭で
娘が風呂に入っている間に、お腰や下着を部屋一杯に広げた”大痴漢”と間違われたのだが、もちろん、そんな覚えはない(様子を遠くで見守る
クモ)
。人違いと分かった娘は「なあんだ、がっかり」とケロッとしともの。この娘「春になるとぱあっと咲く花にあやかるようにきれいな娘に育って欲しい」
と名付けられ、そのとおりに育ったと自称するお咲は、二人より一足先に来た茶店の団子代は、「男が稼ぎ手だったら、払うのが当たり前」と、半次
兄さん任せ、その晩の宿まで、2間続きの部屋をちゃんと取っている。「旦那あ」「俺の上手を行く、新しい型の女傑だぞ。」
しかし、その夜、再びお咲の部屋に何者かが忍び込む。お咲の悲鳴で起きた半次は、またまたお咲に痴漢に間違われるが、犯人はどうやら
外部から雨戸をはずして入ってきたようだ。痴漢にしては念が入っている。お咲の持っている何かを狙い、昨日、お咲の持ち物を探したが見つか
らず、それでお咲が身につけているに違いないと、今度はお咲を狙ったのだろうと、大吉は推理する。
しかし、「男はみんな痴漢のようなもの」と痴漢と決めつけてお咲は大あくびしてさっさと寝てしまう。大吉も。「しかし、寝る子は育つっていうが、
まったく野放図に育っちゃったもんだい」と旦那の寝姿をみながら、半次も「こうなったら、俺一人起きてるこたあねえや、お休み」(障子にひっそり
クモが下りてくる)
翌日、3人が歩いていると、突然、浪人やヤクザの一団がお咲を無理矢理連れて行こうとする。どうやら、この連中が、この3日間お咲を狙っていたようだ。
男達は、理由も告げずに斬りかかってくるが、大吉・半次のおかげで事なきを得る。大吉は、風呂に入ったときにお咲が肌身離さなかったものは
ないか、と尋ねる。「おさいふところ吉(=ぬいぐるみ)は手放さないんだもん」その言葉に、半次はふと思い出す。そういえば、昨日助けた若い娘も、
大事そうに熊のぬいぐるみを持っていたのだ。そこに、あんばいよくその娘が通りかかる。
お咲は、どうも、同じぬいぐるみを持ったこの娘と間違われて、襲われたようだ。その話を聞いた娘は、事情を話し出す。娘は、豊原の城下で
呉服屋を営む野崎屋の娘・お園。病気の父親に代わって店を任されている叔父・甚兵衛の様子に腑に落ちないところがあったため、父は、
全財産を娘に譲り叔父には店をやめてもらう、という遺言を残して数日前亡くなった。父の湯治場から家に帰る道中、ずっと誰かにつけられている
気配を感じたお園は、いつも肌身離さないぬいぐるみに、遺言状を縫いつけて運んでいたのだ。そして、その遺言状を消したい叔父に雇われた
男達が、4人の前に姿を現す。・・・
「ちょっとお、やったじゃない、半次さん。今度はかっこよかったわよ。あたし今度の事件で、花山さまと半次さんが断然気に入っちゃったのよ。だから
ちょっとの間、一緒に旅してみようかなーなんて、思っちゃったのよ。」「冗談じゃねえ、もう結構だよ」「いいいからいいから、あたしと旅ができるのが
いくら嬉しいからってさ、そんなに照れなくたっていいじゃないよ。人間もっと素直にならなくっちゃいけないのよ。ねえころ吉(ちゅっ)」「旦那あ、俺
またこかれた、またまた喰われた」「おめえお咲坊には喰われ通しだよ」「けっ」「待ってよー半次さん、一緒に旅しよ、ね」「うるさいな、散れ、散れえ」
「ちょっと半次さーん」逃げる半次と追いかけるお咲。
旅の場所:いたどり宿
見どころ:お咲に何かを言おうとしても、喋りまくりで負けてしまう半次。手の焼ける妹が出来たみたいだ。(以上 じゅうよっつ)
コメント:花山大吉79話のお咲登場から、オープニングの絵が一部変わりますね。
近衛さんはそのままですが、半次登場の絵のあと、お咲、歌の終わりまでが新調されます。(久米仙人さま)
今まで近畿地方では、花山大吉の再放送は、私の記憶では昭和57年朝日放送、58年サンテレビと京都テレビ、62年朝日放送、平成6年頃、朝日放送の4回ほどやっています!昭和50年代以降はあまりモノクロの再放送はしなくなってきたのでいずれのときも第14話 「風の岬に鬼がいた」からで第1話から13話はモノクロのため放送していません・・・ それはわかるのですが、毎回 第79話「痴漢に間違われてバカを見た」で放送は終わるのです。必ずなんです・・カラー放送なのになぜだか理由がわかりません・・著作権かなにかの問題でしょうか??!とにかく80話以降いつも見られず(お咲坊の活躍も・・)残念な思いをしていました(大根畑の肥衛門改め尻之上菊十郎さま 2009年1月23日)
花山大吉の再放送が「痴漢に間違われてバカを見た」で終了するのは私も昔から不思議に思ってました。7年にサンテレビで再放送されたときも、それ以前のテレビ愛知や東海テレビの時も痴漢に〜で放映がストップしていました。私の叔父は在阪テレビ局に勤めていたのですが、以前にこの件を質問したところ、確かなことはわからないが、この回からレギュラーになったお咲こと南弘子さんが再放映にクレームをつけているのではないかということです。再放映の場合でも出演者にはギャラのようなものが発生するようなのですが、そのあたりが南弘子さんの思惑とズレがあるのではないかと言うのですが、これはあくまで推測ですのでもっと他に理由があるのかもわかりません。(長沢威さま 2009年1月27日)
以前、大吉や月影のフィギュアを作るときに、色々資料を見たんですが、名前は忘れましたが、テレビ番組の色々な歴史が出ている本で、花山大吉が3人旅に途中から変更の話もでていました。(今回、掲示板でお咲ちゃん登場の経緯について話題になって)皆様が言われるように、病気で辛い説、あとマンネリ説もどちらもアリみたいです。その本には、当時裏番組で確か「8時だよ全員集合」などが始まって、視聴率が低下しだしたので、やはりマンネリを防ぐため、当時人気のあった、スリーチャッピーズ(だったかな〜)とかで売りだしていた、女優を採用して他の番組に対抗した、なんて記事が出てました。でも、これはかえって皆様の意見が割れるように、お咲きちゃん自身の登場で、昔さながらのファンで二人のコンビの方が良いと思っていた人達には受けず、視聴率の低下を防げなかった・・・と記事が載ってました。(ロイさま 2010年5月19日)


「オヤジよあなたはヒドかった」 (第80話) 

<キャスト> 見明凡太郎=綾瀬一家の親分、徳三郎、実は由松のヒドいオヤジ、徳松
山岡徹也=『親分』と呼ばれるのも悪くない、綾瀬一家の代貸し、秀造 賀川泰三=半次のツラは締まり具合が良くなかったと思った綾瀬一家の子分、テツ
滝譲司=庭のほうの見張りを『しっかり』頼まれた綾瀬一家の用心棒 岡本隆成お咲から一分の御奉謝をもらった巡礼の男の子(thanks 松阪さま)子供の頃の由松(thanks トプ・ガバチョさま)
熊谷武=お咲から御団子三皿の御土産の注文を受けた茶店のおじさん 平河正雄=綾瀬一家の乾分で、2度アップがあり、ラス立ちで花山に斬り掛かる先鋒ですぐ斬られる
高城丈二=大吉とは妙に縁がある見事な腕を持った旅人、死神の松こと、由松(よしまつ)
川辺俊行(NC)=大吉VS松の対決中に松を撃とうとして大吉に鉄扇を投げつけられた鉄砲撃ちB

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術=宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=高木弘子 編集=川上忠 装置=木村雅治 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

三度笠をかぶった旅ガラス姿の半次兄さんが、颯爽と竹林の中を歩いている。と、
「いきなりやぶから棒に竹藪の中から竹藪が飛び出してきたんだ」「なにい?竹藪からやぶからぼうに竹藪が飛び出したあ?ここらには自分で
勝手に飛び出す竹藪があるのかよ。」「ちょっと待ってくれ・・あーそうだ、やぶから棒に竹槍が飛び出してきたんだ、これが」「つかぬ事を聞くがなあ
その竹槍はおまえを目がけて飛び出してきたのか?」「当たり前だ」「暇な竹槍がいたもんだな、一体おめえは誰と間違われたんだ?」
半次は、綾瀬一家の親分を狙う、兄さんより”つらがもっと締まってる”男と間違われ、一家のものに襲われたことを(誇張気味に)大吉に話す。
綾瀬一家の徳三郎親分は、十手を預かる評判のいい親分、その一家の表に今朝、「親分の命は今日中にもらう」と予告があったのだ。しかも、
気づいて追いかけた用心棒の一人を一刀のもとに斬ってしまった。半次は用心棒を1日1両で引き受けていたが、大吉は襲われるわけもわかって
いないのにと、断る。
しかし、ちょうどその日、3人がとった宿は、鉄砲持ちまで呼び寄せ厳重な警戒の綾瀬一家とは目と鼻の先。
夕暮れにセンチメンタルになったお咲の「半次さんに好意をもったのに」「お風呂に行こうか」の言葉に、盆と正月が一緒に来た、と舞い上がって
風呂場に走り、それが痴漢防止の見張り役だったと知って、風呂場の戸ごと倒れ、お咲に湯をかけられて、お咲にも大吉にも「サイテー」となじられ
ガッカリしていると、外で、鉄砲の音が響いた。どうやら、予告殺人の男が来たようだ。
二人が表に出ると、三度笠をかぶった男は、「おいそれとは言えない怨念がある」と、親分以外の人間に、殺す理由を話さない。親分も、訳もなく
子分を死なせたくはないと、鉄砲隊を向ける。大吉は、男がかなりの腕で、このままでは一家が皆殺しになると、止めにはいるが、男は邪魔に入った
大吉に向かってくる。しかし、卑怯なマネはするな、と、一家の鉄砲を鉄扇で止めると、男は借りが出来たな、と言ってその場から逃げ、子分らが
その後を追った。
大吉と半次は、親分に事情を聞くが、5年前に十手を預かってから、人様に恨まれるような事をした覚えはないと言う。が、代貸しを中心とした
子分らはどうも、この機会を利用して親分の命を奪い、代貸しを親分にしようともくろんでいるようだ。
二人が旅篭に戻ると、お咲が神妙な顔をして、押入の襖を目で合図している。押入には、例の男。この旅篭に逃げ込んだとの目撃情報を得て、
総出で男を家捜ししている代貸しらから、大吉は一旦、男を隠す。
「騒ぎが大きくなって、どれだけ血が流れるかしれん。無駄な血を流さないためにも、わけを話すべきだ」と、大吉に説得され、男は訳を話し出す。
男のオヤジは、鼻つまみの極道で、一流の板前だったのに、いつもおふくろを泣かせていた。そのオヤジが姿を消し、その翌日、借金45両をとりに
借金取りが家に押しかけた。14の姉は身売り、おふくろも朝から夜まで働かされ、二人とも、間もなく死んだ。それからは父親を斬るために剣術も習い
死に神の松と言われるようになり、1月前に、居場所が分かったのだった。
「実のオヤジを斬るなんていけねえ」「俺もどんなわけがあっても実のオヤジを斬るというのは賛成出来ん」半次と大吉は反対するが、松の決意は固い。
「俺は行くぜ」「俺も行こう」大吉と松は、綾瀬一家に向かう。
ところが、「無駄な血を流さないために一緒に来た」と、親分と松の二人だけにしようと、子分の手を引くように話すが、代貸しらは却って大吉さえ
斬ろうとする。親分が止めにはいると、代貸しらが正体を現した。「そうよ、この際、腰抜けの善人面した徳三郎に代わって俺が跡目を継ぐのよ」・・・
松が徳三郎に向かう。「おめえにおふくろと姉のおしなを殺された由松のなれの果てよ」「それじゃあおめえは、由松か!」「おれにとっちゃあてめえは
けだものだ。絶対許せねえ。さあ、抜きやがれ」しかし、徳三郎は、松の前に膝をつき詫びる。「俺は息子のおめえに斬られても仕方のねえ事をして
きたんだ、さあ、斬ってくれ」「斬ってやる!」しかし、振り上げた刀は投げ出され、松は泣きながら出ていく。ホッとする3人(半次の前にクモ)。
見どころ:お咲が入ったからと言って、大吉と半次の掛け合いは、依然面白い(冒頭)。それに、ポンポン言葉の出るお咲坊と返す言葉のでない
半次兄さんの会話での、お茶目なお咲と兄さんの喰われ顔がいい。大吉の殺陣も落ちてない。ほんとにご病気だったの?と疑いそうなくらい。
お咲と半次の会話:旅篭に入る前茶店で。「昨日一日中、あたしの顔が見られなくて寂しかったでしょう。ごめんね」「あーあ。俺おまえの親の顔が
みてやりてえよ」「そりゃあたしの親だから、二人とも整った顔してるわよ」「おまえ、親にどんな教育受けたあ」「お友達づきあいがもの凄くうるさいんだから」「男のお友達がいるのか」「いるに決まってるじゃない。男の子がね、あたしのことほっておくはずがないじゃない。56人いるわ」それを聞いた大吉
シャックリ。さらに、お友達の格付けが始まる。その後、亡くなった弟を思い出したと、幼い巡礼の子に1分も与えて、半次はお咲を断然見直した
のだが、すぐさま、茶店のおじさんにおみやげ用団子を3皿注文(おそらくは半次持ち)して半次「へえ」(以上 じゅうよっつ)
この頃はまだ常識が常識として通じる世の中だったんだなぁ・・と思いました。当時は「どんな親でも親は親」っていう言葉がまだ生きてたんですね。でも今は子どもに対する虐待事件が日常茶飯事的に起こるようになってしまい、とても「どんな親でも・・」なんて言えなくなっているような気がします。
一概に「昔は良かった」というつもりはないですが、当時の日本が、多くの社会通念に守られて、安定した社会だっただろうことは間違いないんでしょうね。(南まさとさま 2009年5月13日)
旅の場所:白河宿


「拾った赤ちゃん凄かった」 (第81話) 

<キャスト> 市川和子=赤ん坊を捨てた母親、お京 菅井一郎=もの凄く耳が利く琵琶法師、道庵(名は予告編より)
北見唯一=小用を足していなかったら目撃者だった柴刈り男 梶川武利半次の大声を聞きつけてやって来た旅篭三好屋の番頭
乃木年雄=赤ん坊のための乳はちょっと出ない、茶店のとっつあん
不明 男81−1=大吉おじさんがしゃっくりしながら抱っこした、捨て子の赤ん坊

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=井沢雅彦 撮影=森常次 計測=山口鉄雄 照明=谷川忠雄 録音=小野岡道秀 
美術=宇佐美亮 助監督=太田雅章 記録=宮内喜久子 編集=川上忠 装置=木村雅治 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=林三郎 結髪=浜崎喜美江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像=東洋現像所 
プロデューサー=小沢英輔・宮川輝水  制作=NET・東映

大吉は、すこぶる耳利き・鼻利きの琵琶法師から聞いた通りの二人の旅人が殺された現場を見る。二人は誰かをかばおうとして殺されたらしい。
その後、大吉・半次・お咲は、赤ん坊を拾う。包みには5両もの金。「半次さんはなんと言っても人生経験豊かなんだし、辛抱強いところもあるしさ、
他に取り柄はないんだから、適任よ、ねえ、花山さま」「それは絶対適任だ、俺も保証するよ」・・・「旦那、子供を育てたことあったな。流行病で死ん
じまったが育てたわなあ?」「あ?」「事は神聖な育児の問題だ、分かったら四の五の言わず適任の旦那が育てる!」(旦那シャックリ、半次兄さん
は赤ん坊の着物にクモがいて、落とすに落とせず飛び回る)と、3人であたふたしながら茶店にたどり着くと、そこに再び先ほどの琵琶法師が現れる。
今度は、赤ん坊に困っている3人を見抜き、それなら預かってもよろしゅうございますと、申し出る。大吉が断ると、「そう仰ると思っておりました。
今度あったときは、是非琵琶を聞いてやってくださいまし」と、去っていった。大吉は、このまったく正体不明の琵琶法師に、殺人と赤ん坊を結び
つける手がかりがあるとにらむ。
その夜、赤ん坊の母親が、そっと旅篭に赤ん坊に会いにやってくる。大吉が呼び止め、半次が「捨て子なんてのは、人間がしちゃならねえ事だよ
てめえそれでも母親か!この赤ん坊に一体どんな罪があるっていうんだ!」と詰め寄っても、お咲が女同士で話しても、まったく子供を捨てた訳
を話そうとはしない。その日大吉らのとなりの部屋をとっていたのが、例の琵琶法師。大吉が「これで(子すてと殺人の)役者が揃ったと言うことだな」
とカマをかけると「ほんの端役でございます」とかわし、母親が赤ん坊を連れて旅篭を出る直前、姿を消す。
そして法師は、赤ん坊と心中を覚悟した母親に声をかける。「お京さま、どんなに苦しいときでも、拾う神さまはあるものです。そろそろお迎えが
参ったようですな。助ける神があると信じてお待ちなさいまし」と姿を消す。直後、黒装束の男達が、お京と赤ん坊を無理矢理連れて行こうとするが、
お京のあとを追い、法師とお京の会話を聞いていた大吉らがいたため、難を逃れた。「話す気になったか」「はい」
お京は旅篭で子供を捨てた訳を話し出す。芸者だったお京は、江戸と行き来をする大店の旦那と自称する男に身請けされ、何一つ不自由ない
暮らしをしていた。そのうち、子供が出来、男も初めての子供に大喜び、早速会いに来たのはいいが、そのまま倒れ、帰らぬ人となった。その
臨終の時、男から自分が大泥棒・濱川の五左衛門だったことをうち明けられ、その日の夜、川の子分がお京の元を訪れ、お京と赤ん坊に
一緒に来るようにと言われた。しかし、自分はともかく、子供に忌まわしい話を背負わせたくない一心で、お京は、置屋のおかあさんからつけてもらった
護衛の男二人と逃げ出した。護衛は殺され、泥棒の跡継ぎにするならいっそ、他人に育ててもらおうと、子供を捨てたのだった。
それにしても、どうして、泥棒はお京と赤ん坊を無理矢理連れ出そうとするのか?
その時、隣の部屋から琵琶の音と弾き語りが始まる。・・・「お侍さま、いかがでございます、お約束の私の琵琶は」「なかなか見事だったよ」
琵琶法師は既にこの旅篭の人払いをしていた。「泥棒というのは、手回しがよくなくては務まりません。」法師は、泥棒の手先として、その勘の強さ
で、金の在処を言い当てていたのだった。川一家には、代々世襲という、鉄の掟がある、つまり赤ん坊にあとを継がすために無理矢理連れて
行こうとしたのだった。
法師は、三尺高い木の上に上るか殺されるかと、自らの運命を悟っていた。「どうやら私の役目はこれで終わったようでございます。それでは
お侍さま、もう一度聞いてやってくださいまし。これが最後の弾き語りでございます」再び琵琶の音が始まり、語りが始まる、が、すぐに、法師は
手裏剣を胸にうけ倒れる。間もなく、黒装束の泥棒たちが、赤ん坊を連れに現れた。・・・
赤ん坊を抱いたままその場に座り込むお京。「無理ないわよ。あたしだってお京さんと同じ目にあって助かったら、ホッとするやら何やらでああなるわ」
「ああ、そいつあ、無理ねえわな。しかし旦那、よかったじゃねえか、なあ」「しかし、欲を言えばだな、何ともいえん味のあるあの琵琶法師が死んだ
のがちょっと残念だったな。」「そうだよな。あの琵琶法師は確かになんとも言えない味があったわな。しかし、あの男のことだ、今頃はケロッとして
あの世で琵琶でも弾いてることだろうぜ」「あの世でケロッとして琵琶をか、そりゃよかったな」
見どころ:どうして赤ん坊を捨てたのか、とお京に詰め寄る半次兄さん。このちゃんもだが、品川さんも、情がらみの語りが上手い!
このごろお咲の出現で、ちょっと半次兄さんの言動がお兄さんぽくなってきた感じだ。土井(殺陣師)さんになってからの兄さんの殺陣もいい。
”育児”を巡っての3人の掛け合いも、しっくりきてるし、面白い。(以上 じゅうよっつ)
何ちゅう気の長い盗賊達なんでしょうねん。だってあの子を一人前の盗人に育て上げるまでに何年かかると思ってるんだか(笑)きっとその前に仲間割れしちゃうぞ・・なんて。それはともかく(^_^;、ここでの半次兄さんのセリフにも、前回と同じく時代を感じちゃいました。今じゃ、実の親より、愛情を持って接してくれる他人に育てられたほうがよっぽどいい・・なんてこと、ざらにありますもんね。思えば大変な世の中になったもんです。(南まさとさま 2009年5月13日)

旅の場所
:おそらく、高幡の城下から、赤ん坊連れの女の急ぎ足で1、2日でいける場所。


「星も泣いてる夜だった」 
(第82話) 

<キャスト> 御木本伸介=
『バカな、なんでかような狂気の沙汰を』松平家奉行、上坂外記(かみさか・げき)
葉山葉子=
居酒屋『夢の家』の姉ちゃん、お菊 村井国夫=辻斬りの犯人と見られている浪人、作並治一郎
戸上城太郎=
雲助の先生に、先生と呼ばれている武芸指南役、戸部玄蕃(とべ・げんばん)
市村昌治=
台場のお貸元には跡取がいないことを思い出した雲助、先棒 出水憲司=雲助に先生と呼ばれ、大吉を斬ろうとした門弟、山崎
阿木五郎=
辻斬りの話を大吉に語った居酒屋のおやじ 表淳夫=お咲に『お言葉どおり、いろいろクドく行こう』とした雲助、後棒
泉好太郎=
『懐中物は奪われております』辻斬りの現場に奉行を先導してきた役人

<スタッフ> 脚本=
森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=高木弘子 編集=川上忠 装置=木村雅治 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=浜崎喜美江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

クモ助に絡まれているところを助けたお咲から、「焼津の半次、よー千両役者!」とおだてられウァヒャヒャヒャと照れていると、そのクモ助が先生
と呼び仕返しに連れてきた侍が、大吉に刀を向ける。師匠と思われる侍が止めに入り、「また会う折りもあろう」と言い残して去っていった。
久しぶりについた城下では、高札が掲げられている。辻斬りを通報すると3両、捕縛あるいは切り捨てると5両の賞金がでる。近頃相談屋稼業が
さっぱりの旦那と賭場で目がでねえ半次の二人は、辻斬りで賞金稼ぎすることにする。しかし、辻斬りは夜、それまで「空きっ腹抱えてうろつけ
とでも言うのかよ」という大吉に、半次は自信ありげに「任せときな」と請け負う。実は、お咲のころ吉(ぬいぐるみ)には、先刻、8両ものお小遣い
が入っている事が判明したのだ。大吉は不安げだが、半次は、普段面倒見てやってるからちょっと借りるぐらいと、自信たっぷり。しかし、案の定
居酒屋「夢の家」で3人がたらふく飲み食いした後、借金の話を持ち出すと、お咲はがんとして断り「訴えてやる」と泣き出す(大吉シャックリ。
瓢箪の酒を飲むが、お咲に「騙り花山に騙り半公」と呼ばれ、再びシャックリ)。
なんとかおだてて借用書も書き、事が収まったところに、外で「辻斬りだ」と声がする。現場には、既に、先ほどの侍達が来ていた。侍らはこの城下で
道場を開く戸部玄蕃とその弟子達。大吉は、前と後ろの致命傷から、辻斬りが2人だと、やって来た町奉行・上阪外記に告げる。(現場を去る前に
半次の前にクモ)
居酒屋に戻った大吉は、オヤジに辻斬りがこの14、5日前から始まり、既に9人が斬られたこと、初めの2人は勘定方の役人でただ斬られた
だけだったのに、それ以降の辻斬りは懐中物目的だったことを聞く。続いて大吉は、先ほど辻斬りの声を聞いて茶碗をおとし、その後、若い浪人
と出ていった娘・お菊の事を尋ねる。お菊は3年前からこの店で働き、それ以前はお屋敷奉公をしていたという。お菊と一緒に出ていった侍は、
20日程前から2、3度姿を見せたのだという。
大吉は、翌朝、奉行を訪ねる。
大吉は、3年前、勘定方・作並陣左衛門の公金横領による切腹・お家取りつぶしがあったこと、今回殺された勘定方
二人を含む辻斬りの嫌疑が陣左衛門の息子・治一郎にかかっていること
を既に調べていた。上阪は、二人が殺された直後に、治一郎から投書が
あり、そこに上げられた証拠によって、3年前の横領は、陣左衛門ではなくこの二人によるものであることが判明し、すでにその件に関しては
とがめ立ては無しと決まっているが、その後治一郎は懐中物まで狙い始め、乱心したとしか思えない、と、大吉に協力を求める。
しかし、勘定方を斬ったのと、他の辻斬りは別物とにらむ大吉は、事情を知っていそうなお菊に話を聞く。3年前まで作並家へ奉公していた
ことは認めながらも、辻斬りに付いては口を閉ざしていたお菊は、勘定方殺しについては治一郎におとがめ無しと聞き、その後の辻斬りを「それは
違います」と否定する。「よし分かった。とうことは後の7人は明らかに懐中物目当ての辻斬りだ、治一郎の仕業を装うてな。治一郎はどこだ?」
治一郎はその頃、自分の手で汚名を注ごうとしていた。このままでは治一郎はやられ辻斬りの罪を着せられると、大吉と半次は治一郎を捜しに
立ち上がる。
治一郎は、道場主・戸部とその配下と闘っていた。治一郎が斬られた直後、二人は現場に着く。「見当は付いていたが、辻斬りを働きその罪を
治一郎になすりつけるとは、あきれた外道だな。てめえたちとは口を利くのも汚らわしい」・・・
「旦那!治一郎さんがいけねえんだ!」急ぎ治一郎に駆け寄る二人。「お菊に、お菊に、苦労ばかりかけてすまなかったと・・」「分かった、必ず
伝えるぞ」・・・「可愛そうに。治一郎さんはお菊さんが好きだったんだなあ」
そこに町奉行・上阪が来て、辻斬りの真犯人が道場主と一味だったことに驚き、大吉に礼を言う。「奉行殿、作並治一郎はあんたたちの吟味の
不手際で無実の父を殺され、自分もまた命を落としたんだ、まだこれからという年頃でな。夢の家という居酒屋にお菊という娘がいる。その娘に
俺の賞金を渡してやってくれ。儀一郎の弔いの足しになるだろう。焼津の、行こう。」
治一郎の手を組ませてやり、自らも手を合わせて、立ち上がる半次。夢の家の前では、お菊が治一郎の帰りを待っていた。
見どころ:儀一郎の最期を見届ける大吉・半次、犠牲になった儀一郎の側でお家の恥を免れたことを喜ぶ奉行をたしなめる大吉の言葉。(以上じゅうよっつ)
大吉と半次が居酒屋で酒を酌み交わす場面で、チロリが使われているのには驚きましたねぇ。チロリというのは、細長い筒状で、横にヒョットコの口のように注ぎ口が飛び出ているもの。時代劇では、よく徳利を使っていますが、徳利がポピュラーになったのは幕末。つまり、それ以前はチロリが常用されていた。だから、大吉と半次がチロリで酒を注いでいたのは大正解で、もし、江戸研究家の三田村鳶魚が生きていてこね場面を見たならば、「大変良く出来ました」と花丸をつけたことでしょう。このあたりに、創り手たちの拘りを感じます。(三四郎さま)

三四郎さまがコメントしてらっしゃいましたが、私も「あ、普通のとっくりと違う!」と思いました。「チロリ」というのですね。前から、大吉のひょうたんに酒をつぐときに「つぎにくそうだなあ・・こぼれてもったいないし」と思っていたのですが、これなら上手につげますね。ついでいる大吉がかわいい!(ごく普通のことをしても、このちゃんがするとなぜかカワイイ)ところで、お咲に借金は返したのでしょうか?(鈴雪さま 2009年5月16日)
旅の場所
:松平藩5万5000石


「鬼が笑って死んでいた」 
(第83話) (←夢を含めて3度も!)

<キャスト> 清水まゆみ=おからを今度から置くことにした居酒屋『ひょうたんや』の女将、おてつ
東野孝彦=おてつのどうしようもない亭主、卯之助 春日章良=『ドスを捨てるんだい』大吉を狙う島破り四人組で、最後は半次に小刀を突きつけた男
波田久夫=大吉を狙う島破り四人組で、片目の男 楠年明=『卯之、卯之じゃねえか』大吉を狙う島破り四人組で、卯之助を見つけた男
唐沢民賢=大吉を狙う島破り四人組で、腕の入れ墨を見せ、卯之が裏切ったと思っている男
北口千春=居酒屋『ひょうたんや』の子守りの娘、おきよ 島田秀雄=卯之助兄いの見事な腕前を申し上げた男、金太
綿岡好枝=『うっふっふ』半次にヤキモチ焼かせた旅籠『桔梗屋』の女中 村田玉郎=『この肴の煮付け、うまいねぇ、日本一だ』居酒屋の客
寺内文夫=『銚子のおかわりまだかい?』と催促し、大吉に叱られた居酒屋の客 森敏光=『ハイ、お皿代』半次に皿を割られた茶店のおやじ
不明 男83−1=むちむちにでもちゃちゃれたのかもしれない赤ん坊、よし坊

<スタッフ> 脚本=
松村正温 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=宮内喜久子 編集=川上忠 装置=木村雅治 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

大吉は、愛嬌のいい女将の繁昌している居酒屋・ひょうたんやで、赤ん坊まで抱えて働いている女将とは裏腹に、勝手に店の金を持ち出し賭場に出入りしている亭主・卯之に、一発食らわす。
一方、その日一日一大事で大吉を探していた半次は、日が暮れた頃ようやく旅篭に大吉が泊まっていることを知る。しかし、旅篭のねえちゃん
が「「熊のぬいぐるみをもったかわいらしい娘さんとお二人で」うふふと笑うもので、半次は、さてはお咲が「中年の魅力ってやつにいかれやがったのかもしれねえな」とやっかみ、大吉の部屋に息咳きって乗り込む。当然、道連れ以外に何の関係もない二人、お咲は向かいの部屋でグウグウ
大イビキをかいて寝ているし(それを確かめに覗いたときクモが下りて来る。後、鴨居に戻ったクモが足を伸ばして「お休みみなさい」)、旦那は
「目を噛んで死ね」と怒る。
ところですっかり忘れていた、大事な話、旦那を捜して訪ねた居酒屋で、半次と同じように「腰に瓢箪ぶら下げてよお、背中に”花”という字を
書いた着物を着てるうす汚ねえ浪人」を捜し、「花山大吉をばらす」と口走っていた極悪人相の片目の男がいたと言うのだ。
その夜、ひょうたんやには、その片目の男を含む4人組の男達が、入り込んでいた。男達は、問屋場に押し入って用心棒に捕まり、送られた島
から抜けてきたのだった。仲間だった卯之は、その襲撃計画の途中で逃げたため、4人は、卯之が密告したのではないかと疑っていた。
翌日、クモの夢を見て飛び起きた半次より早く目をさました大吉は、散歩途中で買い出しから帰りのひょたんやの女将に会う。「花山大吉とおっしゃるのでは?お気をつけになってください。昨夜店に来た片目の男を交えた4人連れが、お武家さまをつけねらってると話していました」と告げ去っていく。大吉は、その女将の背中に笠とわらじが4人分あるのを見逃さなかった。
大吉は、半次に、ひょうたんやにどうやら半次の言う片目の男がいるらしく、その男は、おそらく、大吉が旅を始めた頃用心棒を頼まれた問屋場で
捕まえた男達だろうとを話す。赤ん坊が気になる大吉は、半次に店の様子を見に行くように頼む。この場に及んで赤ん坊ばかり気にする大吉に
解せないといった顔で「ほんじゃ行って来ら」と、行ったひょうたんやでは、男達が、店の奥にいる様子だった。表で働いている女将も子守り娘も
赤ん坊を抱いていない。赤ん坊はおそらく奥で、人質にとられているのだろう。しかし、確かめようとする間もなく、盃にのったクモに驚き、飛び上
がって逃げ戻ってしまう。
お咲にひょうたんやで大吉と待ち合わせている芝居をさせ、男達を二手に分ける。3人は大吉の旅篭へ、1人が店に残った。店にはお咲と入れ替わりに、三度笠姿の粋な半次兄さんが入ってくる。「さあ、来やがれ!」予想に反して卯之が半次に向かってくる。「てめえ、女房子供が可愛くねえのか!」
しかし、卯之はやめない。「いい加減にしないか!」と目の覚めない卯之に刀を抜くと、女将が止めに入る。その隙に、4人組の一人に小刀を突きつけられ、半次はしようがなく刀を捨てる。が、その時目覚めた卯之が、男と相打ちになり、刺される。
大吉の方は、3人がくるのを境内で待っていた。「驚くことはねえだろうがお前達の望み通り、出てきてやったんだよ」・・・
店の方が片づいた半次がやってくる。「亭主のやろうよ、男のクズだったと反省しながら息引き取ったぜ、あの野郎もまんざら悪人じゃねえや」
「あら、もう終わっちゃったのぉ?これから始まるのかと思ってたのに」「どこまですっとぼけてんだ、バカ」ひょうたんやの女房がやってくる。「花山さまありがとうございました」「そう言ってくれるか。あんたのその言葉を聞いて俺も安心したよ。今からでも遅くはない、坊やと2人うんと幸せになるんだぞ」
「はい」歩き出した旦那にそっと半次が告白。「旦那、俺今だから言うけどよ、あの赤ん坊、旦那の隠し子だと思ったよ」「え?(シャックリ)」「俺
出るんじゃねえかと思った。あははは」
見どころ:「あーむち(虫)むち(虫)にでもちゃちゃれたかなー(by相談屋さま)」と赤ん坊をあやす、子供言葉のこのちゃん。ほんとに子供がお好きそう。
大吉に頼まれ店の偵察に来た半次、「奥に来ている客は4人だろ」と女将さんに問い、驚いてとっくりを傾けたままの女将さんから「おっと」と
盃を上げ、盃の酒を飲もうとするまでは、文句のない二枚目、その後のクモが出てぎゃあぎゃあ飛び回る半次兄さんは、180度三枚目。
品川さんって百面相だ!

「拾った赤ちゃん凄かった」では 大吉の赤ちゃんの抱き方が何か変でした。たかいたかいをする時も手の位置が変だし、たかいたかいをされると、赤ちゃんはもっと上を向くものです。でも「鬼が笑って死んでいた」では、さすが上手に抱っこしていました。「拾った赤ちゃん・・」ではその場面は人形だったのかも。(このちゃんなら人形じゃなくても大丈夫なのに!)ところで、二つの話の赤ちゃんがそっくりだと思うのは、気のせいでしょうか?あまりにも続けて赤ちゃん登場のお話だったし。
お咲がお団子のお代わりをしている場面で、半次に文句を言われて「花山のおじさんだったらこんな場合、にこにこしながらあたしが満足するまでおごってくれると思うのよ」というところ、ほんとにそうだなあ〜と思いました。ただし、旦那はおごりたくてもおごるお金がありませんけどね。(鈴雪さま 2009年5月16日)

旅の場所:半次の足で追分宿から3日のところ


「地獄の槍が呼んでいた」
(第84話) 

<キャスト> 天津敏=女敵討崩れ(めがたきうちくずれ)の槍の達人、間抜けの坂田三左衛門
原健策=大吉に朝鮮人参をもらった巡礼のとっつあん、和助(名は予告編より) 
金光満樹お咲からお友達になる仁義を切られた旅人、流れ雲の辰   剣持伴紀=隠居殺しの下手人、清次
伊達岳志=お北をしょっぴいていった十手持ち野郎、尾花の伝造
中村錦司=居酒屋『梅の家』のえたいの知れないおやじ、弥七(予告編では権作) 東竜子=清次のおっかさん、お北
高並功=お北に縄を掛けた目明しの子分 吉田滋=大吉に聞かれ、隠居殺しのことを話した野次馬男
小道むつみ=『そりゃお北さんは仏さまの様な人ですよ』野次馬女 鳥取晃=居酒屋で大吉に伝造親分のことを話した客

<スタッフ> 脚本=
森田新 監督=井沢雅彦 撮影=森常次 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=太田雅章 記録=高木弘子 編集=川上忠 装置=木村雅治 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=河野節子 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

大吉は、槍で魚の同じ場所を突いて捕っている腕利きで自らを「間抜け」と自嘲する侍・坂田三左衛門に会い、自分の住む宿場には長居しないようにと、言われる。大金持ちの隠居殺しの犯人が逃亡中だというのだ。その大吉と坂田が通り過ぎた道ばたで、咳き込み苦しんでいる巡礼のとっつあんを、半次とお咲が助け、大吉が休んでいる茶店へ運ぶ。半次の背中からおろされるとっつあんの腕には2本の入れ墨。「気になることが」と急ぎ出立しようとする労咳病みのとっつあんに、大吉は相談の礼にもらっていた朝鮮人参を差し出す。
3人が宿場に着くと、十手持ちがある家を取り調べている。どうやら昨日逃げた隠居殺しの犯人・清次の家らしい。ぐれた清次は、隠居に諭され改心し、隠居のところで働いていた。持ち出した500両はくだるまいという金の一部がこの家から発見され、清次が犯人として捕まったのだった。
十手持ちは、どう見てもそんな罪を犯しそうにない清次の母親を、グルかもしれないと、番屋へしょっ引き、おおっぴらに老母を締め上げる。
大吉が止めても、証拠がないと、母を責め続ける。大吉は、宿場に潜んでいる清次をおびき出すためだと考えるが、しかし、どうして、500両もの金を盗んだ清次が高飛びせず宿場に残っていると考えるのだろうか?
清次の母がしょっぴかれたあと、流れ雲の辰という旅人が、清次が捕まったと聞き役に立てれば、と訪ねてくる。しかし、母親がいないと分かり、大吉らには詳細を告げずに、去っていった。
3人は居酒屋に入るが、(お咲におっかさんを助けてくれ、助けてくれたら借用書=4日前と2日前の2枚を破くからと懇願され、大吉シャックリ)そこに、酔った坂田が入ってくる。坂田は、問わず語りに、元槍術師範だったこと、女房とその情夫を槍で刺したことを、話し出す。「間抜け坂田三左衛門が何をしてきたか聞きたいだろう」と大吉に何かを話そうとしたとき、居酒屋の亭主が止めに入る。「坂田さま、今夜は酔ってますね、おかえりなさいまし。」「追い出したかろう」と絡む坂田に、一瞬人相が険しくなり「いい加減にしないか」と低い声で言ったのを、大吉は聞き逃さなかった。
翌朝、大吉と半次は、家に戻っていた清次を見つける(家に入ろうとしてクモ)。清次は自分は隠居をやってはいない、真犯人を捕まえるために逃げ出したのだと、話す。隠居が殺されたとき、清次は昔の仲間の流れ雲の辰と飲んでいたのだ。
母親を助け出すために、3人が辰を探していると、どざえもんになった辰が見つかる。そして、待ちかまえていた十手持ちの伝造に、清次は捕まる。
どうやら、隠居ごろしと自害などしそうにない辰の死にこの親分は何か関係がありそうだ。それに、槍の使い手、居酒屋のおやじ、巡礼のとっつあん、と、どうもつながりが分からない。
そこに、巡礼のとっつあんがやって来て、辰に手を合わせる。そして大吉らに、謎を解き明かす。
とっつあんは、今は自分の悪行を償うために巡礼しているが、昔は江戸で大店ばかりを狙う4人組の一人だった。その残りが、槍の達人、悪知恵者、「もう一人は吹き矢の・・」そこでとっつあんは倒れる。「お分かりでございますな、これ(=クビの後ろに刺さった吹き矢)の名人でございます。
せっかくの人参が無駄でございましたね。」とっつあんは街道で坂田を見て、悪い予感がして宿場に来たのだった。「清次さんを早く!」「これで何もかも分かった。お咲坊、仏をたのむぞ、焼津の、来るんだ」
そこには、役者が揃っていた。「おめえたちはいろいろ知りすぎた。」「江戸を騒がせた4人組悪党きっての知恵者は十手持ち、生き証人ととっつあんを殺した吹き矢吹きは居酒屋のおやじになりすましていたというわけか、そしてもう一人は・・」「何になりすまそうにも能のねえ間抜けな悪党の用心棒のこの俺よ。あんたとこうなる事は昨日から分かったいたぜ。」しかし、槍を構えた坂田は、まず悪党2人を刺す。「俺の槍はおまえさんを呼んでいる。
おまえさんの剣も俺を見逃すわけにはいくまい」・・槍が二つに折れ、坂田が倒れる。・
「俺はおまえさんに斬られて本望だ。間抜けな礼を言うぜ」大吉は坂田に黙とうする。半次は大吉にかける言葉を失い、坂田に手を合わせて、旦那のあとを歩き出す。

見どころ
:辰を気に入ったお咲が、「お兄さん、こんにちわ。むしむしするわね。一人?あたしお咲って言うの、よろしく。」と言って「お友達になる仁義を切」って、二人で去っていくのをみて、これはいい方法だと「よーしと。するってえと俺が一発ぶちかます時には、『ねえちゃんこんにちわ、一人か?むしむしすんなあ』こうきてだ、えてからに『俺、焼津の半次ってんだよ、よろしくっ』とこうこきゃいいんじゃねえか、あーははー」と練習しているところを大吉に見られあきれられる。


「女が女にふられていた」 
(第85話) (←見ただけ)

<キャスト> 桂麻紀=お香の方様 時美沙=半次の足元に短筒を一発ぶっ放した凶悪姉ちゃん、早苗
志乃原良子街道の様子を見に行った姉ちゃん、雪路 鮎川浩=畑から帰ってきた百姓男、佐吉
東三千=おからを嗅ぎつけた大吉の異変に最初に気づいた姉ちゃん 武田禎子=おからを塩味で煮ようとした百姓女、おきよ
永野達雄=せめて農民が醤油ぐらい自由に買えるような政(まつりごと)やってもらいたい家老、貝塚太郎左衛門
松田明=車引きの竹松、人呼んでボケ松 江上正伍=小判で横っ面を張られて平気で人殺しをする下種(げす)な二本差し浪人
野崎善彦=串団子の匂いだけ嗅がせ、お咲に絞め殺されるところだった茶店のおやじ 木暮実千代=一番いい年かっぱらっているあま、綾乃

<スタッフ> 脚本=
森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=木村雅治 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=河野節子 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

5人組の旅ガラスに「まとめてお友達になっちゃおっと」と挨拶に行って、つれなくふられたお咲に声をかけた半次は「半次さんと付き合ってから
もう2度も格落ちしたなんて、ふられ病がうつったのよ」と喧嘩をふっかけられた上、「腹が立つとお腹がすくたちなの」と団子をおごらされようとするが、
あいにく賭場ですって無一文。良い考えがある、利息も払うから、とお咲に借金をしようとして、「大サイテー」となじられた挙げ句、やって来た大吉
までお咲の加勢に出て、「まったくサイテーだな、反省しろ」と言われ小さくなる。
しかし考えてみれば、旦那はいつも自分の懐をあてにしているのだ、「どうも俺はさっきから謝る必要のねえ奴に謝っているような気がしたが」と、
逆襲に出ると、ちょうど法華太鼓の一団が通り、半次が何を言っているのか大吉にはさっぱり聞こえない。「やい旦那、お、俺が」と続けようとした時、
先ほどから昼寝でうつらうつら半次の話を聞いていた車引きの竹松が、素寒貧の2人に、凶悪な人殺しの5人組の旅ガラスを見つけて浪人達
に届ければ一両になるという、儲け話を教えてくれる。5人組の旅ガラスと言えば、先ほどお咲が会った人物に違いないと、さっそく3人は旅ガラス達
を捜し始める。
納屋に隠された5人分の笠とカッパが見つかり喜んだのもつかの間、その向こうの農家から、4つの短筒が3人を招いている。
旅ガラス達は、身分のありそうな女達だった。3人の指揮を執っている年増の女は、奥にいるもう一人の人物にかしづいている。この家に住む
女房に事情を聞くと、中には器量よしの女がいるらしい。
そんな一発触発の事態に、大吉はくんくんと戸棚のおからを探し当てる。「すまんが、金は後で払うから分けてくれんか。さっそく煮てもらおうかな」
「そんじゃあ塩味でいいだかね?」「それはいかんよ。おからはやっぱりな、醤油で味をつけんといかんのだ」「だども醤油はねえだ」「ない?!」
(大吉シャックリ)上納米が増えたので醤油を買えないのだという。「けしからんな、15万石の金山の百姓が醤油も買えんほど・・・」と文句をつけると
「おだまり!」と年増が短筒を向ける。「あんた、俺はおからが食えるか食えんかの・・」「旦那て、あきらめなよ」「そんなむちゃくちゃ言うな」(再びシャックリ)
夜になり、年増の女は、大吉が止めるのも聞かずに、一人を街道に様子見にやらせる。やがて、その女は死体となって届けられてきた。女達を
追う浪人達は、既に笠とかっぱを見つけ、この家を突き止めているようだ。
大吉には既に短筒の3つは偽物であること、本物の1つを取り押さえるのは容易いが、わけもわからず女を殺したくはないと、説得に当たっていたが
年増は頑なにわけを話そうとはしない。
「追っての浪人は間もなくここへ来るだろう。おそらくあんた達を殺すつもりだろう、15万石金山家の大奥で
何が起こったかは知らんがな、話が分かれば手を貸そう、だがあんた達が話したくないと言うなら、出ていく」奥から出てきた人物が年増に促す。
お香の方は、金山家の殿のご寵愛を受けご懐妊、それをよく思わないお福の方が、毒を盛るなどの嫌がらせをし、お香の方を亡き者にしようと
計っているため、城を逃げ出したのだった。浪人達は、お福の方が雇った殺し屋だったのだ。
「どうやらその連中がやって来たようだ、あんた達は手を出すな、連中は俺が引き受ける」「かっこいい!」・・・
そこに、金山家の家老らが、お福の方の悪事がすべて殿に知られ、お福の方は自害、お香の方には城に戻るようにと伝えに来る。お香の方を
救った大吉らに礼をというが、大吉は断る。「それより礼代わりに一言言わせてもらおうか。まずはあんた(お香の方)だ、あんたは城に戻れば
きらびやかな毎日を過ごせる、だが、その影には若い美空で犠牲になって死んでいった娘がいたことを、いつまでも覚えていて欲しい。
そして御家老殿、せめて農民が醤油ぐらい自由に買えるような政をやってもらいたいな。焼津の、お咲坊、行くぞお」「そいじゃあどうもごめんなすって」
「そいじゃあおら達も畑へ行くぞ」「ああいくべいくべ」半次の前にクモ「出たあ!」

旅の場所
:金山家15万石の領内


「ネギがカモを背負っていた」 
(第86話) (2匹)(幻)

<キャスト> 三角八郎
=『♪ボロは纏えど〜心は錦♪』と唄う博打の天才御薦(おこも)、利助
利根はる恵=三百両と共に主人を火事で亡くしたおかみさん、お高(おたか) 清川新吾=お高を思いやる三浦屋の番頭、清次
天草四郎=火事で焼け死んだ(はずの)廻船問屋、三浦屋義兵ヱ 
田中弘史=大吉に黒焦げ死体の件を話し、何とか金を取り戻したいと思っている大工風の男
佐名手ひさ子=『そのとおりだよ、さあ、返しておくれ』お高に借金返済を求めるおばさん 
道井恵美子=大吉から冷(ひや)の注文を受けた茶店のばあさん 川浪公次郎=お高たちに借金返済を迫り、大吉に刀を抜いた地回り
丘路千=四人連れで、茶店で清次からの手紙を受け取り、大吉の目の前で小柄を投げた浪人
壬生新太郎=山吹山のそま小屋で大吉に鉄扇で不意打ち喰った浪人 小谷悦子=宗右衛門(そうえもん)の遠い親戚で、一人生き残った娘、おあき


<スタッフ> 脚本=
森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=西村国蔵 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=河野節子 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

お咲に1両2分2朱と136文の借金がある半次は、昨夜賭場で稼いだ金で内金を入れ(財布からブツブツ金を出そうとしているところにクモ、
のけぞったところにまたクモ)ても、まだ1両1分の借りがある。そこに、世の中でたったひとつの楽しみが博打というおこもの利助がきて半次に
勝負を挑む。始めは「さすが商売人」とお咲を感心させていたのに、そのうちどんどん負けてくる。やっと勝負を止めた半次と、あきれた大吉と
お咲は、向こうから男女二人が、宿場の人々に迫られて来ているところに出くわす。
大勢でよってたかって「返せ」「どうしてくれる」と責められる二人を助け、旅篭で事情を聞くと、女は元回船問屋の女房・お高、男は番頭・清次、
江戸で商売を営んでいたときに船が2艘沈み、半年前この宿場に来たという。商売があきらめきれない主人・の、1年で元金の倍は儲けて
みせるという口癖を信じて、宿場の人々がそれならと金を出し、300両が集まった。しかし、明日は江戸に向かうという夜、火をだし家も主人も金も
焼けてしまったのだった。お金なんか集めなければよかったんですと、お高は泣く。
大吉には、清次という名に心当たりがあった。昨日の昼間4人の侍が「清次から手紙をことづかっておろう」と茶店の婆さんから手紙を受け取り、
大吉を威嚇するかのようにそれを小柄で刺して去っていったのだった。

話を聞いた半次とお咲はすっかり二人に同情するが、腑に落ちない大吉は、宿場の人々に話を聞く。5日前の火事の兵ヱの焼死体は黒こげ
だったが、が大男だったため本人と誰もが疑わなかったこと、の商売には、地元一のお大尽の宗右衛門が200両出したので
安心して皆が虎の子の金を出したことが分かった。
その時、宗右衛門の家に押し込みが入ったとの知らせが聞こえる。行ってみると、皆殺しの上、宗右衛門の部屋の畳を上げて金が盗まれていた。
どうやら金の在処が分かっていた様子だ。一人生き残った娘の話では、押し入ったのは侍4人だと言う。はここによく来ていたらしい。
3人が旅篭に戻ると、そこにはもう、お高と清次の姿はなかった。「二人はどさくさに紛れ三十六計を決め込んだらしいな」「あの二人は被害者なのよ」
「まあ、誰が被害者かは明日になればはっきりするだろうよ」と、大吉は酒の注文をする。
翌日、半次の元に利助が来る。半次は昨日の博打で利助に借りを作っていたのだが、その埋め合わせに利助の仲間で5日前から行方不明の
彦を探し出すと約束していたのだった。彦は大男だったという。「それだ、この大バカタレが、何でそれを早くいわんのだよ!彦は殺されている、
儀兵の身代わりになってな」
大吉は、例の清次が4人の侍に宛てた手紙「手はず通り山吹山のそま小屋にて待ち申し候」にあった山吹山に向かう。
そこには、と女房、清次、グルの侍4人がいた。らは、半年がかりで宿場の人々から金を集め、大男の彦を殺し火をだして自分の
死を装い、金の隠し場所を知った大金持ちの宗右衛門から大金をせしめ、その間にお高と清次を逃がした。・・・
「これで少しはスッとしたけど、こんな連中に同情してただなんて、まだまだ甘いんだなあ。人生経験足りないのよね」「おいおい、同情したのは
俺も一緒なんだぜ、人生経験足りないなんていったら、俺はどうなるんだ。あんまりせつねえ事言わないでくれよ」「おい、人生経験の話より、
あの博打打ちの天才を見て見ろ。仲間を殺されたんでションボリしているぞ。おまえ行ってよ、負けた分だけ慰めてやれ、ほれ」「旦那、なんて事
言うんだ、負けた分だけはねえだろうや。しかし、こらあ慰めてやらなきゃいけねえな。おい利助さん、派手にこれ(サイの茶碗を開けるモーション)」
段々元気が出てその気になってくる利助。
コメント:今回のおからは幻覚。半次とお咲に出会う前、川沿いを歩く大吉の目に、川に浮かぶ1皿のおからが見え、消える。
見どころ
:ご病気でフットワークはいまいちとは言え、侍達を相手の殺陣はそれでも凄い!


「命がけで黙っていた」 
(第87話) 

<キャスト> 夏八木勲=日置(戸木)甚左衛門(へき・じんざえもん)を父の仇として斬った浪人、瀬川又三郎(苗字は予告編より)
金井由美=お咲が茶店で泥棒と間違えた武家奉公風の女、琴乃(ことの) 
西山辰男(夫)
安手な筋書きを立てた腹の黒い、千代松の叔父、外岡典膳(とのおか・てんぜん)   
岡本隆成=命がけで黙っていた子供、千代松 尾上鯉之助=『首だ、首さえ持って行けば仕事は済む』の浪人、原田
月形哲之介=『なるほど、日置(戸木)(へき)は御子息殿を百姓の子せがれに仕立てて逃げたわけか』の浪人
山村弘三=最近腕白どもに鐘をいたずらされて困っている和尚さん 日高久=銭コを可愛がっている茶店のおやじ
鈴木晴雄『若様、あの者たちは?』若様の家来 森章二『若様、よくご無事で』『おのれ、外岡典膳め』ちょっと口が滑った若様の家来

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=西村国蔵 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=河野節子 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

全財産の8両2分と236文を盗まれたと大騒ぎし、実はころ吉を洗った際懐に財布をしまったことを忘れていただけだったお咲と、その騒ぎに
巻き込まれた半次(文句を言っているときにクモ)が反目しあっているところに、茶店の爺さんに「銭コの出ていく話は結構でございます」と相談屋
商売を断られた大吉がやって来て、「進歩がない」とあきれる。
その大吉は、茶店から、侍2人につけられている。そこに、武家奉公風の女が合流し、どうやら大吉が人違いだと判明した風で、3人は消えていった。
「よっぽどのことがあったんだなあ、こりゃあ」と訳を考えようとする半次、「おまえの頭はな、考えることにいはまったく不向きなんだからして
無理をしちゃいかんよ。さあ行こう行こう」とさっさと先に行く2人に追いつくと、つったているお咲と大吉の先に、呆然と立つ少年と浪人の斬殺死体が。
父親が殺されたんだとすっかり少年に同情し、お咲はあれやこれや話しかけるが、少年がまったく答えようとしないため、口が利けないのだと、
思いこむ。仏を弔って少年を連れているところへ、浪人が一人、現れる。少年の反応から大吉は、あの浪人を殺した男だと分かったが、訳を聞くと、
殺された浪人・日置(戸木)甚左衛門は、この又三郎の父の仇であったのだという。ささいな諍いで父を斬った甚左衛門に5年目にめぐり会い、夢中で斬った
のだが、その時に側にいた少年のことが気になり、戻ってきたのだという。
夜、少年は、そっと旅篭を抜け出し父と母を拝む。「父上母上、千代松はどうしたらいいのです」そこに浪人の一団がやって来て、「クビさえ持って
いけば仕事は済む」と、千代松を斬ろうとする。すんでの所で千代松を見守っていた大吉、半次、又三郎が、助けに入る。「帰って、今夜はともかく
眠るんだ」という大吉の笑顔に涙しながら頷く少年。
人間不信に陥り口を利くまいと決めていた千代松は、翌日、4人に事情を話し出す。千代松はさる大名家の城代家老を勤めるものの一子で、父と母を
相次ぎ亡くし、叔父の後見の元で家老職を継ぐことになっていたが、3日前墓参りにいった際に、浪人達に杣小屋に連れ込まれた。その小屋に
いたのは、それまで信頼しきっていた叔父、叔父は城代家老の座を狙っていた。千代松は殺される覚悟を決めたが、金を独り占めしようとたくらんだ
浪人・戸木甚左衛門に連れ出され、その戸木を見つけた又三郎が戸木を斬ったというわけだった。
千代松は、昨夜一人城下に帰ろうとしたのだが、かなわなかった。「でもそんなことではダメなのです、例え刃にかかろうと城下へ戻ります」との
覚悟を聞き、大吉らも千代松の力になることにする。
そこに、千代松を心配して捜している侍2人と女がやってくる。昨日大吉を、千代松を連れだした浪人と間違えてつけていた3人だ。
そして、叔父と叔父に雇われた浪人らも。「おいでなすったな」「あんたかね、腹黒い叔父というのは」叔父は、千代松が気がふれ出奔、賊に襲われて
死んだという筋書きをもくろんでいた。・・・
「一度死んだ身です、そう思って一生懸命やります」千代松は4人に礼を言って去る。又三郎も「もう一度人間稼業をやり直すつもりだ」と去っていく。
「若さまや又三郎さんはいいわね、めでたしめでたしでさ。それに比べてこのあたしはどうしてダメなのかしら。いつも早とちりやとんちんかんな
思い違いばかりしてさあ。そうよ、きっと半次さんのせいよ。」「おい、おめえ、テメエのここが悪いのを俺のせいにするこたねえだろ」「兄さんや、
ここの話はせん方が身のためだろ?」「そりゃねえだろ、そりゃ」
コメント:このちゃんは心なしかやつれてらっしゃるし、今回の殺陣は又三郎と半次兄さんが目立っている。ということはお加減が悪かったのか、
とつい考えてしまう。(以上 じゅうよっつ)
あんまりこんな事は書きたくなかったのですが、この回、やや遠くの方で大吉旦那が背中を向けて浪人4人と叔父に囲まれての斬り合いのシーンがあるのですが、どうも背中姿が近衛十四郎さんじゃないような気がしました。(相談屋さま)


「仮面の下で泣いていた」 (第88話) 

<キャスト> 太田博之=話しを効果的にするために小さな子供にされた、お咲が本当に惚れたお面売りの男、清助
伊沢一郎=清助の父で、今はお面作りを商売にしている元大工、五兵衛 河上一夫=父の残した三人の妾に悩む泉屋のあるじ、作右衛門
佃和美=泉屋に奉公し、清助とも仲のよい娘、お糸 鮎川十糸子=二十一年もの間大旦那のお世話をしてきた妾一号、おたま
水上竜子=三年でも中身はグッと充実していた妾三号、おあき 
小倉康子
=十四年間も大旦那のお世話をしてきのに寝物語の回数は三号に負けた妾二号、およし
藤沢薫 =茶店で会った大吉を川原一角と間違えた盗っ人の頭目(新聞情報より名は伝蔵) 千葉敏郎=右目の下にホクロのある浪人、川原一角
柳川清=清身の滝見物の有意義さを強調した茶店のとっつあん 小沢文也=『ご一緒願えませんでしょうか』半次を連れ出した行商人風の男

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=西村国蔵 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

清助に一目惚れしたお咲は、さっそくお友達にと、声をかける。清助の父親は大工だったが、怪我で今はお面を作り、清助がその面を売っているのだった。
父親を尊敬し父を訪ねる人も多く、細々とではあるが幸せだと話す清助が断然気に入ったお咲は、面を全部買い取り、「宿場で居酒屋のねえちゃんに
色目使ってもひじ鉄食うのがおちだで、よっぽど有意義だでな」と茶店の親爺に滝見物を勧められた半次に、うまいこと言い含めて引き受けさせる。
「半次さんごめんね、あたしホントに惚れちゃったらしいのよ」真剣なお咲の言葉にふくざつな気持ちで荷を背負って歩いていた半次は、大店・
泉屋作右衛門に出会い、先代の妾3人の調停を10両でたのまれ大吉を探すがいない。(代わりにお咲と清助が一緒のところを見つけ「「てめえら二人ぃ!」
と怒鳴りつけようとしたところにクモ)「人生の機微に通じた」はずの半次兄さん、自身で乗り出すが、妾の色気に迷わされて調停に失敗し、追い出され、
追い出されてすぐ、今度は、怪しい旅の町人に同道を乞われる。町はずれの神社に着くと、いきなり浪人らが「面の包み(半次は泉屋に置き忘れていた)を
渡せ」と、斬りかかってくる。幸い人が来て助かったが、これは面の包みに何かあると、半次はお咲と清助を捜し始める。
一方、お咲も半次を捜していた。清助の父・五兵衛に挨拶したのだが、清助が面をすべてお咲が売ってくれたと告げると、温厚な五兵衛は
「包みは黒江宿に届けろといったはずだ」と顔色を変え、品物を取り返しそれを川に捨てるようにと言い残して、あわてて出ていったのだ。
とにかく包みをと、半次を探すお咲・清助は、面の包みのためにひどい目にあい二人を捜している半次と無事再会、大吉とともに、泉屋に向かう。
大吉は、半次を神社に誘ったあやしい町人姿の男に、半次を斬ろうとした目の下にほくろがある浪人「川原一角」と先刻間違われたていた。
この街道筋ではこの半年に2度も大店に押し込みが入り、皆殺しにあっていたことから、この包みが押し込みと関係ありそうだとにらむ。中には
75両。大工の清助の父・五兵衛は建てた大店の間取り図で盗人とつながりが出来、盗人宿の主として、お面で街道の情報をやり取りしていた
のだろう、清助にそれが知られるのを恐れて、川に捨てろといったのだろう、と推測する。
そして、あの怪しい男を頭目とした盗人と雇われ浪人達が、今夜狙っていたのは泉屋だった。・・・
大吉・半次が盗賊達を退治した後、一人のほおかむりの男が姿を現す。「おとっつあん!」ほおかむりをとった五兵衛は、自らに刃を向けようと
して、半次に止められる。五兵衛は、大工が出来なくなって貧乏怖さに一度だけ、自分の建てた大店の間取り図を盗人に売った。それがきっかけで
盗人宿の主をさせられたが、押し込みから受け取った金は恐ろしくて使えなかった。その金・75両を返して足を洗おうとしたのだが、泉屋へ手引き
しないなら清助を殺すといわれたのだった。
「清助許してくれ」「おとっつあん!」「いつまでも待ってます」と2人に寄り添う清助の女友達のお糸。
「これでよかったじゃねえかよ、めでたしめでたしだよ」「ああ、よかったな」「おい旦那、見なよ。お咲坊の奴、清さんに血道を上げて夫婦になる
とかいっていたが、トンビに油らげさらわれたような面してるぜ」「え?お咲坊は清さんにそんなに熱を上げていたのか。どうりで油揚げが豆鉄砲
食らったようなつらしとるぞ」「おい、油らげが豆鉄砲食らったような面はねえだろ」二人の笑いに気づいてこちらをにらむお咲、気まずそうな二人。
旅の場所:高畑城下、野尻宿が街道筋にある赤江宿(となりは黒江宿)


「人質の方がいばっていた」 (第89話) 

<キャスト> 片山明彦=街道筋で一番の大金持ちの材木問屋、野崎屋忠兵衛 有沢正子=野崎屋のおかみさん、おきみ
金井大=『えらいことじゃ』和尚 高野ひろみ=野崎屋に女中奉公している首吊り娘、お光 梅地徳彦=かどわかされた野崎屋の子供、竹松
楠本健二=爪楊枝をくわえた、どくろ組の頭分 鈴木金哉=『何をする』と大吉に怒鳴ったが、反対に『バカタレが』と怒鳴られたどくろ組の浪人
藤本秀夫=半次が『バレてもともとだ、野郎を片付けるか』と思ったどくろ組の浪人
市川男女之助=『たしなめ料』として一両半次に差し出した商人風の旦那 柳と志男??  
関真吾=お光を探しに来た野崎屋の使用人
不明 男89−1=半次の命をビタ銭十枚で買おうとした百姓

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=西村国蔵 装飾=斉藤寿也 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

お咲は、子守りの子供・竹松をかどわかされて首を吊ろうとしていた野崎屋の女中・お光を助け、代わりに自分が首を吊りかかって苦しんでいるところを
半次に助けられる。半次は「そんなかどわかし野郎は叩き斬って助けてやる」と安請け合い、野崎屋でも、大売り出ししてすっかり頼りにされ、すこおし心細くなり始めた頃、野崎屋のかどわかしに助けを買ってでた旅ガラスと若い娘の話を耳にした大吉が現れる。
ゆすり文には「一金500両。暮れ六白根が原に持参すべし・・・どくろ組」とある。しかし、野崎屋は、懇意の和尚の幼なじみという山師に騙され、700両とられたばかりで、今は10両の金もなく、まず身代金を払い、子供を助けた後で金を取り戻すという策は不可能だ。
その時、おが竹松の薬の時間が迫っていたことに気づく。竹松は五臓の1つを患い、一日に4回薬を飲まなければ命に関わるのだ。まずは薬を届けるのが先決になった。
半次は先刻、白根が原近くの三方山へ向かう、大きなつづらをかついだ浪人3人を見ていた。その三方山には身を隠すに都合がいい空いた小屋があるという。おそらくはその浪人達がつづらで竹松を運び、杣小屋に隠れているに違いない。「俺が届けに行くよ」と大吉が立ち上がる。
「下手したら殺されちまうよ」「俺は行ったとたんに殺されるようなへまはせんよ」「旦那あ、気をつけるんだぜ。決して見殺しにはしねえからな」「頼りにしてるよ」
その間に半次は和尚と、何とか500両をそろえようとするが、金はほとんど集まらない。暮れ六までにはもう1時半もない。せっぱ詰まった半次は、「命売ります」と書いた板をぶら下げ、街道に座り込む。が、それでも500両もの大金が集まる様子はない。旅の商人に1両を「たしなめ料」としてもらって万策つきて泣いている半次の所に、やはり野崎屋と金策に回って失敗したお咲がやってくる。お咲は半次があわてて隠した「命売ります」の板を見て、「やっぱり半次さんね、いいとこあるじゃない」しかし、時は刻一刻と迫ってくる。「半次さんどうしよう。花山さまと坊やが殺されちゃうわ!」その声に半次は意を決する。「お咲坊、俺は旦那達をみすみす見殺しにはできねえ。これから山へ行くぜ。」「行ってどうするっていうの」「一か八か斬り込む。
そして助けられたら2人を助ける!」「もしうまくいかなかったら?」「そん時はそん時。思い切って暴れて死ぬまでよ。そうしなきゃ俺は旦那に義理がたたねえんだ。野崎の旦那に伝えてくんな、運がよけりゃ坊やを連れて帰って来るって。(稼いだ1両をポンとお咲に手渡し)あばよ!」と走り出す。
「半次さん!」振り向いた半次はお咲の涙の顔を見てにっこりと笑い、再び山へと走り出す。
大吉は、無事に浪人らの居場所にたどり着き、竹松に薬を飲ませていた。始めはおびえていた竹松も、大吉の優しい笑顔と言葉にホッとして泣き出す。「泣く奴があるかよ、さあ、飲むんだ、あーんして」そして大吉も人質となる。
小屋へ近づいた半次が、見張りの浪人達に思い切って斬りかかろうかと思案していたところ、せめて竹松と大吉の身代わりにとやって来た和尚が見張りに見つかる。そのすきに半次は無事大吉と連絡が取れる。「俺たちが外へ出たら斬りこむんだぞ」
約束の時刻、浪人達は大吉らを連れて白根が原へと出発する。その後ろをつけ、半次がふいを襲って浪人達に斬り込む。先ほど、竹松に水を飲ませた茶碗で繩に切り込みを入れていた大吉も、素早く刀を抜く。背あわせになった二人「旦那でえじょうぶか!?」「ああ、大丈夫だ」・・・
すんでの所をお咲の迷コントロールの石投げで助けられた半次は、最後の石が当たった頭を撫でながら、大吉、お咲と、野崎屋の座敷に座っている。
野崎屋が礼にとご馳走を用意している。「おい、お」そこにおが運んできたのは山盛りのおから!「あ、おから!おー、これは!」ほくほくの体で手づかみで食べ出す大吉。「旦那て!あ〜・・」
見どころ:何といっても今回の一番は品川さん!人質に取られた大吉のために懸命の金策、果ては命売ります、お咲坊相手に涙なくてはの芝居を見せてくださる。お咲の呼ぶ声に振り向きにこりと笑うときの顔がまた何とも言えないいい笑顔!!また、人質の子供を安心させようと話しかけるときのこのちゃんの顔、ほんっとに優しいお顔だ!お二人の芝居のうまさは天下一品!必見の回!(以上じゅうよっつ)
私もあの吹き替え(殺陣の場面、遠景の大吉)は土井(淳之祐)さんだと思います。たとえ一瞬でもあの長剣を振り回すにはかなりの実力がいる
でしょうし。(右京大作さま)
半次が五百両を工面するのに四苦八苦する場面があります。悩んだ挙句、「そうだ、あの手なら・・・昔、そんな侍がいたっけかな」と言って「命売ります」という札をぶら下げ、往来に座り込みますが、これ、月影の「一発屋が待っていた」に登場した桑山正一さんのことです。(キンちゃんさま)
変だな〜と思うこと2つ。お咲ちゃんが首つりになりそうになっている時の半次は笑いすぎです。あと、親だったら、「定時に薬を飲まないと命に関わる」子どもを持っていたら、真っ先に「あ〜、薬を飲ませないと、あの子が死んじゃう!」と思うはずです。それを女中が言ってくるまで気づかないなんて。あの両親には子どもを可愛がっていた様子が全く見られません。それに引き替え、このちゃんの(あ、間違えた、大吉の)優しいこと!!このちゃんのあの優しいお顔と言葉のかけ方は、本当に天下一品です。(鈴雪さま 2009年5月28日)
(↑の鈴雪さまのコメントについて)確かに見ていてちょっとひっかかりますよね。でも、思うにあの2人、子どもは可愛いんだけれども、世話は子守りの女中さんに一任で、自分たちでは全くしていなかったんじゃないでしょうか。あの時代の大店の夫婦であれば十分あり得ることだと思うんですよ。夫が妻に「大体お前が子どもの世話をお光に任せきりにするから・・」云々って言ってたし。なので、毎日子どもに薬を飲ませるのも当然お光の役目で、両親の方は、決まった時間に薬を飲ませないと命に関わるのは重々承知していたけど、その時間までははっきり把握していなかった、ということで。・・どんなもんでしょう??ともあれ近衛さんが子供に向ける笑顔は、慈愛に満ちていて本当に素敵でした。(南まさとさま 2009年5月29日)
大吉が湯飲み茶碗を足で蹴って転がすシーンで、足の裏がうつりますが、足袋のかかとのところに、金具のようなものがついているのが見えました。裏全体もとてもしっかりしたつくりです。小道具一つ一つが興味深いです。(鈴雪さま 2009年5月30日)
最近の花山大吉は,近衛十四郎さんの体調が悪い時期に撮影されたのだと思いますが,以前品川隆二さんがインタビューで,「糖尿病が悪化して、どうにも動けなくなった時、近衛さんの持っている一番いい部分がでてきた。 何でも有り余っている時には、本当にいい味はでない。つらくて仕方なかった時のほうが、凄く良かった。」【素浪人シリーズいろいろ(二)より】とおっしゃっていましたが,私は以前掲示板でも話題になっていましたが,今回の泣いていた人質の子供に薬を飲ませるシーンだと思いました.(相談屋さま 2009年6月8日)
有沢正子さん誘拐された子供の金持ち夫婦の奥さん役で出ていたのにはびっくりと感動です。この女優さんは木下恵介監督の名作「喜びも悲しみも幾年月」という松竹映画(1957年)で、佐田啓二と高峰秀子さん扮する有沢夫婦の長女役として、新人女優で抜擢されてデビューしたはずですが、その後パッとした活躍もないまま引退したというふうに思ってたのに、なんと大名作(?)の【花山大吉】に出演していたとは・・・。この方は、映画の役柄上、高峰秀子さんに似ているひととして「喜びも悲しみも幾年月」のプロデューサーさんが見つけた女優さんと聞いてます。自分が気になっていた女優さんが思いがけないところで仕事してたのがわかり、ちょっとうれしいです。(2009年5月27日 ノッチャンさま)
旅の場所:宿場から一里の当たりに白根が原、三方山がある所


「先輩面して逃げていた」 (第90話) 

<キャスト> 土屋靖雄=半次の後輩、駿河は安倍郡(あべごおり)田中村の生まれの安五郎
明石潮=半次には手を貸してもらいたくなかった、えら方の側用人風お武家のじいさん 藤岡重慶=安五郎には目を掛けている橋場の仙造親分
海老江寛=落ち目になった神崎の清太郎(せいたろう)大親分 入江慎也=半次を『人殺し』と呼んだ、金持ってそうで、狙われそうな旅の旦那
山本弘=神崎一家の裏切り代貸し、儀十 香月凉二=『そうか、おめえだったのか』安五郎をわざわざ出迎えた、神崎一家の兄貴分
吉川雅恵=干してあった着物を無断借用されそうになり、半次を泥棒呼ばわりした百姓ばあさん
唐沢民賢=大吉から財布をすろうとした、スリのくせに目の付け所が悪かった男 大城泰=『兄貴、また人違いでしたか』神崎一家の子分
牧淳子=『あのもし、どちらがお勘定払ってくださるんですか』の居酒屋『福の家』の女将
志茂山高也=橋の上で呼び止められた、赤倉の政吉親分の身内の者 芦沢次男??   
平沢彰(NC)=橋のたもとで半次に最後に当て身を食らって息の詰まった神埼一家の子分
不明 男90−1=半次に呼び止めれられた飛脚の兄さん

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=小野登 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=西村国蔵 装飾=斉藤寿也 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

お咲に両替をたのまれた1両を賭場で使い込んだ半次は、お咲から身を隠した居酒屋で”先輩”と親しげに呼びかけてくる同じ駿河出身の
安五郎に誘われる。クモとお咲に挟まれとうとう捕まり、お咲にばれてわんわん泣かれ、こうなりゃと、身ぐるみ脱いで金を作りもう一度博打に
向かう途中、大吉を見つけ、相談に乗ってもらおうと、まだ安が飲んでいた居酒屋へ大吉を誘う。が、おからのある居酒屋で大吉はもちろん
相談は後回し。安が50両があるから、1両ぐらいなら貸してもいい、と懐を探るが、50両も路銀も小遣いもなくなっている。あわてて捜しに出る
安。(「どちらがお勘定払ってくださるんですか」と厳しく女将に言われ大吉はシャックリ)
お咲の1両と、さらに大吉らの飲み食い分を払うため、旅篭で薪割り仕事をしていた半次は、お咲に「かたり半公」呼ばわり二言目には「訴え
出てやる」と責められ、割った薪まで自分の足に当たってくるものだから、ふてくされて旅篭の仕事をほっぽり出してしまう。
”ことわりなしに”借りようと民家に干してあった着物を吟味しているところを見つかり、お咲にまたまた責められ、両手をついて謝る半次の所に、
昨夜の安がションボリと現れる。橋場の仙造親分が神崎の清太郎親分から借りた50両で、病気で倒れた清太郎のために返す予定の金
だったのだが、一晩探しても見つからない、お詫びに死ぬから「介錯してちょーよ」と思い詰めている。「まかしとけ!」と半次はカッコつけるが、
しかし、お咲の1両さえ作れない半次に50両が作れるはずがない。見通しがつかずくしゃみをすると、紙切れが落ちている。「おぼれるものは・・」と紙切れを拾うと、それは手紙の切れ端。「この手紙持参する男、明日夕刻宿はずれの橋のたもとにつく。手はず通り斬り殺し、金の始末は」とある。
これはきっと、大金を持った人間が誰かに命を狙われているに違いない、もしかしてその男にそれを知らせると、命の恩人と言うことでお咲の1両も、安の50両も、何とかなるかもしれない「人間の運・不運はサイコロの目、ぐーっとついてきたぞ」と、3人は、手紙の持ち主を捜し始める。
最初にそれと思われたのは、旅姿の商人。しかし、半次が声をかけ手紙を見せると、「ひええ人殺しぃ」と男は逃げ出してしまった。
「宿はずれの橋のたもとたってここだけとは限った訳じゃないしね」とお咲に大きな落ち度を指摘され、次に行った所では、落ち着かないそぶりの老侍。
「ばかもん、わしのためを思うならサッサとこの場を立ち去れ」と断る侍に「お武家さまの難儀を見かねてお手をお貸ししようと」としつこくつきまとうと、「年をとるとな、あの方の辛抱我慢が出来ン、あ〜小ではない大だ、前ではない後ろだ、もういかん」と走り出す。
その次の橋では、神崎一家の子分が、昨日の夕方着くはずだった例の手紙の男を捜していた。「やっぱり待ち伏せしていやがった」と飛び込んでいくと、「てめえか、仙造親分さんのところから来ることになっている野郎は」と男達。「あの〜何かあっしの親分が?」と安が答える。
手紙の男とは、安のことだった。安は仙造親分から手紙も預かっていたらしいが、字が読めないので、見もしなかったのだ。
その頃、大吉は、ニセ小判50両の入った財布を拾っていた。これは、スリが昨夜安から摺って捨てたものだった、そこへ、神崎一家のある宿場に来た半次ら3人がやってくる。真意を確かめるべく4人が一家に乗り込むと、そこには病気の清太郎親分を裏切り仙造親分と手を組んだ子分達と、50両返すのが惜しくなって、安が使い込んだと言うことにして消そうとたくらんでいた仙造親分が。・・・
「おいら喧嘩みたの今日が初めてなんだ」安はブルブル震えている。「やっぱり駿河に帰って百姓でもするわ」「ああ、それが一番いいぞ」と歩き出しふと思いつく大吉「あー、おまえどうだ?」「は?何いってんだ」「それじゃあ先輩、いや半次さん、お世話になりました」「ほんじゃあまあ達者でな」刀を収め安を見送る半次の肩をポンポンと叩くお咲「1両返して!」「はあ」
コメント:今回のこのちゃんの出番は極度に少ない。(以上じゅうよっつ)
劇中いたるところに吹き替えさんが使われていましたね。ロングの殺陣はすべて別人でしょう。しかも、格子ごしに撮影していたり、夜間だったり、
手前にカラミを配置したり、ごまかすための工夫があちこちなされていました。
殺陣シーンだけでなく、後姿の場面も、これまたほとんど葺き替えでした。このところ、大吉を後ろから捉えたショットは必ずと言っていいほど、
背中の「花」という文字のアップからカメラがグッと引いていく、という手法をとっています。「花」の右下に黒っぽいシミのようなものがあるのが
気になるのは私だけでしょうか。で、「花」につい目を奪われて、我々はこの人は近衛十四郎だと決め付けてしまうわけです。でも良く見るとアゴの
線が少しとがっています。別人です。ただ、これは、普通の演技でも吹き替えを使わなければならないほど病状が悪化している、というのではなく、おそらく撮影そのものに近衛さんが参加していないためでしょう。医師の許可が出た特定の日だけ参加して、そこで一気に撮りだめしたものと
思われます。ですから、よけいに疲れ、せっかくの殺陣にも精彩を欠く、と、こういうことなのでしょう。(キンちゃんさま)
半次兄さんとやくざが斬りあったのは、白川の上流で「下河原橋」ですね(前にこの辺歩いた記憶あり)今は橋脚がコンクリートになってるらしい。
(ま〜さま)
92話から変わるオープニングの品川さん紹介の場面は、この回の居酒屋『福の家』の暖簾と半次兄さんのようだ。(相談屋さまのお話より)
明石潮さん:番組が始まって主題歌〔素浪人まかり通る:北島三郎〕がかかってるときに、出演者の名前がごっつい白字で出てきますが、この名前がでてきてびっくり!有沢正子さん(89話)に引き続き、かつて木下恵介監督の名作「二十四の瞳」で分校の校長先生役、「喜びも悲しみも幾年月」で石狩灯台の台長さん役で出てた、明石潮さんだったからです。さあ〜どんな重要な役で出てくるのかと楽しみに見てたら、なんと!、橋の上で通りかかって半次に人違いされてしまう、ウ・ン・コしたくて困っていた老侍の役でした〜。二十四の瞳(1954年)から16年後にも元気で仕事してたんですね。(ノッチャンさま 2009年5月28日)


「首になるほど惚れていた」 (第91話) 

<キャスト> 山本豊三=底抜けにしまらない半次の昔馴染み、銀次、逃走中 都築克子=銀次が惚れた小唄の師匠、お島
新井麻夕美銀次の妹、おしの 佐藤京一=銀次の店の様子をうかがっていた浪人、若原左門
大東良??十手持ちの親分?? 酒井哲=ちょっと物分りの良い役人 三田一枝=半次を『どスカタン』と呼ぶ、茶店のばあさん
石沢健『おい、こっちだ!』牢破りの男 熊谷武=出前のため大吉に店番を頼んだ、そば屋の屋台のおやじ
古閑達則=『どうせ捕まりゃ命はないんだ。こうなったらイヌ共を道連れにしてやるぜい』牢破りの男
前川良三十手持ちの子分、源太   
不明 男91−2=十手持ちの親分=大東良か? 
クレジットは「前川良一」となっていますが、前川さんはこれ以前も以後も一貫して「良三」という芸名なので、たぶん東映お得意の誤表記でしょうね。

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=井沢雅彦 撮影=森常次 計測=山口鉄雄 照明=松井薫 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=福井司 記録=高木弘子 編集=川上忠 装置=西村国蔵 装飾=斉藤寿也 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=浜崎喜美江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

半次は平出の御城下で、かつての弟分・銀次が営む居酒屋”竹の家”をお咲と共に訪ねるが、「本日休業」の看板が掛かり戸が閉まっている。
裏に回ると銀次の妹・おしのが、一人放心状態。聞くと、銀次は3月前、小唄の師匠・お島を手込めにしようとした侍・中山を殺したと自白して
捕まり、死罪が決まっていたうえ、昨夜、牢破りをし逃走中だった。お咲と半次はさっそくお島のうちへ向かう。
昨夜、逃走した銀次は、打ち首の前に惚れたお島にもう一度だけと、会いに来ていた。しかし、「どうして中山さまを殺したりしたの?」とのお島の
問いに驚き、「それじゃお島さん中山を・・・そうだったのかい、俺は何てことを、今からじゃ何もかもおせえ」と愕然とし、呼び子のなる暗闇に去って
いったのだそうだ。
半次の知っている銀次は、人殺しをして潔く打ち首にならないような男ではない。どうして逃げ回るのか半次には解せない。「でも違うんです、兄さんは殺していないんです」と言っていたおしのが何かを知っているかもしれない。竹の家を見張っていると、おしのが包みを持って急ぐ。
半次が後をつけると、そこにいたのは銀次だった。
銀次は中山を殺してはいなかった。その日、お島を訪ねたが呼んでも声がなく、裏へ回ると倒れたお島と、血だらけの刀と死んだ中山。前々から言い寄られて嫌がっていたお島が、中山に襲われて刀を奪い刺したに違いないと、銀次は、お島の身代わりに自首し捕まった。お島のためなら喜んで打ち首になるつもりだったのだが、昨夜、同じ牢の連中が牢破りするのにつられて、お島会いたさについ逃走、会えばすぐ牢に戻るつもりだったのに、お島と会って、刺したのはお島ではなかったと分かったのだった。
しまらない身代わりとしまらない牢破りの対処方法を考える間もなく、やがて中の気配を感じた岡っ引きに乗り込まれ、半次と銀次は逃げ出す。
隠れた先は旅篭、飛び込んだのは大吉の部屋。半次に「友達の居酒屋でおからを肴に心ゆくまで飲もう」と誘われすっぽかされた大吉は、先ほど屋台の陰にかくまい「捕まるより名乗って出たほうが罪も軽かろう、人間往生際が大切だ、行く先を間違えるな」と諭した牢破りに再会しシャックリ。それが半次の言った銀次だと分かりもう一度シャックリ。
しかし、ここも宿改めが入り、大吉は二人を連れて竹の家へ行く。そこには、お咲とおしの、おしのから真実を聞いたお島が待っていた。
銀次の無実を晴らすには、真犯人を見つける他方法がない。手がかりは一突きで中山を殺していたこと。「弟子の中に腕利きの男はおらんかね?」
お島に惚れて通っている若原左門という浪人が、当日が稽古の日だった。「うんくさいな。その男は大柄な浪人じゃないのか?」それは、大吉が半次と約束した竹の家に着いた時、竹の家を覗いていた男だった。
外はもう、役人らに囲まれていた。半次と銀次は縄をかけられる。大吉は「ちょっと時を与えてくれんか」と若原のうちへ向かう。三十六計が上策と、若原はこの夜更けに旅支度だった。「俺は、小唄の師匠のうちで中山を殺した男に自首を勧めに来たんだよ、あんたにな」・・・
「旦那ありがとうございました」「おい銀次、俺はや?」「いやあ兄いのほうにも礼を言うぜ」「ははは、いいんだよ」「半次さん、あんまり売り出すの、やめたらどう?あたしがいなかったら、ただうろうろしただけだったのに」「このこんにゃく玉、こきやがって!」「またいじめる!」「おい焼津の、あまりでけえ顔するな、俺がいなかったらどっかへ流されてたところだぞ」「こりゃ悪かった」笑う三人。
コメント:半次がおしのから事情を聞いて「お島がそそのかしたに違いない」と、お島の家に乗り込もうとすると、お咲が「今は銀次さんがどこに
いるかを突き止めて、後先のことを考えんのが先決じゃないの。そのためにお島さんのところへ、銀次さんが会いに来たかどうか聞くなら話は別よ」と指摘され、「俺も半分はそれで行くのよ」ところっと方針を変える半次。このたしなめ役は、以前なら大吉がやっていたんじゃないかなあと思うと、こんなただのセリフのシーンさえ、ご病気で減らさなけりゃいけなかったのかなあと、思ってしまう。(以上 じゅうよっつ)
今回も殺陣シーン3カットくらい、別人28号(死語―笑)でしたね。しかしさすがこのちゃん、きめカットはしっかり太刀筋押さえてました。若原左門
=佐藤京一さんを斬った(?)とこなんか(えっ!生き証人を斬っちゃダメ!・・・)と思ってたら、このちゃんの次のセリフ「役人殿、峰打ちだ」で
安心しました。このシーンめちゃ素早い殺陣ですが、じっくり見ると刃を交えたあとすかさず峰に返してます(う〜ん、さすがこのちゃん!)(ま〜さま)
旅の場所:
平出の城下


「片目の竜が狙っていた」 (第92話) 

<キャスト> 高須賀夫至子=『善助!』田原(たわら)屋敷の主、お品さま 高津住男=善助、実は芝居好きな助造こと、早耳の助
汐路章=しつこい男、独眼竜 滝譲二=独眼竜の手下で、既に役人を冥土に送った鉄砲使い、火縄
北見唯一=大吉の一行のために貸切りの依頼を受けた旅籠の番頭
小津敏=鉄砲で足を撃たれてもお品さまをかばう、荷車を押していた男、作造 宮城幸生=独眼竜の手下、九一(くっぴん)
浜伸二=独眼竜の手下、一刀流 森源太郎旅籠の中に鉄砲を打ち込んだが、半次に斬られた独眼竜の手下  
遠山二郎田原屋敷の使用人で荷車を引いていた男、伍平   
世羅豊=独眼竜のアジトでロウソクの炎の後ろに映っていた手下で、大吉の小柄にやられた鉄砲使い

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=椹木儀一 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=山田勝 装飾=斉藤寿也 衣装=工藤昭 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

まだ宵の口なのにひっそりと静まりかえった宿場で、お咲は怪しい一団をつける。男達が田原屋敷に押し入ろうとしたところで、半次が登場、かっこよく
相手を片づけていたのだが、クモが出て、旦那にバトンタッチ、一団の頭・独眼竜は「覚えてろい」と引き上げていった。
二人は、役人らが独眼竜に殺され、この田原屋敷に今晩押し入るという予告文が来て大騒ぎしているところに通りかかり、用心棒をかって出たのだった。
事なきを得た屋敷の使用人・善助にこわれるまま、奥に入ると、そこはまるで御殿。きっとこう言うところの主は、恰幅のいい白髪頭の・・・と
3人で想像しているところに現れたのは、”お品さま”と呼ばれる若く気位の高い女性だった。昨年夫を亡くし、35万石田原家と縁つながりのこの屋の主になったお品さまは、10日前見つかった古文書でご先祖さまが隠していた1万両を探し当てたのだった。
しかし、それを聞きつけた独眼竜に、1万両を狙われることになり、このままではまた狙われるに違いないと、金を安全な城下に運ぶ決意をしていた。
お給金5両、城下に着いたら更に5両と、小判で横面をはるようなやり方に、大吉も半次もいい思いはしないが、乗りかかった船と、二人は
用心棒を引き受ける。
翌朝、1万両が荷車に載せられる。しかし、出発の時から、大吉は、独眼竜一味の気配を感じる。やがて道は、山道になり、林の中には、3人の男達が
鉄砲を構えてこちらを狙っていた。大吉の小柄で1人は死に、2人は逃げた。
さらに、早くに宿を取ったその夜、昼間生き残った鉄砲の2人が脅しにやって来た。まずは一人が鉄砲で脅し、また次にもう一人が・・
まどろっこしさに業を煮やした半次が、男を斬る、と、大吉はその男のふところにある一枚の紙切れに気づいた。しかし、それから本格的になると思われた独眼竜の襲撃は、これで終わった。
翌朝、どうも、こちらの情報が筒抜けになっていると感じた大吉は、お品を呼び出し、屋敷のものから一万両の情報が漏れた可能性はないか、問いただす。屋敷のものは、善助を除いてすべて親代々仕えてきた者たちばかり。「善助と計って一万両に妙な小細工をしちゃいまいな」との問いには、何かありげにお品は答えない。
そこに、お咲誘拐の投げ文が届く。お咲を帰して欲しかったら大吉・半次の二人に梵天河原に来い、と書かれていた。
てっきり一万両と引き替えだと思い、お品さまに必死でたのむ半次と反対に、大吉には考えるところがある。半次に千両箱を開けさせると、中は思った通り、石がぎっしり。お品さまは善助と相談し、独眼竜に一万両は城下に運んだと思わせようと計ったのだった。さらに独眼竜の投げ文に、お咲と一万両を引き替えにとはどこにも書かれていない、ということは、相手はただ、二人への報復を目的としているようだ。それに、昨日からの手薄な襲い方、本物の小判は既に独眼竜の手元にあると、大吉は推測する。
「花山さま、本当に一万両は独眼竜の手に?何で独眼竜の手に?」「その謎は、この図面を描いた男が解いてくれるはずだ」と、大吉は昨日半次が斬った男が持っていた図面を出す。それは善助の描いた田原屋敷の図面、善助こと独眼竜一味の”早耳の助”は、行商のふりをして田原屋敷に入り込みお品の信望を得て、
埋蔵金の情報を逐一独眼竜に流していたのだった。もちろん、今回の輸送が独眼竜の目をくらますものであることも独眼竜には
筒抜けだったのだ。
2人は、河原へ向かう。そこには捕らえられたお咲と、既に手に入った1万両を誇らしげに見せる独眼竜の一味が・・・。
「半次さんがこんなに頼もしく思えたことなかったわ」と相変わらず減らず口のお咲と半次の前に、お品さまが両手をついて礼を言う。
「お品さん、1万両無事でよかったわね」「あたしのためにご迷惑をかけてごめんなさね」「ううん」先ほどまで火花を散らしていたお咲とお品は仲直り。「旦那、二人して手なんか握りあっちゃってよ、若いねえちゃんはいがみ合うのも早いが、仲直りするのも早いな。やっぱしここが単純なのかね」
「それじゃあおめえと一緒じゃないかよ」「そりゃねえだろ、そりゃ」
コメント:殺陣の遠景は吹き替えだけど、久しぶりにドスの利いたこのちゃんの演技とセリフがあると、ああ、お元気だなあと嬉しい。(以上 じゅうよっつ)
近衛さんの出番も多くて、話も結構面白かったです。それに、登場以来初めて、ちょっとだけお咲ちゃんに感情移入できたし(笑)確かにあのお品様の態度は同姓の反感を買うと思うので、彼女がむっとする気持ちは分かるなぁ・・と。まぁ、露骨にいがみ合おうとは思いませんが(笑)あと、「先走って事を起こそうとする半次を冷静に止めるダンナ」のシーンが久々に!?見られたのも良かった〜。やっぱりこの2人はこうじゃなくっちゃね、と改めて思いました。(南まさとさま 2009年6月2日)
旅の場所:田原家の御城下から荷車を押して歩いて1〜2日のところ


「腕白小僧が知っていた」 (第93話) 

<キャスト> 牧冬吉=半次に割り箸を『縦に三つに斬ってくんろ』と腕試しした居酒屋『松の家』のとっつあん
堀川亮=半次にさわりの部分を教えてくれた居酒屋のとっつあんの息子、藤太郎(とうたろう) 坂本幸子=お咲より品のある武家娘、雪乃
谷口完=雪乃の兄探しに力になってくれた浅川の親分、大五郎 
五味竜太郎
=投げ上げた割り箸を縦に真っ二つに斬ることができる腕利きの用心棒、幕田(まくた)
田畑猛雄=雪乃に、殺された浪人の印籠を見せた浅川一家の子分、二吉 波多野博=大吉にぶち当たったと因縁をつけた浅川一家の子分、源太
市川裕二=串団子五人前の注文を受けた茶店のおやじ 淡路康=半次を後ろから斬ろうとしたとき、大吉の鉄扇にやられた浪人

淡路康さんは斬られ役で出演回数はやたらと多いのに、これまで1度もお名前がクレジットされず、このまま公式記録上は「大吉への出演回数ゼロ」という残念な結果になるのかな?とヒヤヒヤしていましたが、最終回も近いこの回でとうとう初クレジットを果たされましたね。

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=羽田辰治 計測=山口鉄雄 照明=椹木儀一 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=篠敦子 編集=川上忠 装置=山田勝 装飾=斉藤寿也 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

団子を5人前もがっつくお咲の向こうには別嬪で上品な武家娘、半次が自分と比べて向こうの娘を褒めるものだから、お咲はわんわん泣き出し、
「お咲ちゃんや、おまえ美人だってな、上がいなきゃ一番の美人だな」と正直にとりつくろっても収拾がつかない。そこへやって来た大吉も、
泣くお咲にはかなわず、「焼津のバカタレ半次が、このうすらズッコケが」と適当に半次を責めながら、お咲とさっさと先へ行く。
「やい、待ちやがれ、このおからボケにドケチアマ」と二人を追いかけようとしたところにクモが出て、出遅れた半次は、先ほどの武家娘が困っている
様子でいるのを見かけ、声をかける。娘は雪乃、二人っきりでつつましく暮らしていた兄が、2ヵ月前に真岡の城下の叔父の遺産・30両を受け取りに
家を出たきり帰ってこなくなった。人づてにこの宿場で浪人が一人殺されたと聞き、胸騒ぎがしてやってきたのだが、宿場の人は誰も、その話を
知らない、いや、知っているが黙っているように思える。
そこで半次は、この宿場を取り仕切る浅川の大五郎親分の所へ行く。大五郎が、そう言えばそう言うことがあった、と遺品の印籠を差し出すと
それは雪乃の兄のものだった。雪乃の兄は居酒屋・松の家の前で夜斬られたため、誰も犯人を見ていなかった、30両も持っていなかったという。
半次は、夜とは言え誰も見たものがいないはずはない、と、犯人捜しを始める。
だが、雪乃の兄が、その前で斬られたという松の家の主人は、「何もしらねえ」の一点張り。雪乃が殺された浪人の妹だと知ると「言ってあげてえが
言えねえんだ、おらにもガキが一人いるだ」半次が思ったとおり、宿場の人々は犯人に脅されているようだ。「心配はいらねえ、この俺に任せときなって」
と請け合うと、とっつあんはすくっと立ち上がり半次に詰め寄る。「あんちゃん、そんなに強えだか?」と割り箸を割り、「それを縦に3つに斬ってくんろ」
と言う。半次の腕が、割り箸を縦に2つに斬った犯人より上かを知りたいのだ。「どうするだ?」「ばっちり自信はあるよ、あるよあるよ・・・これ3つにかあ・・・」
「やめるだか?」「「やめてたまるかい、くそお・・・人間やってやれねえことはねえんだ、それに万が一ってこともあるしよ。このくそったれ割り箸野郎、
3つになりやがれっていうんだ!」割り箸は・・・横2つになる。「あーあ。オヤジ、横に2つで我慢して頂戴かあ?」きっぱりと頭を横に振るとっつあん。
「旦那なら確実に3つにすらあ」
雪乃に同情したとっつあんの息子・藤太郎は、半次に”さわり”の部分だけと、斬った犯人は侍だった教える。半次らは、さっそくこの宿場に住む
腕利きの侍を捜しにかかる。しかし、町の人は口を閉ざしたまま、まったく情報が得られず往生していると、浅川一家の用心棒の口を断った
大吉がやってくる。
割り箸を3つに斬ることが出来る大吉を連れてきても、まだためらう松の家のとっつあんのもとに、藤太郎が腕に傷を負って帰ってきた。「早く大きくなって
あいつらをやっつけてやるんだ」と言って気を失う藤太郎を見て、とっつあんは決意する。「藤一郎をこんな目にあわせたのは、おめえさまの兄さま
を殺したのは、浅川一家の奴らですだ」浅川一家は大五郎の代になって用心棒が流れてきて、金のために人を虫けらのように殺すようになった、
雪乃の兄は、ここで、膨らんだ財布を出して勘定したので殺されたのだった。
「そうと分かったら旦那、早速浅川一家に乗り込んで 悪党野郎どもを一人残らずたたききってやろうじゃねえか!」「ようし、一掃除するか」・・・
雪乃が3人に礼を言う。目をさました藤太郎がやってくる。「おじさん!」「藤太郎、おめえなかなか勇気があるな、その勇気を忘れちゃいかんぞ」
「おいら、大きくなったらおじさんのようになるんだ。おじさんって強いんだね、すげえや」「いやあ、きっと相手が弱かったんだよ」「ううん、おじさん強いよ」
「おおい藤太郎、おめえ誰か忘れちゃいねえか?俺だって」「ああおじさん、ちょっと(半次に耳打ちする)おじさんだって強えや」「強えか、うぁはは」
見どころ:「割り箸を縦に3つに斬ってくれ」と半次に詰め寄る、深刻だがどこかとぼけた感じの牧さん演じるとっつあんと、半ばやけくそでそれを
実行しようとする半次兄さん。(Thanks三四郎さま、相談屋さま)
コメント:今回は吹き替え無しのようだ。この2回ほど、このちゃんの出番も多く、声の張りもあって、調子がよかったのかなあ。
旅の場所:太田宿〜真岡の城下の途中にある宿場


「お墓に小判が眠っていた」 (第94話) 

<キャスト> 北川めぐみ=別嬪の姉ちゃん先生医者、由美、二十歳 吉田義夫=一万両を奪った盗賊の頭目、浄心寺の和尚、日動
阿波地大輔=果報を寝て待っている凄腕浪人、天暴の先生 国一太郎=足手まといは始末すべきだと思っている浪人、岩の旦那
丘路千=半次の刀を天井にすっ飛ばした浪人、山の旦那 宗近晴見=由美先生だけに来てもらいたかった浄心寺の寺男、市(新聞情報では市助)
松田明=『腹に草履のせてみなすったら』と提案した、茶店のとっつあん
賀川泰三=『介抱するなら、もっと向こうへ行ってやってくんねえか』半次やお咲が邪魔だった難癖野郎、佐太郎
伝法三千雄=『てえへんだ』侍が五人殺されていたことを知らせに来た百姓 関真太郎??  
田中直行=『やられた、浅間神社への奉納金を』大吉に城へ知らせてくれと頼んだ斬られた役人、吉原
村田玉郎=『とすると山道だ、あの山を越えて逃げたに違いありません』探索役人 
白川浩三郎=『何者だお主達は』その後すぐに斬られた、一万両警護の役人
不明 男94−1=『花山殿、貴殿にはいろいろと世話になった。 礼を申す』の与力

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=椹木儀一 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐美亮 助監督=山村繁行 記録=松尾美智子 編集=川上忠 装置=山田勝 装飾=斉藤寿也 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

団子を7皿も食べて腹痛を起こし苦しんでいるお咲を、「早く何とかしてよ」とか「下手ねえ介抱が。サイテーだわ」と文句を言われながら付き添っている
半次、ヤクザに「早く行け」と街道を追い払われ茶店で休ませるが、この辺りには医者もいない、困っていると、浅間神社へ奉納する大名家の1万両が
襲われたとの声が聞こえる。「さっきの難癖野郎がいたところだぞ」と行こうとすると、「あたしをほったらかしにして行くというの?」と泣き出された上、
「あたしが死んでもころ吉の中の遺産は決して使わせないわよ、必ずお棺の中に一緒にいれてよ」と遺言してお咲は倒れる。「団子7人前くって
おっちぬなんてあまりにもはかないじゃないか。だから俺、5人前にしとけって言ったんだよ」「もう一度半次さんって元気な声で呼んでくれ」と
泣きながらお咲にすがると、心の臓がどっきんこどっきんこしている。
そこに江戸で蘭法を学んで帰る途中のねえちゃん医者・由美が通りかかり、お咲を診て薬を飲ませ、お咲は無事に目をさます。すっかり由美先生
に感心した2人は、たまたま通りかかったという近くの浄心寺の寺男から寺の急病人を診て欲しいとたのまれた由美に、手伝いをさせて欲しいと
同行する。
ところが、寺には先ほど半次らを追い払ったヤクザが斬られて苦しんでいて、人相の悪い浪人たちが半次らを包囲するように現れる。。すぐに
一万両を強奪した男達だと察し、半次は刀を抜くが、まったく歯が立たず、お咲ともども人質になってしまう。「こんな時旦那がいてくれたらなあ」
その頃大吉は、奉納金を奪われ、「早く城へ」と言い残してこときれた侍に代わって報告に向かい、役人達の犯人探索に協力していた。茶店の
オヤジに何か変わったことはなかったかと聞くと、「物騒な変わったこと」はなかったが「別の変わったことはありましただ」と、旅人さんと別嬪の娘さん
が来て、「別嬪の娘さんがいちどおっちにましただよ」という、「その娘さんはお咲とは言わなかったか」「あの二人、相変わらず締まらんことを
やっとるなあ」と、大吉は笑いながら、2人が医者と一緒に向かったという、浄心寺へ向かった。
しかし、浄心寺の裏では殺されたばかりの死体がむしろをかぶっていた。何かありそうだと感じた大吉は、役人らに墓をさがし一万両を見つける
よういい、自分は、寺の中の様子を探る。にらんだとおり、墓から一万両が見つかり、寺には半次らが人質になっているようだ。大吉は、寺に忍び込み、
半次らを探す。足音を偲ばせて大吉が進んでいくと、いきなり「わあ出たあ!」の大声、大吉が半次の前のクモを取り除くと同時に、聞きつけた
浪人らがはいってき、庭からはそれを包囲するべく役人が入ってくる。・・・
「おかげさまで、命拾いいたしました」「あたしも今度は本当にダメかとおもったわ。何しろ一緒の人が口だけ達者で後は頼りがないと来てるでしょ」
「おい、口だけ達者で頼りがないとは何てことこくんだよ、だいたい事の起こりは、てめえが団子7皿も食らうからいけねえんだ」「あーら、そんなこと
あったかしら」「あったかしらって・・あー喰われるねえ、このくたばりかけのこんにゃく玉には」目をくるくるまわしてみせるお咲。「あ〜」
見どころ:半次とお咲のからみも、なかなか面白くなってきた。
コメント:「人質の方がいばっていた」とは逆で、今回は、半次とお咲が人質で大吉が2人を助ける。このところ、大吉が半次・お咲と別行動という
パターンが多いが、やはりお加減の関係で、このちゃんだけまとめて別に撮影と言うことが多かったのだろうか?


「興奮しただけ無駄だった」 (第95話) 

<キャスト> 中山昭二=半次やお咲を興奮させた軍学者、仙田無幻斎(せんだむげんさい)
西山嘉孝=無幻斎先生の協力者、庄屋の喜平 日高久=無幻斎先生の協力者、宿場の肝煎(きもいり)の彦衛門
千葉敏郎=無幻斎先生の協力者、一刀流の達人、宝田甚九郎 川口喬=『無幻斎先生はとうとう謎を解いただ』と大喜びの木こり
出水憲司=山伏山で半次に向かって『下がれ下郎』と言った、埋蔵金目当ての盗っ人浪人
平沢彰=『下郎、それが武士に対して言う言葉か』無幻斎先生を無理に連れて行こうとした浪人
志賀勝=『おのれこやつ、抜く手は見せぬぞ』無幻斎先生を無理に連れて行こうとした浪人
松村圭造??   
不明  男95−1=『無幻斎先生がお帰りになりました』庄屋の使用人、平助

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=椹木儀一 録音=小野岡道秀 
美術
宇佐見亮 助監督=山村繁行 記録=松尾美智子 編集=川上忠 装置=山田勝 装飾=斉藤寿也 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

お咲の急報で半次が浪人達から助けた”侍の出来損ないみたいな人”は、無幻斎と名乗る軍学者。「命の恩人とあれば、礼代わりに金子を差し
上げねばなるまい」と、それぞれに2万両の提供をうけた二人は、てっきり気じるしだと「ごめんなんしょ」と適当に切り上げて去ったのだが、
宿場の人の話を聞くうち、無幻斎は8年間、きんきら長者の埋蔵金を研究してきたどうやら本物らしいと分かる。
「今はおよびじゃないのよ」と大吉も振りきって、あわてて無幻斎が世話になっている庄屋の家へ行き、先ほどの非礼を詫びる。無幻斎の協力者
には庄屋の喜平、宿場の肝いりの彦衛門、一刀流の使い手の宝田とそうそうたるメンバーが並び、部屋にはたくさんの古文書、無幻斎の説明を
きくうち、今の金にして100万両はあるという埋蔵金をすっかり信じ始めた。
嬉しくなって落ち着かない二人が、前祝いに店にはいると、そこには、相談屋の口で1分を稼いだ大吉が飲んでいた。今の二人には、埋蔵金の
話を怪しがる大吉の言葉はねたみにしか聞こえない。「何と二人ともすっかりお大尽きどりになりやがって。しかし、まかり間違って埋蔵金が発見
されたら、この宿場はえらいさわぎになるぞ」
翌日、無幻斎一行と半次・お咲は、埋蔵金が埋まっているという、山伏山に向かう。ちょうど山伏山にさしかかる頃、昨日の浪人達が無幻斎を
再び襲って来る。無幻斎を連れ去ろうとする浪人達の前に、二人が気にかかってやって来た大吉が立ちはだかり、事なきを得、再び、大吉も
加わって、目的地へ。石標を見つけ、そこから東へ30歩。、南へ20歩・・「この洞穴じゃ!」
ところが、埋蔵場所が見つかるとすぐ、宝田が、埋蔵金を独り占めしようと、無幻斎を斬りにかかる。「どうやらこの悪巧みの黒幕はあんたのようだな」
「軍学の先生」宝田を倒した大吉が促す。「はい」無幻斎が洞穴に入っていく。
外で落ち着かない半次の耳に、「あ、ない、埋蔵金がない、ないない」と言う声が聞こえてくる。「旦那、埋蔵金はいってえ?」「なにぶん昔のことだ
長者の家の者が取り出して使ってしまったんだろうよ。」「クソお」「そう怒るなって。埋蔵金の話しはおれもだいぶ聞いたがな、掘り当てたと言う話は
まず聞かんといってるんだよ。埋蔵金というのはそいういうもんなんで、うまい話にろくなものはないという見本みてえなもんなんだよ」
「きんきらきんきら」といいながら穴からでてきて、土を掴んで砂金だと喜ぶ無幻斎。「軍学の先生は、8年の苦労が報われず狂ってしまったようだな」
お咲が泣き出す。「おい、旦那、お咲が泣いてるぜ」「そりゃおめえ、2万両もの大金がぱあになっちまったんだ、まあ2日やそこらは涙がとまるめえが」
ガッカリした半次の前にクモ。「わ〜!」


「渡し場は今日も雨だった」 (第96話) 

<キャスト> 和崎俊也=お美代のとっつあんの借金の形になっている船頭、茂助
山田桂子=半次をポチャポチャとした可愛い子が大勢いる店に案内した、茂助のおっかあ、お紺
鶴田桂子=売られていった、茂助の許嫁、お美代 藤尾純=江古田一家の貸元、助五郎
瀬良明=借金地獄にはまってしまった、お美代のとっつあん 上杉高也=『あと一日船を出すんじゃねえぞ』江古田の助五郎の身内
武田禎子=半次の財布から金を抜き取った暴力酒場の姉ちゃん 
山口朱実=『でもその時は、あたい、半次さんのお嫁さんよ』暴力酒場の姉ちゃん、お玉 高並功=宿役人を斬った、江古田一家の用心棒の先生
西田良=先生に宿役人を斬ってもらった江古田一家の子分 鳴尾よね子=半次のおかげでおっかさんに親孝行できる暴力酒場の酌女、おまつ
小道むつみ=半次のおかげで病気のお祖父さんにお薬買ってやれる暴力酒場の酌女、おこと 
邦保
=川止めに対して不満のある宿役人、山野屋の旦那 野崎善彦=お美代が逃げたことを知らせに来るのが、罪な川止めで遅れた人買いの男
有島淳平『姉ちゃん、部屋はあるかね?』相部屋で構わなかった泊まり客  
坂東京三郎=お咲の泊まろうとした部屋にあと三人相部屋を頼みに来た番頭 大月正太郎『四百文だすから頼むよ』の客 
綿岡好枝   川止めで忙しくなり頭にきている旅篭『吉野家』の女中 牧野秀樹『じゃあこっちは五百文出そう』の客
野口貴史(NC)=四百文でも五百文でも困ってしまう旅籠の番頭

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=長谷川安人 撮影=羽田辰治 計測=宮川俊夫 照明=佐々木政一 録音=小野岡道秀 
美術
中島哲二 助監督=太田雅章 記録=高木弘子 編集=川上忠 装置=山田勝 装飾=斉藤寿也 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

3人は、たいした雨も降っていないのに川止めになった宿場にいた。
半次は、江古田の助五郎の賭場で大もうけ、祝杯をあげに「ぽちゃぽちゃーとした可愛い子がいる」古田の息のかかった店を紹介されるが、
4人中1人だけいた可愛い娘に「あたい半次さんのお嫁さんよ」と抱きつかれた際に、財布の中身をほとんど全部抜かれたのも気づかずに
派手に飲み食いを続けている。

お咲の入った宿では、5人が相部屋なのに、更に3人はいるという。これ以上は無理よ、と言うと、いやなら出ていってもらおう、と、古田の子分に
すごまれ、まだ茶しか飲んでいないのに宿賃まで請求されそうになって、窓から逃げ出す。
大吉は、渡し場の茶店で酒を飲み始める。
そこに、古田の子分が来て、横で酒を食らっている船頭の茂助に、あと一日船を出すな、
と脅して帰る。江古田は、ちょっと雨が降ると川止めにし、宿場に金を落とさせようとする、宿場の売り上げの何割かは江古田に入る仕組みで、
宿場の人も、自分たちも潤うので黙ってしたがっているのだそうだ。茂助の許嫁のお美代は、父親の賭場の借金を返すために上州へ出稼ぎに
行っており、茂助は、借金のかたに、ここに残らされている。
夜、「看板だから」と起こされた半次は、既に払ったという勘定書きを見てびっくり。酒が160本に肴が40品で1両2朱、そのうえ、姉ちゃん達に心付け
として5両を払ったと言われる。「とすると俺の財布は・・」あまりの中身の乏しさか、そこに下りてきたクモのせいか、倒れる。宿代どころかそばの
一杯も食えなくなり、大八車を今夜の寝床にしようとしていると、そこにお咲と、お咲を追ってきた古田一家が来る。
お咲は昼間、古田の用心棒が、この川止めに反対する宿場役人を斬ったところを目撃し、宿場の人々と一家が同じ穴のむじなであることに
気づいていた。それを聞いた半次は、自分の勘定も、ぼったくられたのだとやっと気づく。どうやら、ことは、お咲と半次では収拾がつきいそうに
ない、と、二人は旦那を捜し始める。
朝、茂吉の家に、お美代の父が訪ねてくる。とっつあんは、古田に騙され、更に30両の借金を重ねていた。さらにとっつあんは、本当はお美代
は、出稼ぎでなく人買いに売ったのだとうち明ける。「例え年季が明けても、汚れた体になったお美代はもう帰ってこられやしねえだ」自分をこの
土地に残したのも、お美代を人買いに売ったせいだったのだと気づき、”お美代の仇”と、茂助は古田に走る。
その頃、旦那を捜していた半次も、旦那にはこの件は関係ないと思い直し、自分でケリをつけようと、古田一家へ入ろうとしていた。そこへ茂助が
飛び込んで行く。半次から古田の悪徳ぶりを聞いた大吉が続けて入る。「おい、この宿場には、不思議な掟があるんだな、おめえにさからっ
たら命を落とさなきゃならねえのかい、思い上がるのもいい加減にしたらどうだい」・・・
二人が古田の掃除を終えた頃、お咲がお美代を連れてくる。お美代は茂助のそばで死のうと、逃げてきたのだった。茂助は、あたたかくお美代を
迎える。二人を見て旦那の肩に顔を傾げほろっとする半次。「何をするつもりだ」とでも言わんばかりの顔でにらむ大吉を、上目遣いで見る半次。
コメント:今回の殺陣もすべてご自身でやってらっしゃった。切れもいい!
見どころ:半次と大吉の殺陣。茂助とお美代の再会シーンで、そおっと二人から離れるお咲が可愛い。南さんって表情豊かだ。
旅の場所:川辺には「?の渡し 三原宿へ三里四丁」とある。


「異国の空で泣いていた」 (第97話) クモもおからもしゃっくりも無し

<キャスト> 堀井永子=しけが取り持つ縁で三崎屋の女房になった平助の元女房、お芳
河上一夫=お咲には団子を食わせなかったツイてない男、平助 北原義郎=お咲の話で身を引くことにした廻船問屋『三崎屋』の主人、房五郎
伊村賢一=??育ての親より生みの親を選んだ、平助の子供、松吉?? 柳川清=三崎屋の番頭 阿木五郎=平助の家の隣に住んでいた男、伍平
小山田良樹=抜け荷買いの用心棒、松代先生 佐名手ひさ子=『お前さんこそ誰だい』平助の家にいた、作造の女房、お登美
浪花五郎=半次に『さよなら』と追い払われた居酒屋のおやじ 大江光=お咲があんこを舐めるのを目でとがめた茶店のおばさん
不明 男97−1=育ての親より生みの親を選んだ、平助の子供、松吉=伊村賢一か?

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=井沢雅彦 撮影=脇武夫 計測=山元豊 照明=谷川忠雄 録音=小野岡道秀 
美術
中島哲二 助監督=福井司 記録=高木弘子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=小川芳男 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=北村良一 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映

お咲が団子をおごってもらおうと近づいた船乗りの平助は、乗った船が遭難し、8年もの異国暮らしの末、やっとの思いで女房お・子供松吉
の待つ故郷に戻ってきた。しかし、戻った我が家には、既に他人が住んでおり、お芳と松吉は、平助が働いていた回船問屋の三崎屋に身を寄せて
いるという。会いに行ったおは「もうあたしのことはあきらめて」とつれなく、”おとう”だと自己紹介する平助から松吉を引き離す。「今は
何不自由なく幸せなんです」と、松吉とも金輪際会わないように言い放たれる。
とぼとぼ歩く平助からわけを聞いたお咲は、相談屋稼業で懐の暖かい大吉とそれを頼りにやってきた半次のいる居酒屋へ相談に行くが、大吉に
「これは他人が下手に口出しする問題じゃないぞ」と言われ憤慨し、一人で話をつけようと三崎屋へ向かう。
三崎屋では、相変わらずおの考えは変わらなかったが、三崎屋は、では自分が引こう、その前におと話が、とおを別室に連れて行く。
その部屋で、三崎屋が、おに平助を殺せと、短刀を渡したのも知らずに、「三崎屋の旦那って断然話せる!」とお咲は、おを連れて居酒屋
へ意気揚々と戻ったのだが、2人きりになっても黙ったままのおは、突然頭をかきむしって走り去ってしまった。
が去った後には短刀が。「おは俺を殺す気で?」しかし大吉にはもっと深い関係が、三崎屋とおの間にあると思われた。
その頃、松吉は、一目見ておとうだと直感した平助を探していた。松吉は、松吉をたてに三崎屋がおに平助を殺せ、と脅迫するのを聞いて
お父さんがお母さんに殺されると、探していたのだ。
いっぱい気分で町をうろうろしていた半次が、松吉に出会い、わけを聞くうち、平助のことだと分かり、居酒屋へ連れて行く。松吉から事情を聞いた
大吉は、平助に、三崎屋で働いていた頃変わったことはなかったかと尋ねる。平助は、遭難した船に乗る前に、給金が倍になったこと、そののち、
土佐に行くはずの船は、更に南へ向かったことを話す。「抜け荷買いだ!」「どうやらその通りのようだな」三人は、三崎屋へ乗り込む。・・・
三崎屋は、それまでもたびたび松吉をたてに利用してきたお芳に、抜け荷買いの事実を知っている可能性のある平助を殺させようとした。
は、三崎屋のあくどさを知り抜いていたために、平助までも巻き添えにはしたくないと、敢えて冷たく装っていたのだった。
親子三人はやっと、手に手を取り合う。「旦那、よかったじゃねえか、二人は元の鞘に収まってよ」「うん」「ほんとね」「ああ、これもひとえに
お咲坊の大活躍のおかげだ」「花山さま、そんな皮肉言わないで。でもあたしって、どうして人を見る目がないのかしら。天は二物を与えずって
やっぱり本当なのね。」「旦那、天は二物を与えずだとよ。わははは」大吉も大笑い。
見どころ:このちゃんの殺陣は、相変わらず冴えてる。でも、やはり全シーン出演ではお体が持たなかったのか、吹き替えあり。切り替えは
とてもスムーズなんだけど、
吹き替えと分かるのは、土井淳之祐さん(だと思われる)が、このちゃんよりお若いから。このちゃんが言われたように
土井さんはこのちゃんの殺陣をしっかり継承されてる。今、このちゃんのヒット作を再現出来るのは、土井さんかもとふと思った。


「恋する女は強かった」 (第98話) 

<キャスト> 青柳美枝子=お咲の恋敵で濱川一家(予告編では春駒(はるこま)一家)のお嬢さん、おくみ 
清川新吾=お咲のことに関しては無関心の、甚兵衛の息子、清吉
遠藤辰雄=お咲の遠縁にあたる米問屋『備前屋』の主人、甚兵衛、通称『米甚(よねじん)』 天野新士=濱川一家の代貸し、助五郎
吉川雅恵=『あれまあ、お咲ちゃん』お咲に食わせるものを用意した、米問屋のおばさん
有川正治=二人組の浪人で、メザシに箸を突き通した左利きの凄腕、鬼沢一角
林彰太郎=二人組の浪人で、『おやじ、ぐずぐずせず酒を持って来い』と言った、櫛田千太郎
佃和美=出かけていて一人難を逃れた、呉服太物問屋『上州屋』の女中
芦田鉄雄=『帰り籠だ、安くしとくから乗ってくんなよ』の雲助、昇り竜の竜(たつ)兄い 表淳夫=お咲のきれいなあんよのことを心配してくれた雲助
浜崎満=『代貸しの、ちょいとお耳を』濱川一家の告げ口子分、うし
乃木年雄=お咲がヤケ飲みしたり、半次がお咲を口説いた舞台となった居酒屋『弁天屋』のおやじ 遠山金次郎=役人の旦那、笹田
鳥取晃=口にくわえたメザシに箸を突き通された客 伊東好光=半次に押し込みの話しをした野次馬 
榎原政一
=『上州屋殺しの清吉が捕まったんだよ』の野次馬

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=井沢雅彦 撮影=脇武夫 計測=山元豊 照明=谷川忠雄 録音=小野岡道秀 
美術
中島哲二 助監督=福井司 記録=高木弘子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=小川芳男 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=北村良一 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


もうすぐ米問屋・備前屋を営む遠縁の甚兵衛おじさんの住む宿場というところで、お咲はクモ助に言いがかりをつけられ、ハンサムな若者・清吉に
助けられる。その清吉がおじさんの息子と分かり、お咲は盛んにモーションをかけ始める。
なんとか清吉の気に入ろうと、着物の裾を正しておしとやかに振る舞ったり、お茶を出したりお酒をついだり、懸命のお咲とはうって変わり、
清吉はお咲に素っ気ない。「出しゃばりだ」「邪魔だ」と居酒屋をでていった清吉にやけになって残りのお酒を飲んでいるところへ、奥で
飲んでいた大吉が声をかける。グルグル景色が回って泣き上戸になったお咲に、清吉には好きな女がいるようだと言うと、「あたいはね、
きっと好きにしてみせる」と逆に発奮、
「お銚子3本、お勘定払っといてね」と、清吉に確かめに店を出る。
大吉がにらんだとおり、
清吉には、おくみという恋人がいた。しかしおくみは濱川一家の跡取り娘、おくみは清さんのためなら、一家を解散して
堅気の娘になりたいのだが、おくみと夫婦になり一家の親分の座を狙う代貸し・助五郎は、二人の仲を快く思っていない。それに、二足わらじの
ヤクザの娘を嫁にもらうのを、甚兵衛夫婦は大反対していて、お咲を嫁にしろと、清吉に勧めていた。
町中で「あたいが嫌いなの?はっきり言って」とお咲にすがられ困っている清吉から、お咲を引き取り居酒屋へ連れて行き、「分かる、分かるよ」と
慰めだしたのは、ちょうどそこへ通りかかった半次だった。「半次さんてホントはいい人ね」ときたので、調子に乗って「この俺でよければお咲ちゃんの
心の傷を癒そうじゃねえか、二人して希望を持って生きていこうよ」と切り出すと、「全然問題にならないわよ」と笑ってでて行かれた。おまけに
奥で話を聞いていた大吉にまで、「長い間旅してもお友達の補欠にもしてもらえなかったじゃないかよ」と笑われる。
清吉は、再度の両親の説得に失敗し、おくみと遠くで暮らそうと決意、今晩、相談に乗ってくれそうな取引先の上州屋に相談し、夜廻りの源助
が通った後、裏木戸へおくみを迎えに行くと告げる。しかし、裏には、二人の相談を聞いている濱川の子分が。
ちょうどその頃、濱川には、役人殺しで人相書きが回っている浪人2人が身を隠していた。逃走資金200両を頼まれた五郎は、清吉らが頼りに
する上州屋に押し込み、皆殺しの上、金を奪う。庭には、”米甚”の手拭い、外出中で助かった女中から、今夜清吉が借金を申し込みに来て
断られたと証言を得て、「下手人は清吉だ」と断言する。夜廻りの音が聞こえる頃、五郎の罠だと知るおくみは清吉を捜し歩き、おくみを
迎えに来た清吉は、五郎に捕まる。
翌日、五郎が清吉を役人に引き渡す時、おくみは、自分が五郎を指示して上州屋を襲わせた、証拠の金が裏庭に埋めてあると、役人に申し出る。
「どうかこのおくみにお縄を」「おくみさん、もうその辺でいいだろう。助五郎、上州屋の家族を斬ったのは左利きの凄い腕利きだ」大吉は、昨日
居酒屋で他の客のめざしに箸を投げ刺した左利きの浪人が、濱川にはいるのを見ていた。「なんならこっちから挨拶にいこうか」「それには及ばん」
でてきたのは、役人も人相書きで見知っている浪人2人だった。・・・
成り行きを見ていた甚兵衛夫婦は、おくみに許しを請い是非嫁に来てくれと頼む。甚兵衛一家は丸く収まったのだが、人混みの後ろの方で、
それを悲しげに見て、そっと離れていったお咲。「おい、旦那、あれ見ろよ、なんだかお咲坊がちょっぴり可愛そうになってきたな。」「恋敵も
いなくなったことだしよ、じっくりと腰でも落ち着けて口説いてみたらどうだい?」大吉が半次を小突く。「この、まあ!」
見どころ:ご病気とは思えない殺陣。それでも吹き替えがあるってことは、やはりいい殺陣を見せようと、ご無理をしてらっしゃったんだなあ。
品川さんの殺陣もいい。品川さんとこのちゃんはもちろん、南さんも、役どころがすっかり板についてらっしゃる。大吉、半次、お咲という役に
愛着をお持ちだったんじゃないかなあと感じる。(以上じゅうよっつ)
コメント:最近はこのちゃん、いつも居酒屋か茶店で飲んでる所から始まりっす。やはり身体の具合が悪かったんだなぁって、見てて思います
よね。2chでもカキコあったけど、毎週見てると、そこにまだこのちゃんが生きてるみたいだ―と書いてました。そう思いますね・・・・・(ま〜さま)
とうとう半次さんが、お咲さんを“女”として意識しだしたと思える場面がありましたね。というか、はっきり口説いていたと言えるんでしょうか?お咲きちゃんが失恋して落ち込んでるのを居酒屋で慰めてる場面ですが、セリフは忘れましたが、お互い落ち込んでる同士だからどうのこうのって言ってたと思いますが、「あっ、やっぱり半次さんとお咲きちゃんは最後は結ばれる展開になっていくのかな?」って思いました。でも、お咲きちゃんに相手にされなくて、大吉に「あれで口説いてるつもりか?」みたいに、いつものとおり呆れられてたみたいですね(笑)。
この場面、半次さんは本気で男心でお咲きちゃんに接してたのか、あくまでも子供を慰めるような軽い気持ちで接してたのか、微妙な雰囲気だったですね。 (ノッチャンさま 2009年6月10日)
私もいつもはやんちゃなお咲坊がいじらしいな〜と思っていたら、 なんと半二がお咲坊に「俺と一緒にならねえか〜」! 見てた私 「えっ〜!」と思いました。もう最終回が近い話なんでいよいよこういう展開になったか...と勝手に想像してしまいました。なんか 半二と お咲坊の 純な姿をいっぺんに見られた貴重な回のような(ろくりんさま 2009年6月10日)


「お人好しが過ぎていた」 (第99話) (←お咲ちゃんの前)

<キャスト> 大橋壮多=若い娘っ子が近寄るとくしゃみが止まらない体質の米つき男、藤助(とうすけ)
金井由美=越後屋の娘でお嬢様の、おそめ 市村俊幸=お武家は『ただ二本差しているだけ』が多いと思っている米穀問屋、越後屋
渚健二=おそめの婿になる男、吉三郎(よしさぶろう) 小田部通麿=おしんの義理の兄、滝造
町田祥子=吉三郎とは五十両で手を切るつもりはなかった、『ますや』という飲み屋の女将、おしん
玉生司郎=半次が後ろで糸を引いていると思っている越後屋の使用人、源兵衛 江上正伍=滝造の一味で、刀を肩からぶら下げている長身浪人
宮城幸生=『身ぐるみ脱いでけい』街道筋のゴミくず雲助 滝譲二=滝造の一味で、半次を斬ろうとした瞬間、大吉の鉄扇にやられた浪人
古閑達則=『おう相棒、やるかい』街道筋のゴミくず雲助 松田利夫=藤助を殺そうと忍び込み、大吉に捕まり、滝造に殺された男
内藤康夫=藤助を捕まえ、ずっと押さえていた越後屋の使用人、銀八
川本美由紀=『金箱に入れてあったお金が盗まれました』越後屋の女中、おなか

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=椹木儀一 録音=山根定男
美術
中島哲二 助監督=山村繁行 記録=松尾美智子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=内明淳 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


大吉は、米問屋・越後屋の父娘がクモ助に絡まれているところを助けたのが縁で、相談を持ちかけられる。店で長く働く米つきの藤助がこの2ヵ月、
ふさぎの虫にとりつかれ、口を利かなくなったのだという。翌日、大吉は2人とともに越後屋に到着するが、店では、金箱の金が盗まれたと大騒ぎ、
2月前に跡継ぎ婿に決まった吉三郎は、昨日から姿を消した藤助が気になると、藤助の行方を捜していた。
そこへ、見つかった藤助が、半次と共に連れてこられる。半次は昨日、ふっと店を出て越前の田舎へ帰ろうとしていた元気のない藤助を見かけ
藤助がわけを話してくれないので別れるに別れられず、ずっと、一緒に行動していたのだ。店のものは、半次が、実直な藤助に金を盗むよう
そそのかしたと疑っているが、藤助は、何も喋ろうとはしない。(影で様子をうかがっているお咲の前にクモがでて「とんまなクモ、お相手が
違うわよ」と言われ引き上げる)
それどころか、やっと意を決していった言葉は「おら、盗人だでや。お役人につきだしてけれ」だった。とりあえず、
吉三郎と藤助の話が一致していたため、大吉は、「当分物置にでも入れておけ。そのうち金を隠した場所でもはくかもしれんからな」と主人に
指示する。(「どうして店の金を盗んだりしたの?」とお嬢様に迫られ藤助はくしゃみ。藤助は若い娘がそばに寄るとくしゃみが出るというくせがある
のだ。それを聞いた大吉はシャックリ。くしゃみとシャックリの共演に半次が「盆と正月が一緒に来た」と喜ぶ。)
しかし、半次は合点がいかない。「あのやろうが、盗みなぞ出来る男じゃねえよ」もちろん大吉も。
その晩、吉三郎がそっと店を出ていく。「犯罪の影に女ありっていうなあ」お咲の言葉通り、吉三郎は、付き合っていた居酒屋ますやの女将・おしんに
50両の手切れ金を渡していた。しかし、おしんは50両では足りない、吉三郎があとを継げばもっと金が自由になるはず、出来なければ、自分
とのことをばらすと言いだし、更に、義理の兄と称する人相の悪い男らが出てくる。
男達は、藤助の口を塞ぎに越後屋の物置にやって来たが、真犯人が罠にかかるのをそこで待っていた大吉に痛めつけられ逃げる。騒ぎを聞き
つけて、半次や店の主人、娘が出てくるが、当然、吉三郎の姿はない。「許しておけんのは、木戸を開けておいて手引きをした奴がいる」「一体
誰でございます?」「ここに顔を見せていない男だ」
その時お咲が、『お嬢さん、お許し下さい、お幸せにお暮らしください』という吉三郎の書き置き持ってくる。悲しむお嬢さんのために吉三郎を
連れ戻しに行こうとする藤助を半次が止め、大吉が人払いをする。「もう聞いているのは俺たちだけだぞ、この焼津の兄さんは一目おめえを
見たときからおめえにぞっこん惚れ込んでよ、それからずっと信用し続けているんだぞ。」藤助はようやく重い口を開いた。
藤助は、吉三郎と娘の話が決まるずっと以前から、お嬢さんのことが好きだった。祝言を喜ぶお嬢さんを見た藤助は、10日前、吉三郎がおしん
に脅されているのをたまたま目撃したときも、
お嬢様の一番の幸せだと思い、店の金を盗んだ罪を、自ら進んでかぶることにしたのだった。
「藤助、おめえって野郎は俺が見込んだとおりの奴だぜ」夜が明け、この話を影で聞いていた越後屋と娘が出てくる。「焼津の、出かけよう」
男達が吉三郎に、次は越後屋の押し込みの手引きをしろと迫っているところへ、藤助が来る。「吉三郎さま、越後屋へかえってくらっしぇえ。
吉三郎さまに指一本でも触れて見ろ、おらが許さねえ!」やがて、半次と大吉が来る。・・・
駕籠に乗って街道を行く大吉・半次。「おい旦那よ、越後屋のあの娘、どうなるんだろうな」「おやじさんはよ、藤助を婿にするようなこと言ってたがよ、
そんなこと俺たちには関係ないこったろうが」「そりゃそうだがよ、でも藤助が婿になったとしたら、くしゃみはどうなるんだ、くしゃみは?朝から晩まで
くしゃみしてなきゃならねえ、ははは・・(クモ)うわぁ〜(駕籠から落ちる)」「呆れた奴だよ、おめえは」
見どころ:藤助がお嬢様への一途な思いからとった行動をうち明けているときの、半次の表情。
旅の場所:
さつき宿、1つ前あたりの宿場が追分け宿


「読めば読むほど駄目だった」 (第100話) 

<キャスト> 倉丘伸太郎=手紙を狙う旅ガラス、実は目付け役、川瀬貞之助(かわせていのすけ)
三原有美子=居酒屋『松の家』のべっぴんの姉ちゃん、おふじ 外山高士=気の早すぎる酒井藩森林奉行、南川主膳
不破潤=『黙れ黙れ』森林奉行殿に無礼を働く半次を怒鳴る役人、磯部 月形哲之介=『よく来たな』『手紙を渡してもらおう』手紙を狙っている浪人
北原将光=えらく慌てていた材木問屋三島屋の旦那、善助 浜伸二=お咲を斬ろうとしたとき、旅ガラスの貞之助に邪魔された浪人
新屋英子=ひがみが強すぎる茶店のばあさん 有島淳平=『お頼み申す』斬られてお咲に手紙を託けた町人風の男、与力の島村
野上哲也=人殺しの罪で引っ立てられた男、利助 三沢孝年=『おいら、使いを頼まれたんだけどよ』一朱で人殺しの片棒を担いだ子供
宮崎博=『あ、人殺しだ』旅の男

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=椹木儀一 録音=山根定男
美術
中島哲二 助監督=山村繁行 記録=松尾美智子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=内明淳 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


街道はずれ、4〜5人の浪人達に町人が襲われている。町人はかなりの腕だが斬られ、懐の手紙を盗られる。浪人達はこの一部始終を見ていた
お咲に気づくが、人の気配で去っていった。斬られた町人は、お咲に足の裏に隠しておいた手紙を言付け、野間宿の百人町の竹蔵に渡して
くれ「お頼み申す」と言ってこときれた。ちょうどその頃、茶店で「長とはれば半、半と張れば長、まったく何とかしてチョーよ」と持ち合わせがなく
茶だけを注文していた半次に、お銚子一本おごって共をしてもらい、二人は、野間宿へ向かう。(ホントは半次に全権委譲する計画だったお咲の
「あー損しちゃった」を聞いて「あきれたこんにゃく玉だ」と半次が酒を飲もうとするとおちょこにクモ)
手紙が偽物と気づいた浪人たちが追ってこないか心配なお咲は、大吉を探して落ち着かない。「いざって時は、この俺がいるじゃねえか」
「それが心配なのよ」侮辱されたと憤慨する兄さんを「半次さんだって、自分も強いけど、花山さまがいたら心強いと思ったことあるでしょ?私は
それを言いたかったのよ。半次さんは頼りになる男の中の男よ、分かったら行くのよ!」といつものようにポンポン言い負かされ、「おれはおだてに
弱いからつい許した形になっちまったが、分かってるところはちゃんと分かってんだ、このくそったれこんにゃくが」と負け惜しみを吐きながら半次も
歩き出す。
一方、大吉は、茶店で一杯注文し、茶店の婆さんにクモをみて悲鳴を上げて逃げていった変な客のことを聞きながら、「三島屋の旦那さん」と
呼ばれてもいつになく返事もせず先を急ぐ材木問屋・三島屋を見ていた。(手酌するからいいと酌を断わられプンプンした茶店の婆さんのことを
「それにしてもひがみすぎるな、若い女にでも亭主を寝取られたのかなあ」とつぶやいたところ、そばに婆さんがにらんで立っているのに気づき、
シャックリ)
野間宿に付いた二人は、竹蔵の住まいを聞き訪ねてみるが留守、流し台も手拭いも乾いている、「昨日から帰ってないってこと?」「かもしれねえな。
なあ旦那、そうだな(と、掛けてあったひょうたんをコンと小突く)はははは(お咲も一緒に笑う)・・・着物に一本足だ・・?」着物の下においてあった
仕込み杖に気づく。その時、外で「死体だ」と大騒ぎする声(その騒ぎに、既に家を取り囲んでいた浪人達が姿を消す)。
死体は、探していた竹蔵だった。しかし、役人と森林奉行・南川は、半次の申し立ても取り合わず、山林人夫仲間の争いとして片づけてしまい、
竹蔵の友人・利助が下手人としてしょっぴかれる。
手紙の差出人も受取人もいなくなり、「どーしたもんかな」と迷っている二人に、呼び出しがかかる。行くと、そこには町人を斬り殺した浪人の一団。
「手紙を渡せ」と迫り、斬り合いになるが、そこに助っ人がはいる。半次らの話を居酒屋で聞いていた旅ガラスで、男は浪人達の様子をうかがって
いたのだった。しかし、助かったと思ったのもつかの間、今度は旅ガラスが手紙を渡せと迫る。その時、「おい焼津のて」と大吉が通りかかり、大吉
を見た旅ガラスは、しばらく手紙は預けると言って去っていった。
何が何だか分からない早口の半次の事情説明に、「このおれに相談事があるなら、ちゃあんとしかるべきところに席をもうけてしろや」と言われ、
そもそもは手紙を預かったのはお咲、と、半次はお咲に一席もうけさせる。
開けた手紙には、日付と店の名前、金額が数件分書き記されていた。大吉は、殺された町人も、竹蔵も、先ほどの旅ガラスも、つながりのある侍
にちがいない、浪人側には黒幕がいるとにらんだ。「とすると黒幕は、35万石酒井家の財源・材木の臭いのプンプンする奴。・・気の早すぎる森林
奉行、それに手紙・・読めてきたぞ。今夜どうやら2組の物騒な客が来るはずだ」
初めの客は旅ガラスだった。旅ガラスは、35万石酒井家から、森林奉行と材木問屋・三島屋の材木横流しを調査すべくやって来た目付であると
大吉に見抜かれる。殺された二人は内偵を命ぜられ、証拠をつかんだのだが、南川ら嗅ぎつけられ殺されたのだった。手紙は横流しの証拠だった。
そして、旅篭の表には次の客、銭の亡者と用心棒が・・・。
酒井家目付・川瀬は、大吉に礼を言って去っていく。「あーあ。これでめでたしめでたしだけどさ、バカを見たのは私だわ。手紙を預かって殺され
かけたり、その上、花山さま達に席をもうけさせられてさ、お酒を35本も飲まれちゃってんだから、バカみたい」顔を見合わせて声なく笑う大吉・半次。
見どころ:いつもなら大吉がやるであろう推理を真顔でやってる二人分大活躍の半次兄さん。「なあ旦那」と、ひょうたんを旦那に見立てて話しか
ける場面をみて、この場面はもともとは大吉がいるシーンだったんじゃないだろうか、と思った。
旅の場所:35万石酒井家の領地・野間宿の百人町


「売り出しすぎてベソかいた」 (第101話) (←大吉でなく半次)(大盛りを2皿見ただけ)

<キャスト> 穂積隆信=半次としゃっくりこきまくった親分一匹子分無しの親分、岩瀬の甚太郎(じんたろう)
野口ふみえ=甚太郎の逃げた女房、おとき 田中春男=泣きの三十両おやじ 柳谷寛=怒れる四十両おやじ
戸上城太郎=おからを食いながら大吉に人殺しを依頼した浪人 津島道子=首絞め三十両ババア 阿波地大輔=鎖鎌使い、菅沼殿
岡嶋艶子=何が止まったのかよく分らない茶店のばあさん 浪花五郎=名うてのケチ、平田屋
山下義明=『ま、うちの料理を食べてみて下さいよ』料理を出前してきた男

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=松尾正武 撮影=羽田辰治 計測=山元豊 照明=藤井光春 録音=山根定男
美術
=宇佐見亮 助監督=上杉尚祺 記録=佐藤利子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=内明淳 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


「シャックリはおからが本家のはずだが、旦那のこと思い出したんでシャックリが懐かしがってうつってきやがったのかね」止まらないシャックリに
茶店で水をもらって治めようとすると、半次のとなりに座っている同業もシャックリしている。「ひょっとしたら同業の間でシャックリばやりの日かも
しれねえでござんすね」と、仁義をきろうとするが、シャックリでそれもままならない。お咲に「ちょっと後ろを向いてご覧なさい」と言われ後ろを
見ると、そこにはクモ。だがこの”あれ”のおかげで二人のシャックリはやっとおさまった。
男は、岩佐の甚太郎という、”親分一匹子分無しの親分”だが、岩佐の宿に帰ると、甚太郎は人気者で、あちこちから声を掛けられ慕われている。
甚太郎が、うちでゆっくりするようにと勧めて、自分は用事があるからと出ていったため、お咲がちゃっかりご馳走を注文して、二人して甚太郎の
うちで昼ご飯をご馳走になっていると、そこにたいそうな剣幕の男が「40両返してもらおう」とやってくる。甚太郎がいないなら、約束の日に約束の
場所にいる半次とお咲に返済するように詰め寄る。困っているところへ、次の借金取りが「返してくれないと一家5人首を吊らなければならない」
と泣きながら訴える。更にもう一人、借金取り。更にもう一人、今度は甚太郎を見限って出ていった元女房のおとき。ワケのわからないまま
半次は三人に囲まれる。
お咲が「甚太郎さんを捜してくるわ」とうまく騒動から抜け出して外に出ると、ちょうど、大吉が不機嫌そうに歩いている。大吉は先刻、その腕を
買われて1両で人斬りを誘われたのだった。しかも、そこに集まった浪人達は皆、大盛り二皿のおからを肴に酒を飲んでいたのだ。「いくら俺が
おから好きでもだ、ワケのわからん人殺しができるかい。も、もう、まったくけしからんな、ワケのわからん貴様達がそのおからを食うなんて
けしからんな。とにかくだ、残念至極だが、ここのおからを食うわけには行かん、けしからんな」と、断腸の思いで出てきたところだったのだ。
お咲に半次のピンチを知らされ、甚太郎のうちへいってみると、借金取りは消え、そこでは先ほどの浪人達が半次に刀を向けていた。人斬りの
相手は半次だったのか?しかし、半次には全く覚えがない。おときは、甚太郎は人から頼まれるとイヤとは言えない性分で、今度の100両の
借金も、きっと誰かにいい顔したさに作った金だっただろうと、謝る。どうやら、100両に関係して甚太郎殺しに雇われた浪人達が、間違えて
半次に斬りかかったようだ。
そこにそろそろ騒ぎが収まった頃かと甚太郎が、殺し屋まで来たとは知らずにのこのこ帰ってくる。100両は、平田屋に急場しのぎにどうしても
必要と頼まれ用立てたものだった。しかし、期限が来ても返済しない。おときの話では、平田屋は金のためなら何でもする男だという。
どうやら、金を返すのが惜しくなった平田屋が、殺し屋を雇って、金の行き先を誰にも知られまいと甚太郎殺しをたくらんだようだ。「そんな
バカな」「バカかどうかは表をよく見ろ」そこには、殺し屋の浪人達が今度は平田屋を連れて戻ってきていた。・・・
甚太郎の目をさまさせようと出ていったおときの気持ちを知り、再び手を取り合う甚太郎とおとき。「旦那あ、一匹親分野郎、えらく神妙な顔して
かみさんに謝ってるじゃねえか。」「今度は男の中の男もだいぶこたえたらしいな。おい、おめえも人ごとじゃねえぞ」「え?」「そうよ、半次さんも
少しはこたえなさいよね」「このうすらバカ、こきやがって、待ちやがれ!」「花山さまたすけて〜」半次はお咲を追い回す。その向こうでは、仲直り
したはずのおときがぷんぷん怒って、甚太郎が平謝りしている。
見どころ:戸上さんと阿波地さん相手の殺陣はすごい!阿波地さんの投げた鎖鎌の鎖が旦那の刀に巻き付く。後ろの戸上さんを牽制しながら
阿波地さんの引く力を利用して刀を投げ刺した後、素早く阿波地さんの刀を抜いて、振り向きざまに、向かってくる戸上さんを斬る。殺陣シーン
以外は極力このちゃんの出番は無理をされないように配慮されているように見えるが、ご病気とは思わせない殺陣がすごい。
穂積さん演じる甚太郎と半次兄さんのコミカルなやり取り、おからを前にまじめにじらす戸上さんとのどから手が出るようにほしいおからをお預け
の大吉旦那のやり取りもおもしろい。(以上 じゅうよっつ)
今回の大吉、戸上城太郎と並んで酒を飲む大吉の絵がおもしろかったです。戸上さんは、悪役モードで「おぬし金はほしくないか」とか言ってる
のに、目の前のおからに夢中の大吉のセリフとのギャップに大笑いしました。(久米仙人さま)
昨日の大吉は、以前の定番パターンに戻ったようなストーリーで面白かったっす。オカラを前に葛藤している(笑)ダンナがツボでした。なんだか戸上さんがマジで面白がっているように見えたんですが・・私だけでしょうか(^^ゞ(南まさとさま 2009年6月13日)
花山大吉が終盤に近づき、体調の悪さか分かりませんが殺陣の場面で本来なら、絶対の自信があり生き甲斐であったと思われる殺陣に於いて代役を使うという事が相当体調が深刻な事態であったであろう事が推測されます。しかし最後の成敗の場面に臨む時の眼力は敵を圧倒する迫力を持ちながらも、なんだか慈愛の気持ちを感じさせるのは気のせいでしょうか?(村常丸さま 2009年6月13日)
旅の場所:岩佐宿
次回予告:『・・・ 、今も昔も変わらぬ受験地獄、長崎の医学塾を目指して受験勉強に忙しい市太郎少年が、ある夜、強盗殺人犯を目撃した
ことから事件の幕が切って落される。その強盗犯、市太郎が目撃したことを知り、喋れば母を殺すと脅迫する。少年は、母に真実を告げんとするが
教育ママのおとせは、少年の心を無視し、勉強を強要する。お咲が首の筋を痛めたことから、少年のうちを訪れた半次はこの事件の渦中に巻き
込まれた。強盗殺人犯の一味が一家皆殺しを計画したとき花山大吉が登場、少年の心を開き事件の真相を探り出した。この時突如として襲い
掛かる凶賊一味。大吉半次の剣と人情が冴える、次回・・・』(相談屋さま)


「覗いちゃいけないことだった」 (第102話) 

<キャスト> 三木豊=望遠鏡で覗いちゃいけないものを見た子供、市太郎
波田久夫=『坊や、何を知っているんだい?』五人組盗賊の一味で顔に傷のある男、さいじ 
春日章良
=五人組盗賊の一味で、日本一の毒きび団子売り 雲井三郎=五人組盗賊の六人目の男、お頭
国田栄弥=五人組盗賊の一味で、きび団子屋を探す半次を後ろから狙った男 森敏光=大吉にはもっとおかわりしてもらいたかった居酒屋のおやじ
智村清=五人組盗賊の一味で、『植甚』の名の入った着物を着た植木職人風の男
東孝=五人組盗賊の一味で、刀を差していた男 小畠絹子=亡くなった蘭方医木下道庵の妻で市太郎の母、おとせ

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=山口鉄雄 照明=椹木儀一 録音=小野岡道秀
美術
=宇佐見亮 助監督=山村繁行 記録=松尾美智子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=内明淳 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


蘭方医・木下道庵の息子・市太郎は、亡くなった父親のあとを継いで医師にという母親の願いを受け、長崎の医学塾受験のための勉強に
励んでいた、と言いたいところだが、まだ遊びたい盛り、母親に黙って持ち出した遠眼鏡を、今夜も二階の自分の部屋から覗いていた。そこに
映ったのは、壺を抱えた5人組の黒装束、金貸しの稲葉屋の裏口から出てきた盗人のようだ。
その5人組と出くわし逃げようとしたお咲が首をねんざ、通りかかった半次と木下道庵宅を訪ね、治るまで2〜3日、やっかいになることになる。
翌朝立った高札では、稲葉屋一家を殺害し盗みを働いた犯人の人相や隠れ家を知らせると10両の礼金が出るという。「どうしてもうちっと読みやすい
文句が書けねえもんかな」と半次が苦労して読む高札をスラスラと読み要約までしたのは、市太郎。しかし「おじさん褒美もらいたいかい?おいら
知ってるんだ」と半次に話す市太郎を男が呼び止める。昨夜遠眼鏡で見た顔に、市太郎の顔がこわばる。「何を知ってるんだい?おじさんの顔
どこで見たんだい?男の子は何でもかでも喋らない方がいいんだよ」と優しいが傷のある顔は厳しく、市太郎は怖くなって逃げ出す。
事情を知らない母親と、母親の教育方針にすっかり感心している半次は、市太郎に耳を貸さず、許可も得ずに出ていった市太郎に勉強だと
2階へせかす。「おじさん、勉強嫌いの人間にかぎって、人に勉強しろ勉強しろっていうんだよ」と言われた半次はドキッ。
半次は、この5人組を見たお咲になんとか取り入って、お咲とくんで犯人を捜そうと考える。相手は黒装束、人相は分からないが、5人組だから、
仕事の前に旅篭か料亭かどこかで打ち合わせをしたに違いない、そこから調べていけば、と言うお咲の提案を受け、礼金はお咲7分、半次3分と
いう分の悪い条件をのんで、早速半次は調査を開始する。
一方、5人組の市太郎追跡のほうも、続いていた。市太郎の部屋には、「喋るとおまえの命も母親の命もないぞ」という文が投げ込まれ、更に、
子供達の人気を集めている吉備団子売りに誘われ、市太郎は小遣いを手にうちを抜け出す。吉備団子売りは特別だと、きな粉をたくさんかけた
団子を渡し、市太郎にどこに住んでいるのか、と尋ねる。
その様子を見ていた半次は、市太郎の部屋にあがり、日本一の医者になる気持ちはあるのかと説教、しかし、説教を聞く市太郎は、部屋において
あったダルマの顔から吉備団子売りが、例の顔に傷のある男の仲間だと気づき、自分のうちまで教えてしまったことに愕然とする。
「おい、分かったのかい?」「分かったよ」日頃しなれない説教に疲れた半次は、市太郎の持っている団子を一串もらう。しかし、口を開けると
「待って!」「この団子に毒でも仕込んであるっていうのか」「分からないけど」と市太郎が部屋の金魚鉢に団子を入れると、金魚はやがて腹を
見せた。(「毒団子を食わせようとしやがったのか」と部屋を出ていこうとするとクモ)
しかし、半次が聞いても母親が頼んでも、「喋ったら母さんも殺されるんだ」と何も話そうとしない市太郎。半次は、いったんは犯人さがしを断って
別れた旦那に応援を頼む。大吉が尋ねても、市太郎はやはり何もこたえないが、半次は高札を見て市太郎が「知っている」と話していたことを
思い出す。どうやら、市太郎の黙りと毒団子は、昨日の稲葉屋殺しの一件と関係ありそうだが、稲葉屋は市太郎の部屋から遠くにしか見えない。
「全然見えねえや、遠眼鏡でもねえ限りな」「遠眼鏡ならあります!」半次が部屋を探すと、遠眼鏡と、市太郎が書いた「殺される 殺される 
でも勉強するよりいい」と書いた紙を見つける。「坊や、これで見たんだな?」市太郎は5人組に脅されていたことを話す。
「おいらは構わないから、母さん助けてよ」厳しい母親は、市太郎にこのことを話す余裕を与えなかったのだ。「あんた分かるかね、本当の子供の
気持ちが」「はい」しかし、その頃既に、執拗な5人組は、頭目に率いられ、目撃者を全員皆殺しにしようとこの家を取り囲んでいた。・・・
「こんなに働いても、やっぱしお咲坊に7分持って行かれるのかや。これじゃ割が合わねえや」「バカタレが、一味の顔を知ってたのは坊だ、
褒美の金は坊が長崎へ行く餞別だよ」「あーそうか!お咲坊にふんだくられるよりはよっぽどスッキリするわな」はははと笑う二人。「えーなあに?」
と覗くお咲に「何でもねえ何でもねえ」と二人は向こうを向く。
見どころ:「今日はたまたま持ち合わせが少ない」大吉、居酒屋で有り金を何度も数え直すが、これ以上は飲めない。「いまちょっと考え事を
しとるんだよ」と、居酒屋の亭主のもう一本を体よく断り、握っていた金をこっそり覗く仕草が可愛い。
コメント:大吉が始まった頃、酒は静かに飲むもの、と落ち着いた声で半次をたしなめていた大吉は、いつからかおからがなくてもがぶがぶ飲む
ようになっている。数人で話すシーンでも、大吉だけ一人映ってる場面がよくある。このちゃんだけ別に撮りだめしたのかも。(以上 じゅうよっつ)
近衛先生、今日は登場まで時間かかってた...やはり体調の影響なんでしょうか...(ろくりんさま 2009年6月15日)
小畠絹子さん(元新東宝):さすがに新東宝一の美女と言われる方、お母さん役でも美しかった!戸上さんもそうですが昭和の映画全盛期にスクリーンで活躍された方をテレビで拝見するのもまた楽しみですね。(ろくりんさま 2009年6月15日)
録画注意:殺陣のシーン、はやすぎてDVDではブロックノイズの可能性あり、録画方法をご検討くださいませ。(大地丙太郎監督のカキコより 2005年4月24日)


「目をさましたら死んでいた」 (第103話) 

<キャスト> 新井茂子=半次に駒を回してくれた女、お吉(おきち) 原健策=病弱だが朝鮮人参嫌いな、お吉のお父っつあん
幸田宗丸=縁起物なら千両出しても欲しい廻船問屋松前屋の主人、嘉平(かへい) 山岡徹也=大利根一家の二足わらじの親分、熊太郎
柳川清=潮時を見て早めに帰るつもりだった居酒屋のおやじ、甚助、実は佐伯藩の勘定方支配、山本甚兵衛
三田一枝=お吉の隣に住み、お咲の鼻薬には弱かった『大変』婆さん 川浪公次郎=せっかく見つけたアレを大吉に奪われた大利根一家の子分、まさ
佃和美=フッといなくなる旦那さんに困っている居酒屋の子女、おうめ 森章二=大吉が来たことを主人に知らせた松前屋の番頭

<スタッフ> 脚本=松村正温 監督=井沢雅彦 撮影=脇武夫 計測=水島淳一 照明=林春海 録音=小野岡道秀
美術
=塚本隆治 助監督=曽根勇 記録=宮内喜久子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=内明淳 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行=河野荘一 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


「何度数えてもないものはないな」と旅籠代にも足りない大吉が、目印のひょうたんを出して半次の到着を気をもんで待っていた頃、半次は、
一度はツキに見放されかけた賭場で、となりに座ったいた娘・お吉に駒を借りて大もうけ、お礼にとお吉が勧める甚助おじさんの居酒屋へ
二人で行き、上機嫌にのんでいた。
しかし、翌朝目が覚めると、となりにお吉が?「二日酔いするともの凄えご面相になるもんだ」とよくよく見ると、それは息絶えた甚助、しかも、
半次の手は血糊がつき出刃包丁を握っている。あわてて旦那を捜し、「何とかしてくれよ、俺何が何だかわらない」と助けを求める。
「ゆうべ別嬪のねえちゃんにもててもてて」と的を得ないことを泣きながら説明する半次を八幡さまの境内に隠して、店に行くと、既に、昨夜
半次が儲けた賭場の二足わらじの親分・大根田の熊太郎一家が取り調べをしており、半次があわてて逃げたという居酒屋の小娘・おうめの証言
を得て、半次が下手人ということで手配が進んでいた。しかし、大吉がお吉の取り調べをしないのは片手落ちだと指摘すると、妙にいきり立つ、
どうやらお吉一人の知恵で半次を罠にかけたのではなさそうだ。
隠れていた場所からクモが出た半次(あわてて自分で口を塞ぐ)は、おこもに姿を変えてションボリしている。「もしも俺が人殺しだったら、旦那も
俺には鼻も引っかけてくれないだろうね」と弱気の兄さんに「バカタレ!しっかりしろい」と懐から握り飯を渡す。「それでも食べてな、元気を出せ」
「だんなあ。おありがとうございま(飯をぱくつく)」お咲の差し入れたお酒も「おありがとうご(ごくごく)」
半次から、甚助が時々ふと姿を消して戻ってこないと居酒屋の小娘がぼやいていたことを聞いた大吉は、甚助がただの居酒屋のおやじではない
と睨み、夜、甚助の店を張る。と、そこに、熊太郎の一家。中を探し、神棚のお札からみつけた手紙を、大吉が奪い取る。
病気の父親の薬欲しさに、熊太郎にいわれるまま半次を甚助の店でベロベロになるまで酔わせたお吉は、その頃、甚助殺害の片棒をかつがされた
と知り愕然とし、父親に諭され、役人に申し出ようと決心したいたが、大吉に手紙を奪われて事件決着を早くつけなくてはならなくなった熊太郎
一家に無理矢理連れて行かれる。
そこに一足遅く、大吉とお咲が。松前屋に行くといっていたそうだ。「お咲坊、八幡宮の境内へ走ってくれ」「半次さんね」「ああ、どうやら大詰めに
来たようだ。あのバカタレも、最後は、自分の尻は自分で拭かせてやらんことにはな」
大吉は表から手紙を持って金をゆするふりをし、半次は裏からお吉を救う。回船問屋・松前屋は高麗ものの朝鮮人参の高値に目をつけ、
熊太郎と組んで密売をやっていたのだ。手紙には、松前屋が密売をした取引内容が書かれていた。それを書いたのは、居酒屋の主・甚助、
実は密売を嗅ぎつけ佐伯藩が送りこんだ勘定方支配・山本甚兵衛で、逆にこれを嗅ぎつけた松前屋が甚助を消し、半次をその犯人に仕立て
上げたのだった。・・・
心ならずも佐伯藩を助けたことになった大吉の手柄で、お吉の父親には御殿医が差し向けられることになった。「だんなあ、また俺を差し置いて、
いいカッコする方へ回ったな」「ふふ、おまえはいつだってせいぜいかつがれ役だよ、ははは」「このおからが!あっはっは」お吉にちょいと礼をして
半次は大吉お咲と再び旅立つ。
見どころ:境内に隠れている弱気の半次と、ぶっきらぼうにそれを気遣う大吉の会話。このちゃん、お顔がやせてらっしゃるなあ。(以上じゅうよっつ)
最終話の予告編だけで、涙が出てきました。笑って別れられそうにないです。(でんきやさま)
次回予告より:「素浪人月影兵庫」から「花山大吉」へ近衛十四郎・品川隆二の名コンビが活躍すること4年猶予、ついに別れるときが来た。
・・・大吉は半次に対して別れの言葉を告げる。男心が男に惚れて、仲良しゲンカの珍道中を続けること4年半、さすがの大吉が、そして半次が、
顔で笑って心で泣いて、ついに別れゆく最終編、大吉・半次が万感の思いを込めてお送りする次回・・・(以上 じゅうよっつ)
コメント:大吉が五人のヤクザ者をたたきのめしてお札を奪取する場面のBGMは、なんと「月影」第2シーズン後半のオープニングタイトル
(すなわち夜の宿場町バージョンです)で使用された楽曲です。この曲の後、「素浪人月影兵庫」という文字が出るのです。懐かしかった〜。
(キンちゃんさま)
旅の場所:佐伯藩の領地で港町


「男は笑って別れていた」 (第104話) クモもおからもしゃっくりも無し

<キャスト> 小栗一也=おゆみの養父で十手持ち、彦山の清三郎(せいざぶろう)
牧冬吉=浦田一家の子分達に痛めつけられていた百姓の父っつあん、伍作 高野ひろみ=お咲の幼なじみ、おゆみ
杉山昌三九=この地方きっての大親分、瀬戸の勘兵ヱ
五味竜太郎=大吉を冥土に送る五十人目の男にしたかった道場荒らし、矢田部神十郎(やたべじんじゅうろう)
永田光男=おゆみの嫁入り話に色よい返事を期待していた、浦田の仙造親分
賀川泰三=伍作を痛めつけていた浦田一家の子分で、ひょっとこ野郎、こまつ 藤川弘=お咲に団子をご馳走したおじいさん
和歌林三津江=美人は百文の徳の舞台となった茶店のばあさん 上岡紀美子=浦田一家はみんな鬼だと思っている、殺された伍作の娘
和久田裕=清三郎親分に伍作どんが殺されたことを知らせに来た若い男
汐路章(NC)、阿波地大輔(NC)、丘路千(NC)、有川正治(NC)、浜伸二(NC)、藤本秀夫(NC)=瀬戸一家の雇われ用心棒
宍戸大全(NC)=サイの使い手で、縦横無尽に飛び跳ねる瀬戸一家の雇われ用心棒
小山田良樹(NC)=瀬戸一家の雇われ用心棒/浦田一家の雇われ用心棒 滝譲二(NC)=倒れた半次を槍で刺そうとした瀬戸一家の子分
疋田圀男(NC)、大城泰(NC)、森源太郎(NC)、川辺俊行(NC)、東孝(NC)、村田玉郎(NC)、伊東好光(NC)、藤長照夫(NC)
=瀬戸一家の子分  
淡路康
(NC)=瀬戸一家の子分/大吉に斬られた浦田一家の子分 榎原政一(NC)=瀬戸一家の子分/伍作の右腕を掴んでいた浦田一家の子分
前川良三(NC)=伍作を羽交い締めにしていた浦田一家の子分  智村清(NC)=伍作の左腕を掴んでいた浦田一家の子分
内藤康夫(NC)=伍作を蹴った浦田一家の子分 志茂山高也(NC)、木谷邦臣(NC)=浦田一家へ乗り込んだ大吉半次に斬られた浦田の子分
池田謙治(NC)=浦田一家の雇われ用心棒  宮崎博(NC)=伍作をこてんぱんにしていた浦田一家の様子を見ていた旅装束の野次馬
NC判別についてどらおさまのお話:瀬戸一家が大吉を倒すために動員した人数をざっと数えてみたのですが、40人近くいますね。杉山さんと五味さんを足しても判別できたのは約半分の21人で、やはり力及びませんでした。手に持っていた槍ごと半次に真っ二つに斬られた瀬戸一家の太った子分は、鈴木金哉さんのようにも見えたのですが、よく見ると違う気がします。
飛び跳ねていたサイの使い手は、あのいかにも「鍛えてます」といわんばかりの筋肉美や独特の武器と衣裳、俊敏な動き、おそらく宍戸さん以外には考えられないでしょうね。他にも大殺陣メンバーで出演回数の多い大部屋俳優さん7人のお顔も見えたようにも思えたのですが、ほんの一瞬で動きも早く、スローで観ても判別不能でした。

<スタッフ> 脚本=森田新 監督=小野登 撮影=柾木兵一 計測=宮川俊夫 照明=林春海 録音=小野岡道秀
美術
=宇佐見亮 助監督=山村繁行 記録=松尾美智子 編集=鳥居勉 装置=早川重三 装飾=内明淳 衣装=上野徳三郎 
美粧=
林三郎 結髪=水巻春江 擬斗=土井淳之祐(東映剣会) 進行主任=藤野清 現像:東洋現像所 
プロデューサー=
小沢英輔・宮川輝水  制作:NET・東映


「いこうかいっ!」クライマックスシーン。大吉は半次にこう声をかけて立ち上がります。そして大殺陣。五十人以上は斬りましたよね。
「今度ばかりはダメかと思ったよ、わっはっはっは」という意外な(?)セリフも。(キンちゃんさま 2003年3月2日)


「旦那って!」見晴らしのいい高台に座っていた大吉は、2度目の半次の声にようやく気づく。”いつにねえ顔”で考え事をしていたため、半次はてっきりこれ(小指をたてて)が出来たんだ、「旦那のことだ、きっと、居酒屋か豆腐屋の後家なんかと、このまあ」と小突く。大吉が考えていたのは”江戸を後にしてからこの5年の間の旅暮らし”。「このうすらバカタレが!」とあきれて歩き出す。
2人の行く先では、老人が浦田一家にこてんぱんにされていた。しかし助けた老人は、礼を言うとわけも話さずそそくさと帰っていった。そのとき大吉をグッとにらんでいたのが3人の浪人。うち一人は矢田部神十郎、有名な道場荒らしだ。矢田部は、大吉に「いづれ決着をつけることになろう」と言い去っていく。「俺の風体や態度がりっぱなんでよ、大道場の主と間違えたんんじゃないかな」と再び歩き出す二人。
茶店では、見知らぬ爺さんに団子をおごらせたお咲が、大吉に相談にのって欲しいという。お咲が旅に出て半年、「そろそろうちに帰ろうかなあと思うのよ」大吉は、「その気になったんだったらその方がいいぞ、早く帰った方がいい」と勧めるが、半次は、”鼻の先がじーん”として、さみしげだ。
そこに、旅支度の娘がやってくる。お咲と娘はしばらく見つめあい、「お咲ちゃん」「おゆみちゃん」と抱き合う。二人は、おゆみがおじさんのうちへもらわれたため、6歳の時に別れた幼なじみだった。おゆみは、育ての父・十手持ちの彦山の清三郎に勧められ、実家に挨拶に行くためにまだ朝くらいうちに旅立ったのだが、途中、浦田一家の親分・仙造が、おゆみを嫁によこせと清三郎を脅しているという話を人づてに聞き、自分をせき立て旅に出した父親が心配で引き返す途中だった。
おゆみの相談にのるべく、3人は清三郎のうちへ、そこで、おゆみへ宛てた遺書を見つける。幸いまだ清三郎はいたが、清三郎は、浦田と刺し違えるつもりだったようだ。ただ嫁にくれと言われただけなら断ればいい、それで暴力を振るうなら十手をかざせばいい、だが、どうもそれだけではなさそうだ。そこに、伍作がやられたという知らせが入る。先ほど半次らが助けた老人・伍作は、浦田の賭場に無理矢理連れて行かれ、80両の借金を作らされたのだが、どうしても田畑だけは、と抵抗したために殺されたのだった。この宿場にはこうやって身ぐるみ剥がされたものが何人もいた。
それでも清三郎は、大吉と半次の助けを断るが、そのまま引き下がる二人ではない。
俺たちはな、おめえのようなあこぎな悪党は、縄をかけるより笠の台をとばした方が早かろうとやってきたんだよ」・・無事大掃除を終えて戻ったはずだが、清三郎だはまだ、浮かない顔をしている。そして、おゆみにこれから発て、明日の山越えが楽だからと、懸命に勧める。そんな清三郎に気づいた大吉は、「俺もそうした方がいいと思うぞ、お咲坊も一緒に故郷へ帰ったらどうだ」と賛成し、お咲は、おゆみにも請われ、帰ることにする。店がみんなしまっていて祝い酒を買えずに帰ってきた半次は、お咲の急な旅立ちを知り、まごつく。
「花山さま、お元気でね」「ああ、お咲坊もいいお嫁さんになるんだぞ」「あたし本当に楽しかったわ、この半年。うちの方に来たら必ず寄ってね」「ああ寄るとも」引き留めていたい半次の気持ちとは裏腹に、お咲は出発する。「お咲坊・・イヤ何でもねえ。これからはあんまり調子の狂ったことするんじゃねえぞ」今日ばかりはお咲もしんみり「分かったわよ、(涙をこらえて)半次さんもね、じゃあ」
お咲とおゆみを見送った後、清三郎は、二人に次の宿場で一杯やってくれ、と、金を差し出す。半次は、「なんでこんなことするんだ」と怒るが、大吉には、先ほど清三郎と三人で退治しに行ったときの浦田の自信ありげな態度と、清三郎の悲観的な態度に、まだ裏が隠れていると分かっていた。「浦田がいなくなっても、心を許せぬ相手がいると言うことだ。そのために俺たちに迷惑のかかることを恐れてたんだろ、どうだね?」
浦田一家には、兄貴分の瀬戸の勘兵ヱがバックにいた。勘兵ヱは、この地方一帯の十手を預かった二足のわらじの大親分で、代官に気にいられ、実権を握っているために、清三郎が目に余る者を捕まえても、3日とたたず帰ってくる。それをいいことに、浦田一家はやりたい放題、宿場のものは息を殺して生活している。しかし、瀬戸一家は子分が100人を超え、用心棒も10何人、中でも矢田部神十郎はめっぽう強い、だからせめて瀬戸にかなわないまでも、浦田と刺し違えようというのが清三郎の決意だったのだ。「奴はこうなることを見越していたんだ、俺が親分に手を貸して瀬戸一家と一戦を交えることをだ」「旦那、そいつはいけねえ」」そうは行かんよ、話を聞いたからにはな。」「おっと、その通りよ、助っ人するぜ、この半次兄さんが命をかけてな」
3人は広い岸辺で瀬戸一家を待つ。やがて乗り込んでくる大勢の子分と用心棒たち。「ごたくは結構だい。待っていたよ。・・さあ、行こうかい!」
・・・最後の矢田部を倒し、息を切らせる大吉。
「旦那あ、俺今日って今日は、とっても命がねえと思ったぜ」無事悪人退治を終え、二人は再び高台に来ている。「ああ、俺も自信がなかったよ」「そうかい、旦那もか。しかしよかったな、またこうして旅が出来てな」「それだがな、焼津の、俺は一度、江戸へ戻ろうと思うんだ」「な、何だって!?」「長いつきあいだったが、おまえとはここで別れよう。」「そんなあ、なんで別れなきゃならねえんだよ!」「このことは前から考えていたことなんだ、おまえには前にも話したとおり、女房子供を流行病でなくして、道場は師範代に譲って、旅に出たんだが。そしておまえという良き相棒を得て旅の空で果てるも一生と思ってきた。だが、心の痛手も消えた今、もう一度江戸へ戻ってこれからのことを考えてみようと思うんだ」言葉を失う半次。
「・・・そうかいおらあ、旦那とは別れたかあねえ、一生別れたかあねえ・・だが、これからのことを考えてっていわれちゃあ止めるわけにゃいかねえ。しかしよ、それならそれでなんで前もって言ってくれなかったんだよ、俺にも心の準備ッってものがあるじゃねえかい。昨日出し抜けにお咲坊と別れて今日また旦那と別れたら、お、お、おおら、頭の中空っぽになっちまうじゃねえか」「おい、おめえのここはいつもすっからかんじゃねえのかよ」「別れ際までこきやがって!」「焼津の、別れると言ってもな、俺は江戸にいる。来ればいつでも会える。」「そうだよな、会えるよな、ああ」「達者で暮らせよ」「ああ、ああ、旦那もな」行こうとする旦那に「旦那あ!」思わず追おうとする半次。「旦那・・」「情けない面するな、男は笑って別れるもんだ」「わ、わ、わかったよ、おからあ。お、お、お俺わらってるじゃねえかい」懸命に笑おうとする半次を見て頷く大吉。「旦那あ・・・」
くるりと向こうを向いて再び歩き出す大吉。やがて姿は見えなくなる。「旦那あ〜!」その声がこだまする。「旦那ああああ」
見どころ:最終回は、殺陣シーンが3回、しかも最後は何十人もに囲まれた大殺陣。このちゃんと品川さんの共演一世一代の殺陣!という思いが伝わる。ノンクレジット出演の切られ役さんたくさんに囲まれたシーンは、さながら大吉集大成完成祝いのようだ。「行こうかい!」という言葉は
ひときわ大きく力強く、最終回のクライマックス、行くぜ!という気迫を感じる。
その後の別れのシーンは、何も言えない。旦那との突然の別れに涙をこらえようとしてこらえきれない、突っ張ってみせるけど、最後は「旦那あ!」と呼ぶ半次兄さんと、別れのつらさはうちに抑え淡々と心情をかたりながらも、その気持ちはその目尻一杯のシワの情のある目にあふれ、「達者でな」と悲しい真顔になり振り返らず歩き出す大吉、このちゃんと品川さんならではの名場面。お話が終わって、いつも通り「風来坊笠」が始まると、半次同様、見ているファンは頭の中が空っぽだ。
コメント:今日は三度旦那の立ち回りが見られましたね。特にラスト河川敷の立ち回りは最後にふさわしい力の入り方でした。この場面の半次の姿は手持ちカメラ使って撮影ようで これも迫力ありました。前後しますがお咲との別れ、半次の言いたいだろう事を言えないの切ない姿にほろり…そしてラスト 峠道を去る旦那に向かって響く半次の「旦那〜」の声、いや〜たまらんです(;_:) 半次はこの後どんな人生歩んだんだろう… やはり近衛品川コンビは時代劇の歴史に残る名コンビだとあらためて認識いたしました(ろくりんさま 2009年6月17日)
なんか一気に気が抜けちゃって・・今日は時間休暇を取って少し早めに帰宅して、録画していた最終回を見ました。ろくりんさまも仰っているとおり、立ち回りは本当に迫力がありましたね。何より、近衛さんと品川さんの最後にかける気迫が、画面から伝わってきました。そしてラストはやっぱり、半次兄さんの叫びと共に涙が・・(>_<)でもでも・・明日からもう毎日の楽しみがないんだと思うと無性に寂しいっす(週1兵庫の楽しみはありますが)精神的な仕事疲れも癒してくれる、本当に素晴らしい番組だったのになぁ・・。ともあれ、無事コンプリート録画できたので、しばらくは過去の好きな回を見て楽しむことにします。(南まさとさま 2009年6月17日)
いやあ・・・・品川さん演技うまいですね・・・。本当に泣いていましたね。品川さんも、インタビューの中で、「花山大吉は会心の出来であり、好きなシーンは最終話だ」とおっしゃっていましたが(兵庫の話と多少混乱あり)、まさしく、最後の名場面でした。このちゃんも、地味ながら、一つ一つの表情が、とても語っていました。
みなさまのお話通り、全身全霊をこめた最後の殺陣は素晴らしかったです。
だんなが言っていた「これからのこと」って、具体的にどんなことだろう?江戸へ戻って何がしたいのだろう?もう一度道場を開くのだろうか?半次はいつか江戸へ行って、大吉に会うのだろうか?「お咲ちゃんと夫婦になりました〜」なんて報告しに二人で訪ねて行ったりして・・・。(鈴雪さま 2009年6月20日)
大吉の最終話。何度見ても涙がでますねえ。これも二人の演技が優れているからです。今までに数ある別れのシーンを見てきましたが、やっぱり兵庫と大吉の別れが一番!!!!感動の時代劇を見せてくれたこのチャンと品川氏に有難うございますと言いたいです。(yukimente2005さま 2009年6月22日)
旅の場所:せのじゅく
  





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